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星をください
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お星様をください。
まぶしい太陽の光じゃなくていいから、せめて夜空に輝くお星様の光をください。
クリスマスの夜、子どもたちの枕元にそっとプレゼントを置いていってくれるサンタクロース。はじめ、サンタクロースは1人だった。やがてその遺志を継ぐ者が次々と現れ、「サンタクロース」は世界中に広まった。しかし時代とともにサンタクロースになろうとする者は減り、逆に子どもたちは増え、全ての子どもたちにプレゼントを渡すことは不可能になった。
そこで世界中のサンタクロースたちが話し合って、10歳の子どもにだけプレゼントを渡すことに決めた。これで全ての子どもたちに平等に、プレゼントを渡すことができる。
幼くして両親を失い、その莫大な借金を返すため、一日中うす暗い坑道で働かされることになった少女の目の前にも、サンタクロースは現れた。
初めて見るサンタクロースの姿。
一生に一度だけ、本物のサンタクロースからプレゼントをもらえるチャンス。
「お星様をください…」
もう何日も、外に出ることさえできなかった少女にとって、それはほんのささやかなお願いだった。
目の前から、ふっと、サンタクロースの姿が消えた。
それから数日後、クリスマスイヴの夜に、少女は久しぶりに仕事を終えて坑道の外に出ることができた。すっかり夜も更けた空には、冬の華やかな星座たちが、向こうの街の光に負けずに輝いていた。
「サンタさん、ありがとう…」
少女は星空を見上げて、サンタクロースにお礼を言った。
今夜は久しぶりにベッドの上で寝られる。堅い木の上に、薄い布を敷いただけのベッドだが、それが少女にとっての小さな幸せだった。
少女は眠りについた。
しかし、サンタクロースのプレゼントはそんなものではなかった。
実は近年、深刻な人手不足に悩むサンタクロースたちの中には、機械を使って自分たちの仕事を手伝わせている者も多くなった。
子どもたちに自分の姿の幻を見せて、欲しいものを聞き出す機械。
子どもの言葉を分析し、何が欲しいのかを特定する機械。
欲しいものを調達し、配達する機械・・・。
少女の願いは機械から機械へ正確に伝えられた。
その夜、他の子どもたちにプレゼントを配り終えた機械が、最後に残った大仕事をなし遂げようとした。
星をください…
少女が何日かぶりに見上げた星空に、輝いていた星が14個。
それらが少女の枕元めがけ集まってきた。
その瞬間。
大爆発が起こった。
無理もない。それぞれが太陽の何倍、何十倍いや何千倍というエネルギーを持つ星たちが、一堂に会したのだ。その大爆発は宇宙全体を巻き込んだ。地球も、太陽も、他の星たちも、少女の苦しみも、希望さえも、すべてを一瞬で消し去ってしまった。
まぶしい太陽の光じゃなくていいから、せめて夜空に輝くお星様の光をください。
クリスマスの夜、子どもたちの枕元にそっとプレゼントを置いていってくれるサンタクロース。はじめ、サンタクロースは1人だった。やがてその遺志を継ぐ者が次々と現れ、「サンタクロース」は世界中に広まった。しかし時代とともにサンタクロースになろうとする者は減り、逆に子どもたちは増え、全ての子どもたちにプレゼントを渡すことは不可能になった。
そこで世界中のサンタクロースたちが話し合って、10歳の子どもにだけプレゼントを渡すことに決めた。これで全ての子どもたちに平等に、プレゼントを渡すことができる。
幼くして両親を失い、その莫大な借金を返すため、一日中うす暗い坑道で働かされることになった少女の目の前にも、サンタクロースは現れた。
初めて見るサンタクロースの姿。
一生に一度だけ、本物のサンタクロースからプレゼントをもらえるチャンス。
「お星様をください…」
もう何日も、外に出ることさえできなかった少女にとって、それはほんのささやかなお願いだった。
目の前から、ふっと、サンタクロースの姿が消えた。
それから数日後、クリスマスイヴの夜に、少女は久しぶりに仕事を終えて坑道の外に出ることができた。すっかり夜も更けた空には、冬の華やかな星座たちが、向こうの街の光に負けずに輝いていた。
「サンタさん、ありがとう…」
少女は星空を見上げて、サンタクロースにお礼を言った。
今夜は久しぶりにベッドの上で寝られる。堅い木の上に、薄い布を敷いただけのベッドだが、それが少女にとっての小さな幸せだった。
少女は眠りについた。
しかし、サンタクロースのプレゼントはそんなものではなかった。
実は近年、深刻な人手不足に悩むサンタクロースたちの中には、機械を使って自分たちの仕事を手伝わせている者も多くなった。
子どもたちに自分の姿の幻を見せて、欲しいものを聞き出す機械。
子どもの言葉を分析し、何が欲しいのかを特定する機械。
欲しいものを調達し、配達する機械・・・。
少女の願いは機械から機械へ正確に伝えられた。
その夜、他の子どもたちにプレゼントを配り終えた機械が、最後に残った大仕事をなし遂げようとした。
星をください…
少女が何日かぶりに見上げた星空に、輝いていた星が14個。
それらが少女の枕元めがけ集まってきた。
その瞬間。
大爆発が起こった。
無理もない。それぞれが太陽の何倍、何十倍いや何千倍というエネルギーを持つ星たちが、一堂に会したのだ。その大爆発は宇宙全体を巻き込んだ。地球も、太陽も、他の星たちも、少女の苦しみも、希望さえも、すべてを一瞬で消し去ってしまった。
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