3 / 3
狼は王子を守りたい
しおりを挟む
(サティは、私が守るっ!)
レアンは、サイバルを睨みつけた。
鍛錬に励んではいるものの、レアンの体は思いのほか筋肉が付きにくく、現役騎士団長であるサイバルの腕には到底かなわない。
それでも、レアンはサイバルに負けてはいられないのだ。
(サティよりもゴツくて可愛くなくなっちゃったけど、その分、私は強くなるっ)
レアンは王子の婚約者だ。
だからといって、その地位にいつまでも居られるとは限らない。
狼獣人であるレアンは、政略結婚のためにサティの婚約者となっているのだ。
(皆に認められて、彼にも愛されて側に居られるのなら幸せだけど……)
獣人排除を目論む勢力の動きが活発になってきた現在、その地位は不安定で危うい。
それに、可愛くなくなってしまったレアンは、自分に自信が持てない。
サティが子犬のようなレアンの容姿を気に入っていたのは知っている。
カワイイ、カワイイ、と、何度も撫でて貰った。
しかし、成長と共に可愛さは失われてしまった。
締まった体は、サティよりも男らしい。
これでは、もう二度とカワイイとは言って貰えないだろう。
(可愛くない私を、サティが愛すのは難しいだろう)
だからって、離れられない。
(愛してくれと無理に迫って嫌われるなんて嫌だ)
レアンにはサティの側に居られない人生など考えられない。
それだけサティの存在は大きいのだ。
(婚約を破棄されるのを待つより、辞退して騎士団へ入団しサティを守るんだ。そのためには、強くならなくちゃ)
婚約者としてダメなら護衛騎士として側に居たい。
レアンは本気だ。
「ほらほら、狼ちゃん。それで終わりか?」
「……」
サイバルはニヤニヤしながらレアンを煽った。
(大好きなサティの側を離れられないのだから……私は強くなるっ)
「オリャァァァァッ」
気合の声と共にレアンはサイバルに挑んだ。
一方、執務室に入ったサティは机の前に座り、ディアナに渡された荷物をチェックした。
「んー、どれどれ」
ディアナに渡された手提げ袋の中をチラリと見た王子は、ポンッと音がしそうなほど一気に赤くなった。
「こっこれは……噂の薄い本っ」
手提げ袋の中には、薄い本がピッチリと入っていた。
表紙を見ただけで中身が分かるほどエロい。
中身は当然のようにエロい。
そこに添えられたカードには、
『馬に蹴られたくないので邪魔なんてしません。応援しています』
と、いうメッセージにハートマークが添えられていた。
(ナニを応援するつもりなんだっ、ディアナ。……って、ボクたちで何を妄想してんの? もうっもうっ……でも、ありがとう)
最終的には感謝の言葉が出てくるサティであった。
が。
結局、この日。
サティの公務は捗らなかった。
理由は薄い本だけではない。獣人排除を目論む差別主義者たちの動きが活発化している証拠が出たという報告があったのだ。
(まぁ、明日の自分に期待、だな)
などと考えながら自室を目指す。
日は、まだ高い。
執務室を出たサティが向かった先は、騎士たちの詰め所がある場所だ。
(この時間なら、レアンが居るはずだ)
もちろん、レアンにも護衛はついているし、彼自身も強い。
それでも、サティはレアンが心配だった。
(たいしたことは出来ないが……せめて顔を見て安心したい)
サティが護衛を引きつれて向かう途中、人が争うような声が聞こえてきた。
(まさか⁈)
「急ぐぞっ!」
護衛たちに声を掛けてサティは走り出す。案の定、目前に不審者に取り囲まれたレアンの姿が現れた。不審者たちは身元がバレないようにか、顔を布で覆って隠している。それがサティの危機感をより高めた。
「何をしているっ! その者が王太子婚約者レアン・シスレー伯爵令息と知っての狼藉かっ⁈」
サティは剣を抜くと、不審者とレアンの間に割って入った。
レアンはギョッとして叫ぶ。
「……っ。殿下っ! 危ないっ! 下がってくださいっ!」
「殿下じゃなくて、サティって呼んでっ! 婚約者でしょっ!」
(今日は声が聞けた、ラッキー)
サティはそう思いながら不審者に剣を向けた。
「サ……サティさま……」
「さま、も要らないっ!」
鋭い切っ先が不審者の頬をかすめる。顔を覆っていた布が切れて素顔が現れそうになった。慌てた不審者は布を押さえながら後ろに下がった。代わりに別の不審者が立ち塞がったので追うことはできなかったが、ちらりと見えた素顔にサティは見覚えがあった。
「サティ! 危ないっ!」
今度はレアンが切りつけてくる刃を剣で抑える。金属がぶつかり合う音が響いた。
「レアンこそ、危ない真似しないでっ」
「私がっ、サティを守るっ」
「いや、大丈夫だから。ボクは自分の身くらい、自分で守れるから」
「いやっ。私がっ! 守るっ! からっ!」
「違うっ、ボクがレアンを守るのっ」
