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第23章 女神の聖地にて真相を
第1097話 『地獄を解放』したところで
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オレはひとまず精神を集中し、改めてイロールに呼びかけようとする。
だがそこで思わぬ事が起こった。
『おお! 我らが女神がお越しになられた!』
『どうかお慈悲を』
『赦しをください……』
『なにとぞ我らに救いを』
亡者達がオレの姿を見て、一斉に集まって来たのだ。
おい! ちょっと待て。
確かに似ているかもしれないが、オレはあんたらの女神じゃないよ!
だがこの地獄で苦悩し続けて来た連中にそんな理屈は通じない。
しかもオレの発する霊力は、この亡者達にとってはまるで太陽のようにまばゆく輝いて見えているはず。
細かい外見の違いなど分かるはずが無い。
見る見る周囲は亡者に埋め尽くされてしまう。
『助けを……赦しを……お慈悲を……』
悪いけどオレ自身ですらここから出られるかどうかも分からないのに、あんたらを助けることなんてできないよ。
そんなわけでオレは亡者の間をすり抜けて逃げ出す。
もちろんそんな事で連中が諦めるはずもなく、どんどんと迫ってくる。
もうこうなると殆どゾンビ映画の定番展開だな。
いつまでも逃げ回っているわけにいかないのは明白だが、イロール自身がいつここに来るのかも分からない以上は、自分でどうにかするしかない。
だけど地獄に落ちた魂は当然、この世界の住民だから異世界の住民を追放する『追放』の魔法は通用しない。
仕方が無いので『霊体遮断』の魔法でいったん亡者達を食い止める。
『なぜ……どうして我らを救って下さらないのですか……』
それはあんたらが罪を犯したからだよ。
少なくともオレに助けを求めるのは筋違いというものだ。
しかし当然ながら亡者達は、僅かな救いの機会と思ったのが一斉に集まり、オレの防御壁に猛烈な圧力をかけてくる。
くう。これはまずい。
このままで魔法の防御も破られて、オレの身もどうなるか分からない。
下手をしたら文字通りゾンビ映画のごとく、オレの身は八つ裂きにされてしまうかもしれないのだ。
だがここでオレの感覚に思わぬものが飛び込んでくる。
『おお。我らの女神よ。ようやく我が声が届いたのですね……』
『聖女教会の過ちをついに糺すときが……』
『女神の恩恵をねじ曲げ、男子を女性に変えている者達を止めて下さい』
なんだって?
ああそうか。今のように『女性しか回復魔法は使えない。誤って男の形で生まれてしまったのを正しく直しているだけ』という教義が絶対に真実になる前だったら、真相に気付いて止めようとした聖女も当然いたはずだ。
だがそのような聖女はこうやって地獄に落とされてしまったというわけだ。
確かにイロールに直談判しようとしたオレがここに来る羽目になるわけだから、同じような目にあった聖女が確実にいるはずだ。
彼女達を救えば、これからオレの助けになってくれるかもしれない。
だけどどうすればいいのだ?
待てよ。以前にこれに近い連中の相手をした事がある。ファーゼスト(第六章)にてかつて信仰され、見捨てられた霊体の群れに襲われた時の事だ。
その時のオレは連中に霊力を分け与えて、それによりやつらを『本来向かうべき領域』へと送り出したのだった。
この地獄にいる連中も本来ならば、死後の魂の行くべき場所があるはず。
そこにこいつらを送り出す事が出来れば、この場はおさまるのではないか?
その上で『性転換を止めようとした聖女の魂』については同行してもらうとしよう。
もっとも勝手にそんな事をするのはある意味で『脱獄の手助け』みたいなものだろう。
当然ながらイロールが文句を言ってくるかもしれないが、全てはあの女神の『監督不行き届き』が原因なのだ。
オレが緊急避難で亡者達を解放しても、文句を言われる筋合いはないな。
そんなわけでオレは周囲に集う、亡者達に霊力を分け与える。
『おお……これこそが女神の救い……』
『感謝いたします……』
『来世もあなた様にお仕えしとう存じます……』
過去、何百年にも渡って地獄に落とされ続けた聖女達だから、どれだけいるのか見当もつかないが、それでも次から次へと亡者は減っていく。
オレの場合、大陸中にいる信者から与えられた崇拝の力があるから、これぐらいならばどうにでもなるのだ。
かつてはオレを『女神』と崇拝する力を引き出す事は躊躇していた覚えがあるが、今となってはなりふり構ってはいられない。
そして見る見るうちに亡者達は減っていく。
幸か不幸か。地獄落ちは聖女教会が決めていた事だから、それほど多くはなかったらしい。だからこそオレの命を狙う聖女もいたわけだから、いろいろと複雑な気分だ。
それに中には本物の悪党だっていたはずなので、やっぱりやり過ぎたかなという気もする。
だが元の世界のフィクションでも『地獄に落ちたら亡者を解放して大脱出』なんてネタは珍しくなかったのだから、別にこれでいいかという気にもなる。
地獄についてこの程度の認識なのも、これまたオレが異世界人だからなのだろうなあ。
そんな事を考えていると、いつしか周囲に残っていたのは『イロールに性転換の事を訴えようとした』ものだけになっていた。
『おお。偉大なる女神よ。ついに我らが願いをお聞き届け下さるのですね……』
「それですけど――」
オレの言葉の途中で『地獄』がいきなりまばゆい光で満たされた。
思わず振り向くと、そこにはオレよりも桁違いの輝きを発する女性の姿――治癒の女神イロールが顕現していたのだった。
だがそこで思わぬ事が起こった。
『おお! 我らが女神がお越しになられた!』
『どうかお慈悲を』
『赦しをください……』
『なにとぞ我らに救いを』
亡者達がオレの姿を見て、一斉に集まって来たのだ。
おい! ちょっと待て。
確かに似ているかもしれないが、オレはあんたらの女神じゃないよ!
