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目次
はじめに
第一編 民法
第一部 わかる民法
序論
総則
第一節 権利能力
第二節 時効制度
第三節 代理制度
物権法
第一節 所有権
第二節 占有権
第三節 共有
第四節 地上権
第五節 担保物権
債権法
第一節 債権総論
第二節 連帯債権及び連帯債務
第三節 保証制度
第四節 債権各論
第五節 不法行為及び不当利得
親族法
第一節 親族総側
第二節 婚姻
第三節 親権
第四節 後見相続法
相続法
第一節 相続
第二節 相続欠格事由
第三節 相続分
第四節 代襲相続
第五節 寄与分
第六節 承認及び放棄
第七節 遺言
第八節 遺留分
第二部 民法重要論点
第一章 任意後見制度
第二章 所有と占有
第三章 特定物債権と種類債権と選択債権
第四章 委任と請負ならびに不法行為
第五章 特別受益者
第三編 労働法
第一章 労働法とは?
第一節 労働法の意味
第二節 労働基準法
第三節 労働契約法
第四節 労働組合法
第二章 働く人の権利
第一節 基本権
第二節 請求権
第三節 解雇されない権利
第三章 知っておきたい規定
第一節 療養時
第二節 退職時
第三節 緊急時
第四章 トラブルが起きたとき
第一節 懲戒
第二節 解雇
おわりに
用語解説
第四編 破産法
第一章 借金とは?
第一節 民法上の借金
第二節 貸金業としての借金
第三節 借金に関する諸法令
第二章 借金の解決策
第一節 債務整理
第二節 自己破産
第三節 弁済
第四節 弁護士相談
第三章 破産した場合
第一節 破産による不利益
第二節 破産時の対応
第四章 避けるべき行為
第一節 法令遵守
第二節 原則
おわりに
番外編 最後の助け舟破産法
おわりに
はじめに
本書は、あなたが法律の森に入るに当たって迷わないための指針となるものです。今後法律の道に迷ったらその都度読み返してみてください。きっと民法の道標となり森を抜けられるときが来ます。読者の方には、法律に苦手意識を持ってほしくないので、本書を読んで法律を得意分野にしていただきたいです。わたし自身民法を学習するうえで自信を持って取り組むためには、やはり基本となる法律の柱を理解するのが重要だと思いますので、本書を読んで法律の骨子を把握していただきたいと思います。本書は、法律を学ぶ際の参考書として使ってください。本書が法律系資格受験生の方にとり役に立ち有益なものとなれば、筆者としてはこのうえなく嬉しいです。ぜひ最後まで読んでいただきあなたの法律学習の一助にしていただきたいと思います。
第一編 民法
第一部 わかる民法
序論
本書は、民法初学者が初めて民法を学ぶのに参考となり、理解がしやすくなるようにするための民法解説書です。きっとあなたの民法への得意意識に繋がり単位も取りやすくなると思います。民法は、私人間の権利関係の取り決めについて規定している法律です。遡ると歴史は古くローマ法などに遡ります。ドイツやフランスなど外国にも独自の体系で存在します。我が国では、明治から大正にかけてボアソナーロらによって起草されました。はじめ我が国では、フランス民法に倣って作られそうでしたが、日本の風土に合わない事を理由に廃止され、ドイツ民法に倣って作られる運びとなりました。以下、本記事では民法と呼びます。民法は、大きく分類すると総則、物権、債権、及び親族相続法に分かれます。本記事では、これらの主要な項目を平易に解説するものです。
総則
第一節 権利能力
総則では、私人や法人の権利能力について規定しています。例えば、制限行為能力者制度や宗教法人、社会福祉法人などの法律で権利を与えられた権利能力者です。その他、任意後見制度や私権は出生にはじまるという言葉に表せられる権利関係など。以下、簡単に説明します。制限行為能力者とは、事理弁識能力が通常の人に比べてわずかな自然人に、法律上特別な権利を与えて保護するものです。例えば、後見、保佐、補助などの支援です。これらの支援を受ける人をそれぞれ被後見人、被保佐人、被補助人といい契約を取り消したり不利な契約をしないようにできます。法人とは、株式会社など登記して、届け出ることによって、権利能力が与えられた財団などをさします。任意後見制度とは、著しく事理弁識能力が低下した高齢者などに、任意で法定代理人となれる後見人を選任する制度のことをいいます。権利関係とは、例えば、胎児には遺産を相続したり贈与を受けたり損害賠償請求をする権利があるかどうかという取り決めのことです。結論としては、胎児にはこれらの権利が与えられています。これにより胎児は、遺産相続権や損害賠償請求をする権利が与えられています。例えば、胎内にある間に父親が死亡したり殺害されたりした場合です。これらの場合に備えて、生まれたものとみなすのです。ここで登場したみなすという言い方は、法律では度々用いられますがその意味は、そうであると確定したものと考えるという意味です。それに対し、推定するという言い方もありますが、こちらは確定したものとは考えずにそうであるだろう程度に考えることであり、反証があれば覆される性質のものをいいます。
第二節 時効制度
総則の中で重要なものの一つに時効というものがあります。時効は、一定の期間、他人のものを占有した場合に所有権を取得する制度です。例えば、他人の土地の一部を公然と使っていた場合に、善意の場合は10年悪意の場合は20年で所有権を取得できるなど。ここでいう善意と悪意とは、事情を知らないのを善意といい、事情を知っているのを悪意といいます。この時効制度の存在する理由は、ある一定の間続いた状態を尊重して法律状態を安定させようとする趣旨です。
第三節 代理制度
もう一つ重要な項目として代理制度があります。代理とは、他人に代理権を与えることにより、その代理人と相手方と契約を結んだ場合、自分にその契約の法律効果が発生する制度です。この代理の態様の一つに表見代理というものがありますが、簡単に説明しますと、表見代理とは、自分が表見代理人に代理権を与えていないにもかかわらず、その人が第三者とあたかも自分との間に外観状、代理権があるかのように契約を結んだ場合、相手方が善意かつ無過失の場合には、自分との間に契約が成立してしまうことです。
物権法
第一節 所有権
物権に代表される考え方には、所有権や占有権、抵当権や質権などの担保物権があります。所有権は、動産と不動産に分かれます。動産とは、バッグやサイフなどの動かせる財産をいい、所有権の対抗要件は引き渡しとなっています。引き渡しには簡易の引き渡しと言われるものや占有改定と言われる方式などもあります。占有改定とは、自己が占有している他人の動産を所有権者が所有権を譲る意思表示をした場合にその所有権を取得することをいいます。不動産は家や土地などの動かない財産のことをいい、対抗要件は登記です。登記とは登記所に行って登記官に申請することでできます。登記簿の権利欄に記されている人は、その不動産の所有権があります。尚、登記は登記義務者と共にか、登記義務者の承諾書があれば単独でできます。ここでいう対抗要件とは、第三者などの所有権を主張するものに対して自分の所有物であることを主張する条件や根拠のことをいいます。所有権とは、これらの財産を自由に使用したり、処分したり、売却したり、収益をえたりすることができる権利のことをいいます。つまり、財産を支配できる権利のことです。
第二節 占有権
占有権は、例えば、預かっているお金やサイフなど、自分では自由に処分する権利がないが所持する権利のことをいいます。代表的な占有権には、盗人の所持している盗んだバッグなど。これは所有権はないですが便宜上占有権が認められています。これらの権利の考え方には、一物一権主義というものがあります。どういうことかといいますと、自分が持っているサイフやバッグには、自分の所有権という一つの権利しか認めないという考え方です。だから、盗人が他人から盗んだバッグやサイフには、盗人にしか占有権は認められず、所有権は真実の所有権者にしかありません。なぜこういう考え方をするのかといいますと、それは一つの物の客体に対して、いくつもの権利を認めると、法律関係が複雑になり、いったいその物の真の権利者は誰なのかが分からなくなるのを避けるためです。
第三節 共有
もう一つ所有権の態様として共有がありますが、共有とは一つの財産に対して、他人と共に持ち分を分けて所有することです。例えば、同じ建物を共有者どうしで利用するなど。この場合、通常は各共有者は持ち分にかかわらず共有物全体を利用することができます。ただし、売却する際などは、持ち分に応じて収益を分けることになります。また、共有相手の持ち分に相当する価額の金銭を共有者に提供することで共有物を自己所有物にすることもできます。一見すると、この共有は一物一権主義に反するようにみえますが、持ち分として所有するにすぎないので問題はありません。
第四節 地上権
地上権は、他人の土地の利用をすることができる権利です。法定地上権とは、抵当権が設定されたときに建物が建っていた場合に、土地の所有者と建物の所有者が同一である場合に、土地が競落されて他人の所有物となった場合に、建物の所有権者に地上権を認める制度のことをいいます。この制度のある理由は、土地競落後の建物の所有権者に地上権を認めないと、極めて不安定な状態になってしまうからです。
第五節 担保物権
抵当権や質権などの担保物権とは、金銭の融資を受ける際に担保として、抵当権は土地や建物に、質権ならスマホや腕時計などの動産に設定して、もしも期日までに返済されなかった場合、これらの財産を差し押さえる事により弁済をうけられます。これらの担保があれば、他の債権者に優先して弁済を受ける権利があります。抵当権は、一つの土地などの不動産に対して、何人ものひとが登記することで設定できます。その先順位にしたがって、第一順位、第二順位などといわれます。通常の場合、第一順位者から優先して弁済をうけられるので、先順位者は後順位者に対して金銭の対価を得るなどして譲ることができます。質権の特徴としては、債権者は、債務者から弁済を受けれない場合は、質物の所有権を取得できることです。これを質流れといいます。又質というものもありますが、これは預かっている質物の占有権を第三者に譲渡することです。物権のなかに先取特権という権利が規定されていますが、先取特権とは、特定の債務に対して有する複数の債権がある場合に、他の債権者に優先して弁済を受けることができる権利のこと。例えば、雇用関係から生じる給料や葬儀代などについて、他の債権者に優先して所有権を得られるための権利。これらの権利が与えられる理由は、一般の債権者よりも、より必要性の高い事物にかかる債権だから。他にも、不動産の賃料や宿泊客の所持品に対する先取特権などがありますが、これらも債権として回収する必要性が高く、一般の債権者よりも優先して弁済を受けるのが妥当だから。
債権法
第一節 債権総論
債権とは、売買の場合において目的物を相手方に引き渡した場合に相手方に金銭を支払うように請求する権利のことをいいます。請求する場合は、金銭による場合と種類債権と言って、米など特別な目的物にすることもできます。その場合、もしも品質を示さなかったら中等の品を用意しなければなりません。債権は物権と違い相対的であり、特定な債務者に特定の債務を負わせ、請求できるものにすぎません。債権者は債務者が有する給料や売買の金銭などの債権を、債務者に代わって請求することができますが、その権利のことを債権者代位権といいます。ただし、その債務者の年金や身体への傷害などによる損害賠償請求権などの、一身上の債権には代わることはできません。通常は、債務者は債務の履行をして債権者に弁済しなければなりませんが、わざと債権者を害する意思を持って第三者に金銭や土地や貴金属などの担保となる資産を譲渡したり、処分する場合がありますが、その場合には、債権者はその取引を取り消す権利があり、それを詐害行為取消権といいます。
第二節 連帯債権及び連帯債務
債権において重要なものに、複数の人が関わる債権債務関係があります。それには、それぞれ連帯債権、連帯債務があります。連帯債権は、債務者に対して複数の人が同じ債権を有する場合に、債務者はその中の誰にでも弁済でき、債権者たちは、誰でも債務者に履行の請求をする権利があります。連帯債務は、複数の人が分けられる性質の債務を共に有している場合に、債権者は一部でも全体でも、一人にでも複数人にでも、あるいは全員にでも、債務の履行を請求できる債務。
第三節 保証制度
