不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん

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第53話 サラちゃん出撃!

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「さぁ、行くよ!」

 サラの号令に続いて、聖獣たちと大人たちの「おおー」という野太い声が会議室に響く。
 一同は城の廊下を行進するようにして外を目指した。
 サラは先頭をトコトコと歩く。

 国王や大神官は会議室に残ろうとしたが、ミハイルに「3歳児を送り出すのに、いい年した大人が会議室に隠れているつもりですかっ。せめて見送りくらいしなさいっ」といわれて渋々ついてきた。
 サラとしては、そんな些末なことはどうでもよかったが、国王や大神官も一緒に行進していると周りの士気が高まるのを感じるので放っておいた。

 しかし3歳児のスピードに合わせて歩くと、どうしても後ろが詰まる。

『ねーねー、サラ。どうやって瘴気払いするの?』

 クロはサラを背中に乗せながら聞いた。
 
「聖力で普通に払えるような気がするけど……」

 サラは首を傾げながら、クロの腹のあたりを細い足でポンポンと軽く叩きながら考える。

「なんか道具がないか、無限収納庫のなかをちょっと探してみようかな。それよりも問題は、イザベル嬢よね。離れたところにいるみたいなの」
『それならワタシが行ってあげてもよくってよ』

 シローネが白い毛をサワサワとなびかせながら言った。
 窓から入ってくる風には瘴気が含まれているようで薄く曇っているが、シローネの毛の間を流れていくうちに浄化されるのか普通に透明な空気となっていく。
 普通というよりは、薄っすらと七色にキラキラと輝いているようにも思えるが、サラにはそれがシローネの輝きなのか、チリが太陽光で輝いているのか区別がつかない。
 広い玄関ホールを出て見上げた空は瘴気ですっかり曇っていた。
 シローネの輝きは太陽光によるものではなかったようだ。

「ありがとう、シローネ。イザベル嬢を助けてあげて」
『うふっ。わかったわ』

 シローネは空を見上げて、高い咆哮を上げた。
 声がまるで広がっていく光のように周囲の瘴気を吹き飛ばしていく。
 気合を入れたシローネの体が小山のように膨らんだ。
 長いウサ耳の根本と首もとでは、メイドさんたちにつけてもらった花飾りのついたリボンも一緒に巨大化して揺れている。
 シローネも花飾りのついたリボンが相当気に入っているようだ。
 一方向をジッと見据えたシローネは、『ん、聖女の気配はあっち側ね。じゃ、行ってくるわ』と言うと、人々の頭上をピョンピョンと飛び越えながら消えていった。
 
「すっご。シローネだけで瘴気払い済んじゃうんじゃない?」

 唖然としながらシローネの後ろ姿を見送るサラに、クロは左右に顔を振った。
 首もとでは花飾りのついたリボンが揺れている。

『あんなもんじゃ済まないよ。ほら、見てよ』

 サラはクロの視線を追って空を見上げた。
 昼間だというのに、空は暗い。
 墨を落としたように禍々しい黒が濃淡を作って妖しく模様を作っている。
 魔獣の咆哮のようなものも聞こえていて、気配はするが姿はまだ見えない。

「ホントだー。コレ、どうすればいいんだろう?」

 呑気に首を傾げるサラの横で、ミハイルは剣を構えた。

「既に魔獣が城の敷地内にいるようだ。気を付けて」
「ん。そんな危ないところへ、可愛い3歳児ちゃんを連れてきた王子さま。責任もって頑張って」

 サラはニコッと笑って嫌味を言う。

「あ、ああ。分かっているよ」

 ミハイルは冷や汗を流しつつも剣を構えた。
 
「聖女さま、聖獣さま、お願いします。ミハイル、あとは頼んだよ」
「頑張って聖女さま」

 国王と大神官という権力を持っただけの意気地のない大人たちは、そそくさと城内へと戻っていった。

(ま、期待はしてなかったけど。ダメなヤツに期待してイラつくだけ無駄っ。それよりも女神さまからもらったもので使えそうなものは、と……)

 サラはクロの上からトンッと下りると、無限収納庫を開けてゴソゴソと漁った。
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