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最後の仕上げ
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「私を自分の子供に……」
ミチコの言葉に愕然としつつ、ナオミは問いかけた。
「それでもなぜ私をこんな少女に変えたんだ?」
「あなたはいつも少年には父親が必要だと口にしていたでしょう。父親なしで育つのは苦しいと言っていましたね」
ミチコは決意と共に答えた。
「私は確実に再婚できるとは思わなかったわ。あなたには父親なしで再び少年として成長することの痛みを感じないようにしたかった」
「なに?!」
「だからあなたをあえて私の息子では無く、娘に変えたのよ。私一人であなたを育てても、以前と同じように苦しまないように」
「そんな理由でこんなことをしたのか?」
ナオミはミチコの答えによって激怒し、その胸を突き飛ばし、小さな手足を振り回しつつ甲高く叫んだ。
「狂っている!」
幼い少女の力で精一杯反抗しつつナオミは、このときミチコが暴力を振るうだろうと思った。
だがそうはならなかった。
その代わりにナオミはミチコの腕が、改めて強く自分を抱きしめているのを感じた。
更にナオミの上からミチコの涙がしたたり落ちていた。
このときナオミの小さく可愛いらしい顔の上に、二人の涙が合わさって小さな川を作っていたのだ。
「何のつもりで……」
ナオミは混乱し、騒ぐのを辞めた。
そしてミチコは新しい娘を持ち上げて精神操作装置に彼女を運び、泣いている子供を優しく椅子の上に置いて、さまざまなワイヤーとチューブを再び接続しようとした。
「や、やめて!」
「大丈夫。心配することはないわ。全てはあなたのため、必要な事なのよ」
ナオミは抵抗しようとしたが、新しい体はまるで無力であり、彼女はまたしても機械に取り付けられてヘルメットをかぶせられた。
準備が完了したところで、ミチコは興奮と喜びを抑えきれないまま、その小さな身体でもがこうとするナオミに向けて話しかける。
「これがあなたの生まれ変わる最後の仕上げなのよ。全てが終わったら……そこから私達の新しい日々が、愛に満ちた家庭が始まるのよ」
改めてミチコが機械を操作すると、数多くのモニターはすぐに作動を再開し、ナオミの精神は再び新たな学習を始める。
それから数時間かけて、全てはミチコの望んだ通りに、ナオミの精神は新しい幼い身体、そして何よりミチコの娘にふさわしくなるよう改めて念入りに調整された。
まず女らしい持ち物や振る舞いへのナオミの愛はより確実になった。
今日からナオミは喜んで家事の手伝いをし、自分から積極的にそのやり方を学ぼうとするだろう。
更に科学と自立心に対するナオミの意識もまたより強いものとなった。
これからナオミは常に科学を追い求め、自らの考えを誰に対しても堂々と伝えるはずだ。
それらに加えて、ナオミは幼い少女として生活するのが楽しいことを知った。
彼女はお茶のパーティを始めとした数々のお楽しみ会、いろいろな服を着飾ること、更に石蹴り遊びやおままごとのような少女が行うお遊戯を好むようになったのだ。
同じ年頃の子供達と一緒に遊ぶのはとてもワクワクする事だった。
更にナオミは人形のような少女のオモチャと共に過ごすのが嬉しいのが分かった。
数あるオモチャの中でも特に彼女が好きになったのは、科学者の服装をした知的な女性の人形だった。
その人形のまとう白い研究服は、ミチコが着ているものとそっくりだ。
だがすべての中でナオミの心に一番強く深く確実に刻み込まれたのは、彼女のママであるミチコを愛することであった。
ミチコの顔、声、服装、振る舞い、全てがナオミにとって喜ばしい存在だった。
特にミチコの科学者としての仕事とそれに打ち込む凜々しい姿は、ナオミの理想像であり「将来なりたい自分」そのものと化した。
いまやミチコ、いや『ママ』は疑いも無くナオミの世界の中心となっていたのだ。
ミチコの言葉に愕然としつつ、ナオミは問いかけた。
「それでもなぜ私をこんな少女に変えたんだ?」
「あなたはいつも少年には父親が必要だと口にしていたでしょう。父親なしで育つのは苦しいと言っていましたね」
ミチコは決意と共に答えた。
「私は確実に再婚できるとは思わなかったわ。あなたには父親なしで再び少年として成長することの痛みを感じないようにしたかった」
「なに?!」
「だからあなたをあえて私の息子では無く、娘に変えたのよ。私一人であなたを育てても、以前と同じように苦しまないように」
「そんな理由でこんなことをしたのか?」
ナオミはミチコの答えによって激怒し、その胸を突き飛ばし、小さな手足を振り回しつつ甲高く叫んだ。
「狂っている!」
幼い少女の力で精一杯反抗しつつナオミは、このときミチコが暴力を振るうだろうと思った。
だがそうはならなかった。
その代わりにナオミはミチコの腕が、改めて強く自分を抱きしめているのを感じた。
更にナオミの上からミチコの涙がしたたり落ちていた。
このときナオミの小さく可愛いらしい顔の上に、二人の涙が合わさって小さな川を作っていたのだ。
「何のつもりで……」
ナオミは混乱し、騒ぐのを辞めた。
そしてミチコは新しい娘を持ち上げて精神操作装置に彼女を運び、泣いている子供を優しく椅子の上に置いて、さまざまなワイヤーとチューブを再び接続しようとした。
「や、やめて!」
「大丈夫。心配することはないわ。全てはあなたのため、必要な事なのよ」
ナオミは抵抗しようとしたが、新しい体はまるで無力であり、彼女はまたしても機械に取り付けられてヘルメットをかぶせられた。
準備が完了したところで、ミチコは興奮と喜びを抑えきれないまま、その小さな身体でもがこうとするナオミに向けて話しかける。
「これがあなたの生まれ変わる最後の仕上げなのよ。全てが終わったら……そこから私達の新しい日々が、愛に満ちた家庭が始まるのよ」
改めてミチコが機械を操作すると、数多くのモニターはすぐに作動を再開し、ナオミの精神は再び新たな学習を始める。
それから数時間かけて、全てはミチコの望んだ通りに、ナオミの精神は新しい幼い身体、そして何よりミチコの娘にふさわしくなるよう改めて念入りに調整された。
まず女らしい持ち物や振る舞いへのナオミの愛はより確実になった。
今日からナオミは喜んで家事の手伝いをし、自分から積極的にそのやり方を学ぼうとするだろう。
更に科学と自立心に対するナオミの意識もまたより強いものとなった。
これからナオミは常に科学を追い求め、自らの考えを誰に対しても堂々と伝えるはずだ。
それらに加えて、ナオミは幼い少女として生活するのが楽しいことを知った。
彼女はお茶のパーティを始めとした数々のお楽しみ会、いろいろな服を着飾ること、更に石蹴り遊びやおままごとのような少女が行うお遊戯を好むようになったのだ。
同じ年頃の子供達と一緒に遊ぶのはとてもワクワクする事だった。
更にナオミは人形のような少女のオモチャと共に過ごすのが嬉しいのが分かった。
数あるオモチャの中でも特に彼女が好きになったのは、科学者の服装をした知的な女性の人形だった。
その人形のまとう白い研究服は、ミチコが着ているものとそっくりだ。
だがすべての中でナオミの心に一番強く深く確実に刻み込まれたのは、彼女のママであるミチコを愛することであった。
ミチコの顔、声、服装、振る舞い、全てがナオミにとって喜ばしい存在だった。
特にミチコの科学者としての仕事とそれに打ち込む凜々しい姿は、ナオミの理想像であり「将来なりたい自分」そのものと化した。
いまやミチコ、いや『ママ』は疑いも無くナオミの世界の中心となっていたのだ。
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