重要なものに保証があるが、これは、連帯保証と保証の二種類があります。それぞれ保証人と連帯保証人に分かれます。保証の場合は、債権者は保証人に債務の履行を請求する場合に、保証人はまず主たる債務者に請求させたり、弁済に資する財産を持っていることを主張できますが、連帯保証人にはそれらの権利はなく、債権者に債務の履行を迫られたら弁済する義務があります。
第四節 債権各論
債権がなくなる要因はいくつかあり、通常の場合は弁済によりますが、ほかにも別の債務に置き換える更改や、お互いに持っている異なる債権債務を打ち消し合う相殺や、債務を免れさせる免除や、相手の持っている債権を自分が取得した場合の混同があります。債権で必須の概念に契約があります。例えば、売買や贈与など。
重要な契約に消費貸借契約、使用貸借契約、賃貸借契約があります。消費貸借契約は、金銭や食料品など消費できるものを、貸付け後に同等の目的物を引き渡す契約であり、現実に消費物を提供したときに効果が生じます。使用貸借契約は、図書館の本や知り合いから無料で借りた漫画などの、金銭を介さずに無償で使用させる目的で貸す契約をいいます。返す時は現状のままで、相当の期間使用したら貸し手に引き渡します。賃貸借契約は、車や建物などの財産を、借り手が貸主に金銭を交付して利用することを約束する契約であり、大きく分けると動産と不動産に分かれます。不動産の場合は、借地借家法が適用されます。借り主は、登記をして対抗要件を具備したり、建物に造作を加えたり、貸主に修繕させたり、所有者の第三者による不法占拠などの妨害をやめさせたりする権利を行使したりできます。借りるときに払う敷金とは、あらかじめ家賃の滞納や故意又は過失による損傷を賠償する担保として払う金銭のこと。他の契約に雇用、請負、委任があります。雇用は、コンビニなどで働く際の契約であり、請負は、大工さんが建物を建てるのに対して、金銭を払う契約であり、委任は弁護士などに訴訟代理を任せる場合がこれに当たります。
第五節 不法行為及び不当利得
債権の最後に出てくる不当利得と不法行為があります。不当利得は、法律効果がないのに利得することで、お釣りを多く貰う事などがあります。これは、返還しなければなりません。不法行為は、故意か過失により他人の法律上保護されている権利を侵害することで、例えば、自動車でぶつかり怪我を負わせるなど。こちらは、損害賠償をしなければなりません。
親族法
第一節 親族総側
親族は血族、配偶者、姻族に分類されています。血族とは、血の繋がりがある親族をいい、配偶者は婚姻した相手のことで、姻族とは婚姻により親族となった血の繋がりがない親族のこと。親族法には、二親等や三親等という数え方がありますが、これはどの程度血の繋がりなどの親近性があるかを示す指標として用いられますが、数え方は夫婦の間や、一つ子から親などに遡ったり、一つ親から子へ降りたりする際に、一つと数えてその数に親等をつけます。例えば、自分から見ていとこは自分から親で一、親からまたその親で二、そこから自分の親の兄弟に一つ降りて三、そこからまた自分のいとこに一つ降りて四となり、自分から見ていとこは四親等内の血族となります。ちなみに三親等内の血族とは婚姻できないので四親等内のいとことは結婚できます。これは、それなりに血が離れているからであり、近親婚を避けるためです。
第二節 婚姻
現行法では男は18歳、女は16歳にならなければ結婚できず、結婚して配偶者がいる者も重ねて他の人と結婚することはできません。未成年者は、親の同意がなければ結婚できませんが、父が母一方のみの同意があれば結婚できます。未成年で結婚した場合は、成年に達したものとみなされます。ただし、飲酒やタバコは20歳にならなければ許されません。結婚した者は結婚相手と話し合いのうえで離婚することができます。その場合、子のために養育する者を定めます。また、相手に財産を分けるように請求することができます。姓名は前の氏に戻すことができます。以下の事情がある場合は裁判所に訴える方式で離婚を請求することができます。配偶者に不貞な行為があったとき、配偶者から悪意で遺棄されたとき、配偶者の生死が三年以上明らかでないとき、配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
第三節 親権
婚姻中に生まれた子は嫡出と推定されますが、父は否認することができます。嫡出とは婚姻している者との間に生まれた子のこと。子が成年するまでに父は認知をすることができ、そのことにより子は嫡出の身分を得ます。成年に達した者は養子ができますが、自分より年上のものや親等が上の者は養子にできません。配偶者がいる場合は同意がいります。親には子に対して親権があり、養育し教育する必要があります。話し合いや裁判で離婚する場合は、親の一方を親権者に定めます。利益相反行為といって、親権を行う者と子の利益が相対立する行為をする場合は、親権者は特別な代理人を裁判所に請求しなければなりません。例えば、子の所有する土地などを親権者が買い取る場合など。親権者は子の職業を許可したり、住む場所を定めたり、財産を管理したりします。ただし子の利益を考えて、不適切な場合は親権を失ったり、停止される場合があります。子に親権を行うものがいない場合や、審判があった場合は、後見人が選任されます。
第四節 後見
後見人は、子の財産を管理し代表して事務をとる義務があります。最後に親権を行なっていた者は、遺言で後見人を監督する者を指定できます。保佐や補助なども家庭裁判所の審判によって、それぞれ保佐人と補助人が指定され、それぞれ保佐人と補助人を監督する監督人も必要に応じて家庭裁判所により指定されます。それぞれ被保佐人や被補助人がする特定の法律行為の代理権を与えられます。例えば、土地などの高額な財産の売買や賃貸契約や金銭消費貸借契約がこれにあたります。扶養といって親子の直系血族や兄弟姉妹には助け合う義務があります。また、三親等内の親族にも、場合によっては家庭裁判所の審判により扶養義務があたえられます。
相続法
第一節 相続
相続は、死亡によって開始します。場所は被相続人の住所において開始します。先ほども述べましたが、胎児は、相続については、既に生まれたものとみなされます。ただし、胎児が死体で生まれてしまったときは、適用されません。ここで言う被相続人とは、亡くなって、その財産を相続人に承継させる者のことです。被相続人の子は、相続人となる権利があります。もしも子もいなかったら、被相続人の親が、親もいない場合は、兄弟姉妹が相続されるべき人となります。被相続人の配偶者は、常に相続人となります。この場合、被相続人の子がいた場合にも、配偶者はその子と同じ順位に扱われます。つまり子たちが受ける相続分と同じ優先順位となります。相続人は、相続開始の時から、被相続人の負債から資産までの一切の権利義務を承継します。ただし、被相続人の年金などの本人自身に帰属する権利は除かれます。相続されるべき人が数人あるときは、相続されるべき財産は、その共有に属します。
第二節 相続欠格事由
次に挙げる人は、相続人となることができません。わざと被相続人と自分より先に相続を受ける権利のある者か、自分と等しい相続権を持つものを亡くならせようとした者。被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。先に挙げた者たちを死に至らせようとした者を告発しない場合も相続できません。また、詐欺又は強迫によって相続人に遺言を変えさせたり、遺言を変えさせた者も相続できなくなります。また、相続を受けるべき者が、被相続人に対して虐待をしたり、これに重大な侮辱を加えたときや、その人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その相続を受けるべき者を相続の対象から除外することを家庭裁判所に請求することができます。これを廃除といい、被相続人が遺言で相続を受けるべき者を廃除する意思を表示したときは、遺言を執り行う者は、その遺言が効力を生じた後、すぐにその相続を受けるべき者の廃除を家庭裁判所に請求しなければなりません。この場合に、その相続を受けるべき者の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生じますが、被相続人は、いつでも、相続を受けるべき者の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができます。
第三節 相続分
それぞれの相続を受けるべき人は、その相続分に応じて被相続人の資産や負債を受け継ぎます。同じ順位の相続を受けるべき者が競合した場合は、以下のように分けます。子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とします。配偶者及び被相続人の親が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、親の相続分は、三分の一とします。配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とします。子、両親又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとします。相続を受ける者の中に、被相続人から、生前贈与などを受けていた場合、その分だけ相続分から控除されます。この場合、贈与の価額が全部の相続分と同じか、それを超える場合は、その相続分を受けることができません。
第四節 代襲相続
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを受け継いで相続人となりますが、これを代襲相続といいます。代襲して相続人となる子の相続分は、その親が受けるべきであったものと同じとします。被相続人は、以上の代襲相続の規定にかかわらず遺言で、代襲して相続を受ける者の相続分を決め、又はこれを定めることを第三者に頼むことができます。
第五節 寄与分
相続人中に、被相続人の事業を助けたり財産を与えていたり、被相続人の看護などにより、被相続人の財産を増やしたり、援助をすることを寄与といいます。相続するときにこのような寄与がある場合、相続分が増えるように特別な考慮がされます。
第六節 承認及び放棄
相続人は、自分のために相続があったことを知った時から三ヶ月以内に、相続について、以下に述べる単純か限定の承認または放棄をしなければなりません。この場合相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができます。承認は、単純承認と限定承認に分かれます。相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の債権などの権利と債務などの義務を受け継ぎます。次の場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなされます。相続人が相続財産を自分で使った時や、相続が起こってから三ヶ月を過ぎても限定承認や放棄をしなかった場合や、相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続される財産を勝手に使ったときなど。相続人は、相続によって得た財産の限りにおいてのみ、被相続人の債務や債権を弁済したり、相続の承認をすることができます。相続人が数人あるときは、限定承認は、相続を受ける者達の全員が一緒にこれをすることができます。相続人は、限定承認をしようとするときは、先ほど述べた三ヶ月の期間が過ぎる前に相続財産のリストを作り家庭裁判所に提出し、限定承認を申し出なければなりません。相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申し出なければなければなりません。相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。続いて遺言を説明します。
第七節 遺言
十五歳になれば遺言をすることができます。遺言する者は、遺言をする時に、その能力がなければなりません。遺言をするには、その全文、日付及び氏名を自分で書いて、これに印を押さなければなりません。この方式を自筆証書遺言といいます。他にも公証人という役人に立ち会ってもらい言い伝えることにより公式に作る公正証書遺言や証人二人以上に立ち会ってもらい封書して、遺言内容を秘密にしておく秘密証書遺言があります。未成年者や近親者は、これらの立ち会いはできず、証人とはなれません。同じ遺言書を二人以上で書いて遺言を作ることもできません。病気で死にそうな時は、証人三人以上の立ち会いで一人に口で伝える特別な方法で遺言を作ることもできます。また、船舶で遭難した時なども証人二人に立ち会ってもらい口頭で遺言することができます。
