若輩者の執事は可愛いお嬢さまを守りたい

天田れおぽん

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第10話 警備の見直し

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 荒らされたお屋敷は、魔法士たちの魔法と、辺境伯領の兵士たちの力技であっという間に整えられた。
 今日は朝から警備の見直しだ。

「オレが王都へ研修に出かけている間になんてことだ! お前がいながら何やってんだよ、ナイジェル!」

 辺境伯領警備隊隊長のマキシムは、黒い瞳のはまった切れ長の目でナイジェルを睨んだ。
 身長2メートル越えの褐色ゴリマッチョのマキシムが腕組みをして威圧している様は、見ているだけでも怖い。
 ところが睨まれている当の本人であるナイジェルは涼しい顔をしている。

「御子さまが生まれるタイミングで呑気に王都へ出向くような隊長に文句を言われる筋合いはありません」

 マキシムの短い黒髪のすぐ横、こめかみあたりにボコッと血管が浮き上がった。

「お前っ!」
「おお、怖い。デカい図体して吠えないでください、マキシム隊長。お嬢さまが怯えてしまうではありませんか。ねぇ、リリアーナさま」

 ナイジェルに話しかけられたリリアーナさまは、ベビーベッドのなかでキョトンとした顔をしている。

「魔導士長であるお前がしっかりしていないから……」
「だからこうして奥さまの部屋の警備を見直しているではありませんか。口ではなく頭を動かしてください、マキシム隊長」

 身長185センチ、銀髪に青い瞳の色白細マッチョであるナイジェルと、褐色ゴリマッチョのマキシムは、大体いつも揉めている。
 だか警備が強化されるのは賛成だ。

「ここで揉めていないで、早く仕事を済ませてください。お嬢さまのお部屋の警備もしないといけませんからね」

 父さんが柔らかく促す。
 だが銀縁眼鏡の奥にある黒い瞳の光は鋭い。
 正直、オレは怖い。

「ああ、家令殿。分かっているよ」
「はいはい、トーマス。分かりましたよ」

 父さんにたしなめられて、2人とも仕事に戻っていった。
 オレはリリアーナさまを見下ろして話しかける。

「大人の世界は大変だ」
「ぶぅ~」

 昨日生まれたばかりなのに、お返事するように声を出すリリアーナさまは、天才かもしれない。
 オレはニコニコしながら浄化魔法をかけた指先で小さな指を触る。
 そうするとオレの指を握ろうとするのだ。
 とても可愛い。

「こんにちは。お嬢さまのご機嫌はいかがかしら?」

 乳母のオリアがやってきて、ニコニコしながらベビーベッドを覗き込んだ。

「ジャービット。ここはもういいから、お前はお前の仕事をしなさい」
「はい、父さん」

 オレは父さんに促されて、家令の部屋へと向かった。
 中に入ると、しっかりと鍵をかける。
 家令の部屋には様々な魔法道具が並んでいて、父さんから話を聞けるうちに、これらの使い方を覚えなければならない。

「さて、と。頑張るぞ」

 オレは上着を脱ぐと、シャツの袖をまくった。
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