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ロイスとスカーレット
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ースカーレットsideー
ロイスをずっと見てきて唯一分かる事がある。
ロイスは実の兄を兄弟として好きすぎるという事。
ロイスは兄への態度とスカーレット達一般人との態度が明らかに違う。
兄のためなら何でもする勢いで盲目的に思えた。
とはいえスカーレットは勝ち目がない恋だとは思ってない。
だっていくら慕ってたって兄弟だし、それに何より兄には恋人がいるという噂だ。
ロイスも兄に恋人がいるのを素直に祝福してるし「兄さんが選んだ人なら俺も安心だ」と兄に言ってるところを見た事がある。
あの笑顔は心の底から祝福している顔だった。
ロイスが兄に憧れる理由も分かる、実はスカーレットの尊敬する人でもあるから。
イズレイン士官学校を全クラス首席で卒業した歴代最高の騎士であり、何と言ってもこの国の英雄なんだから士官学校の生徒のほとんどがあの人のようになる事は難しくても共に戦いたいと思うから必死に頑張っている。
ロイスは確か自主練でまだ士官学校にいると思うから向かう。
早くこのお菓子を渡して昨日の事を謝りたかった。
…どんな理由であれ、手を抜かれたら自分だって嫌だと思ったからロイスの気持ちは分かる。
それでもやはり戸惑ってしまうのが恋する男の弱点である。
士官学校に着くと、すぐにロイスと戦った稽古場に向かう。
稽古場の近くにいくといつもする元気な掛け声がない。
もう皆帰ったのだろうかとなんとなくドアノブを回す。
すると、カチャと音が聞こえて普通に開いた。
鍵を閉め忘れたのか、不用心だと思いながらも玄関を見ると靴があった。
誰かが残ってるだろうと思い、靴を脱ぎ中に入る。
近付くとさっきまで聞こえなかった素振りの音が聞こえた。
さらに近付くと息遣いや踏みしめる足の音で、誰かが残っているのだと分かる。
相手の気が散らないようにそっと棚に身を隠して覗き込んだ。
そこには汗を流し、真剣な顔をして素振りを繰り返しているロイスの姿があった。
もう何千回もしたのか竹刀を握る手に血が付いていて、足も痛むのか時々顔を険しくするが続けている。
…そんなに自分に負けた事が悔しかったのかと、嬉しく感じた。
スカーレットの事を何とも思ってないように感じていたロイスが今頭をいっぱいにしてるのは兄ではなくスカーレットの事だと思うと嬉しくないわけない。
スカーレットは気持ちが高ぶり一歩歩くと豪快に転けた。
何とかカップケーキだけ手に持ち変え守る。
さっきまで聞こえていたロイスの素振りの音が消えた。
さすがにあんな音を出せば気付かれるかとロイスを見ると、やはり険しい顔をしてこちらを見ていた。
スカーレットは覗いていた事を隠すようにへらへらと笑い起き上がる。
またロイスがスカーレットを避けようとするからスカーレットはとっさにロイスの手を掴んだ。
「っ!」
「あ、ごめん….」
マメが潰れて血が出ていた手をすぐに離すとまたロイスに睨まれた。
スカーレットの手にはべったりと血がついた、そこまでロイスが竹刀を握りしめていた事になりギュッと拳を握りしめてロイスの努力を感じる。
…また手を握られたくないからか、今度は話を聞いてくれるようで逃げなかった。
壁に寄りかかり、スカーレットを睨んでいた。
これ以上嫌われたくないから早く用件を伝えよう。
スカーレットはカップケーキをロイスの前に見せる。
「何のつもりだ?」
「ロイス、俺ともう一度勝負をしよう…今度は手加減しない」
ロイスにスカーレットの真剣な気持ちが伝わればいいとロイスを見つめる。
ロイスもきっともう一度スカーレットと戦いたいのだと思う、じゃないとマメが潰れるほど練習なんかしない。
今度こそ、ちゃんとロイスと勝負しよう、手加減なんかせず完全な勝利を決めるために…
「怪我をした俺と真剣勝負するのか?」
「怪我が治ってからでいいよ!いつでもいいから!」
「…いつでもいい、か…じゃあカーニバル前日までに治しとく、今度手加減したら…分かってるよな」
スカーレットは頷き、ロイスに押し付けるようにしてカップケーキを渡し稽古場を後にした。
お詫びの気持ちに普通に渡しても受け取らないだろうから強引に持たせた。
嵐のように現れて風のように去っていったスカーレットが去った場所を一瞬見てすぐに興味がなくなった。
手元に残ったカップケーキを見つめながら複雑な顔をした。
「…ハイド兄さんは俺が守るから」
ロイスの言葉は、誰に届く事なく風と共に消えていった。
小さな頃から、大きな目標でありロイスにとって永遠のライバルだと思っていた兄…ハイド。
士官学校ぐらいでロイスに勝てる奴は誰もいないと思っていた。
なのに、脳天気なスカーレットに負けるなんて…しかも手を抜かれるとは思っても見なかった。
スカーレットは愛を間違えていたと後悔していた。
ロイスは騎士の心がある、手を抜かれて喜ぶ相手ではない。
なのにスカーレットは、手を抜いてしまった。
ロイスが怒るのは当然だ、スカーレットだって手を抜かれたら同じ気持ちになっただろう。
でも、今度は絶対に間違わない…ロイスと真剣勝負をしてロイスに自分の気持ちをぶつける。
