【完結】冷遇された瘴気払いの夜伽聖女は、召喚した呪われ王子に溺愛される

天田れおぽん

文字の大きさ
31 / 33

第三十一話 未来へ 

しおりを挟む
 結婚式と同時に王位の継承の儀も行うという慌ただしいスケジュールとなったが、若い二人にとっては大した問題ではない。

「なるべく簡素に、それでいて見栄えよく。使える物は使いまわして、スピーディに事を進めてくれ」

 クロイツは部下たちにそう命じた。
 彼にとって道具立ての細かなことは、どうでもよかったからだ。

「もちろん、外から見て貧相に見えないことは重要だ。他国や国内の有力者たちに見くびられるのは危険だからね。だからってお金をかけて贅を尽くせばよいというものでもない。煌びやかなだけなのは、アホっぽいだろ? ぼくは若い。侮られないのが絶対条件だ」

 彼の周囲にいる優秀な人材たちも、それは心得ていた。
 宝物庫をあさって使える物を見繕い、最大限の威圧を与えられるよう細かなところまで気配りされた。

 しかしクロイツには、ひとつだけ希望があった。

「レイチェル。ちょっとこれを見て」
「なんですか? クロイツさま」

 クロイツの手には一枚のデザイン画があった。

「母上は、本当にお洒落が大好きで……ドレスのデザインをするのも好きだった」
「そうなのですね」

 クロイツは手元のデザイン画を懐かしそうに見た。

「それで結婚式でぼくが着る衣装と、妻となる女性の着る衣装まで、デザインしていてね。できれば、母のデザインを使いたいのだが、どうかな?」
「えっ⁉ 本当ですかっ! そうしていただけたら、わたしも嬉しいですっ!」

(亡きクロエさまデザインのドレスっ! しかも、わたしのために仕立てられるドレス!)

 レイチェルの気分は上がった。
 クロイツはホッと息を吐いて安心したように言う。

「ごめんね、マザコンって言われそうで心配しちゃった」
「ふふ、そんなことはありませんよ。クロエさまはセンスのよい方ですもの。わたしにデザインはわかりませんから、似合いそうなものを選んでください」
「うん、君に似合いそうなものを選んできたよ。コレなんてどうかな?」

 クロイツはデザイン画の中の一着を指さした。

「素敵ですっ!」

 そのデザイン画は、十年以上昔に描かれたモノとは思えないほど、古臭さが無くて美しいデザインだった。
 しかも若い女性に似合いそうな若々しいデザインだ。

「えっと……結婚式の衣装は、これをもとに作って、いいかな?」
「ええ。いいですね、ええ」

 照れくさそうに言うクロイツの隣で、レイチェルはポロポロと涙をこぼした。
 突然の涙にクロイツは焦った。

「えっとレイチェル? 嫌だった? 嫌なら別のを……」
「ちが……違います……」

 レイチェルは首を横に振って否定した。

「う……うれしく……て……とても、うれしくて……」

 時間的な余裕はなくとも、2人の間には愛があり、その周りにも愛はある。
 今は故人となった人たちにも見守られて、幸せを作るのだ。
 
(国王も、王妃も、いざとなれば戦う夜伽聖女も、大変な役目ではあるけれど……)

「レイチェル」

 困ったように名前を呼ぶ愛しい人は、完璧ではないけれど素敵な男性。
 クロイツにふさわしいのは自分だと胸を張って言えるほどの自信は、レイチェルにはない。
 それでも隣にいることができる幸せに、レイチェルの胸は一杯になった。

「ああ、泣かないで。困ったな……」

 クロイツは戸惑いながら、レイチェルを自分の腕の中に収めた。

(大丈夫。わたしたちなら、大丈夫)

 レイチェルは強くそう思いながら、自分を抱きしめるクロイツに体を預けた。

◇◇◇

 バタバタと時は過ぎて。
 王位継承と2人の結婚の準備は、さしたる問題もなく進んでいき――――儀式に先立ち、レイチェルの避妊紋は外されたのだった。

◇◇◇

 2人のお披露目の場である結婚式も、戴冠式もつつがなく終了した。

「国外からのお客さまにも、上手にアピールできたかしら? わたしは聖女としてなら自信があるけれど、1人の淑女としての振る舞いには不安だらけよ」
「ああ。君は立派だったよ。何よりも綺麗だったし」

