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第23章 女神の聖地にて真相を
第1086話 襲撃を迎え撃つために
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周囲の事情がハッキリしない中、危険は百も承知の上でオレは覚悟を込めて馬車を降りる事を決めた。
だが扉に手を伸ばしたところで、その手が横合いからアナーラにつかまれる。
「え……」
「アルタシャ様。そのような事をさせるわけには参りません」
アナーラの目には、先ほどまでの動揺している様子は無く、むしろこれまでにない覚悟が込められていた。
まさか? 本当にアナーラは裏切ってオレを始末しようと考えているのか?!
一瞬、愕然となった瞬間、アナーラは静かに口を開く。
「私が先に馬車を降ります」
「え? そんな事をすれば危険ですよ」
もちろんオレだって危険なのは分かっているが、ここで聖女の格好をしているものが馬車から降りれば、敵から真っ先に攻撃されるのは分かりきっている。
アナーラはそれが分からない程、愚かではないはずだ。
いや。違うぞ。これはまさか?!
ここでアナーラの目にうつった感情は決意と諦観の混じった、言葉では何とも表現しがたいものだった。
「いまここで私がアルタシャ様としてこの馬車を降りましょう。もしもあなた様を狙っている相手がいたとしても遠目ではそうそう区別はつかないはずです」
「え? まさか! 身代わりになるおつもりですか?」
「もちろんですとも。いえ。むしろ私がこの馬車に乗ったのはそのためでもあるのですよ」
何だって? まさかオレのために犠牲になる覚悟だったのか。
ほんの一瞬でも彼女のことを疑ったオレが恥ずかしい。
ここでアナーラは誇らしげに笑う。
「ありふれたいち聖女に過ぎないこの私が、アルタシャ様の身代わりとなるのならば、この身にあまる光栄でございます」
そんな事を真顔で言われたら、アナーラを先に降ろす事などオレには決して出来ないよ!
「アナーラさんはこの馬車の中にいて下さい!」
「ああ! お待ちを!」
アナーラの手と制止の声を振り切り、オレは馬車の外に飛び出した。
周囲を見回すと思った通り周囲にはいくつもの霊体が飛び交い、護衛の人間に襲いかかっている。
聖女教会に雇われているのならば、そんな連中の相手も慣れているのかと思ったけど、考えてみれば島 全体が聖地であるこのギルボック島の寺院を敵対的な霊体が襲うなんて、滅多にないことのはずだ。
恐らく彼らは寺院に盗みに入るような、どこにでもいる小悪党相手の警備が本来の仕事なのだ。
それ以外ではせいぜい聖女が外に出た時、そこらの無法者から護衛するのぐらいだろうか。
つまり霊体の襲撃への対策や訓練どころか、そもそも経験すら持ち合わせていない。
この世界ではわかりやすいマニュアルを作り、関係者に配布し、組織的に統一した対策を取るというやり方を取っている組織は極めて希だ――恐らくオレが出会った中では神造者ぐらいだろう。
とにかく護衛を襲っている霊体に対し『追放』をかけて、奴らをどんどん追い払う。
だがそれとほぼ同時に魔力を感知する『魔法眼』に幾つもの魔力が見つかった。
間違い無く魔法使いが隠れていて、オレが馬車から出てきたところで、狙い撃つために準備していたのだろう。
霊体の襲撃で護衛を混乱させ、そこでオレが姿を見せたら遠隔攻撃魔法で狙撃するというわけだ。
普通の相手だったら、これでほぼ確実に仕留められる必殺の策だろう。
だが予想さえしていれば、オレにとってこれぐらいを切り抜けるのは簡単な事だ。
そんなわけで『魔力消散』を使って、集まっていた魔力を全て消し去る。
これで魔法による射撃は封じられたはずだが、それだけで終わる筈がないよな。
そう思っていると、今度は遠くから何本もの矢が射られて飛んでくる。
やっぱり霊体を使った上で、魔法もあれば、飛び道具もありと、あの手この手で複合的な攻撃を仕掛けるつもりだったようだ。
今度は馬車の陰に飛び込んで矢をかわす。我ながらすっかりこんな状態にも慣れきってしまったものだ。
アナーラを外に出さなくて本当に良かったと胸をなで下ろすところだよ。
だがここまで大がかりかつ計画的に襲撃するとなると、これを命じた相手はオレをどうしても仕留めたいらしい。
つまり単なる恨みだとか、オレが目障りだとか、そんなレベルの話ではなく、明確な目的意識を持ってこの襲撃を目論んだとしか考えようがないな。
初めて来たギルボック島でそこまでしてオレを狙う相手については、全く身に覚えがないけど、とにかく聖女教会の中枢部にまで関わる問題なのは確かだ。
その上にまず間違い無く、オレには全く身に覚えのない相手であり、こちらに対して一方的に殺意をたぎらせているのだろう。
オレの場合、命を狙われる覚えは売るほどあるし、偽者がやらかした事で恨みを買う場合もあり得る。
更に聖女教会からすれば、オレは英雄であると同時に何をするか分からない不気味な存在でもあるわけで『聖女教会のためにこそアルタシャを討たねばならない』なんて、困った使命感をほとばしらせている可能性だって考えられる。
そしてその相手――少なくとも関係者――がこの先の大聖堂に潜んでいるのも確実なのだ。
だが扉に手を伸ばしたところで、その手が横合いからアナーラにつかまれる。
「え……」
「アルタシャ様。そのような事をさせるわけには参りません」
アナーラの目には、先ほどまでの動揺している様子は無く、むしろこれまでにない覚悟が込められていた。
まさか? 本当にアナーラは裏切ってオレを始末しようと考えているのか?!
一瞬、愕然となった瞬間、アナーラは静かに口を開く。
「私が先に馬車を降ります」
「え? そんな事をすれば危険ですよ」
もちろんオレだって危険なのは分かっているが、ここで聖女の格好をしているものが馬車から降りれば、敵から真っ先に攻撃されるのは分かりきっている。
アナーラはそれが分からない程、愚かではないはずだ。
いや。違うぞ。これはまさか?!
ここでアナーラの目にうつった感情は決意と諦観の混じった、言葉では何とも表現しがたいものだった。
「いまここで私がアルタシャ様としてこの馬車を降りましょう。もしもあなた様を狙っている相手がいたとしても遠目ではそうそう区別はつかないはずです」
「え? まさか! 身代わりになるおつもりですか?」
「もちろんですとも。いえ。むしろ私がこの馬車に乗ったのはそのためでもあるのですよ」
何だって? まさかオレのために犠牲になる覚悟だったのか。
ほんの一瞬でも彼女のことを疑ったオレが恥ずかしい。
ここでアナーラは誇らしげに笑う。
「ありふれたいち聖女に過ぎないこの私が、アルタシャ様の身代わりとなるのならば、この身にあまる光栄でございます」
そんな事を真顔で言われたら、アナーラを先に降ろす事などオレには決して出来ないよ!
「アナーラさんはこの馬車の中にいて下さい!」
「ああ! お待ちを!」
アナーラの手と制止の声を振り切り、オレは馬車の外に飛び出した。
周囲を見回すと思った通り周囲にはいくつもの霊体が飛び交い、護衛の人間に襲いかかっている。
聖女教会に雇われているのならば、そんな連中の相手も慣れているのかと思ったけど、考えてみれば島 全体が聖地であるこのギルボック島の寺院を敵対的な霊体が襲うなんて、滅多にないことのはずだ。
恐らく彼らは寺院に盗みに入るような、どこにでもいる小悪党相手の警備が本来の仕事なのだ。
それ以外ではせいぜい聖女が外に出た時、そこらの無法者から護衛するのぐらいだろうか。
つまり霊体の襲撃への対策や訓練どころか、そもそも経験すら持ち合わせていない。
この世界ではわかりやすいマニュアルを作り、関係者に配布し、組織的に統一した対策を取るというやり方を取っている組織は極めて希だ――恐らくオレが出会った中では神造者ぐらいだろう。
とにかく護衛を襲っている霊体に対し『追放』をかけて、奴らをどんどん追い払う。
だがそれとほぼ同時に魔力を感知する『魔法眼』に幾つもの魔力が見つかった。
間違い無く魔法使いが隠れていて、オレが馬車から出てきたところで、狙い撃つために準備していたのだろう。
霊体の襲撃で護衛を混乱させ、そこでオレが姿を見せたら遠隔攻撃魔法で狙撃するというわけだ。
普通の相手だったら、これでほぼ確実に仕留められる必殺の策だろう。
だが予想さえしていれば、オレにとってこれぐらいを切り抜けるのは簡単な事だ。
そんなわけで『魔力消散』を使って、集まっていた魔力を全て消し去る。
これで魔法による射撃は封じられたはずだが、それだけで終わる筈がないよな。
そう思っていると、今度は遠くから何本もの矢が射られて飛んでくる。
やっぱり霊体を使った上で、魔法もあれば、飛び道具もありと、あの手この手で複合的な攻撃を仕掛けるつもりだったようだ。
今度は馬車の陰に飛び込んで矢をかわす。我ながらすっかりこんな状態にも慣れきってしまったものだ。
アナーラを外に出さなくて本当に良かったと胸をなで下ろすところだよ。
だがここまで大がかりかつ計画的に襲撃するとなると、これを命じた相手はオレをどうしても仕留めたいらしい。
つまり単なる恨みだとか、オレが目障りだとか、そんなレベルの話ではなく、明確な目的意識を持ってこの襲撃を目論んだとしか考えようがないな。
初めて来たギルボック島でそこまでしてオレを狙う相手については、全く身に覚えがないけど、とにかく聖女教会の中枢部にまで関わる問題なのは確かだ。
その上にまず間違い無く、オレには全く身に覚えのない相手であり、こちらに対して一方的に殺意をたぎらせているのだろう。
オレの場合、命を狙われる覚えは売るほどあるし、偽者がやらかした事で恨みを買う場合もあり得る。
更に聖女教会からすれば、オレは英雄であると同時に何をするか分からない不気味な存在でもあるわけで『聖女教会のためにこそアルタシャを討たねばならない』なんて、困った使命感をほとばしらせている可能性だって考えられる。
そしてその相手――少なくとも関係者――がこの先の大聖堂に潜んでいるのも確実なのだ。
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