「いや、私がサティを守るんだっ」
迫ってくる刃を躱しながら、サティとレアンは痴話げんかのような状態になっていた。
騒ぎの中心で言い争う二人。
痴話げんか状態になりながらも、危なげなく不審者たちを処理しているサティとアレンの周囲では、護衛たちが確実に不審者たちを片付けていた。
あらかた不審者たちが片付いた頃。
「おいっ! 貴様らっ! 騎士詰め所の側で、何やってんだっ!」
サイバルが部下たちを引きつれてやってきた。
「ヤバいっ」
「逃げろっ」
不審者たちはバタバタと逃げようとしたが、無駄だった。
「逃がすなー! ひっ捕らえよっ!」
サイバルの号令に合わせて部下の騎士たちは一斉に動いた。結果として不審者は全員が捕まったのだが、その殆どは貴族の子息たちであった。
「獣人排除を目論む差別主義者たちの一派が、思っていたよりも勢力拡大してるね。万が一、レアンが襲われて怪我でもしたらボクは正気を保てるか自信ないのに」
「サティ殿下。しっかり尋問させますので、ご安心を」
サイバルの言葉に、捕らえられた貴族子息たちは震えあがった。
「頼むよ、サイバル団長。いい加減、獣人排除なんて時代遅れなことは片付けてしまいたい」
「それでしたら、サティ殿下。ご成婚がなれば、風向きは変わるのではありませんか?」
「……っ」
「……⁈」
サティとレアンは、目を見開いてサイバルを一瞬見た後、耳まで赤くなってむせた。
「はははっ。未来の国王ご夫妻は純情ですな」
「かっ……揶揄わないでくれよ、団長」
「ですが。そろそろでは?」
「ん……んん。確かに……」
18歳ともなれば、貴族としては適齢期。
王太子の結婚年齢としても、早すぎではない。
「結婚……」
サティがチロリと横を見ると、苦しげな表情を浮かべたレアンが目を逸らす。
「レアン? どうかした?」
「ん……結婚……ですが……」
「どうした? もしかして、レアン。結婚……したくないの?」
(ああっ、ボクたちは政略結婚だからっ。レアン、結婚したくないのを言い出せなかったとか?)
サティは真っ青になった。
「したく……ない……」
「ふへぇっ⁈」
「したくない……のは……サティ……なんじゃ?」
「ふへっ⁈」
(何言ってんだ、この素敵に凛々しいハンサム君は)
「ボクは、したいよ? レアンと結婚したいっ!」
(あ、思わず叫んじゃった)
ふたりに背中向けてる、サイバル団長の肩が揺れてる。
(団長っ! 絶対、笑ってるでしょ? 他人事だと思って!)
気を取り直し、サティはレアンと向き合った。
「レアン。ボクはキミと結婚したい、ってキチンと伝えたよ?」
少し高い所にある、綺麗な黒い瞳を覗きこむ。
「キミの答えは?」
「私も……私も、結婚したい。サティと結婚したい」
「良かった。なら、結婚しよ?」
「……うん」
サティはレアンの左手を取って、その指先にキスをした。
レアンは、サイバルを睨みつけた。
鍛錬に励んではいるものの、レアンの体は思いのほか筋肉が付きにくく、現役騎士団長であるサイバルの腕には到底かなわない。
それでも、レアンはサイバルに負けてはいられないのだ。
(サティよりもゴツくて可愛くなくなっちゃったけど、その分、私は強くなるっ)
レアンは王子の婚約者だ。
だからといって、その地位にいつまでも居られるとは限らない。
狼獣人であるレアンは、政略結婚のためにサティの婚約者となっているのだ。
(皆に認められて、彼にも愛されて側に居られるのなら幸せだけど……)
獣人排除を目論む勢力の動きが活発になってきた現在、その地位は不安定で危うい。
それに、可愛くなくなってしまったレアンは、自分に自信が持てない。
サティが子犬のようなレアンの容姿を気に入っていたのは知っている。
カワイイ、カワイイ、と、何度も撫でて貰った。
しかし、成長と共に可愛さは失われてしまった。
締まった体は、サティよりも男らしい。
これでは、もう二度とカワイイとは言って貰えないだろう。
(可愛くない私を、サティが愛すのは難しいだろう)
だからって、離れられない。
(愛してくれと無理に迫って嫌われるなんて嫌だ)
レアンにはサティの側に居られない人生など考えられない。
それだけサティの存在は大きいのだ。
(婚約を破棄されるのを待つより、辞退して騎士団へ入団しサティを守るんだ。そのためには、強くならなくちゃ)
婚約者としてダメなら護衛騎士として側に居たい。
レアンは本気だ。
「ほらほら、狼ちゃん。それで終わりか?」
「……」
サイバルはニヤニヤしながらレアンを煽った。
(大好きなサティの側を離れられないのだから……私は強くなるっ)
「オリャァァァァッ」
気合の声と共にレアンはサイバルに挑んだ。
一方、執務室に入ったサティは机の前に座り、ディアナに渡された荷物をチェックした。
「んー、どれどれ」
ディアナに渡された手提げ袋の中をチラリと見た王子は、ポンッと音がしそうなほど一気に赤くなった。
「こっこれは……噂の薄い本っ」
手提げ袋の中には、薄い本がピッチリと入っていた。
表紙を見ただけで中身が分かるほどエロい。
中身は当然のようにエロい。
そこに添えられたカードには、
『馬に蹴られたくないので邪魔なんてしません。応援しています』
と、いうメッセージにハートマークが添えられていた。
(ナニを応援するつもりなんだっ、ディアナ。……って、ボクたちで何を妄想してんの? もうっもうっ……でも、ありがとう)
最終的には感謝の言葉が出てくるサティであった。
が。
結局、この日。
サティの公務は捗らなかった。
理由は薄い本だけではない。獣人排除を目論む差別主義者たちの動きが活発化している証拠が出たという報告があったのだ。
(まぁ、明日の自分に期待、だな)
などと考えながら自室を目指す。
日は、まだ高い。
執務室を出たサティが向かった先は、騎士たちの詰め所がある場所だ。
(この時間なら、レアンが居るはずだ)
もちろん、レアンにも護衛はついているし、彼自身も強い。
それでも、サティはレアンが心配だった。
(たいしたことは出来ないが……せめて顔を見て安心したい)
サティが護衛を引きつれて向かう途中、人が争うような声が聞こえてきた。
(まさか⁈)
「急ぐぞっ!」
護衛たちに声を掛けてサティは走り出す。案の定、目前に不審者に取り囲まれたレアンの姿が現れた。不審者たちは身元がバレないようにか、顔を布で覆って隠している。それがサティの危機感をより高めた。
「何をしているっ! その者が王太子婚約者レアン・シスレー伯爵令息と知っての狼藉かっ⁈」
サティは剣を抜くと、不審者とレアンの間に割って入った。
レアンはギョッとして叫ぶ。
「……っ。殿下っ! 危ないっ! 下がってくださいっ!」
「殿下じゃなくて、サティって呼んでっ! 婚約者でしょっ!」
(今日は声が聞けた、ラッキー)
サティはそう思いながら不審者に剣を向けた。
「サ……サティさま……」
「さま、も要らないっ!」
鋭い切っ先が不審者の頬をかすめる。顔を覆っていた布が切れて素顔が現れそうになった。慌てた不審者は布を押さえながら後ろに下がった。代わりに別の不審者が立ち塞がったので追うことはできなかったが、ちらりと見えた素顔にサティは見覚えがあった。
「サティ! 危ないっ!」
今度はレアンが切りつけてくる刃を剣で抑える。金属がぶつかり合う音が響いた。
「レアンこそ、危ない真似しないでっ」
「私がっ、サティを守るっ」
「いや、大丈夫だから。ボクは自分の身くらい、自分で守れるから」
「いやっ。私がっ! 守るっ! からっ!」
「違うっ、ボクがレアンを守るのっ」
「いや、私がサティを守るんだっ」
迫ってくる刃を躱しながら、サティとレアンは痴話げんかのような状態になっていた。
騒ぎの中心で言い争う二人。
痴話げんか状態になりながらも、危なげなく不審者たちを処理しているサティとアレンの周囲では、護衛たちが確実に不審者たちを片付けていた。
あらかた不審者たちが片付いた頃。
「おいっ! 貴様らっ! 騎士詰め所の側で、何やってんだっ!」
サイバルが部下たちを引きつれてやってきた。
「ヤバいっ」
「逃げろっ」
不審者たちはバタバタと逃げようとしたが、無駄だった。
「逃がすなー! ひっ捕らえよっ!」
サイバルの号令に合わせて部下の騎士たちは一斉に動いた。結果として不審者は全員が捕まったのだが、その殆どは貴族の子息たちであった。
「獣人排除を目論む差別主義者たちの一派が、思っていたよりも勢力拡大してるね。万が一、レアンが襲われて怪我でもしたらボクは正気を保てるか自信ないのに」
「サティ殿下。しっかり尋問させますので、ご安心を」
サイバルの言葉に、捕らえられた貴族子息たちは震えあがった。
「頼むよ、サイバル団長。いい加減、獣人排除なんて時代遅れなことは片付けてしまいたい」
「それでしたら、サティ殿下。ご成婚がなれば、風向きは変わるのではありませんか?」
「……っ」
「……⁈」
サティとレアンは、目を見開いてサイバルを一瞬見た後、耳まで赤くなってむせた。
「はははっ。未来の国王ご夫妻は純情ですな」
「かっ……揶揄わないでくれよ、団長」
「ですが。そろそろでは?」
「ん……んん。確かに……」
18歳ともなれば、貴族としては適齢期。
王太子の結婚年齢としても、早すぎではない。
「結婚……」
サティがチロリと横を見ると、苦しげな表情を浮かべたレアンが目を逸らす。
「レアン? どうかした?」
「ん……結婚……ですが……」
「どうした? もしかして、レアン。結婚……したくないの?」
(ああっ、ボクたちは政略結婚だからっ。レアン、結婚したくないのを言い出せなかったとか?)
サティは真っ青になった。
「したく……ない……」
「ふへぇっ⁈」
「したくない……のは……サティ……なんじゃ?」
「ふへっ⁈」
(何言ってんだ、この素敵に凛々しいハンサム君は)
「ボクは、したいよ? レアンと結婚したいっ!」
(あ、思わず叫んじゃった)
ふたりに背中向けてる、サイバル団長の肩が揺れてる。
(団長っ! 絶対、笑ってるでしょ? 他人事だと思って!)
気を取り直し、サティはレアンと向き合った。
「レアン。ボクはキミと結婚したい、ってキチンと伝えたよ?」
少し高い所にある、綺麗な黒い瞳を覗きこむ。
「キミの答えは?」
「私も……私も、結婚したい。サティと結婚したい」
「良かった。なら、結婚しよ?」
「……うん」
サティはレアンの左手を取って、その指先にキスをした。
44
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
きみに会いたい、午前二時。
なつか
BL
「――もう一緒の電車に乗れないじゃん」
高校卒業を控えた智也は、これまでと同じように部活の後輩・晃成と毎朝同じ電車で登校する日々を過ごしていた。
しかし、卒業が近づくにつれ、“当たり前”だった晃成との時間に終わりが来ることを意識して眠れなくなってしまう。
この気持ちに気づいたら、今までの関係が壊れてしまうかもしれない――。
逃げるように学校に行かなくなった智也に、ある日の深夜、智也から電話がかかってくる。
眠れない冬の夜。会いたい気持ちがあふれ出す――。
まっすぐな後輩×臆病な先輩の青春ピュアBL。
☆8話完結の短編になります。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
📚 **全5話/9月20日(土)完結!** ✨
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸更新のお知らせや、2人の“舞台裏”の小話🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
炎の精霊王の愛に満ちて
陽花紫
BL
異世界転移してしまったミヤは、森の中で寒さに震えていた。暖をとるために焚火をすれば、そこから精霊王フレアが姿を現す。
悪しき魔術師によって封印されていたフレアはその礼として「願いをひとつ叶えてやろう」とミヤ告げる。しかし無欲なミヤには、願いなど浮かばなかった。フレアはミヤに欲望を与え、いまいちど願いを尋ねる。
ミヤは答えた。「俺を、愛して」
小説家になろうにも掲載中です。
青龍将軍の新婚生活
蒼井あざらし
BL
犬猿の仲だった青辰国と涼白国は長年の争いに終止符を打ち、友好を結ぶこととなった。その友好の証として、それぞれの国を代表する二人の将軍――青龍将軍と白虎将軍の婚姻話が持ち上がる。
武勇名高い二人の将軍の婚姻は政略結婚であることが火を見るより明らかで、国民の誰もが「国境沿いで睨み合いをしていた将軍同士の結婚など上手くいくはずがない」と心の中では思っていた。
そんな国民たちの心配と期待を背負い、青辰の青龍将軍・星燐は家族に高らかに宣言し母国を旅立った。
「私は……良き伴侶となり幸せな家庭を築いて参ります!」
幼少期から伴侶となる人に尽くしたいという願望を持っていた星燐の願いは叶うのか。
中華風政略結婚ラブコメ。
※他のサイトにも投稿しています。
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
ビジネス婚は甘い、甘い、甘い!
ユーリ
BL
幼馴染のモデル兼俳優にビジネス婚を申し込まれた湊は承諾するけれど、結婚生活は思ったより甘くて…しかもなぜか同僚にも迫られて!?
「お前はいい加減俺に興味を持て」イケメン芸能人×ただの一般人「だって興味ないもん」ーー自分の旦那に全く興味のない湊に嫁としての自覚は芽生えるか??
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる