【完結】煌めくままに恋しよう

天田れおぽん

文字の大きさ
24 / 40

第24話 楽しい♪ 買い食い

しおりを挟む
 たこ焼きの長い列の向こうには、寮母の金之助きんのすけの姿があった。
 色白マッチョな体に白い長そでのシャツにベージュの長ズボンを履き、麻袋のようなエプロンをつけている。
 頭にはベージュのサファリハットをかぶっていて、首元には赤いバンダナを巻いている金之助きんのすけが右手を顔の横にあげて陽気に声をかけてきた。

「よう、君たちも来たんだね」
「こんにちはー寮母さん」

 真城はニコニコして機嫌よく挨拶を返した。
 坂下は金之助きんのすけの姿を上から下まで眺めて感心したように言う。

「こんにちはー。金之助きんのすけさん、完全防備っすね」
「ああ。君らは若いからいいけど、年いってくると紫外線もきついし、虫刺されの後も治りにくくなるからねー。僕は守るよぉ~」
「こんにちはー。でも長袖、暑くないっすか?」

 おどけたように答える金之助きんのすけの袖口あたりをまじまじと眺めて、黒江は聞いた。

「ハハッ。まー長袖でも、半袖でも、暑いもんもは暑いしねー。でも涼しい素材だし、防虫機能もついてるから便利なんだよー」
「えー、それいいなー」

 真城が羨ましそうにすると金之助きんのすけは笑った。
 男らしいが全身のマッチョさに比べると細めのアゴの下で、帽子の紐がゆらゆら揺れている。

「親御さんに言って買ってもらいなよ。ココで生活していく上では便利だよ。虫除け代もバカにならないしね」
「オレ、そうしよー」

 真城が言うと黒江が揶揄うように言う。

「でも真城は親に言うのを忘れるんだろ?」
「あり得る―」

 黒江と坂下に突っ込まれた真城は、ペイペイと2人の頭を軽くはたいた。
 金之助きんのすけが、ケラケラと笑いながら聞く。

「で、何にするの?」
「たこ焼きくださーい」

 真城が元気よく答えると金之助きんのすけが確認する。

「どれ? 普通のでいいの?」
「はい、普通のをひと舟ずつください」
「あいよ」

 黒江の答えを聞きながら、 金之助きんのすけが手際よくたこ焼きを盛っていく。

「わぁー美味しそう」

 真城は目を輝かせた。

「ほい。ひと舟、100,000陸の孤島学円ね」
「じゃこれで」

 黒江が代表して300,000陸の孤島学円を差し出した。

「はい、ありがとう」
 
 文化祭通貨を受け取ってクルッと後ろを向いた金之助きんのすけのバンダナを巻いた首もとには、デカいオニヤンマのブローチがデーンとついていた。
 
「うわっ、カッコいいっ!」
「ホントカッコイイッすね、金之助きんのすけさん」

 真城が称賛の声を上げ、坂下がそれに賛同すると、金之助きんのすけが嬉しそうに言う。

「あ、これ? 自然科学部の屋台で買ったんだ」
「そんなのも売ってるんですね」

 黒江も興味津々だ。

「うん、そうだよ。面白いから色々と見て回ってみるといい」
「はい、そうします。ありがとうございましたー」

 真城が元気に言うと、黒江と坂下は軽く会釈して屋台を後にした。

「面白そうだよねー、どこ行く? どこ行く?」
「落ち着け、真城。まずはたこ焼きを食え」
「うん」

 黒江にうながされて、真城はたこ焼きを1つ口に放り込んだ。

「アチッ! でもウマッ!」
「うん、うん。美味しい、美味しい」

 坂下も嬉しそうに食べている。
 真城は不思議そうに黒江を眺めた。

「黒江はたこ焼き、熱くないの?」

 黒江は無言でむしゃむしゃとたこ焼きを咀嚼している。

「ん、そんなこともないけど……まぁ、普通」
「普通なのか」

 真城は黒江と同じようにして食べてみた。

「アチッ! やっぱりあちぃよ!」

 大騒ぎする真城を見て、黒江と坂下は腹を抱えて笑った。

「なぁ、金之助きんのすけさんに張り付いてたオニヤンマ、アレじゃね?」

 真城と黒江は、坂下が指さすほうを見た。

「それっぽいな」

 黒江が目をすがめながら言う横で、真城は「じゃ、いってみようぜー」と言いながらたこ焼き片手に、その屋台目指して歩き出した。
 黒江が慌ててその後を追う。

「おいおい、お行儀悪いぞ」
「そうだよ、真城。ソースとか商品に付けちゃったら怒られるぞ」
「大丈夫、大丈夫。坂下は細かいよ」

 真城たちは、それぞれにたこ焼きを手に持って、自然科学部の屋台を目指した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】恋い慕うは、指先から〜ビジネス仲良しの義弟に振り回されています〜

紬木莉音
BL
〈策士なギャップ王子×天然たらし優等生〉 学園の名物コンビ『日南兄弟』は、実はビジネス仲良し関係。どんなに冷たくされても初めてできた弟が可愛くて仕方がない兄・沙也は、堪え切れない弟への愛をSNSに吐き出す日々を送っていた。 ある日、沙也のアカウントに一通のリプライが届く。送り主である謎のアカウントは、なぜか現実の沙也を知っているようで──? 隠れ執着攻め×鈍感受けのもだキュンストーリー♡ いつもいいねやお気に入り等ありがとうございます!

義兄が溺愛してきます

ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。 その翌日からだ。 義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。 翔は恋に好意を寄せているのだった。 本人はその事を知るよしもない。 その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。 成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。 翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。 すれ違う思いは交わるのか─────。

地味メガネだと思ってた同僚が、眼鏡を外したら国宝級でした~無愛想な美人と、チャラ営業のすれ違い恋愛

中岡 始
BL
誰にも気づかれたくない。 誰の心にも触れたくない。 無表情と無関心を盾に、オフィスの隅で静かに生きる天王寺悠(てんのうじ・ゆう)。 その存在に、誰も興味を持たなかった――彼を除いて。 明るく人懐こい営業マン・梅田隼人(うめだ・はやと)は、 偶然見た「眼鏡を外した天王寺」の姿に、衝撃を受ける。 無機質な顔の奥に隠れていたのは、 誰よりも美しく、誰よりも脆い、ひとりの青年だった。 気づいてしまったから、もう目を逸らせない。 知りたくなったから、もう引き返せない。 すれ違いと無関心、 優しさと孤独、 微かな笑顔と、隠された心。 これは、 触れれば壊れそうな彼に、 それでも手を伸ばしてしまった、 不器用な男たちの恋のはなし。

なぜかピアス男子に溺愛される話

光野凜
BL
夏希はある夜、ピアスバチバチのダウナー系、零と出会うが、翌日クラスに転校してきたのはピアスを外した優しい彼――なんと同一人物だった! 「夏希、俺のこと好きになってよ――」 突然のキスと真剣な告白に、夏希の胸は熱く乱れる。けれど、素直になれない自分に戸惑い、零のギャップに振り回される日々。 ピュア×ギャップにきゅんが止まらない、ドキドキ青春BL!

あなたのいちばんすきなひと

名衛 澄
BL
亜食有誠(あじきゆうせい)は幼なじみの与木実晴(よぎみはる)に好意を寄せている。 ある日、有誠が冗談のつもりで実晴に付き合おうかと提案したところ、まさかのOKをもらってしまった。 有誠が混乱している間にお付き合いが始まってしまうが、実晴の態度はいつもと変わらない。 俺のことを好きでもないくせに、なぜ付き合う気になったんだ。 実晴の考えていることがわからず、不安に苛まれる有誠。 そんなとき、実晴の元カノから実晴との復縁に協力してほしいと相談を受ける。 また友人に、幼なじみに戻ったとしても、実晴のとなりにいたい。 自分の気持ちを隠して実晴との"恋人ごっこ"の関係を続ける有誠は―― 隠れ執着攻め×不器用一生懸命受けの、学園青春ストーリー。

【完結】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗
BL
この世界には、二つの特別な称号を持つ者たちが存在する。 一つは、絶対的な権力を持つ王の称号――ルガル(lugal)。 もう一つは、ルガルと対をなし、その力を補う「番」――ムル(mul)。 ルガルは生まれながらに選ばれし存在。 国家からエリート教育と地位を与えられ、能力に応じて厳格なランク分けが行われる。 最上位のルガルは、政治さえも動かす絶対者だ。 一方で、ムルは生まれた瞬間にはその正体がわからない。 遺伝子検査や学力テストを経て候補が絞られるが、 最終的に「真のムル」かどうかを見極められるのは――ルガルだけ。 ムルが覚醒したとき、同じ場所に「紋章」が現れ、その瞬間から、ルガルとムルの力は共鳴し始める。 ムルの能力はルガルの力を最大限に引き出す。 ゆえにルガルたちは、自らのムルを求め、時には他人のムル候補を奪い合う。 そして、すべての出生データと遺伝情報を管理するのは、 巨大企業イルジオン――国家をも超える存在。 その頂点に立つ社長、一条レイ。 冷徹なルガルの頂点に君臨する彼が「自分のムル」と出会った。

【完結】俺とあの人の青い春

月城雪華
BL
 高校一年の夏、龍冴(りょうが)は二つ上の先輩である椰一(やいち)と付き合った。  けれど、告白してくれたにしては制限があまりに多過ぎると思っていた。  ぼんやりとした不信感を抱いていたある日、見知らぬ相手と椰一がキスをしている場面を目撃してしまう。  けれど友人らと話しているうちに、心のどこかで『椰一はずっと前から裏切っていた』と理解していた。  それでも悲しさで熱い雫が溢れてきて、ひと気のない物陰に座り込んで泣いていると、ふと目の前に影が差す。 「大丈夫か?」  涙に濡れた瞳で見上げると、月曜日の朝──その数日前にも件の二人を見掛け、書籍を落としたのだがわざわざ教室まで届けてくれたのだ──にも会った、一学年上の大和(やまと)という男だった。

【完結】いいなりなのはキスのせい

北川晶
BL
優等生×地味メンの学生BL。キスからはじまるすれ違いラブ。アオハル! 穂高千雪は勉強だけが取り柄の高校一年生。優等生の同クラ、藤代永輝が嫌いだ。自分にないものを持つ彼に嫉妬し、そんな器の小さい自分のことも嫌になる。彼のそばにいると自己嫌悪に襲われるのだ。 なのに、ひょんなことから脅されるようにして彼の恋人になることになってしまって…。 藤代には特異な能力があり、キスをした相手がいいなりになるのだという。 自分はそんなふうにはならないが、いいなりのふりをすることにした。自分が他者と同じ反応をすれば、藤代は自分に早く飽きるのではないかと思って。でも藤代はどんどん自分に執着してきて??

処理中です...