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努力を踏みにじる婚約破棄 4
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アリシアは呆然とつぶやく。
「そんな……わたくしは、殿下のお仕事の手伝いまでして尽くしましたのに……」
「そんな事は頼んでないっ!」
「えっ⁈」
ペドロの激しい口調に、アリシアは素で驚きの声を上げた。
「お前は気を回して仕事を手伝っていた、と言うだろう。だがな。事務官たちだってバカじゃない。学生の私にとって無理がない量しか回してこなかったハズだ」
「それは……」
(そうだったかしら? そうだった気もする。あぁ、分からないわ)
アリシアは混乱した。今まで彼女が考えなかったようなことを、ペドロは言っている。
「お前が私の分をこなしてしまえば、やる事は無くなる。お前が仕事をしてしまったせいで、私は仕事が出来ないというレッテルを貼られてしまった。そこまで考えたかっ⁈」
「それは……」
そこまで考えなかったのは確かだが、そもそも誰かに言われて始めた事だったような気がする。
「私に仕事を割り振った事務官たちだって、赤っ恥をかくじゃないか。まだ本格的に働いてもいない王太子の仕事量すら正確に判断できない無能だってな」
「そんな……」
(誰に言われて始めたことだったかしら? 王妃さま? それともペドロさま本人?)
アリシアがそこまで考えていなかった事は確かだが、この責められ方は違うと頭のどこが分かっていた。
「お前は自分の事しか考えていない。回りとの調整は無駄に見えて重要なんだっ!」
「そんなわけがありませんわッ! わたくしだって、回りの方々の意見を聞いたうえで進めていましたわっ!」
突然の事に頭が回らないアリシアを追い詰めるようにミラが言う。
「後からでしたら、どうとでも言えますわよね」
「ミラの言う通りだ、アリシア! お前は侯爵家の令嬢であり、王太子の婚約者であったのだ。身勝手な行動をとったとしても、誰が指摘してくれる? そんな者などいないっ!」
「ですが……」
(そんな……酷い言われようだわ。私が、そんなに勝手なことをしたと? 本気で思ってらっしゃるの?)
混乱するアリシアを憐れむような目で見ながらミラが言う。
「まぁまぁ、殿下。その辺で許しておあげになって? アリシアさまも幼い時から親元を離れ、王宮にお住まいなのですもの。細かな所までは気が回らないかと」
「うんうん、ミラは優しいなぁ。……アリシア! お前には、このような気遣いが欠けているっ!」
「……っ」
あまりの言われように、アリシアは息を飲んだ。
(わたくしが親元から離され、王宮住まいになったのは王家の意向だというのに。それすらも逆手にとって、わたくしを卑しめる道具にされるというの?)
アリシアの体は戦慄いていた。
心も体も震えが止まらない。
「令嬢が親元を離れてしまったのですもの。本来、侯爵家にて受け継ぐべきものを、アリシアさまは受け取ってはいらっしゃらないのよ。責め過ぎてはいけませんわ、ペドロさま」
憐れむふりをしてアリシアをバカにしているミラの言葉に、ペドロはウンウンとうなずいた。
「それもそうだな。うん。アリシアは、正確には侯爵令嬢ですら無いのかもしれないな」
「なっ……」
あまりの侮辱に言葉が出てこないアリシアに、ペドロは追い討ちをかけるように言う。
「まだ帰らない気か? アリシア。図太いな」
「ペドロさま。やはり侯爵令嬢さまには、男爵の娘ごときがしゃしゃり出てきたとしか、受け止めて貰えないのですわ」
「あぁ。自分のことを卑下するようなことを言わないでおくれ、ミラ。私が悲しくなってしまう」
「私ごときになんてありがたいお言葉。この国の次期国王陛下は、なんてお優しいのかしら」
「キミはなんて素敵な女性なんだ……ミラ」
ペドロは壇上からアリシアをギロリと睨んで言う。
「それに引き換え、そこにいる令嬢ときたら……」
「……っ」
アリシアは切られるような鋭い視線にビクッと身を震わせた。
「こうなったら、しっかりと諦めて貰うしかないな」
ペドロは目に嫌悪を滲ませたままニヤリと笑った。
「そんな……わたくしは、殿下のお仕事の手伝いまでして尽くしましたのに……」
「そんな事は頼んでないっ!」
「えっ⁈」
ペドロの激しい口調に、アリシアは素で驚きの声を上げた。
「お前は気を回して仕事を手伝っていた、と言うだろう。だがな。事務官たちだってバカじゃない。学生の私にとって無理がない量しか回してこなかったハズだ」
「それは……」
(そうだったかしら? そうだった気もする。あぁ、分からないわ)
アリシアは混乱した。今まで彼女が考えなかったようなことを、ペドロは言っている。
「お前が私の分をこなしてしまえば、やる事は無くなる。お前が仕事をしてしまったせいで、私は仕事が出来ないというレッテルを貼られてしまった。そこまで考えたかっ⁈」
「それは……」
そこまで考えなかったのは確かだが、そもそも誰かに言われて始めた事だったような気がする。
「私に仕事を割り振った事務官たちだって、赤っ恥をかくじゃないか。まだ本格的に働いてもいない王太子の仕事量すら正確に判断できない無能だってな」
「そんな……」
(誰に言われて始めたことだったかしら? 王妃さま? それともペドロさま本人?)
アリシアがそこまで考えていなかった事は確かだが、この責められ方は違うと頭のどこが分かっていた。
「お前は自分の事しか考えていない。回りとの調整は無駄に見えて重要なんだっ!」
「そんなわけがありませんわッ! わたくしだって、回りの方々の意見を聞いたうえで進めていましたわっ!」
突然の事に頭が回らないアリシアを追い詰めるようにミラが言う。
「後からでしたら、どうとでも言えますわよね」
「ミラの言う通りだ、アリシア! お前は侯爵家の令嬢であり、王太子の婚約者であったのだ。身勝手な行動をとったとしても、誰が指摘してくれる? そんな者などいないっ!」
「ですが……」
(そんな……酷い言われようだわ。私が、そんなに勝手なことをしたと? 本気で思ってらっしゃるの?)
混乱するアリシアを憐れむような目で見ながらミラが言う。
「まぁまぁ、殿下。その辺で許しておあげになって? アリシアさまも幼い時から親元を離れ、王宮にお住まいなのですもの。細かな所までは気が回らないかと」
「うんうん、ミラは優しいなぁ。……アリシア! お前には、このような気遣いが欠けているっ!」
「……っ」
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心も体も震えが止まらない。
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「それもそうだな。うん。アリシアは、正確には侯爵令嬢ですら無いのかもしれないな」
「なっ……」
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「私ごときになんてありがたいお言葉。この国の次期国王陛下は、なんてお優しいのかしら」
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「それに引き換え、そこにいる令嬢ときたら……」
「……っ」
アリシアは切られるような鋭い視線にビクッと身を震わせた。
「こうなったら、しっかりと諦めて貰うしかないな」
ペドロは目に嫌悪を滲ませたままニヤリと笑った。
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