第八節 遺留分
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、相続が発生した時に、相続財産の価額のうち自身が被相続人の両親である場合はその三分の一、自身が被相続人の配偶者や子の場合など、それ以外の場合は二分の一の相続財産を受ける権利があります。相続価額を算定する場合は、相続時に被相続人が持っていた財産に贈与した分を足してそこから債務を除いた額となります。生前一年間以内に第三者への贈与などがある場合は、その分を算定価額に組み込んで計算します。一年以内ではなくても贈与したものや贈与を受けた者が遺留分権利者を害することを知っていた場合には同様に算入します。贈与額が以上の遺留分にくい込んでいた場合には遺留分侵害額請求を贈与を受けた者に対してできます。
第二部 民法重要論点
第二部では、民法の重要論点を全5章に分けていくつか説明していきます。
第一章 任意後見制度
まずは任意後見制度について説明します。
後見は、未成年者に対して親権を行う者がないときや親権を行う者が管理権を有しないとき、後見開始の審判があったときに開始します。後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができます。後見人がその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。後見人は、後見監督人を選任するように家庭裁判所に請求することができます。後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一ヶ月以内にその調査を終わり、その目録を作成しなければなりません。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができます。後見人は、財産の目録の作成を終わるまでは、急迫の必要がある行為のみをする権限を有します。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができません。後見人が、被後見人に対し債権を有し債務を負う場合において、後見監督人があるときは、財産の調査に着手する前に、これを後見監督人に申し出なければなりません。未成年後見人は、親権を行う者は子の利益のために子の監護および教育をする権利を有し義務を負う規定と子は親権を行う者の許可を得なければ職業を営むことができないという規定について、親権を行う者と同一の権利義務を有します。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法および居所を変更したり営業を許可したり、その許可を取り消したり制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければなりません。未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使します。成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、その心身の状態および生活の状況に配慮しなければなりません。
次に委任について説明します。
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生じます。受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負います。受任者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができません。受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過および結果を報告しなければなりません。受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければなりません。その収取した果実についても、同様とします。受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用および支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができます。委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができます。委任は、委任者または受任者の死亡、委任者または受任者が破産手続開始の決定を受けたこと、受任者が後見開始の審判を受けたことがあった場合には終了します。
最後に任意後見制度と委任の違いについて言及します。
委任は契約によって成立するのに対し任意後見人は家庭裁判所の審判によって成立します。次に財産の管理について比べると委任の場合は善良な管理者の注意義務を負うのに対し、任意後見人は被後見人の財産については代表するという違いがあります。
また後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができるのに対し委任の受任者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができないという違いがあります。後見人はその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないのに対し委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができます。
成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為、相続財産に属する債務の弁済などの行為をすることができますが委任も終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者またはその相続人もしくは法定代理人は、委任者またはその相続人もしくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない点が共通します。
第二章 所有と占有
所有と占有について説明してからその違いに言及し、次いで占有が所有に結びつくいくつかの法律関係について述べます。
まずは所有権について説明します。物権に代表される考え方には、所有権や占有権、抵当権や質権などの担保物権があります。所有権は、動産と不動産に分かれます。動産とは、バッグやサイフなどの動かせる財産をいい、所有権の対抗要件は引き渡しとなっています。引き渡しには簡易の引き渡しと言われるものや占有改定と言われる方式などもあります。占有改定とは、自己が占有している他人の動産を所有権者が所有権を譲る意思表示をした場合にその所有権を取得することをいいます。また動産には即時取得というものもあります。即時取得とは所有権を持つ者がいない動産を占有すると即時にその動産について所有権を得ることをいいます。不動産は家や土地などの動かない財産のことをいい、対抗要件は登記となっています。登記とは登記所に行って登記官に申請することでできます。登記簿の権利欄に記されている人は、その不動産の所有権があります。尚、登記は登記義務者と共にか、登記義務者の承諾書があれば単独でできる場合があります。ここでいう対抗要件とは、第三者などの所有権を主張するものに対して自分の所有物であることを主張する条件や根拠のことをいう。所有権とは、これらの財産を自由に使用したり、処分したり、売却したり、収益をえたりすることができる権利のことをいいます。つまりは、財産を支配できる権利のことです。
つづいて占有権について説明します。占有権は、例えば、預かっているお金やサイフなど、自分では自由に処分する権利がないが所持する権利のことをいいます。代表的な占有権には、盗人の所持している盗んだバッグなどがあります。これは所有権はないが便宜上占有権が認められているのである。これらの権利の考え方には、一物一権主義というものがあります。それはどういうことかといいますと、自分が持っているサイフやバッグには、自分の所有権という一つの権利しか認めないという考え方です。だから、盗人が他人から盗んだバッグやサイフには、盗人にしか占有権は認められず、所有権は真実の所有権者にしかないのです。なぜこういう考え方をするのかといいますと、それは一つの物の客体に対して、いくつもの権利を認めると、法律関係が複雑になり、いったいその物の真の権利者は誰なのかが分からなくなるのを避けるためというのが一般的に説明される理由です。
つづいて占有が所有に結びつくいくつかの法律関係について述べます。占有が所有に結びつく例として取得時効と先程述べた即時取得があります。二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得します。これは悪意重過失の場合です。また、十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得するとされる。これは善意無過失の場合です。この取得時効の期間は相続により引き継がれますが、被相続人は相続人の善意悪意を引き継ぎ相続人が善意であれば10年、悪意であったならば20年の時効期間を引き継ぎ残りの期間占有を継続することで所有権を取得します。ここで解釈上問題となる点として最初の善意悪意と過失の有無が占有継続中に変わった場合であるがこの変更はまったく時効期間には影響がありません。つまり最初の占有開始時点の状態により取得時効の年数は定まります。これについては取得時効の承継についてもまったく同様です。所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、上記の区別に従い二十年または十年を経過した後、その権利を取得します。この区別とは善意悪意と過失の有無に関する区別である。所有権以外の財産権とは質権や抵当権などのことです。これらの規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、または他人によってその占有を奪われたときは、中断するとされます。ここで問題となるのは取得時効と取得時効について知らない善意の第三者との対抗要件です。原則として取得時効した者は動産については言うまでもなく不動産については登記なく所有権を対抗できるとされます。所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得しますが、これを即時取得と言う。即時取得については動産にのみ適用され不動産については、所有者のない不動産は、国庫に帰属するとされます。
第三章 特定物債権と種類債権と選択債権
本章ではまず特定物債権と種類債権と選択債権の違いについて説明した上で、次いで種類債権の特定の要件と効果について論じます。
はじめに債権の目的を確認すると、債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができます。
特定物債権と種類債権と選択債権の違いとして特定物債権は、何かある特定の物を指定した場合その物以外の物では弁済できず、引渡しの場合の注意義務が債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならないとされ、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければなりません。
種類債権は特定物債権と違い、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければなりません。種類債権の場合は、特定物債権と異なり目的物の種類を債務者が指定することができます。ただし、その場合には、債権者の同意がいります。その物を指定した場合も善良な管理者の注意義務を負うのが相当です。選択債権においては、債権の目的が数個の給付の中から選択することができ、その選択権は、債務者に属するという特徴があります。この選択権は、相手方に対する意思表示によって行使し、その意思表示は、相手方の承諾を得なければ、撤回することができず、債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転します。第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者または債務者に対する意思表示によってします。その場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転しますが、債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在します。また、選択は債権の発生の時にさかのぼってその効力を生じます。ただし、第三者の権利を害することはできません。この選択債権の注意義務も債務の目的物を選択した場合においては特定物債権同様善管注意義務を負うと解されます。
