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第24章 全てはアルタシャのために?
第1278話 世界の名にふさわしき皮肉
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これまでのやりとりから、僅かながら心の片隅にあった事だが、まさか本当に「アルタシャ」を世界の名前にするだと?
ううむ。今までこの世界に名前がなかったのは当たり前だと思っていたけど、元の世界のファンタジーなら、むしろ国名レベルであって当たり前だった。
もちろんそれは、名前をつけないと世界を区別出来ないからだったわけだが、言われてみれば確かにこの世界にも名前をつけた方がいいかもしれない。
だけどそれが「アルタシャ」だって?
そりゃまあ『別にふさわしい名前があるのか?』と言われたら甚だ疑問だ。そもそも考えた事すらなかった――ほぼ間違い無く、この世界の人間の殆どが想定すらしていないだろう。
そもそも殆どの人間にとって「世界」とは自分の周囲の狭い部分だけだからな。いや。神だって大半は関わる領域しか知らない。
だから「世界の名前」は本当に目の前にありながら、完全な盲点だったろう。
そこまではいいのだけどいくら何でも「アルタシャ」なんてつけていいのか?
そんなの神々が応じるのか?
「それをわたしなどより遥かに力ある神々が応じるとは思えませんが」
『大丈夫だ。心配はない』
また随分と安請け合いされたものだ。
『アルタシャも神が自らの権能に関わる事しか出来ないのは分かっているだろう? だから他のものが別の権能を有してもそれをどうこうする事は出来ないし、自分の権能を侵さない限り、信徒に呼びかける真似も出来ない』
確かに戦争の権能を持つ神は、聖戦を呼びかけて戦争は出来るけど、あくまでもその対象を決めるのは教団ではなく、世俗の政治家と言う事になる。
もちろん戦争の神の教団が政治的権力を有していれば、そこの区分は曖昧だが、少なくとも教義上の対立が無いなら、他の権能を持つ神というだけで戦いを仕掛ける事は無い。
そうすると少なくとも「アルタシャ」が世界の意志を象徴するようになっても、それだけで他の神々が聖戦とか言ってくる事は無いのか。
しかしそれはそれで世俗の争いを生む結果になりはしないだろうか?
『もちろんアルタシャの教団そのものが、争いを産む原因になる危険性は否定出来まい。それはよく分かっているだろう』
「当たり前です。そしてその教団を導くのはこっちの仕事だと言うのでしょう?」
『だからこそ抑える役目も果たしてもらいたい』
仮にアルタシャの教団が「世界の意志の象徴」となれば、絶対に他の神々の教団と摩擦を引き起こすだろう。
それは信仰にまつわる教義上の問題では無く「世界の意志だからこっちが上」という人間同士の争いなのだ。
残念ながら世界がどう変わろうが、人間の本質は変わらない。元の世界でも神様が力を授けてはくれないが、それでもその神の名の下に膨大な流血があったのだ。
『そして残念ながらこちらの世界では、神々同士で争い、過去の遺恨を忘れず、信徒を巻き込んで新たな遺恨を作り続けている』
そっちも何度、目の当たりにして来たことか。
困ったことにこういう場合は、神様自身にも「信徒を守るため」という大義名分があるので、引くに引けないのだな。
神様が信徒を守ってくれないのが当たり前の世界に住んでいたらピンと来ないけど、こっちでは最悪の場合、そんな神様は大多数の信徒からは見切りをつけられ、残るとしてもごく一部でしかない。
何しろ神様はたくさんいるのだから、ダメな神様は信徒を引き抜かれてしまうわけだ。
もっともその一方で「大軍勢を引き連れて去っていった英雄がいつか大勝利を収めて凱旋してくる」と信徒と、その英雄が負けてしまったのを知っている信徒に分裂しているのもいたし、まあ色々な連中をこれまでも見てきたな。
「悪いですけど、そんな遺恨を引き受けるのは真っ平ですよ」
『そうでもなかろう。今までも好きこのんで多くの遺恨を引き受けてきたではないか』
「別に好きこのんでなんていませんよ!」
そりゃあんまりな言いぐさだろう。
『自分を殺そうとした相手でも、あえて見逃すどころか、場合によっては命乞いまでして正業に戻るように奮闘していたではないか。そのような事が出来るのは「真の聖人」しかおるまいて』
「そのようなきれい事が通用する世界では無いのを何度も思い知ってきましたよ」
『そう言いつつ随分ときれい事を常日頃繰り返してきたように思うが?』
そんなの口先だけだよ。オレの本音はぶっちゃけきれい事は殆どが「自己満足」「趣味」の領域なんだから。
『アルタシャが自分の唱えるきれい事を本音では信じていないのは分かっている。だがそれを多くの人間だけでなく、神々ですら信じるものは少なくは無い。だからこそ先ほど、無数の神々が手助けしたのだ』
たぶんそれはイロールの影響だろう。
大陸中の行く先々で大勢の夫・恋人がいるから、そいつらが付き合ってくれたのだろう。
そのイロールも「神位に嫌気がさして地位を譲ろうとした」のが動機だったはずだ。
それを考えると、オレのおかれた状況とは常に皮肉しかないのかと、思ってしまうよ。
ううむ。今までこの世界に名前がなかったのは当たり前だと思っていたけど、元の世界のファンタジーなら、むしろ国名レベルであって当たり前だった。
もちろんそれは、名前をつけないと世界を区別出来ないからだったわけだが、言われてみれば確かにこの世界にも名前をつけた方がいいかもしれない。
だけどそれが「アルタシャ」だって?
そりゃまあ『別にふさわしい名前があるのか?』と言われたら甚だ疑問だ。そもそも考えた事すらなかった――ほぼ間違い無く、この世界の人間の殆どが想定すらしていないだろう。
そもそも殆どの人間にとって「世界」とは自分の周囲の狭い部分だけだからな。いや。神だって大半は関わる領域しか知らない。
だから「世界の名前」は本当に目の前にありながら、完全な盲点だったろう。
そこまではいいのだけどいくら何でも「アルタシャ」なんてつけていいのか?
そんなの神々が応じるのか?
「それをわたしなどより遥かに力ある神々が応じるとは思えませんが」
『大丈夫だ。心配はない』
また随分と安請け合いされたものだ。
『アルタシャも神が自らの権能に関わる事しか出来ないのは分かっているだろう? だから他のものが別の権能を有してもそれをどうこうする事は出来ないし、自分の権能を侵さない限り、信徒に呼びかける真似も出来ない』
確かに戦争の権能を持つ神は、聖戦を呼びかけて戦争は出来るけど、あくまでもその対象を決めるのは教団ではなく、世俗の政治家と言う事になる。
もちろん戦争の神の教団が政治的権力を有していれば、そこの区分は曖昧だが、少なくとも教義上の対立が無いなら、他の権能を持つ神というだけで戦いを仕掛ける事は無い。
そうすると少なくとも「アルタシャ」が世界の意志を象徴するようになっても、それだけで他の神々が聖戦とか言ってくる事は無いのか。
しかしそれはそれで世俗の争いを生む結果になりはしないだろうか?
『もちろんアルタシャの教団そのものが、争いを産む原因になる危険性は否定出来まい。それはよく分かっているだろう』
「当たり前です。そしてその教団を導くのはこっちの仕事だと言うのでしょう?」
『だからこそ抑える役目も果たしてもらいたい』
仮にアルタシャの教団が「世界の意志の象徴」となれば、絶対に他の神々の教団と摩擦を引き起こすだろう。
それは信仰にまつわる教義上の問題では無く「世界の意志だからこっちが上」という人間同士の争いなのだ。
残念ながら世界がどう変わろうが、人間の本質は変わらない。元の世界でも神様が力を授けてはくれないが、それでもその神の名の下に膨大な流血があったのだ。
『そして残念ながらこちらの世界では、神々同士で争い、過去の遺恨を忘れず、信徒を巻き込んで新たな遺恨を作り続けている』
そっちも何度、目の当たりにして来たことか。
困ったことにこういう場合は、神様自身にも「信徒を守るため」という大義名分があるので、引くに引けないのだな。
神様が信徒を守ってくれないのが当たり前の世界に住んでいたらピンと来ないけど、こっちでは最悪の場合、そんな神様は大多数の信徒からは見切りをつけられ、残るとしてもごく一部でしかない。
何しろ神様はたくさんいるのだから、ダメな神様は信徒を引き抜かれてしまうわけだ。
もっともその一方で「大軍勢を引き連れて去っていった英雄がいつか大勝利を収めて凱旋してくる」と信徒と、その英雄が負けてしまったのを知っている信徒に分裂しているのもいたし、まあ色々な連中をこれまでも見てきたな。
「悪いですけど、そんな遺恨を引き受けるのは真っ平ですよ」
『そうでもなかろう。今までも好きこのんで多くの遺恨を引き受けてきたではないか』
「別に好きこのんでなんていませんよ!」
そりゃあんまりな言いぐさだろう。
『自分を殺そうとした相手でも、あえて見逃すどころか、場合によっては命乞いまでして正業に戻るように奮闘していたではないか。そのような事が出来るのは「真の聖人」しかおるまいて』
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『そう言いつつ随分ときれい事を常日頃繰り返してきたように思うが?』
そんなの口先だけだよ。オレの本音はぶっちゃけきれい事は殆どが「自己満足」「趣味」の領域なんだから。
『アルタシャが自分の唱えるきれい事を本音では信じていないのは分かっている。だがそれを多くの人間だけでなく、神々ですら信じるものは少なくは無い。だからこそ先ほど、無数の神々が手助けしたのだ』
たぶんそれはイロールの影響だろう。
大陸中の行く先々で大勢の夫・恋人がいるから、そいつらが付き合ってくれたのだろう。
そのイロールも「神位に嫌気がさして地位を譲ろうとした」のが動機だったはずだ。
それを考えると、オレのおかれた状況とは常に皮肉しかないのかと、思ってしまうよ。
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