だがこの地獄で苦悩し続けて来た連中にそんな理屈は通じない。
しかもオレの発する霊力は、この亡者達にとってはまるで太陽のようにまばゆく輝いて見えているはず。
細かい外見の違いなど分かるはずが無い。
見る見る周囲は亡者に埋め尽くされてしまう。
『助けを……赦しを……お慈悲を……』
悪いけどオレ自身ですらここから出られるかどうかも分からないのに、あんたらを助けることなんてできないよ。
そんなわけでオレは亡者の間をすり抜けて逃げ出す。
もちろんそんな事で連中が諦めるはずもなく、どんどんと迫ってくる。
もうこうなると殆どゾンビ映画の定番展開だな。
いつまでも逃げ回っているわけにいかないのは明白だが、イロール自身がいつここに来るのかも分からない以上は、自分でどうにかするしかない。
だけど地獄に落ちた魂は当然、この世界の住民だから異世界の住民を追放する『追放』の魔法は通用しない。
仕方が無いので『霊体遮断』の魔法でいったん亡者達を食い止める。
『なぜ……どうして我らを救って下さらないのですか……』
それはあんたらが罪を犯したからだよ。
少なくともオレに助けを求めるのは筋違いというものだ。
しかし当然ながら亡者達は、僅かな救いの機会と思ったのが一斉に集まり、オレの防御壁に猛烈な圧力をかけてくる。
くう。これはまずい。
このままで魔法の防御も破られて、オレの身もどうなるか分からない。
下手をしたら文字通りゾンビ映画のごとく、オレの身は八つ裂きにされてしまうかもしれないのだ。
だがここでオレの感覚に思わぬものが飛び込んでくる。
『おお。我らの女神よ。ようやく我が声が届いたのですね……』
『聖女教会の過ちをついに糺すときが……』
『女神の恩恵をねじ曲げ、男子を女性に変えている者達を止めて下さい』
なんだって?
ああそうか。今のように『女性しか回復魔法は使えない。誤って男の形で生まれてしまったのを正しく直しているだけ』という教義が絶対に真実になる前だったら、真相に気付いて止めようとした聖女も当然いたはずだ。
だがそのような聖女はこうやって地獄に落とされてしまったというわけだ。
確かにイロールに直談判しようとしたオレがここに来る羽目になるわけだから、同じような目にあった聖女が確実にいるはずだ。
彼女達を救えば、これからオレの助けになってくれるかもしれない。
だけどどうすればいいのだ?
待てよ。以前にこれに近い連中の相手をした事がある。ファーゼスト(第六章)にてかつて信仰され、見捨てられた霊体の群れに襲われた時の事だ。
その時のオレは連中に霊力を分け与えて、それによりやつらを『本来向かうべき領域』へと送り出したのだった。
この地獄にいる連中も本来ならば、死後の魂の行くべき場所があるはず。
そこにこいつらを送り出す事が出来れば、この場はおさまるのではないか?
その上で『性転換を止めようとした聖女の魂』については同行してもらうとしよう。
もっとも勝手にそんな事をするのはある意味で『脱獄の手助け』みたいなものだろう。
当然ながらイロールが文句を言ってくるかもしれないが、全てはあの女神の『監督不行き届き』が原因なのだ。
オレが緊急避難で亡者達を解放しても、文句を言われる筋合いはないな。
そんなわけでオレは周囲に集う、亡者達に霊力を分け与える。
『おお……これこそが女神の救い……』
『感謝いたします……』
『来世もあなた様にお仕えしとう存じます……』
過去、何百年にも渡って地獄に落とされ続けた聖女達だから、どれだけいるのか見当もつかないが、それでも次から次へと亡者は減っていく。
オレの場合、大陸中にいる信者から与えられた崇拝の力があるから、これぐらいならばどうにでもなるのだ。
かつてはオレを『女神』と崇拝する力を引き出す事は躊躇していた覚えがあるが、今となってはなりふり構ってはいられない。
そして見る見るうちに亡者達は減っていく。
幸か不幸か。地獄落ちは聖女教会が決めていた事だから、それほど多くはなかったらしい。だからこそオレの命を狙う聖女もいたわけだから、いろいろと複雑な気分だ。
それに中には本物の悪党だっていたはずなので、やっぱりやり過ぎたかなという気もする。
だが元の世界のフィクションでも『地獄に落ちたら亡者を解放して大脱出』なんてネタは珍しくなかったのだから、別にこれでいいかという気にもなる。
地獄についてこの程度の認識なのも、これまたオレが異世界人だからなのだろうなあ。
そんな事を考えていると、いつしか周囲に残っていたのは『イロールに性転換の事を訴えようとした』ものだけになっていた。
『おお。偉大なる女神よ。ついに我らが願いをお聞き届け下さるのですね……』
「それですけど――」
オレの言葉の途中で『地獄』がいきなりまばゆい光で満たされた。
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