54 / 61
第53話 サラちゃん出撃!
しおりを挟む
「さぁ、行くよ!」
サラの号令に続いて、聖獣たちと大人たちの「おおー」という野太い声が会議室に響く。
一同は城の廊下を行進するようにして外を目指した。
サラは先頭をトコトコと歩く。
国王や大神官は会議室に残ろうとしたが、ミハイルに「3歳児を送り出すのに、いい年した大人が会議室に隠れているつもりですかっ。せめて見送りくらいしなさいっ」といわれて渋々ついてきた。
サラとしては、そんな些末なことはどうでもよかったが、国王や大神官も一緒に行進していると周りの士気が高まるのを感じるので放っておいた。
しかし3歳児のスピードに合わせて歩くと、どうしても後ろが詰まる。
『ねーねー、サラ。どうやって瘴気払いするの?』
クロはサラを背中に乗せながら聞いた。
「聖力で普通に払えるような気がするけど……」
サラは首を傾げながら、クロの腹のあたりを細い足でポンポンと軽く叩きながら考える。
「なんか道具がないか、無限収納庫のなかをちょっと探してみようかな。それよりも問題は、イザベル嬢よね。離れたところにいるみたいなの」
『それならワタシが行ってあげてもよくってよ』
シローネが白い毛をサワサワとなびかせながら言った。
窓から入ってくる風には瘴気が含まれているようで薄く曇っているが、シローネの毛の間を流れていくうちに浄化されるのか普通に透明な空気となっていく。
普通というよりは、薄っすらと七色にキラキラと輝いているようにも思えるが、サラにはそれがシローネの輝きなのか、チリが太陽光で輝いているのか区別がつかない。
広い玄関ホールを出て見上げた空は瘴気ですっかり曇っていた。
シローネの輝きは太陽光によるものではなかったようだ。
「ありがとう、シローネ。イザベル嬢を助けてあげて」
『うふっ。わかったわ』
シローネは空を見上げて、高い咆哮を上げた。
声がまるで広がっていく光のように周囲の瘴気を吹き飛ばしていく。
気合を入れたシローネの体が小山のように膨らんだ。
長いウサ耳の根本と首もとでは、メイドさんたちにつけてもらった花飾りのついたリボンも一緒に巨大化して揺れている。
シローネも花飾りのついたリボンが相当気に入っているようだ。
一方向をジッと見据えたシローネは、『ん、聖女の気配はあっち側ね。じゃ、行ってくるわ』と言うと、人々の頭上をピョンピョンと飛び越えながら消えていった。
「すっご。シローネだけで瘴気払い済んじゃうんじゃない?」
唖然としながらシローネの後ろ姿を見送るサラに、クロは左右に顔を振った。
首もとでは花飾りのついたリボンが揺れている。
『あんなもんじゃ済まないよ。ほら、見てよ』
サラはクロの視線を追って空を見上げた。
昼間だというのに、空は暗い。
墨を落としたように禍々しい黒が濃淡を作って妖しく模様を作っている。
魔獣の咆哮のようなものも聞こえていて、気配はするが姿はまだ見えない。
「ホントだー。コレ、どうすればいいんだろう?」
呑気に首を傾げるサラの横で、ミハイルは剣を構えた。
「既に魔獣が城の敷地内にいるようだ。気を付けて」
「ん。そんな危ないところへ、可愛い3歳児ちゃんを連れてきた王子さま。責任もって頑張って」
サラはニコッと笑って嫌味を言う。
「あ、ああ。分かっているよ」
ミハイルは冷や汗を流しつつも剣を構えた。
「聖女さま、聖獣さま、お願いします。ミハイル、あとは頼んだよ」
「頑張って聖女さま」
国王と大神官という権力を持っただけの意気地のない大人たちは、そそくさと城内へと戻っていった。
(ま、期待はしてなかったけど。ダメなヤツに期待してイラつくだけ無駄っ。それよりも女神さまからもらったもので使えそうなものは、と……)
サラはクロの上からトンッと下りると、無限収納庫を開けてゴソゴソと漁った。
サラの号令に続いて、聖獣たちと大人たちの「おおー」という野太い声が会議室に響く。
一同は城の廊下を行進するようにして外を目指した。
サラは先頭をトコトコと歩く。
国王や大神官は会議室に残ろうとしたが、ミハイルに「3歳児を送り出すのに、いい年した大人が会議室に隠れているつもりですかっ。せめて見送りくらいしなさいっ」といわれて渋々ついてきた。
サラとしては、そんな些末なことはどうでもよかったが、国王や大神官も一緒に行進していると周りの士気が高まるのを感じるので放っておいた。
しかし3歳児のスピードに合わせて歩くと、どうしても後ろが詰まる。
『ねーねー、サラ。どうやって瘴気払いするの?』
クロはサラを背中に乗せながら聞いた。
「聖力で普通に払えるような気がするけど……」
サラは首を傾げながら、クロの腹のあたりを細い足でポンポンと軽く叩きながら考える。
「なんか道具がないか、無限収納庫のなかをちょっと探してみようかな。それよりも問題は、イザベル嬢よね。離れたところにいるみたいなの」
『それならワタシが行ってあげてもよくってよ』
シローネが白い毛をサワサワとなびかせながら言った。
窓から入ってくる風には瘴気が含まれているようで薄く曇っているが、シローネの毛の間を流れていくうちに浄化されるのか普通に透明な空気となっていく。
普通というよりは、薄っすらと七色にキラキラと輝いているようにも思えるが、サラにはそれがシローネの輝きなのか、チリが太陽光で輝いているのか区別がつかない。
広い玄関ホールを出て見上げた空は瘴気ですっかり曇っていた。
シローネの輝きは太陽光によるものではなかったようだ。
「ありがとう、シローネ。イザベル嬢を助けてあげて」
『うふっ。わかったわ』
シローネは空を見上げて、高い咆哮を上げた。
