【完結】婚約破棄したのに愛人にも捨てられるとか間抜けですね婚約者さま

天田れおぽん

文字の大きさ
11 / 16

11

 婚約破棄の申し出がキャラハン伯爵家側からあったとき、カルローニ伯爵は後悔した。

 キャラハン伯爵家での初顔合わせの時にあったトラブルは、コチラ側の不手際だから仕方ない。
 だからあの時、婚約が解消されたときの慰謝料を二桁増やせと言われて応じたのだ。
 商売を手広くやっているカルローニ伯爵家としては、その金額を支払う事になったとしても、痛くも痒くもないと思ったからというのもある。
 だがそもそも婚約が解消されたり、破棄されたりしなければ考える必要もない金のことだ。
 それに両家の結束を固くして商売を広げていくことは、お互いに利益となる。
 利益になることを反故にする必要などない。
 だから婚約を解消するなどということは、カルローニ伯爵の頭には欠片もなかった。

 息子も同じだと思っていた。
 貴族の結婚は政略的なものだ。
 それが普通であり、普遍的に変わらないとカルローニ伯爵は考えていた。
 なんだかんだ言っても息子だって、そのくらいのことはわきまえていると思っていた。
 だから、まさか本当に婚約破棄などということが起きるとは思わなかったのだ。

 未だ信じられない。
 カルローニ伯爵は、キャラハン伯爵のにこやかな顔を見ながら思った。
 だが、そのまさかは起きてしまったのだ。
 しかも我が家が婚約破棄をされる側である。
 これは手痛い失敗だ。
 慰謝料の額の話ではない。
 今目の前にいる男との共闘が叶わなくなること、それが手痛いのだ。

 カルローニ伯爵は渋い顔をして、必要な書類にサインをしたためた。
感想 8

あなたにおすすめの小説

「子守唄しか能がない女は要らぬ」と追い出された令嬢——3日後、王宮から眠りが消えた

歩人
ファンタジー
リディアは「眠りの歌い手」——声で人の精神を調律し、安らかな眠りに導く宮廷職。 王の安眠、騎士団の心的外傷ケア、外交使節の睡眠管理まで、宮廷の「夜」を支えてきた。 だが第二王子オスカーは嗤った。「子守唄しか能がない女は要らぬ」 リディアが王宮を去って3日後、王宮から眠りが消えた。 誰も眠れない。王も大臣も近衛騎士も。不眠は判断力を奪い、外交を狂わせ、王国を蝕む。 辺境で新たな居場所を見つけたリディアに、王宮から帰還要請が届く。 「おやすみなさい——はもう、言いません」

愛さないと言われた妻、侍女と出て行く

菜花
ファンタジー
お前を愛することはないと夫に言われたコレットは、その日のうちに侍女のイネスと屋敷を出て行った。カクヨム様でも投稿しています。

「その薬草は毒かもしれぬ」と追放された令嬢薬師——領地に疫病が広がったとき、彼女の薬草園はもう枯れていた

歩人
ファンタジー
侯爵令嬢リリアーナは、母から受け継いだ薬草園「星霜の庭」を守り、領民の病を癒す薬師。 だがある日、新任侍医マティアスが讒言した。 「あの令嬢の薬草は怪しい。毒が混じっているかもしれない」 父も婚約者クラウスも、それを信じた。 追放されたリリアーナが辿り着いたのは、辺境の村ノルトハイム。 老薬草師ヘルダに導かれ、荒れ地に新たな薬草園を拓く。 飄々とした若き領主ルシアンの体には、母から受け継いだ「銀花毒」が二十三年間潜んでいた。 誰にも治せなかったその毒を、リリアーナは治すと決める。 一方、薬師を失った星霜の庭は枯れ果て、疫病が元の領地を襲う。 マティアスの教科書通りの処方は何一つ効かない。 「戻ってこい」——使者が届けた手紙に、リリアーナは静かに答えた。 「わたくしの薬草は、毒でしたか?」

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

何もしなかっただけです

希臘楽園
ファンタジー
公爵令嬢であり王太子の婚約者であった私は、「地味だ」という理由で婚約を破棄され、王宮を去った。 それまで私が担っていた役目を、誰も知らないまま。 ――ただ何もしなくなっただけで、すべては静かに崩れていく。 AIに書かせてみた第14弾は、「追放ざまぁ」系の短編。

断罪されましたが、華麗に大逆転させていただきました

たると
恋愛
エレノアの世界には、物心ついた時から「自分」という色が存在しなかった。 公爵家の長女として生まれた彼女に与えられた役割は、ただ一つ。 愛らしい妹を輝かせるための「踏み台」であることだ。 「お姉様、そのドレス、私にくださらない? お姉様にはもっと……そう、その辺の使用人が着ているような、地味な灰色がお似合いだわ」 「エレノア。貴様との婚約を、今この瞬間をもって破棄する!」 妹と婚約者である王太子に全てを奪われ、奈落の底へ落ちかけたエレノアを救ったのは、第二王子レオナルドだった。

【完結】私の事は気にせずに、そのままイチャイチャお続け下さいませ ~私も婚約解消を目指して頑張りますから~

山葵
恋愛
ガルス侯爵家の令嬢である わたくしミモルザには、婚約者がいる。 この国の宰相である父を持つ、リブルート侯爵家嫡男レイライン様。 父同様、優秀…と期待されたが、顔は良いが頭はイマイチだった。 顔が良いから、女性にモテる。 わたくしはと言えば、頭は、まぁ優秀な方になるけれど、顔は中の上位!? 自分に釣り合わないと思っているレイラインは、ミモルザの見ているのを知っていて今日も美しい顔の令嬢とイチャイチャする。 *沢山の方に読んで頂き、ありがとうございます。m(_ _)m