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第24章 全てはアルタシャのために?
第1249話 消滅に瀕して
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パッと見で最初のうちはほんのちょっと皮膚が切れただけのように見えた。
先ほどから受け続けたダメージを考えると、皮膚が切れるのなど当たり前に思えた。これぐらいなら当然だと思ったがそれは本当に一瞬だった。
だが最初のヒビがきっかけで瞬く間に陶器に亀裂が入るように、オレの体に広まったのだ。
え? ええ?!
確かに苦痛はなくなっている。だがオレの体が見る見る崩壊していくのだ。
オレが慌てる以前に愕然となっていると、落ち着いたザーロンの声が響く。
『申し訳無い。どうやら貴女の苦痛を全て取り除く事は出来たが、人の身にとどまっていた体がもたなかったようだ』
なるほど。こっちが苦痛を感じなかったが故に、致命的なダメージを受けていても気付かなかったのか。
その上で「これで決まりだ!」とばかりに最後の力を振り絞ったので、本当にこの体の限界を遥かに超えてしまったのだ。
不死身と思えた悪の幹部が敗北する理由として時々見かけた事があるな――なんて現実逃避していてもオレの体が崩壊するのは変わらない。
だけどなぜだ? 一神教徒はダメージだって引き受けていたはずだ。それはオレ自身が何度もこの目で見てきたのだ。
『私の知っていた術は千年前のものだったから、苦痛だけ引き受けるものだったのだ。伝えていなくて申し訳無い』
おい! そんな事を今さら言われてもどうしようもないだろ!
もちろんこの身が限界を迎えるのは、ある程度は覚悟していた事ではあるが、助かったと思った瞬間に最悪の事態なんてどこのホラー映画だよ!
ただ人間の体のように血が流れ出すわけでもなく、亀裂の中に赤い血も筋肉も見えない。恐らく今のこの体は既に人間の部分が殆ど残っていなくて、神の力で内部が殆ど埋め尽くされていたのだろう。
最初の頃にはイロールの力で満たされたせいで「女神の化身・娘」と言わんばかりの姿に性転換してしまったのだが、それが長らく続いたせいかもうどんな力を受け入れても、体に変化はなかったようだな。
『愛しきアルタシャ! しっかりしろ!』
『我が妻よ! 消えてしまわないでくれ!』
周囲の神々がめいめい勝手な事をほざきつつ、崩れていくオレの体を愕然とした様子で見つめている。
叫んでないで助けてくれ――と言いたいが、恐らく助けられる存在などどこにもないのだろう。
オレも過去何度か、目の前で消えていく相手を見つめるしか出来ない事があった。
どうやら今度はそれがオレの番になったということらしい。
どういうわけか、恐怖は殆どなかった。もしも元の世界の男子高校生のままだったら、パニックに陥って、大声を発してのたうち回っていただろうな。
そしてオレの体は手足の端から砕けて、まるで光の欠片のように散っていく。
なんかよくあるパターンだな、などと半ば麻痺した脳内でどこか冷めた意識のままオレはそれを呆然と見つめていた。
オレはこのまま消滅してしまうのか。
まあこの世界を助けたのだから、収支からすれば大きくプラスなんだろうな。
しかしこのままオレが消滅したら、この世界の法則からして「アルタシャ」への信仰から各地でそれぞれの「アルタシャ」が生まれるに違いない。
それは間違い無く、それぞれの教団の教祖や地域の恋人や妻になっていたりするんだろう。
ひょっとすると神造者の作ったオレのコピーが信仰を受けて今度こそ「本物」になったりするかもしれないな。
もしかすると西方における「一神教徒の英雄にして背教者」であるガーランドのように、やっている事がこの世界・時代の人間にはワケが分からない存在として、伝えられてしまうかもしれないな。
何しろオレは目の前にいる相手はその出自も宗教も関係無く手助けしたきたが、この世界では一神教徒と多神教と分け隔て無く扱うだけでも、常識的にあり得ない事である。
しかもこの世界ではほぼ全ての人間が、自分達以外の宗教の教えについて相対的に見て考えるという事はしない。
だから誰もが自分達の主観だけで考える上に、ある勢力から「邪神」として嫌われると、今度はその「邪神」として信仰する人間が出てきてしまうので、本当にワケの分からない事になってしまうのだ。
そしてオレの場合も、あちこちで恨みを買いまくってきたからな。
逆恨みで変な伝説が作られている可能性も十分にある。
それだけじゃないか。一年程度の間に、あちこちで自称「恋人」「夫」が大勢出てきた上に「アルタシャ」を騙る偽者がまたあちこちで有力者の愛人になったりしたもんだから、いつのまにか「姦淫」の象徴みたいになっていた事もあった。
それで処刑されてしまった偽者も大勢いたらしいが、もしかするとそれでも「自分はアルタシャの夫」などと主張する輩もいて「火あぶりにされても灰の中からすぐに蘇った」とかそんな伝説まで出来てしまうかもしれないな。
ああ。そんな不毛な事を考えているうちに、亀裂はほぼ全身に広まりつつある。「アルタシャ」ではなく「オレ」が消滅するのも時間の問題か。
だがその時、オレの耳朶を打つ大きな声が響いてきた。
先ほどから受け続けたダメージを考えると、皮膚が切れるのなど当たり前に思えた。これぐらいなら当然だと思ったがそれは本当に一瞬だった。
だが最初のヒビがきっかけで瞬く間に陶器に亀裂が入るように、オレの体に広まったのだ。
え? ええ?!
確かに苦痛はなくなっている。だがオレの体が見る見る崩壊していくのだ。
オレが慌てる以前に愕然となっていると、落ち着いたザーロンの声が響く。
『申し訳無い。どうやら貴女の苦痛を全て取り除く事は出来たが、人の身にとどまっていた体がもたなかったようだ』
なるほど。こっちが苦痛を感じなかったが故に、致命的なダメージを受けていても気付かなかったのか。
その上で「これで決まりだ!」とばかりに最後の力を振り絞ったので、本当にこの体の限界を遥かに超えてしまったのだ。
不死身と思えた悪の幹部が敗北する理由として時々見かけた事があるな――なんて現実逃避していてもオレの体が崩壊するのは変わらない。
だけどなぜだ? 一神教徒はダメージだって引き受けていたはずだ。それはオレ自身が何度もこの目で見てきたのだ。
『私の知っていた術は千年前のものだったから、苦痛だけ引き受けるものだったのだ。伝えていなくて申し訳無い』
おい! そんな事を今さら言われてもどうしようもないだろ!
もちろんこの身が限界を迎えるのは、ある程度は覚悟していた事ではあるが、助かったと思った瞬間に最悪の事態なんてどこのホラー映画だよ!
ただ人間の体のように血が流れ出すわけでもなく、亀裂の中に赤い血も筋肉も見えない。恐らく今のこの体は既に人間の部分が殆ど残っていなくて、神の力で内部が殆ど埋め尽くされていたのだろう。
最初の頃にはイロールの力で満たされたせいで「女神の化身・娘」と言わんばかりの姿に性転換してしまったのだが、それが長らく続いたせいかもうどんな力を受け入れても、体に変化はなかったようだな。
『愛しきアルタシャ! しっかりしろ!』
『我が妻よ! 消えてしまわないでくれ!』
周囲の神々がめいめい勝手な事をほざきつつ、崩れていくオレの体を愕然とした様子で見つめている。
叫んでないで助けてくれ――と言いたいが、恐らく助けられる存在などどこにもないのだろう。
オレも過去何度か、目の前で消えていく相手を見つめるしか出来ない事があった。
どうやら今度はそれがオレの番になったということらしい。
どういうわけか、恐怖は殆どなかった。もしも元の世界の男子高校生のままだったら、パニックに陥って、大声を発してのたうち回っていただろうな。
そしてオレの体は手足の端から砕けて、まるで光の欠片のように散っていく。
なんかよくあるパターンだな、などと半ば麻痺した脳内でどこか冷めた意識のままオレはそれを呆然と見つめていた。
オレはこのまま消滅してしまうのか。
まあこの世界を助けたのだから、収支からすれば大きくプラスなんだろうな。
しかしこのままオレが消滅したら、この世界の法則からして「アルタシャ」への信仰から各地でそれぞれの「アルタシャ」が生まれるに違いない。
それは間違い無く、それぞれの教団の教祖や地域の恋人や妻になっていたりするんだろう。
ひょっとすると神造者の作ったオレのコピーが信仰を受けて今度こそ「本物」になったりするかもしれないな。
もしかすると西方における「一神教徒の英雄にして背教者」であるガーランドのように、やっている事がこの世界・時代の人間にはワケが分からない存在として、伝えられてしまうかもしれないな。
何しろオレは目の前にいる相手はその出自も宗教も関係無く手助けしたきたが、この世界では一神教徒と多神教と分け隔て無く扱うだけでも、常識的にあり得ない事である。
しかもこの世界ではほぼ全ての人間が、自分達以外の宗教の教えについて相対的に見て考えるという事はしない。
だから誰もが自分達の主観だけで考える上に、ある勢力から「邪神」として嫌われると、今度はその「邪神」として信仰する人間が出てきてしまうので、本当にワケの分からない事になってしまうのだ。
そしてオレの場合も、あちこちで恨みを買いまくってきたからな。
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ああ。そんな不毛な事を考えているうちに、亀裂はほぼ全身に広まりつつある。「アルタシャ」ではなく「オレ」が消滅するのも時間の問題か。
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