不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん

文字の大きさ
53 / 61

第52話 3歳児は大人の事情に静かにキレる

しおりを挟む
 サラは三つ編みの可愛いハーフアップにしてもらった髪に、花の飾りのついたリボンを結んでもらった。
 聖獣たちも丁寧にブラッシングしてもらい、それぞれに色違いのリボンを結んでもらった。
 花飾りもついているお揃いのリボンだ。
 しかもメイドたちの「可愛い、可愛い」という称賛の声付きで、サラはすっかりご機嫌になっていた。

 あまりに皆が褒めるので聖獣たちもお澄まし顔をしている。
 オカメちゃんなんてサラの髪を乱さないように、バーンズの角にとまっているくらいだ。
 胸を張る小鳥の胸には花の飾りのついたリボンが燦然と輝いている。

 だというのに。

(なんだこの騒ぎ?)

 椅子に座ったサラは、会議室でギャーギャー言い合っている大人たちを眺めた。

「勝手なことを! 大神官っ、恥ずかしくないのかっ!」
「外聞など気にしている場合ではありませんよ、王子っ!」
「やめないか、ミハイル! 王都の空が真っ黒だ! 今は行動する時だぞ!」

 怒って叫ぶミハイル、言い訳を叫ぶ大神官、説教を叫ぶ国王。
 サラがミハイルに呼ばれて会議室に向かっている途中に、状況は急激に悪化した。

「だから聖女さまに浄化をお願いしないと!」
「いや、先にイザベル嬢を救いにいかねばっ!」

 大神官とミハイルはにらみ合っていて、今にも取っ組み合いの喧嘩を始めそうなほど険悪な雰囲気だ。
 
(でも、そーゆーのいいから。わたしの聖力は強いし、女神さまからもらった魔法道具も色々あるからサクサク片付けられるよ。それよりも……)

 サラは転生者ではあるが、3歳児だ。
 揉め散らかす大人を見ているのは飽きてしまった。
 正直、勝手なことばかり言っている大人たちに腹を立ててもいる。

「あのぉ……もしもし? わたしはサッサと済ませて、早く森へ帰りたいんだけど……」

 今のサラはちびっ子である。
 助けるよりも助けてもらう立場では? とちょっと思う。

(この衣装も微妙に着心地悪いし)

 サラは自分に着せられた聖女の聖衣らしい白いドレスのウエストあたりを小さな手で引っ張って、モジモジとしている。
 だが、揉める大人たちは、サラの反応などには関心がない。

「瘴気払いがして欲しいなら、最初から聖女さまに王城へきていただけばよかったじゃないかっ」
「過ぎたことを今言っても仕方ないではありませんか、王子」

 サラは小さな指で頭をポリポリと掻きながら、どうしたものかと大人げない大人たちを眺めていた。

「最初から聖女さまをこちらに召喚していればイザベル嬢が怪我をすることもなかった!」
「お言葉ですが王子。聖獣の森へ送ったおかげで、聖女さまだけでなく、聖獣さまたちにもおいでいただけたではありませんか」
「だがその間に、王都へは瘴気だけでなく魔獣まで入り込んでしまったではないかっ。犠牲者が出たのだぞっ!」
 
 言い争う王子と大神官に向かって、国王が叫ぶ。

「今は言い争っている場合ではないっ!」

(わかってんじゃん、国王! だったらさっさと済ませることを済ませよう! ここは仕事が出来るモードのビジネスウーマン風サラちゃんでいくっ!)

 腹を決めたサラは椅子から飛び降りるようして立ち上がりながら叫んだ。

「ぁぁぁぁぁあっ! オジサンたちウルサイっ! もういいっ! わたし、さっさと魔獣退治でも、瘴気払いでも済ませるっ!」

 王子は青ざめ、神官たちは表情を輝かせた。

「我が王国をお救いください、聖女さまっ!」
「聖女さま、万歳っ!」

 大神官は満足げに頷き、国王はキラキラした笑顔だ。
 だがミハイルは納得していない様子で不満げに叫ぶ。

「王都がこうなったのは大神官たちの責任でしょう⁉ 聖女さまには先にイザベル嬢を救ってもらうっ!」

(あー、ミハイル。聖女イザベルのこと好きすぎて、いつの間にか悪人のセリフ言っちゃってるよ~)

 サラはちょっとだけ顔をしかめた。
 が、すぐに表情を変えてニマッと笑う。

「もちろんイザベル嬢も助ける! このサラちゃんに任せなさいっ!」

 サラは左手を腰に置き、右腕を胸の前に勢いよく差し出してVサインを出すつもりで、短くてぷっくりした愛らしい指を三本、力いっぱい立てた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜

ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました 誠に申し訳ございません。 —————————————————   前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。 名前は山梨 花。 他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。 動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、 転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、 休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。 それは物心ついた時から生涯を終えるまで。 このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。 ————————————————— 最後まで読んでくださりありがとうございました!!  

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。

桜城恋詠
ファンタジー
 聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。  異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。  彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。  迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。 「絶対、誰にも渡さない」 「君を深く愛している」 「あなたは私の、最愛の娘よ」  公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。  そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?  命乞いをしたって、もう遅い。  あなたたちは絶対に、許さないんだから! ☆ ☆ ☆ ★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。 こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。 ※9/28 誤字修正

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

愛のない結婚をした継母に転生したようなので、天使のような息子を溺愛します

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
目が覚めると私は昔読んでいた本の中の登場人物、公爵家の後妻となった元王女ビオラに転生していた。 人嫌いの公爵は、王家によって組まれた前妻もビオラのことも毛嫌いしており、何をするのも全て別。二人の結婚には愛情の欠片もなく、ビオラは使用人たちにすら相手にされぬ生活を送っていた。 それでもめげずにこの家にしがみついていたのは、ビオラが公爵のことが本当に好きだったから。しかしその想いは報われることなどなく彼女は消え、私がこの体に入ってしまったらしい。 嫌われ者のビオラに転生し、この先どうしようかと考えあぐねていると、この物語の主人公であるルカが声をかけてきた。物語の中で悲惨な幼少期を過ごし、闇落ち予定のルカは純粋なまなざしで自分を見ている。天使のような可愛らしさと優しさに、気づけば彼を救って本物の家族になりたいと考える様に。 二人一緒ならばもう孤独ではないと、私はルカとの絆を深めていく。 するといつしか私を取り巻く周りの人々の目も、変わり始めるのだったーー

公爵令嬢やめて15年、噂の森でスローライフしてたら最強になりました!〜レベルカンストなので冒険に出る準備、なんて思ったけどハプニングだらけ〜

咲月ねむと
ファンタジー
息苦しい貴族社会から逃げ出して15年。 元公爵令嬢の私、リーナは「魔物の森」の奥で、相棒のもふもふフェンリルと気ままなスローライフを満喫していた。 そんなある日、ひょんなことから自分のレベルがカンストしていることに気づいてしまう。 ​「せっかくだし、冒険に出てみようかしら?」 ​軽い気持ちで始めた“冒険の準備”は、しかし、初日からハプニングの連続! 金策のために採った薬草は、国宝級の秘薬で鑑定士が気絶。 街でチンピラに絡まれれば、無自覚な威圧で撃退し、 初仕事では天災級の魔法でギルドの備品を物理的に破壊! 気づけばいきなり最高ランクの「Sランク冒険者」に認定され、 ボロボロの城壁を「日曜大工のノリ」で修理したら、神々しすぎる城塞が爆誕してしまった。 ​本人はいたって平和に、堅実に、お金を稼ぎたいだけなのに、規格外の生活魔法は今日も今日とて大暴走! ついには帝国の精鋭部隊に追われる亡国の王子様まで保護してしまい、私の「冒険の準備」は、いつの間にか世界の運命を左右する壮大な旅へと変わってしまって……!? ​これは、最強の力を持ってしまったおっとり元令嬢が、その力に全く気づかないまま、周囲に勘違いと畏怖と伝説を振りまいていく、勘違いスローライフ・コメディ! 本人はいつでも、至って真面目にお掃除とお料理をしたいだけなんです。信じてください!

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

処理中です...