声がまるで広がっていく光のように周囲の瘴気を吹き飛ばしていく。
気合を入れたシローネの体が小山のように膨らんだ。
長いウサ耳の根本と首もとでは、メイドさんたちにつけてもらった花飾りのついたリボンも一緒に巨大化して揺れている。
シローネも花飾りのついたリボンが相当気に入っているようだ。
一方向をジッと見据えたシローネは、『ん、聖女の気配はあっち側ね。じゃ、行ってくるわ』と言うと、人々の頭上をピョンピョンと飛び越えながら消えていった。
「すっご。シローネだけで瘴気払い済んじゃうんじゃない?」
唖然としながらシローネの後ろ姿を見送るサラに、クロは左右に顔を振った。
首もとでは花飾りのついたリボンが揺れている。
『あんなもんじゃ済まないよ。ほら、見てよ』
サラはクロの視線を追って空を見上げた。
昼間だというのに、空は暗い。
墨を落としたように禍々しい黒が濃淡を作って妖しく模様を作っている。
魔獣の咆哮のようなものも聞こえていて、気配はするが姿はまだ見えない。
「ホントだー。コレ、どうすればいいんだろう?」
呑気に首を傾げるサラの横で、ミハイルは剣を構えた。
「既に魔獣が城の敷地内にいるようだ。気を付けて」
「ん。そんな危ないところへ、可愛い3歳児ちゃんを連れてきた王子さま。責任もって頑張って」
サラはニコッと笑って嫌味を言う。
「あ、ああ。分かっているよ」
ミハイルは冷や汗を流しつつも剣を構えた。
「聖女さま、聖獣さま、お願いします。ミハイル、あとは頼んだよ」
「頑張って聖女さま」
国王と大神官という権力を持っただけの意気地のない大人たちは、そそくさと城内へと戻っていった。
(ま、期待はしてなかったけど。ダメなヤツに期待してイラつくだけ無駄っ。それよりも女神さまからもらったもので使えそうなものは、と……)
サラはクロの上からトンッと下りると、無限収納庫を開けてゴソゴソと漁った。
152
あなたにおすすめの小説
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
めんどくさがり屋の異世界転生〜自由に生きる〜
ゆずゆ
ファンタジー
※ 話の前半を間違えて消してしまいました
誠に申し訳ございません。
—————————————————
前世100歳にして幸せに生涯を遂げた女性がいた。
名前は山梨 花。
他人に話したことはなかったが、もし亡くなったら剣と魔法の世界に転生したいなと夢見ていた。もちろん前世の記憶持ちのままで。
動くがめんどくさい時は、魔法で移動したいなとか、
転移魔法とか使えたらもっと寝れるのに、
休みの前の日に時間止めたいなと考えていた。
それは物心ついた時から生涯を終えるまで。
このお話はめんどくさがり屋で夢見がちな女性が夢の異世界転生をして生きていくお話。
—————————————————
最後まで読んでくださりありがとうございました!!
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。
桜城恋詠
ファンタジー
聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。
異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。
彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。
迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。
「絶対、誰にも渡さない」
「君を深く愛している」
「あなたは私の、最愛の娘よ」
公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。
そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?
命乞いをしたって、もう遅い。
あなたたちは絶対に、許さないんだから!
☆ ☆ ☆
★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。
こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。
※9/28 誤字修正
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします
タマ マコト
ファンタジー
革命前夜の王国で、公爵令嬢レティシアは盛大な舞踏会の場で王太子アルマンから一方的に婚約を破棄され、社交界の嘲笑の的になる。その瞬間、彼女は“日本の歴史オタク女子大生”だった前世の記憶を思い出し、この国が数年後に血塗れの革命で滅びる未来を知ってしまう。
悪役令嬢として嫌われ、切り捨てられた自分の立場と、公爵家の権力・財力を「運命改変の武器」にすると決めたレティシアは、貧民街への支援や貴族の不正調査をひそかに始める。その過程で、冷静で改革派の第二王子シャルルと出会い、互いに利害と興味を抱きながら、“歴史に逆らう悪役令嬢”として静かな反撃をスタートさせていく。
追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす
遊鷹太
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。
(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる