1 / 4
プロローグ
プロローグ
しおりを挟む小雨が降り注ぐ。
糸のように巻きながら、白く輝く雨粒は肌を突き刺すように地面に落ち、崩れる。
清々しいように頭蓋に響く雨音に伴い、心に染み込んでいくように感じた。汚くなった心は、そのせいか洗浄されていくようだった。
「地獄しか、進む道はない、か……」
頬を流れる水は、雨か否か。もはや、自分でも分からなかった。
西暦4020年。
此の国には、「神の王国」と謳われた死の国があった。
人類は当時、巨大に進化を遂げた化学の為か大気汚染が大量に流行している時期だった。それにより、体に毒なものが体内に入り、人口の約四割を失った。その丁度に、王国は現れ人々は口を揃えて「神の罰だ」と語った。そして、神の王国は別名、「大罪の王国」とも呼ばれている。
急速に進歩した化学でもなし得ない王国は、毒を世界各国にばら撒き、更なる繁殖を増やした。そんな真っ只中、ある国にある科学者である「ファントム・エルジャー」という男が過去、不可能とされていた「錬金術」を成功させた例があることに世界は注目した。元は「嘘」として扱われた錬金術に、世界は縋ったのだ。
ファントムは、確かに錬金術を成功させていた。しかし、それはまだ不完全で力を使おうとすれば多くの人の命を奪う兵器にもなりかねなかった。
だが、世界はそれを「良し」として口を揃えた。
ファントムは、その言葉を受け入れ、苦をしながら、錬金術を機能させ、兵器を造った。
錬金術で創造した兵器は、化学でも成功させなかった王国の凍結「封印」をした。それまで流行していた毒は後を絶ち、世界は歓喜にあふれた。
その一方、ファントムは兵器を造った代償として、自分の命を無にした。
葬儀は盛大に行われた。
人々はファントムに感謝し、感激した。
西暦四4301年。兵器は世界から姿を消した。当時、それは多くの反響の波紋を広がせ、老若男女含め大きな話題となった。これから王国はどうするのか、それが今後の政府の大きな問題となり得た。
しかし、西暦4500年。後の世界は、ファントムの死後あるものを発見した。
————「妖術」である。
元の原型は、特定の人が持ち得る「霊術」と「錬金術」が融合したものである。世界はそれを有効に使用した。完全なる錬金術の代わりになるように妖術を研究し、進歩させ、5000年になる頃にはほぼ錬金術と同等なものとなった。
しかし、それはある「一時的」なモノでしかなかった。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
どうぞ添い遂げてください
あんど もあ
ファンタジー
スカーレット・クリムゾン侯爵令嬢は、王立学園の卒業パーティーで婚約もしていない王子から婚約破棄を宣言される。さらには、火山の噴火の生贄になるように命じられ……。
ちょっと残酷な要素があるのでR 15です。
婚約破棄をしておけば
あんど もあ
ファンタジー
王太子アントワーヌの婚約者のレアリゼは、アントワーヌに嫌われていた。男を立てぬ女らしくないレアリゼが悪い、と皆に思われて孤立無援なレアリゼ。彼女は報われぬままひたすら国のために働いた……と思われていたが実は……。
転生後はゆっくりと
衣更月
ファンタジー
貧しい集落で生まれたリリは、生まれた瞬間から前世の記憶があった。
日本人特有の”配慮”に徹した赤ん坊を演じていたことで、両親から距離を置かれた挙句、村人からも「不気味な子」として敬遠されることに…。
そして、5才の誕生日に遠くの町に捨てられた。
でも、リリは悲観しない。
前世の知識チートは出来ないけど、大人メンタルで堅実に。
目指すは憧れのスローライフが出来るほど、ほどほどの守銭奴としてリリは異世界人として順応していく。
全25話(予定)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる