男前女子、美少女だと思って助けた鬼と契約結婚する羽目になる

天田れおぽん

文字の大きさ
14 / 20

第14話 あなたは怖くない

しおりを挟む
 急激に弱体化した鬼たちは、あちらこちらでバタバタと転がっていく。

「オレの筋肉がぁぁぁぁぁぁ!」
「力がぁぁぁぁぁ、体に力が入らないぃぃぃぃぃィィィイ!」
「角がっ、角が勝手に引っ込む……」

 うめき声のような悲鳴が上がる。

「むっ、これは異なこと」

 真鬼まきは鬼の姿から銀縁眼鏡の執事姿に戻っていた。

(執事服は破れなかったんだ。素晴らしいストレッチ性!)

 運転手も大柄なのはそのままだが鬼の姿から人の形になっていた。

「ぁ、これは……」

 ボロボロになった着物を腰のあたりでかろうじて止めている魁は、みるみるうちに縮んでいく体の変化についていけずにヨロりとよろめいた。

「危ないっ!」

 桜は思わず駆け寄って、魁の体を受け止めた。

(お、思わず……体が動いてしまったぁぁぁぁぁ)

 左手で木刀を持っているので、右腕で抱き寄せるような形となった。
 みるみるうちに鬼の体から人間の体になった魁の体は白く細い。

(な、なんか変な感じになっちゃったな)

 桜はドキドキを誤魔化すように魁を助け起こしながら声をかけた。

「大丈夫ですか?」
「え……あ、大丈夫です」

 魁は目をぱちくりさせながらスッと立った。

「えっと……桜さんは、僕のことが怖くないのですか?」
「ふわぁ?」

 今度は桜が目をぱちくりさせる番だった。

「怖いって……魁さんが、ですか?」
「はい」
「何でですか?」

 桜は首を傾げた。

「何でって……僕、鬼なのに……」
「ん。それはさっき聞きました」
「いやでも、角だけ出した時とは違って巨大化したから……ちょっと引かれちゃったかな、と……」
「え? 何でですか?」

 桜は全く分からないといった様子でキョトンとしている。

「普通の人間は鬼を怖がるから……」

 魁は戸惑っているようだ。

(何を言わんとしているのかマジでワカラン)

「だって、魁さんは魁さんじゃありませんか。怖くなんてないですよ」

 桜はキョトンとしたまま、思ったままを口にした。

「あ……え……え?」

 戸惑う魁を見て、真鬼まきは後ろを向いて肩を揺らしている。
 どうやら笑っているようだ。
 運転手も口元を押さえて目を丸くしてこちらを見ている。

(えーと。どういう反応?)

 桜が首を傾げる後ろで、祖父と父が苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべて桜と魁とを見比べていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。 そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。 双子の妹、澪に縁談を押し付ける。 両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。 「はじめまして」 そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。 なんてカッコイイ人なの……。 戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。 「澪、キミを探していたんだ」 「キミ以外はいらない」

冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?

由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。 皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。 ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。 「誰が、お前を愛していないと言った」 守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。 これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。

手を伸ばした先にいるのは誰ですか~愛しくて切なくて…憎らしいほど愛してる~【完結】

まぁ
恋愛
ワイン、ホテルの企画業務など大人の仕事、そして大人に切り離せない恋愛と… 「Ninagawa Queen's Hotel」 若きホテル王 蜷川朱鷺  妹     蜷川美鳥 人気美容家 佐井友理奈 「オークワイナリー」 国内ワイナリー最大手創業者一族 柏木龍之介 血縁関係のない兄妹と、その周辺の何角関係…? 華やかな人々が繰り広げる、フィクションです。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

「やはり鍛えることは、大切だな」

イチイ アキラ
恋愛
「こんなブスと結婚なんていやだ!」  その日、一つのお見合いがあった。  ヤロール伯爵家の三男、ライアンと。  クラレンス辺境伯家の跡取り娘、リューゼットの。  そして互いに挨拶を交わすその場にて。  ライアンが開幕早々、ぶちかましたのであった。  けれども……――。 「そうか。私も貴様のような生っ白くてか弱そうな、女みたいな顔の屑はごめんだ。気が合うな」

最後に、お願いがあります

狂乱の傀儡師
恋愛
三年間、王妃になるためだけに尽くしてきた馬鹿王子から、即位の日の直前に婚約破棄されたエマ。 彼女の最後のお願いには、国を揺るがすほどの罠が仕掛けられていた。

魔法のいらないシンデレラ 3

葉月 まい
恋愛
魔法のいらないシンデレラVol.3 『魔法のいらないシンデレラ』シリーズ Vol.3 ー幸せな家族の形とは?ー 可愛い子どもに恵まれた瑠璃と一生は、 また新たな赤ちゃんを迎えようとしていた。 幸せを感じながら、少しずつ 家族の絆を深めていく二人。 そして、二人の近くで始まった 新たな恋の物語とは… 『魔法のいらないシンデレラ』 『魔法のいらないシンデレラ 2』に続く シリーズ第3弾 どうぞお楽しみください! *・゜゚・*:.。..。.:*・'登場人物'・*:.。. .。.:*・゜゚・* 神崎 瑠璃 (29歳)… 一生の妻 神崎 一生 (35歳)… ホテル 総支配人 高岡 小雪 (24歳)… 保育士

処理中です...