 クスクス笑うクロイツから額にキスを落とされて、レイチェルは人生で一番の幸せを感じていた。
 後は結婚後、初の夜伽となる初夜を迎えるのみである。

◇◇◇

「あぁっ、緊張するっ」

 レイチェルは青い部屋の続きにある夜伽聖女の部屋で支度をしてながら、耐え切れずに呟いた。
 クロイツは国王になっても、幼少時から使っていた青い部屋をそのまま使うと決めた。
 だから、その隣にある夜伽聖女の部屋は、そのままお妃さまの支度部屋として利用されることになったのだ。
 
「ふふふ。王妃さまになられたのに、レイチェルさまはレイチェルさまですね」
「本当にそのままで……とても可愛らしいです」

 侍女たちやメイドたちは、くすくす笑いながらレイチェルが髪を下ろしたり、ドレスを脱ぐのを手伝っていた。
 今日は結婚式や戴冠式のために、何度も着替えて何度も化粧直しをした。
 
「お疲れではないですか?」
「マッサージもいたしましょうか?」

 使用人たちはレイチェルの体を気遣っていたが、本人はそれどころではない。

「大丈夫よ。いざとなったら自分で回復ヒールをかけるから。あぁ、落ち着かない」

(初めてだけど初めてではないところが、また緊張するっ! 逃げたいっ! 逃げたいけど、クロイツさまに会いたいっ! なんなのこの気持ち⁉)

 白いウエディングドレスを脱がせてもらいながら百面相をするレイチェルを見て、お付きの侍女たちはうふふと笑った。

「わたくしたちにお任せください」
「そうですわ、レイチェルさま。いえ、王妃さま」
「ピカピカに磨き上げて、国王さまを惚れ直させてしまいましょう」

(惚れ直す……え~、わたしのほうこそ、惚れ直しまくっているわ。今日だけでも何度クロイツさまに惚れ直したことかっ。あぁ、あの方がわたしの伴侶なのよぉ~。もう、鼻血吹きそうっ。でも……わたしも惚れ直してもらいたいっ)

「ん、お任せするわっ」

 レイチェルは力強く依頼した。
 もっとも今日のレイチェルは、普段にも増してツヤツヤだ。
 結婚式までの間、たっぷりと手を入れてもらった髪や肌は、レイチェルの人生史上最良のコンデションと言っていい。

「今日は素敵でしたわ、レイチェルさま」
「ええ、そうですわ。ウエディングドレスも、戴冠式の赤いローブも、とてもお似合いでしたわ」

「ふふふ。ありがとう」

(クロイツさまのお母さまのデザインだもの。本当に素敵だったわ)

 レイチェルは、足元に落ちて広がるウエディングドレスを見ながら思った。

「国王陛下とおなりになったクロイツさまも、凛々しくて神々しかったです」
「もちろん、王妃殿下になられたレイチェルさまも、輝いておりましたわ」

 使用人たちは口々にレイチェルを褒めそやした。

「ふふふ。ありがとう」

(頑張った甲斐があったわ。あの冠は綺麗だけと重たいのよね。クロイツさまは、重くないといっていたけど。もう今日のクロイツさまは、服はもちろん王冠も似合っていたし、キラキラしっぱなしで素敵だったぁ~)

 レイチェルが思い返してうっとりしていると、侍女たちがからかうように言う。

「ふふ。昨日は違うベッドて寝られたのでしょう? レイチェルさま」
「それはお寂しかったでしょう、王妃さま」

 侍女にからかわれて、レイチェルの白い肌はポッと朱に染まる。

「それは、避妊紋を取ったから一晩は間をあけるようにと、大神官さまが……」

「まぁ!」
「一晩間を空けるために、寝室を別に⁉」

 侍女たちに思いのほか大声を出されて、レイチェルは戸惑った。

「え……どういう意味?」

「いえ、レイチェルさま。一晩と空けずに求められるとか……」
「ええ。やはり国王殿下となられる方は、違いますわね……」

 頬を赤く染める侍女たちのモゾモゾとした答えを聞いて、レイチェルは更に赤くなった。

(あ、クロイツさまに付けられた跡は浄化クリーンのついでに消してしまうから……え、あれ? アレって毎晩するものでは? あれ、違った? クロイツさまが『みんなこんなものだよ』と言っていたのを真に受けてたわ。本当に、本当に……笑顔のクロイツさまは信用ならない……)

 侍女たちの反応に、自分の常識が間違っていることに感づいたレイチェルであった。

「ああ、でも、そうなのであれば。すぐに御子さまも授かりそうですね」
「御子さま! お2人の御子さまであれば、さぞや可愛いことでしょう。楽しみですわぁ~」

 侍女たちはキャッキャウフフとはしゃぎ始めた。

「それに避妊紋を取ると感度が上がるという噂ですし」
「わたくし、感度以外にも色々と変わると聞きましたわ」

(ん? 感度? 色々と変わる?)