そして、一緒にカーニバルに行ってもらうと強く決意した。
ロイスをずっと見てきて唯一分かる事がある。
ロイスは実の兄を兄弟として好きすぎるという事。
ロイスは兄への態度とスカーレット達一般人との態度が明らかに違う。
兄のためなら何でもする勢いで盲目的に思えた。
とはいえスカーレットは勝ち目がない恋だとは思ってない。
だっていくら慕ってたって兄弟だし、それに何より兄には恋人がいるという噂だ。
ロイスも兄に恋人がいるのを素直に祝福してるし「兄さんが選んだ人なら俺も安心だ」と兄に言ってるところを見た事がある。
あの笑顔は心の底から祝福している顔だった。
ロイスが兄に憧れる理由も分かる、実はスカーレットの尊敬する人でもあるから。
イズレイン士官学校を全クラス首席で卒業した歴代最高の騎士であり、何と言ってもこの国の英雄なんだから士官学校の生徒のほとんどがあの人のようになる事は難しくても共に戦いたいと思うから必死に頑張っている。
ロイスは確か自主練でまだ士官学校にいると思うから向かう。
早くこのお菓子を渡して昨日の事を謝りたかった。
…どんな理由であれ、手を抜かれたら自分だって嫌だと思ったからロイスの気持ちは分かる。
それでもやはり戸惑ってしまうのが恋する男の弱点である。
士官学校に着くと、すぐにロイスと戦った稽古場に向かう。
稽古場の近くにいくといつもする元気な掛け声がない。
もう皆帰ったのだろうかとなんとなくドアノブを回す。
すると、カチャと音が聞こえて普通に開いた。
鍵を閉め忘れたのか、不用心だと思いながらも玄関を見ると靴があった。
誰かが残ってるだろうと思い、靴を脱ぎ中に入る。
近付くとさっきまで聞こえなかった素振りの音が聞こえた。
さらに近付くと息遣いや踏みしめる足の音で、誰かが残っているのだと分かる。
相手の気が散らないようにそっと棚に身を隠して覗き込んだ。
そこには汗を流し、真剣な顔をして素振りを繰り返しているロイスの姿があった。
もう何千回もしたのか竹刀を握る手に血が付いていて、足も痛むのか時々顔を険しくするが続けている。
…そんなに自分に負けた事が悔しかったのかと、嬉しく感じた。
スカーレットの事を何とも思ってないように感じていたロイスが今頭をいっぱいにしてるのは兄ではなくスカーレットの事だと思うと嬉しくないわけない。
スカーレットは気持ちが高ぶり一歩歩くと豪快に転けた。
何とかカップケーキだけ手に持ち変え守る。
さっきまで聞こえていたロイスの素振りの音が消えた。
さすがにあんな音を出せば気付かれるかとロイスを見ると、やはり険しい顔をしてこちらを見ていた。
スカーレットは覗いていた事を隠すようにへらへらと笑い起き上がる。
またロイスがスカーレットを避けようとするからスカーレットはとっさにロイスの手を掴んだ。
「っ!」
「あ、ごめん….」
マメが潰れて血が出ていた手をすぐに離すとまたロイスに睨まれた。
スカーレットの手にはべったりと血がついた、そこまでロイスが竹刀を握りしめていた事になりギュッと拳を握りしめてロイスの努力を感じる。
…また手を握られたくないからか、今度は話を聞いてくれるようで逃げなかった。
壁に寄りかかり、スカーレットを睨んでいた。
これ以上嫌われたくないから早く用件を伝えよう。
スカーレットはカップケーキをロイスの前に見せる。
「何のつもりだ?」
「ロイス、俺ともう一度勝負をしよう…今度は手加減しない」
ロイスにスカーレットの真剣な気持ちが伝わればいいとロイスを見つめる。
ロイスもきっともう一度スカーレットと戦いたいのだと思う、じゃないとマメが潰れるほど練習なんかしない。
今度こそ、ちゃんとロイスと勝負しよう、手加減なんかせず完全な勝利を決めるために…
「怪我をした俺と真剣勝負するのか?」
「怪我が治ってからでいいよ!いつでもいいから!」
「…いつでもいい、か…じゃあカーニバル前日までに治しとく、今度手加減したら…分かってるよな」
スカーレットは頷き、ロイスに押し付けるようにしてカップケーキを渡し稽古場を後にした。
お詫びの気持ちに普通に渡しても受け取らないだろうから強引に持たせた。
嵐のように現れて風のように去っていったスカーレットが去った場所を一瞬見てすぐに興味がなくなった。
手元に残ったカップケーキを見つめながら複雑な顔をした。
「…ハイド兄さんは俺が守るから」
ロイスの言葉は、誰に届く事なく風と共に消えていった。
小さな頃から、大きな目標でありロイスにとって永遠のライバルだと思っていた兄…ハイド。
士官学校ぐらいでロイスに勝てる奴は誰もいないと思っていた。
なのに、脳天気なスカーレットに負けるなんて…しかも手を抜かれるとは思っても見なかった。
スカーレットは愛を間違えていたと後悔していた。
ロイスは騎士の心がある、手を抜かれて喜ぶ相手ではない。
なのにスカーレットは、手を抜いてしまった。
ロイスが怒るのは当然だ、スカーレットだって手を抜かれたら同じ気持ちになっただろう。
でも、今度は絶対に間違わない…ロイスと真剣勝負をしてロイスに自分の気持ちをぶつける。
そして、一緒にカーニバルに行ってもらうと強く決意した。
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