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第13章 広大な平原の中で起きていた事
第420話 『敵を喰う』事の意味は
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ボラボは立ち向かおうとしたターダに対して、困った様子を見せる。
だがそれにはさほど深刻な様子は無い。
それはどちらかと言えば『だだっ子』に対するもののようにすら思えるほどだ。
「だからさっき言ったけど、君はこちらの敵として不足だって。弱い敵を喰っても力にならないからな。霊力の無駄なんだよ」
え? いまボラボは何と言った?
元の世界ではエロい事を隠語で『喰う』と表現していたけどまさか。
いや。漫画なんかでライバル役が『相手を倒す』事を『喰う』と表現する事がしばしばあったから、そういう意味なのか――むしろそう思いたい。
「それに引き替え、そちらのアルタシャは素晴らしいね。君を喰ったら多分、凄い力を得られるだろう。だから頑張って敵になってくれ」
「あのう……さっきから言っていたあなたの『もの』になるというのはもしかして……」
ここでターダが口を挟んでくる。
「こいつら『餓えし幽鬼』の連中は倒した敵を喰う」
それは元の世界の隠語の『喰う』ではなく、字句通りの意味なのか。
「そしてより強い敵を喰えば、それだけ力が上がると信じている。同様に人間を瘴気のようなおぞましい存在に喰わせて、それで奴らをなだめる魔術も使うのだ」
「なんですって?」
以前に出会った『二本足の狼』も人を食うことのタブーは無かったが、それは単に彼らが自分達を狼だと認識していたからであって、そんな彼らでも『共食い』は禁じていた。
しかしボラボの方は積極的に敵とした相手を喰い、また人間を怪物に喰わせているらしい。
「こいつらは『定めし者』が取り決めた『家畜が平原から草を喰い、人間が家畜を喰う』定めを守らず、同族を喰うことを選んだ道に外れた連中なのだ」
ターダは緊張と共に説明するが、ボラボは小さくため息をついただけだった。
「こちらの方が正しい『定めし者』の意志に従っているのであって、君達は間違った話を鵜呑みにしているのだよ。『食べる者』と『食べられる者』の線引きの時に君達は勘違いして他の種族を食べるべきだと思い込んでしまい、それが未だに続いているんだ」
そう言ってボラボはそのたくましい肩をすくめる。
ああ。この世界ではいつものことだけど、この平原の掟でもやっぱり勢力毎にとんでもない解釈の違いがあるんだな。
「喰うことは善でも悪でも無い。ただ必要な行為だ。しかしそのためにどの命を優先して奪うべきかと言えば、他の種族よりも同類を犠牲にした方がまだマシだと思わないか?」
理屈は分からないでもないけど、同意を求められても困ります。
こっちの世界では『自分達の生き様こそ最も正しく、他の連中はみんな間違っている』が当たり前だからボラボにとっては当然のことを言っているに過ぎないのだが。
「アルタシャ。こんな奴らに関わってはろくな事にならないぞ。とっとと立ち去るんだ」
「それはダメだよ。彼女は協力してくれると約束したんだからね」
その通りだけど、ボラボに食い物にされる――本当に文字通りの意味で使うことになるとはこの異世界でも想像もしなかった――つもりはサラサラないです。
それはともかく色々とやり残した事もあるので、まずオレは倒れている人達を指差す。
「あちらに倒れている人達を介抱します。ターダは一緒にパップスに戻っていて下さい」
「お前はこの『餓えし幽鬼』の輩と同行するつもりなのか?」
「一時の事ですよ。瘴気をどうにかしたらまた合流しましょう」
どことなく瘴気よりも、ボラボの方が危ない気がしてくるが今は我慢するしか無い。
瘴気のような霊体よりむしろ、人間の方が始末に負えないのはいつものことだ。
「お前は……いや。アルタシャはそういう人間だったな……本当に『白き貴婦人』の英雄と言われるだけの事はある」
納得はしてくれたらしいので、ひと安心――はやっぱり出来なかった。
「だがそういうわけにもいかん。今まで散々世話になってきたのに、何の手伝いも出来ないなど恥ずかしいではないか。是非とも協力させてくれ」
そんな事を言われても、正直なところターダが戦力として当てにならないんですけど。
しかしこの頑固者――オレも人の事を言えた義理では無いが――を放置すると余計に心配なので、ここは同行させるしかないか。
そんなわけでオレはボラボに向き直る。
「瘴気の処理までは付き合いますが、その後でボラボさんの敵になる気はありませんよ」
「それじゃあこっちが困るよ。瘴気の時も邪魔したし、本当に君は勝手だな」
あんたが言うな!
いや。たぶんターダの反応からして、この平原の住民の殆どはボラボ達『餓えし幽鬼』の勢力を毛嫌いしているから、簡単に敵に回るのだろう。
それだからこそボラボはシャーマンでありながら、自分の身を鍛え上げているのだな。
タフで無ければ『餓えし幽鬼』のシャーマンはつとまらないというわけだ。
「弱い敵ではあまり意味は無いし、味方や友、あと戦う意志のないものは喰っても力にならないからね」
「それではあなた方も普段から敵ばかり食べているわけではないのですか?」
「残念ながらその通りだ。幾ら神によって定められたとは言えど、敬意を払うに値する強敵にはそうそう出会えないので、いつもは手に入るものを食べるのさ」
それは少しは安心出来る要素だな。
要するにボラボとこちらが敵対しない限り、喰うために襲ってきたりはしないということだから。
「だから先ほども言ったように、アルタシャの場合は実にいい『敵』になってくれるはずだ」
「こちらの肉なんかうまくないですよ」
「大丈夫だよ。重要なのは味じゃ無いし、男女も身分も一切関係ない。高い能力を有するか否かが大事なんだ」
ああそうですね。
この世界でそういう『差別のない話』を聞くと、いつもウンザリさせられるのは本当に皮肉としか言いようがないよ。
だがそれにはさほど深刻な様子は無い。
それはどちらかと言えば『だだっ子』に対するもののようにすら思えるほどだ。
「だからさっき言ったけど、君はこちらの敵として不足だって。弱い敵を喰っても力にならないからな。霊力の無駄なんだよ」
え? いまボラボは何と言った?
元の世界ではエロい事を隠語で『喰う』と表現していたけどまさか。
いや。漫画なんかでライバル役が『相手を倒す』事を『喰う』と表現する事がしばしばあったから、そういう意味なのか――むしろそう思いたい。
「それに引き替え、そちらのアルタシャは素晴らしいね。君を喰ったら多分、凄い力を得られるだろう。だから頑張って敵になってくれ」
「あのう……さっきから言っていたあなたの『もの』になるというのはもしかして……」
ここでターダが口を挟んでくる。
「こいつら『餓えし幽鬼』の連中は倒した敵を喰う」
それは元の世界の隠語の『喰う』ではなく、字句通りの意味なのか。
「そしてより強い敵を喰えば、それだけ力が上がると信じている。同様に人間を瘴気のようなおぞましい存在に喰わせて、それで奴らをなだめる魔術も使うのだ」
「なんですって?」
以前に出会った『二本足の狼』も人を食うことのタブーは無かったが、それは単に彼らが自分達を狼だと認識していたからであって、そんな彼らでも『共食い』は禁じていた。
しかしボラボの方は積極的に敵とした相手を喰い、また人間を怪物に喰わせているらしい。
「こいつらは『定めし者』が取り決めた『家畜が平原から草を喰い、人間が家畜を喰う』定めを守らず、同族を喰うことを選んだ道に外れた連中なのだ」
ターダは緊張と共に説明するが、ボラボは小さくため息をついただけだった。
「こちらの方が正しい『定めし者』の意志に従っているのであって、君達は間違った話を鵜呑みにしているのだよ。『食べる者』と『食べられる者』の線引きの時に君達は勘違いして他の種族を食べるべきだと思い込んでしまい、それが未だに続いているんだ」
そう言ってボラボはそのたくましい肩をすくめる。
ああ。この世界ではいつものことだけど、この平原の掟でもやっぱり勢力毎にとんでもない解釈の違いがあるんだな。
「喰うことは善でも悪でも無い。ただ必要な行為だ。しかしそのためにどの命を優先して奪うべきかと言えば、他の種族よりも同類を犠牲にした方がまだマシだと思わないか?」
理屈は分からないでもないけど、同意を求められても困ります。
こっちの世界では『自分達の生き様こそ最も正しく、他の連中はみんな間違っている』が当たり前だからボラボにとっては当然のことを言っているに過ぎないのだが。
「アルタシャ。こんな奴らに関わってはろくな事にならないぞ。とっとと立ち去るんだ」
「それはダメだよ。彼女は協力してくれると約束したんだからね」
その通りだけど、ボラボに食い物にされる――本当に文字通りの意味で使うことになるとはこの異世界でも想像もしなかった――つもりはサラサラないです。
それはともかく色々とやり残した事もあるので、まずオレは倒れている人達を指差す。
「あちらに倒れている人達を介抱します。ターダは一緒にパップスに戻っていて下さい」
「お前はこの『餓えし幽鬼』の輩と同行するつもりなのか?」
「一時の事ですよ。瘴気をどうにかしたらまた合流しましょう」
どことなく瘴気よりも、ボラボの方が危ない気がしてくるが今は我慢するしか無い。
瘴気のような霊体よりむしろ、人間の方が始末に負えないのはいつものことだ。
「お前は……いや。アルタシャはそういう人間だったな……本当に『白き貴婦人』の英雄と言われるだけの事はある」
納得はしてくれたらしいので、ひと安心――はやっぱり出来なかった。
「だがそういうわけにもいかん。今まで散々世話になってきたのに、何の手伝いも出来ないなど恥ずかしいではないか。是非とも協力させてくれ」
そんな事を言われても、正直なところターダが戦力として当てにならないんですけど。
しかしこの頑固者――オレも人の事を言えた義理では無いが――を放置すると余計に心配なので、ここは同行させるしかないか。
そんなわけでオレはボラボに向き直る。
「瘴気の処理までは付き合いますが、その後でボラボさんの敵になる気はありませんよ」
「それじゃあこっちが困るよ。瘴気の時も邪魔したし、本当に君は勝手だな」
あんたが言うな!
いや。たぶんターダの反応からして、この平原の住民の殆どはボラボ達『餓えし幽鬼』の勢力を毛嫌いしているから、簡単に敵に回るのだろう。
それだからこそボラボはシャーマンでありながら、自分の身を鍛え上げているのだな。
タフで無ければ『餓えし幽鬼』のシャーマンはつとまらないというわけだ。
「弱い敵ではあまり意味は無いし、味方や友、あと戦う意志のないものは喰っても力にならないからね」
「それではあなた方も普段から敵ばかり食べているわけではないのですか?」
「残念ながらその通りだ。幾ら神によって定められたとは言えど、敬意を払うに値する強敵にはそうそう出会えないので、いつもは手に入るものを食べるのさ」
それは少しは安心出来る要素だな。
要するにボラボとこちらが敵対しない限り、喰うために襲ってきたりはしないということだから。
「だから先ほども言ったように、アルタシャの場合は実にいい『敵』になってくれるはずだ」
「こちらの肉なんかうまくないですよ」
「大丈夫だよ。重要なのは味じゃ無いし、男女も身分も一切関係ない。高い能力を有するか否かが大事なんだ」
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