弁済をすべき場所についてでありますが、別段の意思表示がないときは、特定物債権の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければなりません。
つづいて種類債権の特定の要件と効果について論じます。
先ほど述べたように種類債権は当事者が物の種類を指定することができますが、その場合において、法律行為の性質または当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければなりません。また、その場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、または債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とするとされます。またその場合、債権の目的物が金銭であるときは、債務者はその選択に従い各種の通貨で弁済をすることができます。債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅します。
債務の弁済は、第三者もすることができますが、債権者の意思に反して弁済をすることができない。弁済をした者が弁済として他人の物を引き渡したときは、その弁済をした者は、更に有効な弁済をしなければ、その物を取り戻すことができません。債権者が弁済として受領した物を善意で消費し、または譲り渡したときは、その弁済は、有効となります。この場合において、債権者が第三者から賠償の請求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をすることを妨げません。受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有します。受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有します。弁済をすることができる者が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有します。
第四章 委任と請負ならびに不法行為
本章ではまず委任と請負との異同について述べたうえで、委任の効力について概観します。その後不法行為の成立要件を 4 つ挙げ、それらについて述べ、さらに、それに関連して、不法行為の成立を阻却する事由について述べます。
まず委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生じますが、それに対し請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生じます。委任の受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負いますが、請負人もそれに準ずると考えられます。委任においては受任者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができないのに対し請負人は復請負人を選任することができます。
また委任においては受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができないのに対し請負における報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならないことになっています。委任において特約により委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、請負同様その成果の引渡しと同時に、支払わなければなりません。契約の解除については請負においては請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができ、委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができます。ただし相手方に不利な時期に委任を解除したときは相手方の損害を賠償しなければなりません。また委任においては委任者または受任者が破産手続開始の決定を受けたことで契約解除でき、請負契約においては注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人または破産管財人は、契約の解除をすることができるという違いがあります。
つづいて不法行為の成立要件を 4 つ挙げ、それらについて述べ、さらに、それに関連して、不法行為の成立を阻却する事由について述べます。まず原則として故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負い、他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合または他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければなりません。1つ目に責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、またはその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、違法性が阻却されます。2つ目が、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。ただし、使用者が被用者の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでないとされます。3つ目として土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負います。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければなりません。最後の4つ目として動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負います。ただし、動物の種類および性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、違法性が阻却されます。また未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負いません。同様に精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負いません。ただし、飲酒など故意または過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでなく違法性が阻却されません。
最後に重要な違法性阻却事由として他人の不法行為に対し、自己または第三者の権利または法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負いません。
第五章 特別受益者
本章では、まず相続の総則について簡単に触れ、次いで特別受益者の具体的な例を示し、特別受益者のある場合の相続法上の処理について説明します。
まず相続は、死亡によって開始し、胎児は相続については、既に生まれたものとみなされます。被相続人の子は、相続人となります。被相続人の子が死亡していた場合にはその子が代襲して相続します。ただし被相続人の子や代襲相続人がいない場合には被相続人の直系尊属である親が相続人となり、次いで被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、または婚姻もしくは養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、同順位の相続人が数人あるときは、子および配偶者が相続人であるときは、子の相続分および配偶者の相続分は、各二分の一とし、配偶者および直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とし、配偶者および兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とし、子、直系尊属または兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とするという規定や、被相続人はそれらの規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、またはこれを定めることを第三者に委託することができ、被相続人が、共同相続人中の一人もしくは数人の相続分のみを定め、またはこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、それらの規定により定めるという規定により算定した相続分の中からその遺贈または贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とします。
特別受益の例としては、大学の学費の支弁や新築の家屋の贈与などが挙げられる。
遺贈または贈与の価額が、相続分の価額に等しく、またはこれを超えるときは、受遺者または受贈者は、その相続分を受けることができません。被相続人が上述した規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従います。また、婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物またはその敷地について遺贈または贈与をしたときは、当該被相続人は、その被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、同順位の相続人が数人あるときは、算定した相続分の中からその遺贈または贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とするという遺贈または贈与についての規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定されます。このように規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、またはその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定めます。
上記の制度に似ているものとして寄与分という制度があります。寄与分とは、共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、特別受益者の際に述べたのと同様の規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とするとされます。この協議が調わないとき、または協議をするこ
はじめに
第一編 民法
第一部 わかる民法
序論
総則
第一節 権利能力
第二節 時効制度
第三節 代理制度
物権法
第一節 所有権
第二節 占有権
第三節 共有
第四節 地上権
第五節 担保物権
債権法
第一節 債権総論
第二節 連帯債権及び連帯債務
第三節 保証制度
第四節 債権各論
第五節 不法行為及び不当利得
親族法
第一節 親族総側
第二節 婚姻
第三節 親権
第四節 後見相続法
相続法
第一節 相続
第二節 相続欠格事由
第三節 相続分
第四節 代襲相続
第五節 寄与分
第六節 承認及び放棄
第七節 遺言
第八節 遺留分
第二部 民法重要論点
第一章 任意後見制度
第二章 所有と占有
第三章 特定物債権と種類債権と選択債権
第四章 委任と請負ならびに不法行為
第五章 特別受益者
第三編 労働法
第一章 労働法とは?
第一節 労働法の意味
第二節 労働基準法
第三節 労働契約法
第四節 労働組合法
第二章 働く人の権利
第一節 基本権
第二節 請求権
第三節 解雇されない権利
第三章 知っておきたい規定
第一節 療養時
第二節 退職時
第三節 緊急時
第四章 トラブルが起きたとき
第一節 懲戒
第二節 解雇
おわりに
用語解説
第四編 破産法
第一章 借金とは?
第一節 民法上の借金
第二節 貸金業としての借金
第三節 借金に関する諸法令
第二章 借金の解決策
第一節 債務整理
第二節 自己破産
第三節 弁済
第四節 弁護士相談
第三章 破産した場合
第一節 破産による不利益
第二節 破産時の対応
第四章 避けるべき行為
第一節 法令遵守
第二節 原則
おわりに
番外編 最後の助け舟破産法
おわりに
はじめに
本書は、あなたが法律の森に入るに当たって迷わないための指針となるものです。今後法律の道に迷ったらその都度読み返してみてください。きっと民法の道標となり森を抜けられるときが来ます。読者の方には、法律に苦手意識を持ってほしくないので、本書を読んで法律を得意分野にしていただきたいです。わたし自身民法を学習するうえで自信を持って取り組むためには、やはり基本となる法律の柱を理解するのが重要だと思いますので、本書を読んで法律の骨子を把握していただきたいと思います。本書は、法律を学ぶ際の参考書として使ってください。本書が法律系資格受験生の方にとり役に立ち有益なものとなれば、筆者としてはこのうえなく嬉しいです。ぜひ最後まで読んでいただきあなたの法律学習の一助にしていただきたいと思います。
第一編 民法
第一部 わかる民法
序論
本書は、民法初学者が初めて民法を学ぶのに参考となり、理解がしやすくなるようにするための民法解説書です。きっとあなたの民法への得意意識に繋がり単位も取りやすくなると思います。民法は、私人間の権利関係の取り決めについて規定している法律です。遡ると歴史は古くローマ法などに遡ります。ドイツやフランスなど外国にも独自の体系で存在します。我が国では、明治から大正にかけてボアソナーロらによって起草されました。はじめ我が国では、フランス民法に倣って作られそうでしたが、日本の風土に合わない事を理由に廃止され、ドイツ民法に倣って作られる運びとなりました。以下、本記事では民法と呼びます。民法は、大きく分類すると総則、物権、債権、及び親族相続法に分かれます。本記事では、これらの主要な項目を平易に解説するものです。
総則
第一節 権利能力
総則では、私人や法人の権利能力について規定しています。例えば、制限行為能力者制度や宗教法人、社会福祉法人などの法律で権利を与えられた権利能力者です。その他、任意後見制度や私権は出生にはじまるという言葉に表せられる権利関係など。以下、簡単に説明します。制限行為能力者とは、事理弁識能力が通常の人に比べてわずかな自然人に、法律上特別な権利を与えて保護するものです。例えば、後見、保佐、補助などの支援です。これらの支援を受ける人をそれぞれ被後見人、被保佐人、被補助人といい契約を取り消したり不利な契約をしないようにできます。法人とは、株式会社など登記して、届け出ることによって、権利能力が与えられた財団などをさします。任意後見制度とは、著しく事理弁識能力が低下した高齢者などに、任意で法定代理人となれる後見人を選任する制度のことをいいます。権利関係とは、例えば、胎児には遺産を相続したり贈与を受けたり損害賠償請求をする権利があるかどうかという取り決めのことです。結論としては、胎児にはこれらの権利が与えられています。これにより胎児は、遺産相続権や損害賠償請求をする権利が与えられています。例えば、胎内にある間に父親が死亡したり殺害されたりした場合です。これらの場合に備えて、生まれたものとみなすのです。ここで登場したみなすという言い方は、法律では度々用いられますがその意味は、そうであると確定したものと考えるという意味です。それに対し、推定するという言い方もありますが、こちらは確定したものとは考えずにそうであるだろう程度に考えることであり、反証があれば覆される性質のものをいいます。
第二節 時効制度
総則の中で重要なものの一つに時効というものがあります。時効は、一定の期間、他人のものを占有した場合に所有権を取得する制度です。例えば、他人の土地の一部を公然と使っていた場合に、善意の場合は10年悪意の場合は20年で所有権を取得できるなど。ここでいう善意と悪意とは、事情を知らないのを善意といい、事情を知っているのを悪意といいます。この時効制度の存在する理由は、ある一定の間続いた状態を尊重して法律状態を安定させようとする趣旨です。
第三節 代理制度
もう一つ重要な項目として代理制度があります。代理とは、他人に代理権を与えることにより、その代理人と相手方と契約を結んだ場合、自分にその契約の法律効果が発生する制度です。この代理の態様の一つに表見代理というものがありますが、簡単に説明しますと、表見代理とは、自分が表見代理人に代理権を与えていないにもかかわらず、その人が第三者とあたかも自分との間に外観状、代理権があるかのように契約を結んだ場合、相手方が善意かつ無過失の場合には、自分との間に契約が成立してしまうことです。
物権法
第一節 所有権
物権に代表される考え方には、所有権や占有権、抵当権や質権などの担保物権があります。所有権は、動産と不動産に分かれます。動産とは、バッグやサイフなどの動かせる財産をいい、所有権の対抗要件は引き渡しとなっています。引き渡しには簡易の引き渡しと言われるものや占有改定と言われる方式などもあります。占有改定とは、自己が占有している他人の動産を所有権者が所有権を譲る意思表示をした場合にその所有権を取得することをいいます。不動産は家や土地などの動かない財産のことをいい、対抗要件は登記です。登記とは登記所に行って登記官に申請することでできます。登記簿の権利欄に記されている人は、その不動産の所有権があります。尚、登記は登記義務者と共にか、登記義務者の承諾書があれば単独でできます。ここでいう対抗要件とは、第三者などの所有権を主張するものに対して自分の所有物であることを主張する条件や根拠のことをいいます。所有権とは、これらの財産を自由に使用したり、処分したり、売却したり、収益をえたりすることができる権利のことをいいます。つまり、財産を支配できる権利のことです。
第二節 占有権
占有権は、例えば、預かっているお金やサイフなど、自分では自由に処分する権利がないが所持する権利のことをいいます。代表的な占有権には、盗人の所持している盗んだバッグなど。これは所有権はないですが便宜上占有権が認められています。これらの権利の考え方には、一物一権主義というものがあります。どういうことかといいますと、自分が持っているサイフやバッグには、自分の所有権という一つの権利しか認めないという考え方です。だから、盗人が他人から盗んだバッグやサイフには、盗人にしか占有権は認められず、所有権は真実の所有権者にしかありません。なぜこういう考え方をするのかといいますと、それは一つの物の客体に対して、いくつもの権利を認めると、法律関係が複雑になり、いったいその物の真の権利者は誰なのかが分からなくなるのを避けるためです。
第三節 共有
もう一つ所有権の態様として共有がありますが、共有とは一つの財産に対して、他人と共に持ち分を分けて所有することです。例えば、同じ建物を共有者どうしで利用するなど。この場合、通常は各共有者は持ち分にかかわらず共有物全体を利用することができます。ただし、売却する際などは、持ち分に応じて収益を分けることになります。また、共有相手の持ち分に相当する価額の金銭を共有者に提供することで共有物を自己所有物にすることもできます。一見すると、この共有は一物一権主義に反するようにみえますが、持ち分として所有するにすぎないので問題はありません。
第四節 地上権
地上権は、他人の土地の利用をすることができる権利です。法定地上権とは、抵当権が設定されたときに建物が建っていた場合に、土地の所有者と建物の所有者が同一である場合に、土地が競落されて他人の所有物となった場合に、建物の所有権者に地上権を認める制度のことをいいます。この制度のある理由は、土地競落後の建物の所有権者に地上権を認めないと、極めて不安定な状態になってしまうからです。
第五節 担保物権
抵当権や質権などの担保物権とは、金銭の融資を受ける際に担保として、抵当権は土地や建物に、質権ならスマホや腕時計などの動産に設定して、もしも期日までに返済されなかった場合、これらの財産を差し押さえる事により弁済をうけられます。これらの担保があれば、他の債権者に優先して弁済を受ける権利があります。抵当権は、一つの土地などの不動産に対して、何人ものひとが登記することで設定できます。その先順位にしたがって、第一順位、第二順位などといわれます。通常の場合、第一順位者から優先して弁済をうけられるので、先順位者は後順位者に対して金銭の対価を得るなどして譲ることができます。質権の特徴としては、債権者は、債務者から弁済を受けれない場合は、質物の所有権を取得できることです。これを質流れといいます。又質というものもありますが、これは預かっている質物の占有権を第三者に譲渡することです。物権のなかに先取特権という権利が規定されていますが、先取特権とは、特定の債務に対して有する複数の債権がある場合に、他の債権者に優先して弁済を受けることができる権利のこと。例えば、雇用関係から生じる給料や葬儀代などについて、他の債権者に優先して所有権を得られるための権利。これらの権利が与えられる理由は、一般の債権者よりも、より必要性の高い事物にかかる債権だから。他にも、不動産の賃料や宿泊客の所持品に対する先取特権などがありますが、これらも債権として回収する必要性が高く、一般の債権者よりも優先して弁済を受けるのが妥当だから。
債権法
第一節 債権総論
債権とは、売買の場合において目的物を相手方に引き渡した場合に相手方に金銭を支払うように請求する権利のことをいいます。請求する場合は、金銭による場合と種類債権と言って、米など特別な目的物にすることもできます。その場合、もしも品質を示さなかったら中等の品を用意しなければなりません。債権は物権と違い相対的であり、特定な債務者に特定の債務を負わせ、請求できるものにすぎません。債権者は債務者が有する給料や売買の金銭などの債権を、債務者に代わって請求することができますが、その権利のことを債権者代位権といいます。ただし、その債務者の年金や身体への傷害などによる損害賠償請求権などの、一身上の債権には代わることはできません。通常は、債務者は債務の履行をして債権者に弁済しなければなりませんが、わざと債権者を害する意思を持って第三者に金銭や土地や貴金属などの担保となる資産を譲渡したり、処分する場合がありますが、その場合には、債権者はその取引を取り消す権利があり、それを詐害行為取消権といいます。
第二節 連帯債権及び連帯債務
債権において重要なものに、複数の人が関わる債権債務関係があります。それには、それぞれ連帯債権、連帯債務があります。連帯債権は、債務者に対して複数の人が同じ債権を有する場合に、債務者はその中の誰にでも弁済でき、債権者たちは、誰でも債務者に履行の請求をする権利があります。連帯債務は、複数の人が分けられる性質の債務を共に有している場合に、債権者は一部でも全体でも、一人にでも複数人にでも、あるいは全員にでも、債務の履行を請求できる債務。
第三節 保証制度
重要なものに保証があるが、これは、連帯保証と保証の二種類があります。それぞれ保証人と連帯保証人に分かれます。保証の場合は、債権者は保証人に債務の履行を請求する場合に、保証人はまず主たる債務者に請求させたり、弁済に資する財産を持っていることを主張できますが、連帯保証人にはそれらの権利はなく、債権者に債務の履行を迫られたら弁済する義務があります。
第四節 債権各論
債権がなくなる要因はいくつかあり、通常の場合は弁済によりますが、ほかにも別の債務に置き換える更改や、お互いに持っている異なる債権債務を打ち消し合う相殺や、債務を免れさせる免除や、相手の持っている債権を自分が取得した場合の混同があります。債権で必須の概念に契約があります。例えば、売買や贈与など。
重要な契約に消費貸借契約、使用貸借契約、賃貸借契約があります。消費貸借契約は、金銭や食料品など消費できるものを、貸付け後に同等の目的物を引き渡す契約であり、現実に消費物を提供したときに効果が生じます。使用貸借契約は、図書館の本や知り合いから無料で借りた漫画などの、金銭を介さずに無償で使用させる目的で貸す契約をいいます。返す時は現状のままで、相当の期間使用したら貸し手に引き渡します。賃貸借契約は、車や建物などの財産を、借り手が貸主に金銭を交付して利用することを約束する契約であり、大きく分けると動産と不動産に分かれます。不動産の場合は、借地借家法が適用されます。借り主は、登記をして対抗要件を具備したり、建物に造作を加えたり、貸主に修繕させたり、所有者の第三者による不法占拠などの妨害をやめさせたりする権利を行使したりできます。借りるときに払う敷金とは、あらかじめ家賃の滞納や故意又は過失による損傷を賠償する担保として払う金銭のこと。他の契約に雇用、請負、委任があります。雇用は、コンビニなどで働く際の契約であり、請負は、大工さんが建物を建てるのに対して、金銭を払う契約であり、委任は弁護士などに訴訟代理を任せる場合がこれに当たります。
第五節 不法行為及び不当利得
債権の最後に出てくる不当利得と不法行為があります。不当利得は、法律効果がないのに利得することで、お釣りを多く貰う事などがあります。これは、返還しなければなりません。不法行為は、故意か過失により他人の法律上保護されている権利を侵害することで、例えば、自動車でぶつかり怪我を負わせるなど。こちらは、損害賠償をしなければなりません。
親族法
第一節 親族総側
親族は血族、配偶者、姻族に分類されています。血族とは、血の繋がりがある親族をいい、配偶者は婚姻した相手のことで、姻族とは婚姻により親族となった血の繋がりがない親族のこと。親族法には、二親等や三親等という数え方がありますが、これはどの程度血の繋がりなどの親近性があるかを示す指標として用いられますが、数え方は夫婦の間や、一つ子から親などに遡ったり、一つ親から子へ降りたりする際に、一つと数えてその数に親等をつけます。例えば、自分から見ていとこは自分から親で一、親からまたその親で二、そこから自分の親の兄弟に一つ降りて三、そこからまた自分のいとこに一つ降りて四となり、自分から見ていとこは四親等内の血族となります。ちなみに三親等内の血族とは婚姻できないので四親等内のいとことは結婚できます。これは、それなりに血が離れているからであり、近親婚を避けるためです。
第二節 婚姻
現行法では男は18歳、女は16歳にならなければ結婚できず、結婚して配偶者がいる者も重ねて他の人と結婚することはできません。未成年者は、親の同意がなければ結婚できませんが、父が母一方のみの同意があれば結婚できます。未成年で結婚した場合は、成年に達したものとみなされます。ただし、飲酒やタバコは20歳にならなければ許されません。結婚した者は結婚相手と話し合いのうえで離婚することができます。その場合、子のために養育する者を定めます。また、相手に財産を分けるように請求することができます。姓名は前の氏に戻すことができます。以下の事情がある場合は裁判所に訴える方式で離婚を請求することができます。配偶者に不貞な行為があったとき、配偶者から悪意で遺棄されたとき、配偶者の生死が三年以上明らかでないとき、配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
第三節 親権
婚姻中に生まれた子は嫡出と推定されますが、父は否認することができます。嫡出とは婚姻している者との間に生まれた子のこと。子が成年するまでに父は認知をすることができ、そのことにより子は嫡出の身分を得ます。成年に達した者は養子ができますが、自分より年上のものや親等が上の者は養子にできません。配偶者がいる場合は同意がいります。親には子に対して親権があり、養育し教育する必要があります。話し合いや裁判で離婚する場合は、親の一方を親権者に定めます。利益相反行為といって、親権を行う者と子の利益が相対立する行為をする場合は、親権者は特別な代理人を裁判所に請求しなければなりません。例えば、子の所有する土地などを親権者が買い取る場合など。親権者は子の職業を許可したり、住む場所を定めたり、財産を管理したりします。ただし子の利益を考えて、不適切な場合は親権を失ったり、停止される場合があります。子に親権を行うものがいない場合や、審判があった場合は、後見人が選任されます。
第四節 後見
後見人は、子の財産を管理し代表して事務をとる義務があります。最後に親権を行なっていた者は、遺言で後見人を監督する者を指定できます。保佐や補助なども家庭裁判所の審判によって、それぞれ保佐人と補助人が指定され、それぞれ保佐人と補助人を監督する監督人も必要に応じて家庭裁判所により指定されます。それぞれ被保佐人や被補助人がする特定の法律行為の代理権を与えられます。例えば、土地などの高額な財産の売買や賃貸契約や金銭消費貸借契約がこれにあたります。扶養といって親子の直系血族や兄弟姉妹には助け合う義務があります。また、三親等内の親族にも、場合によっては家庭裁判所の審判により扶養義務があたえられます。
相続法
第一節 相続
相続は、死亡によって開始します。場所は被相続人の住所において開始します。先ほども述べましたが、胎児は、相続については、既に生まれたものとみなされます。ただし、胎児が死体で生まれてしまったときは、適用されません。ここで言う被相続人とは、亡くなって、その財産を相続人に承継させる者のことです。被相続人の子は、相続人となる権利があります。もしも子もいなかったら、被相続人の親が、親もいない場合は、兄弟姉妹が相続されるべき人となります。被相続人の配偶者は、常に相続人となります。この場合、被相続人の子がいた場合にも、配偶者はその子と同じ順位に扱われます。つまり子たちが受ける相続分と同じ優先順位となります。相続人は、相続開始の時から、被相続人の負債から資産までの一切の権利義務を承継します。ただし、被相続人の年金などの本人自身に帰属する権利は除かれます。相続されるべき人が数人あるときは、相続されるべき財産は、その共有に属します。
第二節 相続欠格事由
次に挙げる人は、相続人となることができません。わざと被相続人と自分より先に相続を受ける権利のある者か、自分と等しい相続権を持つものを亡くならせようとした者。被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。先に挙げた者たちを死に至らせようとした者を告発しない場合も相続できません。また、詐欺又は強迫によって相続人に遺言を変えさせたり、遺言を変えさせた者も相続できなくなります。また、相続を受けるべき者が、被相続人に対して虐待をしたり、これに重大な侮辱を加えたときや、その人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その相続を受けるべき者を相続の対象から除外することを家庭裁判所に請求することができます。これを廃除といい、被相続人が遺言で相続を受けるべき者を廃除する意思を表示したときは、遺言を執り行う者は、その遺言が効力を生じた後、すぐにその相続を受けるべき者の廃除を家庭裁判所に請求しなければなりません。この場合に、その相続を受けるべき者の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生じますが、被相続人は、いつでも、相続を受けるべき者の廃除の取消しを家庭裁判所に請求することができます。
第三節 相続分
それぞれの相続を受けるべき人は、その相続分に応じて被相続人の資産や負債を受け継ぎます。同じ順位の相続を受けるべき者が競合した場合は、以下のように分けます。子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とします。配偶者及び被相続人の親が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、親の相続分は、三分の一とします。配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とします。子、両親又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとします。相続を受ける者の中に、被相続人から、生前贈与などを受けていた場合、その分だけ相続分から控除されます。この場合、贈与の価額が全部の相続分と同じか、それを超える場合は、その相続分を受けることができません。
第四節 代襲相続
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したときは、その者の子がこれを受け継いで相続人となりますが、これを代襲相続といいます。代襲して相続人となる子の相続分は、その親が受けるべきであったものと同じとします。被相続人は、以上の代襲相続の規定にかかわらず遺言で、代襲して相続を受ける者の相続分を決め、又はこれを定めることを第三者に頼むことができます。
第五節 寄与分
相続人中に、被相続人の事業を助けたり財産を与えていたり、被相続人の看護などにより、被相続人の財産を増やしたり、援助をすることを寄与といいます。相続するときにこのような寄与がある場合、相続分が増えるように特別な考慮がされます。
第六節 承認及び放棄
相続人は、自分のために相続があったことを知った時から三ヶ月以内に、相続について、以下に述べる単純か限定の承認または放棄をしなければなりません。この場合相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができます。承認は、単純承認と限定承認に分かれます。相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の債権などの権利と債務などの義務を受け継ぎます。次の場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなされます。相続人が相続財産を自分で使った時や、相続が起こってから三ヶ月を過ぎても限定承認や放棄をしなかった場合や、相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続される財産を勝手に使ったときなど。相続人は、相続によって得た財産の限りにおいてのみ、被相続人の債務や債権を弁済したり、相続の承認をすることができます。相続人が数人あるときは、限定承認は、相続を受ける者達の全員が一緒にこれをすることができます。相続人は、限定承認をしようとするときは、先ほど述べた三ヶ月の期間が過ぎる前に相続財産のリストを作り家庭裁判所に提出し、限定承認を申し出なければなりません。相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申し出なければなければなりません。相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。続いて遺言を説明します。
第七節 遺言
十五歳になれば遺言をすることができます。遺言する者は、遺言をする時に、その能力がなければなりません。遺言をするには、その全文、日付及び氏名を自分で書いて、これに印を押さなければなりません。この方式を自筆証書遺言といいます。他にも公証人という役人に立ち会ってもらい言い伝えることにより公式に作る公正証書遺言や証人二人以上に立ち会ってもらい封書して、遺言内容を秘密にしておく秘密証書遺言があります。未成年者や近親者は、これらの立ち会いはできず、証人とはなれません。同じ遺言書を二人以上で書いて遺言を作ることもできません。病気で死にそうな時は、証人三人以上の立ち会いで一人に口で伝える特別な方法で遺言を作ることもできます。また、船舶で遭難した時なども証人二人に立ち会ってもらい口頭で遺言することができます。
第八節 遺留分
