1,316 / 1,316
第24章 全てはアルタシャのために?
第1316話 「乗騎」と「伴侶」と
しおりを挟む
そんなわけでオレはいい加減、イオとも別れることにしよう。
イオ自身はオレと別れるのが嫌なようだが、いつまでも甘やかせるのはよくない。
真っ当なドラゴンの伴侶を見つけるのが、イオ自身のためでもあるはずだ。
「申し訳ないけど、ここでお別れです。あなたは自分の世界に、ドラゴンの世界に戻るべきでしょう」
「やだよ!アルタシャと一緒にいるんだ!」
「わがまま言わないで下さい。さあ出ていってドラゴン同士で仲良くするのを考えましょう」
今いるのはオレの領域だから、追い出すだけなら意思を示せば出来る……筈だった。
「あれ? どうしてイオは出ていかないのですか?」
「それは僕のわがままじゃないよ。どうやら僕はアルタシャといつも一緒だとみんな思っているみたいだし」
「え? あ? まさか?」
そういえば最近、何度もイオの背に乗って、多くの人間の前で目立ちまくっていたな。
どうやらイオは「アルタシャの乗騎」として崇拝されてしまっているらしい。
もちろん「アルタシャとのセット」であるが、それでも神として受け入れられるほどの存在になっているようだ。
確かに「神の乗騎」が神話でも偉大な存在として崇拝の対象になり、場合によっては「星」に名前がついたりもするからな。
要するに「オレと一体ということだから、オレの領域からも追い出せない」ということのようだ。
神が崇拝されている「権能」までの事しか出来ないというのは「信徒にとってこれが当たり前」という通りの姿になる事を意味しているわけで、一体として崇拝されていればこちらから追い出す事も出来ないらしい。
それを考えなかったの迂闊だった。
「これでボクはずっとアルタシャと一緒にいられるよね」
お前はそれでいいのか? ずっと「乗騎」だぞ?
アニメなんかでしばしば人間体では美形な乗騎(場合によっては機械なので乗機)キャラが出てきたりするけど、マジだとやっぱり引くな。
だけどイオはそれで十分に喜んでいるらしい。
何もわかっていないのか、分かっているけど満足しているのか、はたまた将来的にはもっと「関係」を発展させたいのか、そのいずれだろうか。
「これからアルタシャはずっと僕の背中に乗っていていいよ。みんなもそれを望んでいるし」
イオを崇拝している連中は「アルタシャの乗騎」と思っているのだから、それが当然と言うことか。
よくあるパターンとして将来的には「伴侶」だったり「乗騎」だったりと複数の神話が勝手に作られていくのだろう。
しばしば「乗る」をチョメチョメの隠語に使う事があったが、マジでそんな風になっていそうな悪寒が走る。
そこまで来たら、もう逆手にとって「乗騎」と言う事で決定するしかないのだろうか。
こうなるとイオ自身がすっかりその気だから、もう受け入れるしかないのだろうか。
そうなると今度は勝手に「ドラゴンの神」なんて称号まで入ってきそうだ。
ドラゴンを「神」と崇拝する教団は、結構あったけど、人間がドラゴンの神になるのは恐らくはインチキなハッタリ教団以外ではなかったはずだ。
だけどそんなの関係ない。火山に乙女が身を投げたら、それで「神の花嫁」として崇拝されるようなところなのだ。
きっとあちこちでオレがドラゴンに乗って現れたとか勝手に話が作られていそうだ。恐らくドラゴンを見かけただけで、オレの乗騎という話にエスカレートしていそうだな。
まあ殆どはしばらくしたら忘れられるんだろうけど、その中でも記憶に残ったものが真実とは関係なく語り継がれていく。
なんというか伝説とはそう言うものなんだと割り切るしかないか。
「ほら。アルタシャ。早く乗ってよ」
「乗るのはいいですけど、どこにいくんですか?」
「どこでもいいよ。どうせアルタシャだって決めていないだろう」
そらそうだ。だけど面と向かって言われるとちょっと気になる。
「イオには行きたいところはないんですか?」
「ないよ。全部風任せだ」
生みの親に対して何の感情も抱いていないことは知っている。
以前に聞いたように、ドラゴンはナワバリ意識が強いので、自分の子供ですら近くにいたら殺してしまいかねないと言う話は事実なのだろう
しかしそれでも何でもかんでもオレに丸投げしすぎだ。
ドラゴンはもっと「自分」を出すものじゃないのか?それともイオがあまりにも特別すぎるのだろうか。
まあそれならそれでもいいか。
そもそも「ドラゴンはこうあるべき」なんてのもオレの勝手な思い込みでしかないからな。
これからのドラゴンのスタンダードは言い過ぎでも、そんなドラゴンがいてもいいぐらいの気持ちでいよう。
そう考えるとちょっと気が楽になったように思える。多分気のせいだろうけど。
「分かりました。それでは一緒に行きましょう」
考えてみると「伴侶」は本来は「ともに連れ合うもの」の意味であって、別にチョメチョメする必要はないからこれでもいいか。
「嬉しいね! じゃあこれからもずっと一緒だね!」
「とりあえず。いろいろなところを回っていきましょう」
そうやって大勢が見ればイオが「アルタシャの乗騎」「相棒」から「旦那」に昇格したりしないだろうからな。
イオ自身はオレと別れるのが嫌なようだが、いつまでも甘やかせるのはよくない。
真っ当なドラゴンの伴侶を見つけるのが、イオ自身のためでもあるはずだ。
「申し訳ないけど、ここでお別れです。あなたは自分の世界に、ドラゴンの世界に戻るべきでしょう」
「やだよ!アルタシャと一緒にいるんだ!」
「わがまま言わないで下さい。さあ出ていってドラゴン同士で仲良くするのを考えましょう」
今いるのはオレの領域だから、追い出すだけなら意思を示せば出来る……筈だった。
「あれ? どうしてイオは出ていかないのですか?」
「それは僕のわがままじゃないよ。どうやら僕はアルタシャといつも一緒だとみんな思っているみたいだし」
「え? あ? まさか?」
そういえば最近、何度もイオの背に乗って、多くの人間の前で目立ちまくっていたな。
どうやらイオは「アルタシャの乗騎」として崇拝されてしまっているらしい。
もちろん「アルタシャとのセット」であるが、それでも神として受け入れられるほどの存在になっているようだ。
確かに「神の乗騎」が神話でも偉大な存在として崇拝の対象になり、場合によっては「星」に名前がついたりもするからな。
要するに「オレと一体ということだから、オレの領域からも追い出せない」ということのようだ。
神が崇拝されている「権能」までの事しか出来ないというのは「信徒にとってこれが当たり前」という通りの姿になる事を意味しているわけで、一体として崇拝されていればこちらから追い出す事も出来ないらしい。
それを考えなかったの迂闊だった。
「これでボクはずっとアルタシャと一緒にいられるよね」
お前はそれでいいのか? ずっと「乗騎」だぞ?
アニメなんかでしばしば人間体では美形な乗騎(場合によっては機械なので乗機)キャラが出てきたりするけど、マジだとやっぱり引くな。
だけどイオはそれで十分に喜んでいるらしい。
何もわかっていないのか、分かっているけど満足しているのか、はたまた将来的にはもっと「関係」を発展させたいのか、そのいずれだろうか。
「これからアルタシャはずっと僕の背中に乗っていていいよ。みんなもそれを望んでいるし」
イオを崇拝している連中は「アルタシャの乗騎」と思っているのだから、それが当然と言うことか。
よくあるパターンとして将来的には「伴侶」だったり「乗騎」だったりと複数の神話が勝手に作られていくのだろう。
しばしば「乗る」をチョメチョメの隠語に使う事があったが、マジでそんな風になっていそうな悪寒が走る。
そこまで来たら、もう逆手にとって「乗騎」と言う事で決定するしかないのだろうか。
こうなるとイオ自身がすっかりその気だから、もう受け入れるしかないのだろうか。
そうなると今度は勝手に「ドラゴンの神」なんて称号まで入ってきそうだ。
ドラゴンを「神」と崇拝する教団は、結構あったけど、人間がドラゴンの神になるのは恐らくはインチキなハッタリ教団以外ではなかったはずだ。
だけどそんなの関係ない。火山に乙女が身を投げたら、それで「神の花嫁」として崇拝されるようなところなのだ。
きっとあちこちでオレがドラゴンに乗って現れたとか勝手に話が作られていそうだ。恐らくドラゴンを見かけただけで、オレの乗騎という話にエスカレートしていそうだな。
まあ殆どはしばらくしたら忘れられるんだろうけど、その中でも記憶に残ったものが真実とは関係なく語り継がれていく。
なんというか伝説とはそう言うものなんだと割り切るしかないか。
「ほら。アルタシャ。早く乗ってよ」
「乗るのはいいですけど、どこにいくんですか?」
「どこでもいいよ。どうせアルタシャだって決めていないだろう」
そらそうだ。だけど面と向かって言われるとちょっと気になる。
「イオには行きたいところはないんですか?」
「ないよ。全部風任せだ」
生みの親に対して何の感情も抱いていないことは知っている。
以前に聞いたように、ドラゴンはナワバリ意識が強いので、自分の子供ですら近くにいたら殺してしまいかねないと言う話は事実なのだろう
しかしそれでも何でもかんでもオレに丸投げしすぎだ。
ドラゴンはもっと「自分」を出すものじゃないのか?それともイオがあまりにも特別すぎるのだろうか。
まあそれならそれでもいいか。
そもそも「ドラゴンはこうあるべき」なんてのもオレの勝手な思い込みでしかないからな。
これからのドラゴンのスタンダードは言い過ぎでも、そんなドラゴンがいてもいいぐらいの気持ちでいよう。
そう考えるとちょっと気が楽になったように思える。多分気のせいだろうけど。
「分かりました。それでは一緒に行きましょう」
考えてみると「伴侶」は本来は「ともに連れ合うもの」の意味であって、別にチョメチョメする必要はないからこれでもいいか。
「嬉しいね! じゃあこれからもずっと一緒だね!」
「とりあえず。いろいろなところを回っていきましょう」
そうやって大勢が見ればイオが「アルタシャの乗騎」「相棒」から「旦那」に昇格したりしないだろうからな。
5
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(104件)
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さくら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
続き、又は新作期待して待ってます&本になって欲しいですね。
不愉快な登場人物が殆どを占めていてストレスが半端無い
全話を読み終えました。主人公の性格と物語の世界観がとても好きです。今後の物語の展開をとても楽しみにしてます。