「避妊紋を取ると、何がそんなに変わるの?」

 レイチェルは気になって聞いてみた。

「それは当たり前に色々と変わりますわ、レイチェルさま。だって避妊されていたわけですし」
「ええ、そうですわよね。避妊紋は妊娠しない代わりに感度が鈍くなったり、精液の量が減ったりすると聞いたことがありますわ」

「えっ⁉ わたしについている避妊紋が、クロイツさまにも影響を⁉」

「ふふふ。もうレイチェルさまってば、お可愛らしい」
「そりゃ避妊紋ですもの。殿方にも影響がないと妊娠してしまいますわ。特に夜伽聖女さまの避妊紋は性病対策もバッチリで、精子の色まで変わると聞いたことがあります」

「えっ⁉」

「ふふふ。これは今夜が楽しみですわね、レイチェルさま」
「本当ですわね。楽しみですね、レイチェルさま」

「もう、揶揄わないで」

 レイチェルは全身を赤らめた。

「ふふふ。やはり特別な夜ですわね。それでしたら、レイチェルさま。今夜は、私どもも張り切らせていただきますわ」
「ええ、そうですわ。何かご希望がありましたら、遠慮なくおっしゃってくださいね」

 侍女たちはメイドたちに目配せをして、急いでレイチェルのメイクを落とし、髪をほぐして下着まで脱がせた。
 湯あみをして、体や髪をお手入れして、整えて。
 やることは沢山ある。
 全てを終えて素っ裸になったレイチェルは、差し出された下着を見て戸惑った。

「下はコレだけ?」

(この後に行うことはアレだけといえばアレだけだけど……これはあまりにあからさまでは⁉)

 赤面して困惑するレイチェルに対して、年上の侍女たちは意味深に笑う。

「ええ、これだけです」
「だって初夜ですもの、ふふふ」

(こんな薄い絹で出来た下着。ピンク色のアンダーヘアが透けてしまうのでは?)

「大丈夫ですよ、レイチェルさま」
「ええ、そうですよ。すぐに脱ぐものですから、大丈夫です」

 侍女たちはレイチェルの両側に立ち、屈んで両サイドのリボンをそれぞれちょうちょ結びにしてはかせた。

(やっぱり透けてる……いいの? 本当にこれで?)

「レイチェルさま。ナイトドレスは、こちらの淡いピンク色の薄絹のものでよろしいでしょうか?」
「ええ、お願いするわ」
「ピンク色のリボンを可愛く結びますね」
「ええ、お願い」

 透ける薄絹の上に、透ける薄絹を重ねても、やはり透けるものである。
 着ているほうがエッチなナイトドレスを身に着けたあと、これまたツルツルスベスベの薄くて白っぽいガウンを羽織った。
 濃いピンクをした布のベルトはリボン風に巻いてもらった。

「素敵ですわ」
「可愛くて魅力的です」

(これは……とてもエッチな仕上がり……)

 侍女たちに褒められて、恥ずかしいが嬉しいレイチェルであった。

「ふふふ。これなら国王陛下も大満足ですわ」
「きっと素敵な夜になりますよ」

 侍女たちに励まされ、レイチェルは今、決戦の場へと向かう――――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

魔法学園の悪役令嬢、破局の未来を知って推し変したら捨てた王子が溺愛に目覚めたようで!?

朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
『完璧な王太子』アトレインの婚約者パメラは、自分が小説の悪役令嬢に転生していると気づく。 このままでは破滅まっしぐら。アトレインとは破局する。でも最推しは別にいる! それは、悪役教授ネクロセフ。 顔が良くて、知性紳士で、献身的で愛情深い人物だ。 「アトレイン殿下とは円満に別れて、推し活して幸せになります!」 ……のはずが。 「夢小説とは何だ?」 「殿下、私の夢小説を読まないでください!」 完璧を演じ続けてきた王太子×悪役を押し付けられた推し活令嬢。 破滅回避から始まる、魔法学園・溺愛・逆転ラブコメディ! 小説家になろうでも同時更新しています(https://ncode.syosetu.com/n5963lh/)。

氷の公爵は、捨てられた私を離さない

空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。 すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。 彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。 アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。 「君の力が、私には必要だ」 冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。 彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。 レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。 一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。 「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。 これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。

聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...