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、相続が発生した時に、相続財産の価額のうち自身が被相続人の両親である場合はその三分の一、自身が被相続人の配偶者や子の場合など、それ以外の場合は二分の一の相続財産を受ける権利があります。相続価額を算定する場合は、相続時に被相続人が持っていた財産に贈与した分を足してそこから債務を除いた額となります。生前一年間以内に第三者への贈与などがある場合は、その分を算定価額に組み込んで計算します。一年以内ではなくても贈与したものや贈与を受けた者が遺留分権利者を害することを知っていた場合には同様に算入します。贈与額が以上の遺留分にくい込んでいた場合には遺留分侵害額請求を贈与を受けた者に対してできます。
第二部 民法重要論点
第二部では、民法の重要論点を全5章に分けていくつか説明していきます。
第一章 任意後見制度
まずは任意後見制度について説明します。
後見は、未成年者に対して親権を行う者がないときや親権を行う者が管理権を有しないとき、後見開始の審判があったときに開始します。後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができます。後見人がその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければなりません。後見人は、後見監督人を選任するように家庭裁判所に請求することができます。後見人は、遅滞なく被後見人の財産の調査に着手し、一ヶ月以内にその調査を終わり、その目録を作成しなければなりません。ただし、この期間は、家庭裁判所において伸長することができます。後見人は、財産の目録の作成を終わるまでは、急迫の必要がある行為のみをする権限を有します。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができません。後見人が、被後見人に対し債権を有し債務を負う場合において、後見監督人があるときは、財産の調査に着手する前に、これを後見監督人に申し出なければなりません。未成年後見人は、親権を行う者は子の利益のために子の監護および教育をする権利を有し義務を負う規定と子は親権を行う者の許可を得なければ職業を営むことができないという規定について、親権を行う者と同一の権利義務を有します。ただし、親権を行う者が定めた教育の方法および居所を変更したり営業を許可したり、その許可を取り消したり制限するには、未成年後見監督人があるときは、その同意を得なければなりません。未成年後見人が数人あるときは、共同してその権限を行使します。成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護および財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、その心身の状態および生活の状況に配慮しなければなりません。
次に委任について説明します。
委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生じます。受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負います。受任者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができません。受任者は、委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告し、委任が終了した後は、遅滞なくその経過および結果を報告しなければなりません。受任者は、委任事務を処理するに当たって受け取った金銭その他の物を委任者に引き渡さなければなりません。その収取した果実についても、同様とします。受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用および支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができます。委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができます。委任は、委任者または受任者の死亡、委任者または受任者が破産手続開始の決定を受けたこと、受任者が後見開始の審判を受けたことがあった場合には終了します。
最後に任意後見制度と委任の違いについて言及します。
委任は契約によって成立するのに対し任意後見人は家庭裁判所の審判によって成立します。次に財産の管理について比べると委任の場合は善良な管理者の注意義務を負うのに対し、任意後見人は被後見人の財産については代表するという違いがあります。
また後見人は、正当な事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができるのに対し委任の受任者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができないという違いがあります。後見人はその任務を辞したことによって新たに後見人を選任する必要が生じたときは、その後見人は、遅滞なく新たな後見人の選任を家庭裁判所に請求しなければならないのに対し委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができます。
成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為、相続財産に属する債務の弁済などの行為をすることができますが委任も終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者またはその相続人もしくは法定代理人は、委任者またはその相続人もしくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない点が共通します。
第二章 所有と占有
所有と占有について説明してからその違いに言及し、次いで占有が所有に結びつくいくつかの法律関係について述べます。
まずは所有権について説明します。物権に代表される考え方には、所有権や占有権、抵当権や質権などの担保物権があります。所有権は、動産と不動産に分かれます。動産とは、バッグやサイフなどの動かせる財産をいい、所有権の対抗要件は引き渡しとなっています。引き渡しには簡易の引き渡しと言われるものや占有改定と言われる方式などもあります。占有改定とは、自己が占有している他人の動産を所有権者が所有権を譲る意思表示をした場合にその所有権を取得することをいいます。また動産には即時取得というものもあります。即時取得とは所有権を持つ者がいない動産を占有すると即時にその動産について所有権を得ることをいいます。不動産は家や土地などの動かない財産のことをいい、対抗要件は登記となっています。登記とは登記所に行って登記官に申請することでできます。登記簿の権利欄に記されている人は、その不動産の所有権があります。尚、登記は登記義務者と共にか、登記義務者の承諾書があれば単独でできる場合があります。ここでいう対抗要件とは、第三者などの所有権を主張するものに対して自分の所有物であることを主張する条件や根拠のことをいう。所有権とは、これらの財産を自由に使用したり、処分したり、売却したり、収益をえたりすることができる権利のことをいいます。つまりは、財産を支配できる権利のことです。
つづいて占有権について説明します。占有権は、例えば、預かっているお金やサイフなど、自分では自由に処分する権利がないが所持する権利のことをいいます。代表的な占有権には、盗人の所持している盗んだバッグなどがあります。これは所有権はないが便宜上占有権が認められているのである。これらの権利の考え方には、一物一権主義というものがあります。それはどういうことかといいますと、自分が持っているサイフやバッグには、自分の所有権という一つの権利しか認めないという考え方です。だから、盗人が他人から盗んだバッグやサイフには、盗人にしか占有権は認められず、所有権は真実の所有権者にしかないのです。なぜこういう考え方をするのかといいますと、それは一つの物の客体に対して、いくつもの権利を認めると、法律関係が複雑になり、いったいその物の真の権利者は誰なのかが分からなくなるのを避けるためというのが一般的に説明される理由です。
つづいて占有が所有に結びつくいくつかの法律関係について述べます。占有が所有に結びつく例として取得時効と先程述べた即時取得があります。二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得します。これは悪意重過失の場合です。また、十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得するとされる。これは善意無過失の場合です。この取得時効の期間は相続により引き継がれますが、被相続人は相続人の善意悪意を引き継ぎ相続人が善意であれば10年、悪意であったならば20年の時効期間を引き継ぎ残りの期間占有を継続することで所有権を取得します。ここで解釈上問題となる点として最初の善意悪意と過失の有無が占有継続中に変わった場合であるがこの変更はまったく時効期間には影響がありません。つまり最初の占有開始時点の状態により取得時効の年数は定まります。これについては取得時効の承継についてもまったく同様です。所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、上記の区別に従い二十年または十年を経過した後、その権利を取得します。この区別とは善意悪意と過失の有無に関する区別である。所有権以外の財産権とは質権や抵当権などのことです。これらの規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、または他人によってその占有を奪われたときは、中断するとされます。ここで問題となるのは取得時効と取得時効について知らない善意の第三者との対抗要件です。原則として取得時効した者は動産については言うまでもなく不動産については登記なく所有権を対抗できるとされます。所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得しますが、これを即時取得と言う。即時取得については動産にのみ適用され不動産については、所有者のない不動産は、国庫に帰属するとされます。
第三章 特定物債権と種類債権と選択債権
本章ではまず特定物債権と種類債権と選択債権の違いについて説明した上で、次いで種類債権の特定の要件と効果について論じます。
はじめに債権の目的を確認すると、債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができます。
特定物債権と種類債権と選択債権の違いとして特定物債権は、何かある特定の物を指定した場合その物以外の物では弁済できず、引渡しの場合の注意義務が債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならないとされ、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らしてその引渡しをすべき時の品質を定めることができないときは、弁済をする者は、その引渡しをすべき時の現状でその物を引き渡さなければなりません。
種類債権は特定物債権と違い、法律行為の性質又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければなりません。種類債権の場合は、特定物債権と異なり目的物の種類を債務者が指定することができます。ただし、その場合には、債権者の同意がいります。その物を指定した場合も善良な管理者の注意義務を負うのが相当です。選択債権においては、債権の目的が数個の給付の中から選択することができ、その選択権は、債務者に属するという特徴があります。この選択権は、相手方に対する意思表示によって行使し、その意思表示は、相手方の承諾を得なければ、撤回することができず、債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転します。第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者または債務者に対する意思表示によってします。その場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転しますが、債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在します。また、選択は債権の発生の時にさかのぼってその効力を生じます。ただし、第三者の権利を害することはできません。この選択債権の注意義務も債務の目的物を選択した場合においては特定物債権同様善管注意義務を負うと解されます。
弁済をすべき場所についてでありますが、別段の意思表示がないときは、特定物債権の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければなりません。
つづいて種類債権の特定の要件と効果について論じます。
先ほど述べたように種類債権は当事者が物の種類を指定することができますが、その場合において、法律行為の性質または当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければなりません。また、その場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、または債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後その物を債権の目的物とするとされます。またその場合、債権の目的物が金銭であるときは、債務者はその選択に従い各種の通貨で弁済をすることができます。債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅します。
債務の弁済は、第三者もすることができますが、債権者の意思に反して弁済をすることができない。弁済をした者が弁済として他人の物を引き渡したときは、その弁済をした者は、更に有効な弁済をしなければ、その物を取り戻すことができません。債権者が弁済として受領した物を善意で消費し、または譲り渡したときは、その弁済は、有効となります。この場合において、債権者が第三者から賠償の請求を受けたときは、弁済をした者に対して求償をすることを妨げません。受領権者以外の者であって取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するものに対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有します。受領権者以外の者に対してした弁済は、債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ、その効力を有します。弁済をすることができる者が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有します。
第四章 委任と請負ならびに不法行為
本章ではまず委任と請負との異同について述べたうえで、委任の効力について概観します。その後不法行為の成立要件を 4 つ挙げ、それらについて述べ、さらに、それに関連して、不法行為の成立を阻却する事由について述べます。
まず委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生じますが、それに対し請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生じます。委任の受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負いますが、請負人もそれに準ずると考えられます。委任においては受任者は、委任者の許諾を得たとき、またはやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができないのに対し請負人は復請負人を選任することができます。
また委任においては受任者は、特約がなければ、委任者に対して報酬を請求することができないのに対し請負における報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならないことになっています。委任において特約により委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合において、その成果が引渡しを要するときは、報酬は、請負同様その成果の引渡しと同時に、支払わなければなりません。契約の解除については請負においては請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除をすることができ、委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができます。ただし相手方に不利な時期に委任を解除したときは相手方の損害を賠償しなければなりません。また委任においては委任者または受任者が破産手続開始の決定を受けたことで契約解除でき、請負契約においては注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人または破産管財人は、契約の解除をすることができるという違いがあります。
つづいて不法行為の成立要件を 4 つ挙げ、それらについて述べ、さらに、それに関連して、不法行為の成立を阻却する事由について述べます。まず原則として故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負い、他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合または他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければなりません。1つ目に責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、またはその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、違法性が阻却されます。2つ目が、ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。ただし、使用者が被用者の選任およびその事業の監督について相当の注意をしたとき、または相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでないとされます。3つ目として土地の工作物の設置または保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負います。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければなりません。最後の4つ目として動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負います。ただし、動物の種類および性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、違法性が阻却されます。また未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負いません。同様に精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負いません。ただし、飲酒など故意または過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでなく違法性が阻却されません。
最後に重要な違法性阻却事由として他人の不法行為に対し、自己または第三者の権利または法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした者は、損害賠償の責任を負いません。
第五章 特別受益者
本章では、まず相続の総則について簡単に触れ、次いで特別受益者の具体的な例を示し、特別受益者のある場合の相続法上の処理について説明します。
まず相続は、死亡によって開始し、胎児は相続については、既に生まれたものとみなされます。被相続人の子は、相続人となります。被相続人の子が死亡していた場合にはその子が代襲して相続します。ただし被相続人の子や代襲相続人がいない場合には被相続人の直系尊属である親が相続人となり、次いで被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。
共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、または婚姻もしくは養子縁組のためもしくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、同順位の相続人が数人あるときは、子および配偶者が相続人であるときは、子の相続分および配偶者の相続分は、各二分の一とし、配偶者および直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とし、配偶者および兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とし、子、直系尊属または兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とするという規定や、被相続人はそれらの規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、またはこれを定めることを第三者に委託することができ、被相続人が、共同相続人中の一人もしくは数人の相続分のみを定め、またはこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、それらの規定により定めるという規定により算定した相続分の中からその遺贈または贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とします。
特別受益の例としては、大学の学費の支弁や新築の家屋の贈与などが挙げられる。
遺贈または贈与の価額が、相続分の価額に等しく、またはこれを超えるときは、受遺者または受贈者は、その相続分を受けることができません。被相続人が上述した規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従います。また、婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物またはその敷地について遺贈または贈与をしたときは、当該被相続人は、その被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、同順位の相続人が数人あるときは、算定した相続分の中からその遺贈または贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とするという遺贈または贈与についての規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定されます。このように規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、またはその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定めます。
上記の制度に似ているものとして寄与分という制度があります。寄与分とは、共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供または財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、特別受益者の際に述べたのと同様の規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とするとされます。この協議が調わないとき、または協議をするこ
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※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
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