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第13話 桃の香りの鬼退治
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頭で理解する前に、体が動いていた。
桜は日本刀を持った鬼の前に飛び出たのだ。
(あり得ないっ! でも怖くないっ! 魁さんに手を出すヤツは許さんっ!)
応接間の天井に頭が届くほどデカい鬼たちは、背中を丸めて立っている。
日本刀も長いため、狭い室内では小回りが利かず、力任せに動くしかない。
自然とできる隙のある場所。
桜は鬼の懐へと滑り込むと手にした木刀を腹をめがけてぶち込む。
「おりゃっぁぁぁぁぁぁ!」
「桜さん⁉」
自分と敵との間に飛び込んできた桜に驚いた魁は体を引いた。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
腹に桜の一太刀を受けた鬼は思いのほかダメージを受けたようで体を二つに折って苦しんでいる。
(効かなきゃ効かないでムカつくけど、効果がありすぎると女子高生としては複雑~)
桜は魁を振り返った。
「大丈夫ですか?」
「あ……ああ」
魁は随分と大きくなった顔に分かりやすい表情を浮かべて桜を見ている。
見開かれた目は丸くなり、牙の覗く口元をポカンと開けて、こちらを見ていた。
(乱暴な女の子、嫌いですか?)
ちょっと涙目になった桜だが、魁を襲ってくる鬼はムカつくので仕方ない。
「武器を持っていない魁さんに、物騒な刃物を向けないでっ!」
桜は叫ぶ。
実際、魁は丸腰だ。
巨大化して鬼となった魁にあるのは筋肉でバッキバキの腕と、長く伸びる鋭い爪だけ。
ムキムキの胸には裂けた着物が糸のように絡みついているだけで防御力はどうみても低い。
「いくら魁さんが丈夫でも、真剣で切りつけたら怪我するって分からない⁉ 鬼ってバカなの⁉」
興奮した桜は、その口撃は魁にも効く、ということに気付かないまま鬼たちを罵倒する。
「知るかっ! ニンゲンなんかと取引しようとする魁さまが悪いんだっ!!!」
青い鬼が空気読まずに桜へ向かって切りかかる。
「危ないっ!」
桜を庇おうとした魁の腕をギラギラと光る刃ものが滑っていく。
赤い糸のような筋が一筋、スッと出来たかと思うと赤い血がバッと噴き出した。
「魁さんっ⁉」
「大丈夫だから、桜さん。落ち着いて――――」
魁の声が遠くに聞こえる。
桜の体の内側が、カッと熱くなった。
バンッと何かが弾け飛ぶ感覚。
(魁さん――――)
桜を桜たらしめる意識の、もっと奥の方。
それが桜の意識を乗っ取るようにブワッと広がる。
「ウッ」
「なんだこの匂いは⁉」
鬼たちがざわめく。
「……桜……」
「桜っ!」
父と祖父の声が遠い。
(なに? これ……)
立ち尽くす桜の内側から勢いよく桃のような甘い香りが湧きたち応接間に広がっていく。
「あっ⁉」
「体がっ⁉」
「縮んでいく」
「鬼の姿が……とれない⁉」
甘い香りに包まれた鬼たちは、急速に弱体化していった。
桜は日本刀を持った鬼の前に飛び出たのだ。
(あり得ないっ! でも怖くないっ! 魁さんに手を出すヤツは許さんっ!)
応接間の天井に頭が届くほどデカい鬼たちは、背中を丸めて立っている。
日本刀も長いため、狭い室内では小回りが利かず、力任せに動くしかない。
自然とできる隙のある場所。
桜は鬼の懐へと滑り込むと手にした木刀を腹をめがけてぶち込む。
「おりゃっぁぁぁぁぁぁ!」
「桜さん⁉」
自分と敵との間に飛び込んできた桜に驚いた魁は体を引いた。
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁ」
腹に桜の一太刀を受けた鬼は思いのほかダメージを受けたようで体を二つに折って苦しんでいる。
(効かなきゃ効かないでムカつくけど、効果がありすぎると女子高生としては複雑~)
桜は魁を振り返った。
「大丈夫ですか?」
「あ……ああ」
魁は随分と大きくなった顔に分かりやすい表情を浮かべて桜を見ている。
見開かれた目は丸くなり、牙の覗く口元をポカンと開けて、こちらを見ていた。
(乱暴な女の子、嫌いですか?)
ちょっと涙目になった桜だが、魁を襲ってくる鬼はムカつくので仕方ない。
「武器を持っていない魁さんに、物騒な刃物を向けないでっ!」
桜は叫ぶ。
実際、魁は丸腰だ。
巨大化して鬼となった魁にあるのは筋肉でバッキバキの腕と、長く伸びる鋭い爪だけ。
ムキムキの胸には裂けた着物が糸のように絡みついているだけで防御力はどうみても低い。
「いくら魁さんが丈夫でも、真剣で切りつけたら怪我するって分からない⁉ 鬼ってバカなの⁉」
興奮した桜は、その口撃は魁にも効く、ということに気付かないまま鬼たちを罵倒する。
「知るかっ! ニンゲンなんかと取引しようとする魁さまが悪いんだっ!!!」
青い鬼が空気読まずに桜へ向かって切りかかる。
「危ないっ!」
桜を庇おうとした魁の腕をギラギラと光る刃ものが滑っていく。
赤い糸のような筋が一筋、スッと出来たかと思うと赤い血がバッと噴き出した。
「魁さんっ⁉」
「大丈夫だから、桜さん。落ち着いて――――」
魁の声が遠くに聞こえる。
桜の体の内側が、カッと熱くなった。
バンッと何かが弾け飛ぶ感覚。
(魁さん――――)
桜を桜たらしめる意識の、もっと奥の方。
それが桜の意識を乗っ取るようにブワッと広がる。
「ウッ」
「なんだこの匂いは⁉」
鬼たちがざわめく。
「……桜……」
「桜っ!」
父と祖父の声が遠い。
(なに? これ……)
立ち尽くす桜の内側から勢いよく桃のような甘い香りが湧きたち応接間に広がっていく。
「あっ⁉」
「体がっ⁉」
「縮んでいく」
「鬼の姿が……とれない⁉」
甘い香りに包まれた鬼たちは、急速に弱体化していった。
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