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第17章 海と大地の狭間に
第660話 そして『駆け落ち』の真相とは
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まさか本当に『双子の男女が結ばれる』ことを宗教的に支持するような考えを持っていたとは悪い方に想像の埒外だった。
確かにエジプトのファラオなんかは近親婚だらけだったと聞いたことはある。
これまでの展開からして、そんな話が出てくるかもしれないと薄々予感はしていた。
しかし実際に目の当たりにしたら、やっぱりショックは受けるよ。
とにかく何としてもそんなことは辞めさせねばならない。
最初に考えた『貴族の駆け落ち』ぐらいだったら、状況次第では協力したかもしれないけど、ここまで来たら手助けなんてできるはずがないよ。
だけどどうする?
双子で駆け落ちする程、好き合っていて、しかもそれに宗教的な情熱が絡んでいるとなるとどう考えても一筋縄でいきそうに無い。
そしてオレの前でエレリアはため息をつくが、これは体調のためではないだろう。
「あなたも気付いている通り、この地は少しずつでも確実に海に沈んでいるのです。このように話をしている間にも……」
「それをあなた兄妹はどうにかしようと思って、こんなことをしているのですか?」
「そうです。もちろん微力なのは分かっていますが、それでも僅かな可能性に賭けたかったのですよ」
「しかし具体的に何かの当てがあるのですか?」
オレの問いかけに対し、エレリアはやや不安げながら、それでも確固たる意志を持って答える。
「もちろん。私達だって当てもなく闇雲に行動する程、愚かではありませんよ。かつての双子神やその親神の神話を調べた結果なのです」
「失礼ながらあちらの『水止めの寺院』の人たちだって、長年に渡り必死になって取り組んできてうまくいってない事では無いのですか? それをあなた方がどうにかするというのはいくら何でも無理がある話だと思いますが」
このツッコミにエレリアは明らかに表情を曇らせる。
これはいけるかも知れないな。
「あなた方が二人だけで行動していると言う事は、周囲から猛反対されたからなのではないのですか?」
「ええ……それはアルさんの仰る通りです。私どもの考えに同意して下さる方は殆どおられませんでした」
この言い方だと僅かながら支持した人間もいるらしい。
その協力を受けて、元いたところを飛び出して駆け落ちしたということなんだろう。
ただ協力した相手もたぶんこの兄妹の固い決意と、深刻な事情を前にして藁にもすがる気持ちだったのかもしれないな。
「しかしこれまでのやり方が誤っていたからこそ、この状況になっていると思いませんか?」
いや。そこまでは分かりますけど『双子で駆け落ち』はいきなり飛躍しすぎでしょう。
だがここでドアがいきなり開く。
「そうだ! あちらの連中は結局のところ、ただ何もせず手をこまねき、何の意味も無い……いや。むしろ我らが神を衰退させるだけの愚かな行為を繰り返して、現実から目を背けているだけなのだ!」
いきなり飛び込んできて叫んだのは兄のガレリアの方だった。
やっぱりテレパシーで繋がっているので、話は丸聞こえだから、我慢の限界に達したらしいな。
しかしそれに対してエレリアは兄を睨み付ける。
「兄さん。女の子同士の会話に割り込むとは少々、無粋ではありませんかね?」
「う……いや。すまん」
やっぱり主導権があるのは妹の方らしい。
双子とは言え、結構性格も違うらしいから、そこでどうにか『各個撃破』出来ればいいのだが。
「すみませんね。私ども兄妹には、同年配で双子神の教団以外の知り合いはいなかったので兄の無礼をお許し下さい」
「いえ……気にはしていません。それよりももっと重大な話があります」
どうせ筒抜けなのは分かっていたけど、兄妹が揃ったところで肝心な話をすることにした。
「幾ら双子神の力が弱まっているとしても、双子の兄妹で結ばれるというのはどうかと思うのですけどね」
この問いかけに二人は明らかに表情を曇らせる。
「確かにそうだ。教団の奴らも外聞が悪い事は分かっているので、むしろ隠そうとしているらしいが、信徒の多くもおかしいとは思っている」
それで地域の住民はこの二人をあんまり熱心に探している様子がなかったのだろうか?
「それでしたら――」
「だからこそだ! 今まで何度も繰り返してきたのに、事態が変わらないなら、別の方法を模索すべきなのに、それをせず我ら兄妹にも誤ったやり方を押しつける。その過去の過ちのせいで妹の身体は――」
「兄さん。それは言わないで下さい」
「それは……分かった」
何だ? エレリアの身体が丈夫で無い事に何か双子神の教団がらみの問題があるのか?
しかし兄が妹の身体を心配しているなら、ここでオレの意志を伝えるべきだろう。
「エレリアさんのお体の事が心配なら、兄妹で結ばれるなどしたらなおさら悪影響が出ると思いますよ」
だがこの言葉に対するガレリアの反応は思わぬものだった。
「そうだ! その通りだ! そこもとはよく分かっているな!」
ガレリアは我が意を得たりとばかりにオレに迫ってきたのだ。
「いいえ。兄さん。大事なのは私の身体の事ではありませんよ。しかしアルさんのお言葉の通り、そのような道に外れた行いは許されません」
「え?」
何で兄妹で駆け落ちした筈の二人があっさり同意するの?
オレが少しばかり困惑しているところで、ガレリアは更に叫ぶ。
「そうだとも! 双子神のお力が衰えているからと言って、信徒の双子が結ばれて一対の司祭となるなどどう考えても人の道理にも神への信仰にも反している。それなのに寺院の奴らときたら……」
何だって? もしかして――
「あの……お二人は周囲が兄妹で結婚させようとしたので、それがイヤだから寺院を出てここに逃げ込んでいるんですか?」
「ええ……アルさんのお言葉の通りです」
「そうだ。そして我ら兄妹でそのような偽りの信仰を改めさせ、本当にこの地を救う方策を求めているのだよ」
そういうことかよ!
オレはてっきりこの二人が兄妹で好き合って周囲に反対されて駆け落ちしたと思ったが、それは正反対だったんだ。
ただ少しばかり安心はしたけど、改めて考えて見るとこの地はオレの想像以上にロクでもない事になっているのは間違い無いらしい。
確かにエジプトのファラオなんかは近親婚だらけだったと聞いたことはある。
これまでの展開からして、そんな話が出てくるかもしれないと薄々予感はしていた。
しかし実際に目の当たりにしたら、やっぱりショックは受けるよ。
とにかく何としてもそんなことは辞めさせねばならない。
最初に考えた『貴族の駆け落ち』ぐらいだったら、状況次第では協力したかもしれないけど、ここまで来たら手助けなんてできるはずがないよ。
だけどどうする?
双子で駆け落ちする程、好き合っていて、しかもそれに宗教的な情熱が絡んでいるとなるとどう考えても一筋縄でいきそうに無い。
そしてオレの前でエレリアはため息をつくが、これは体調のためではないだろう。
「あなたも気付いている通り、この地は少しずつでも確実に海に沈んでいるのです。このように話をしている間にも……」
「それをあなた兄妹はどうにかしようと思って、こんなことをしているのですか?」
「そうです。もちろん微力なのは分かっていますが、それでも僅かな可能性に賭けたかったのですよ」
「しかし具体的に何かの当てがあるのですか?」
オレの問いかけに対し、エレリアはやや不安げながら、それでも確固たる意志を持って答える。
「もちろん。私達だって当てもなく闇雲に行動する程、愚かではありませんよ。かつての双子神やその親神の神話を調べた結果なのです」
「失礼ながらあちらの『水止めの寺院』の人たちだって、長年に渡り必死になって取り組んできてうまくいってない事では無いのですか? それをあなた方がどうにかするというのはいくら何でも無理がある話だと思いますが」
このツッコミにエレリアは明らかに表情を曇らせる。
これはいけるかも知れないな。
「あなた方が二人だけで行動していると言う事は、周囲から猛反対されたからなのではないのですか?」
「ええ……それはアルさんの仰る通りです。私どもの考えに同意して下さる方は殆どおられませんでした」
この言い方だと僅かながら支持した人間もいるらしい。
その協力を受けて、元いたところを飛び出して駆け落ちしたということなんだろう。
ただ協力した相手もたぶんこの兄妹の固い決意と、深刻な事情を前にして藁にもすがる気持ちだったのかもしれないな。
「しかしこれまでのやり方が誤っていたからこそ、この状況になっていると思いませんか?」
いや。そこまでは分かりますけど『双子で駆け落ち』はいきなり飛躍しすぎでしょう。
だがここでドアがいきなり開く。
「そうだ! あちらの連中は結局のところ、ただ何もせず手をこまねき、何の意味も無い……いや。むしろ我らが神を衰退させるだけの愚かな行為を繰り返して、現実から目を背けているだけなのだ!」
いきなり飛び込んできて叫んだのは兄のガレリアの方だった。
やっぱりテレパシーで繋がっているので、話は丸聞こえだから、我慢の限界に達したらしいな。
しかしそれに対してエレリアは兄を睨み付ける。
「兄さん。女の子同士の会話に割り込むとは少々、無粋ではありませんかね?」
「う……いや。すまん」
やっぱり主導権があるのは妹の方らしい。
双子とは言え、結構性格も違うらしいから、そこでどうにか『各個撃破』出来ればいいのだが。
「すみませんね。私ども兄妹には、同年配で双子神の教団以外の知り合いはいなかったので兄の無礼をお許し下さい」
「いえ……気にはしていません。それよりももっと重大な話があります」
どうせ筒抜けなのは分かっていたけど、兄妹が揃ったところで肝心な話をすることにした。
「幾ら双子神の力が弱まっているとしても、双子の兄妹で結ばれるというのはどうかと思うのですけどね」
この問いかけに二人は明らかに表情を曇らせる。
「確かにそうだ。教団の奴らも外聞が悪い事は分かっているので、むしろ隠そうとしているらしいが、信徒の多くもおかしいとは思っている」
それで地域の住民はこの二人をあんまり熱心に探している様子がなかったのだろうか?
「それでしたら――」
「だからこそだ! 今まで何度も繰り返してきたのに、事態が変わらないなら、別の方法を模索すべきなのに、それをせず我ら兄妹にも誤ったやり方を押しつける。その過去の過ちのせいで妹の身体は――」
「兄さん。それは言わないで下さい」
「それは……分かった」
何だ? エレリアの身体が丈夫で無い事に何か双子神の教団がらみの問題があるのか?
しかし兄が妹の身体を心配しているなら、ここでオレの意志を伝えるべきだろう。
「エレリアさんのお体の事が心配なら、兄妹で結ばれるなどしたらなおさら悪影響が出ると思いますよ」
だがこの言葉に対するガレリアの反応は思わぬものだった。
「そうだ! その通りだ! そこもとはよく分かっているな!」
ガレリアは我が意を得たりとばかりにオレに迫ってきたのだ。
「いいえ。兄さん。大事なのは私の身体の事ではありませんよ。しかしアルさんのお言葉の通り、そのような道に外れた行いは許されません」
「え?」
何で兄妹で駆け落ちした筈の二人があっさり同意するの?
オレが少しばかり困惑しているところで、ガレリアは更に叫ぶ。
「そうだとも! 双子神のお力が衰えているからと言って、信徒の双子が結ばれて一対の司祭となるなどどう考えても人の道理にも神への信仰にも反している。それなのに寺院の奴らときたら……」
何だって? もしかして――
「あの……お二人は周囲が兄妹で結婚させようとしたので、それがイヤだから寺院を出てここに逃げ込んでいるんですか?」
「ええ……アルさんのお言葉の通りです」
「そうだ。そして我ら兄妹でそのような偽りの信仰を改めさせ、本当にこの地を救う方策を求めているのだよ」
そういうことかよ!
オレはてっきりこの二人が兄妹で好き合って周囲に反対されて駆け落ちしたと思ったが、それは正反対だったんだ。
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