歴史人物烈伝

zukitaishi

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若き雄

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 今日もまた暑い炎天下のなか馬術や弓術の鍛錬に励む男がいる。彼の名は孫策。彼の今の願望は父孫堅に真の武将として認めてもらい孫呉の大軍を率いる大将軍として認めてもらうことである。そのためには近々首都で開かれる武術大会で軒並み連なる猛将を倒してきた甘寧や太史慈といった猛将達を打ち負かして優勝しなければならない。そういうわけで近頃の孫策は気が立っており練習に余念がない。
この武術大会では馬術と弓術の二部門で勝負する。馬術では最も速く競技場内の自分に振り分けられた色の付いた的を弓で射抜いたら勝ちである。弓術はある地点からこれまた馬術と同様、自分に振り分けられた色の付いた最も遠い的を射抜いたら勝ちである。今度の大会は決勝戦となっており孫策の他にさきほど述べた太史慈と甘寧が決勝進出を果たして競うのである。
 当日の朝孫策は緊張している。いよいよ決勝本番である。まずは馬術からである。彼は馬術には自信がある。的を一つ二つと射抜いていく。甘寧と太史慈はどちらも孫策には追いつかない。これは孫策の一人勝ちとなった。ただし、次の弓術は孫策は苦手である。おまけにあとの二人はどちらも弓の名手である。これは、孫策は力及ばず甘寧と太史慈の接戦となった。孫策が外した二番目の的からはるか先の三番目の的を二人共難なく射抜くと四番目の的を先に甘寧が射抜いた。ところが太史慈は五番目の的を先に射抜いてしまった。甘寧は五番目の的を射抜かなければ負けである。果たして弓術は太史慈の勝ちとなった。
 最後は孫策と太史慈が決着をつけることとなった。最終決戦は孫策と太史慈の一騎打ちである。これは、ルールは簡単で二人が着ている鎧を破らないほどの剣を使いどちらかを先に落馬させるか切りこんだ部位により判定して勝負するのである。この勝負はほぼ互角であり決着はいつまでもつかないかに見えたが孫策が渾身の一撃を太史慈めがけて切り込んだところ太史慈はあまりの強さに剣で受けたと同時に剣を落としてしまい判定負けとなった。
 果たして見事優勝した孫策は意気揚々と歓声のなか勝者に与えられる宝剣を受け取り次期大将軍の資格を得ることとなった。
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