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第24章 全てはアルタシャのために?
第1257話 気付いた思わぬ盲点が
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オレの眼前で少々やつれた様子ながら、それでも微笑んでいるイロールはもう既に「神位を譲るき満々」である。
残念ながらイロールの言うとおり、もしもオレが引き受けたら結局はなし崩しに教団の運営を引き受けるはめになるだろう。
今までオレの行動をずっと見てきたが故の判断だろうし、不本意ながらそれは正しい。
「それに世間知らずだったわたくしと異なり、あなたは本当にいろいろな事を知っており、それを柔軟に使い分けて、多くの人々を救ってきました」
オレの容姿や魔力を絶賛されることはあまりにも当たり前で、敵も多数いたけど「慈悲深い」点なども賞賛されたけど、こういうところまで見ているのはずっと「格上」だったイロールらしいところか。
などと納得していたら、それこそ思惑通りだ。
「あなただって人間の時は、大陸中を駆け巡って多くの人を癒してきたのでしょう?それもわたしよりずっと長い間ですよね」
『ええ。その間もその後もわたくしはとても口には出せないおぞましいものを、数限りなく見てきました。そしてわたくしの力が足りないせいで、この手からこぼれてしまった命も無数にありました』
「あなたに出来なかったのなら――」
『アルタシャだからこそ出来ること、いえ、アルタシャにしか出来ないことはたくさんあります。それはわたくしが保証しましょう』
ああいえばこういうが、神様なんだから口達者なのも当然か。
むしろ圧倒的な力があるからこそ、そして神造者が神話をいじった結果として、美女に対しては『口説く前にヤル』なアンブラールの方が異常なのである。
しかし困ったな。
イロールはオレが「聖女教会の真相」を暴いた結果として、恐らくは神としての自信を喪失しているのだろう。
まあその気持ちは分からないでもない。信じて任せていたら、信徒達が自分の力を利用――むしろ悪用――して歪んだ教義を正当化していたのだ。
そしてオレを含め、大勢の男子が無理やり性転換されていたわけだ。
何百年も信徒に欺かれて、自分がそれに気付かなかった事を恥じていると共に、信徒に対しても失望しているに違いない。
しかし神としての権能は捨てられないので、オレに押しつけるつもりというわけだ。
もちろん「誰でもいいから譲ります」なんてワケにはいかないが、オレの場合は既に大陸中から崇拝を集めていたので、格好の存在だったわけだ。
しかも半ば逆恨みに近い形で、オレが神になる気が無い事を知っていて、無理やりに押しつけるつもりである。
当たり前だが大陸中で崇拝されている神の座を譲られるだけの適任者なんて滅多にいるわけがない。
オレが散々「変わり者」扱いされたことからして、そういう存在はむしろ自分で神位についているだろう。
ついさっきオレ自身が過剰な崇拝の力で肉体がいったん消滅しかけた事からして、イロールへの崇拝を引き継ぐなどしたら、常人ならば一瞬で身体が吹き飛んで消え去ってしまうに違いない。
本当にいろいろな要素が絡み合って「大陸で崇拝される女神が一年やそこら前に現れた相手に神位を譲る」なんてとんでもない事になっているのだ。
『分かって下さいましたか? アルタシャこそが聖女教会の主神となるのにふさわしいのです』
「違います! やはりあなたが今まで通り聖女教会を率いて下さい。先ほどいただいた力も返還しますから!」
イロールから受けた力を戻すやり方は分からないけど、たぶん出来るだろう。
過去にも神位が移転した例が多々あるからな。
『だから何度も言っているように、わたくしにはとても神として教団を導く資格などありません』
「たった一つの失敗でしょう! それぐらいのことで凹んでいてどうするんですか!」
多神教の神話だったら、神様がとんでもない大失敗をやらかす何てありふれすぎていて、驚くには値しない。
あ? そうだ! そこが盲点だった。
自分で口に出したところで、今さらながら気付いた事だが、オレはイロールについて、大陸を回っていろいろな話を聞いてはきたがこの女神の「失敗談」はなかった。
他の神の場合、その信徒ですら神の失敗についての伝説を語ることもしばしばあったけど、イロールだけはそんな話を聞いた事が無いのだ。
恐らくイロールは広い地域で崇拝されていて、多くの夫神が守護者として存在しているが、それ以外ではほぼ独立しているので聖女教会の決めた神話しかないのだろう。
そういえばテセルも「イロールについての神話は神造者でも手出し出来なかった」と言っていたのを思い出す。
つまり聖女教会によって「偉大な治癒の女神」としてしか崇拝されず、その結果として失敗についての神話もないからイロールは「本人にとって初めての大失敗」で心底挫折してしまったのだな。
千年前から神様やっているくせに「挫折を知らないひ弱なエリート」みたいな心理になっているわけか。
冷静に考えれば、ずっと幼い少女のままの女神だっているのだから、イロールがこんなことでも別におかしくはない。
それならそれでオレにもやれることはあるじゃないか!
残念ながらイロールの言うとおり、もしもオレが引き受けたら結局はなし崩しに教団の運営を引き受けるはめになるだろう。
今までオレの行動をずっと見てきたが故の判断だろうし、不本意ながらそれは正しい。
「それに世間知らずだったわたくしと異なり、あなたは本当にいろいろな事を知っており、それを柔軟に使い分けて、多くの人々を救ってきました」
オレの容姿や魔力を絶賛されることはあまりにも当たり前で、敵も多数いたけど「慈悲深い」点なども賞賛されたけど、こういうところまで見ているのはずっと「格上」だったイロールらしいところか。
などと納得していたら、それこそ思惑通りだ。
「あなただって人間の時は、大陸中を駆け巡って多くの人を癒してきたのでしょう?それもわたしよりずっと長い間ですよね」
『ええ。その間もその後もわたくしはとても口には出せないおぞましいものを、数限りなく見てきました。そしてわたくしの力が足りないせいで、この手からこぼれてしまった命も無数にありました』
「あなたに出来なかったのなら――」
『アルタシャだからこそ出来ること、いえ、アルタシャにしか出来ないことはたくさんあります。それはわたくしが保証しましょう』
ああいえばこういうが、神様なんだから口達者なのも当然か。
むしろ圧倒的な力があるからこそ、そして神造者が神話をいじった結果として、美女に対しては『口説く前にヤル』なアンブラールの方が異常なのである。
しかし困ったな。
イロールはオレが「聖女教会の真相」を暴いた結果として、恐らくは神としての自信を喪失しているのだろう。
まあその気持ちは分からないでもない。信じて任せていたら、信徒達が自分の力を利用――むしろ悪用――して歪んだ教義を正当化していたのだ。
そしてオレを含め、大勢の男子が無理やり性転換されていたわけだ。
何百年も信徒に欺かれて、自分がそれに気付かなかった事を恥じていると共に、信徒に対しても失望しているに違いない。
しかし神としての権能は捨てられないので、オレに押しつけるつもりというわけだ。
もちろん「誰でもいいから譲ります」なんてワケにはいかないが、オレの場合は既に大陸中から崇拝を集めていたので、格好の存在だったわけだ。
しかも半ば逆恨みに近い形で、オレが神になる気が無い事を知っていて、無理やりに押しつけるつもりである。
当たり前だが大陸中で崇拝されている神の座を譲られるだけの適任者なんて滅多にいるわけがない。
オレが散々「変わり者」扱いされたことからして、そういう存在はむしろ自分で神位についているだろう。
ついさっきオレ自身が過剰な崇拝の力で肉体がいったん消滅しかけた事からして、イロールへの崇拝を引き継ぐなどしたら、常人ならば一瞬で身体が吹き飛んで消え去ってしまうに違いない。
本当にいろいろな要素が絡み合って「大陸で崇拝される女神が一年やそこら前に現れた相手に神位を譲る」なんてとんでもない事になっているのだ。
『分かって下さいましたか? アルタシャこそが聖女教会の主神となるのにふさわしいのです』
「違います! やはりあなたが今まで通り聖女教会を率いて下さい。先ほどいただいた力も返還しますから!」
イロールから受けた力を戻すやり方は分からないけど、たぶん出来るだろう。
過去にも神位が移転した例が多々あるからな。
『だから何度も言っているように、わたくしにはとても神として教団を導く資格などありません』
「たった一つの失敗でしょう! それぐらいのことで凹んでいてどうするんですか!」
多神教の神話だったら、神様がとんでもない大失敗をやらかす何てありふれすぎていて、驚くには値しない。
あ? そうだ! そこが盲点だった。
自分で口に出したところで、今さらながら気付いた事だが、オレはイロールについて、大陸を回っていろいろな話を聞いてはきたがこの女神の「失敗談」はなかった。
他の神の場合、その信徒ですら神の失敗についての伝説を語ることもしばしばあったけど、イロールだけはそんな話を聞いた事が無いのだ。
恐らくイロールは広い地域で崇拝されていて、多くの夫神が守護者として存在しているが、それ以外ではほぼ独立しているので聖女教会の決めた神話しかないのだろう。
そういえばテセルも「イロールについての神話は神造者でも手出し出来なかった」と言っていたのを思い出す。
つまり聖女教会によって「偉大な治癒の女神」としてしか崇拝されず、その結果として失敗についての神話もないからイロールは「本人にとって初めての大失敗」で心底挫折してしまったのだな。
千年前から神様やっているくせに「挫折を知らないひ弱なエリート」みたいな心理になっているわけか。
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