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恋の果物
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明後日にカーニバルが控えているある日の出来事。
城下町は出店や飾り付けの準備で大忙しで賑わっていた。
旅人も多くやってくるカーニバルだから皆宣伝しようと頑張っている。
イノリも準備のために精霊の森にやって来ていた。
精霊の森には数々の伝説があり、その中でも有名なのは恋の果物と言われてる見た目はハート型の林檎で味は柑橘系という不思議な果物があるそうだ。
しかし貴重な果物で数人しか食べた者はいないと言われている。
その実を大好きな人と食べると永遠に結ばれるという言い伝えがある。
名前の由来も恋愛の女神が愛した果物から来ているらしく、精霊の森の前でイノリはカゴを持ち意気込む。
この恋の果物のお菓子を作りカーニバルに出したいと思っている。
見つかるか分からないが、とりあえず頑張ろうと精霊の森に続くトンネルを抜けた。
精霊のお出迎えがあり、森の中に入り空気を吸う。
一気に溜まっていた緊張が解れて、気分も穏やかになる。
この場所はイノリにとっての気分転換にもなる癒しの空間。
「精霊さん達、恋の果物を持って帰りたいんだけどいいかな?」
精霊達に許可を取ると道案内してくれるらしく誘導してくれた。
まさかこんなに早く手に入るとは思わず慌てて着いていく。
…今まで食べた果物の中で一番美味しいと聞くからハイドにも食べさせたかったと思いながら細い道を通り草花を掻き分ける。
そして広い場所に出た、この場所は初めてくる。
色鮮やかなキノコや緑に囲まれた美しい空間。
そこには精霊が沢山集まっていて、一番森の中で空気が綺麗に思えた。
切り株に腰を下ろしている人を精霊が囲んで歌を歌っている。
その人も精霊に合わせて美しい声で口ずさむ。
蜂蜜色の髪が腰まで長く頭の上には青いリボンを付けている。
神社の巫女の服を着ている女性は瞳を閉じて草を弄っていた。
耳に心地よい歌を歌っていて、初めて森で他の人を見た。
何をしてるのだろうかと好奇心で邪魔にならないようにそっと一歩踏み出すと、足元の枝に気付かず踏んでしまった。
枝が折れる音に女性は目を開けて、恥ずかしがり屋の精霊達は逃げてしまった。
青い透き通った綺麗な瞳をしていて、緊張して身体が動かなくなる。
見た目は少女のように幼いが年齢はよく分からない。
邪魔をしてしまい、慌てて頭を下げて謝った。
「ごめんなさいっ!」
「何故、謝るの?」
女性はキョトンとした顔で可愛らしい仕草で首を傾げている。
女の人と一対一で話した事がなく、緊張して顔を赤くして下を向く。
瞬の時は騎士団の人達ぐらいしか話し相手がいなかった。
お客さんやおばちゃん達相手だったら平気なのに若い人だと挙動不審になる。
元の世界には母と妹がいて瞬がこの世で最も苦手な人だった。
生まれる前から瞬を嫌い、いらない子と言い続けた母と兄である瞬を下僕のように扱っていた妹。
勿論この人は違うって分かってるが目を逸らしてしまう。
「邪魔、してしまって…」
「別に構わないわ、精霊様は驚いてしまったみたいだけど」
女性が見ている方向には、精霊が木の影からこちらを伺っている。
イノリは精霊にも謝ると、少しずつ出てきた。
精霊がこんなに懐いているんだ、きっと彼女は心優しいのだろう。
観察していくうちに緊張もだんだん和らいできた。
女性に慣れるいい機会かもしれないと近付く。
イノリも変わらなきゃ、昔のままじゃダメだとロミオの事件で心を入れ替えた。
前のイノリだったら声を掛ける事はなかっただろう。
また足元に生えている草を撫でている手元を見つめる、
「何をしてるんですか?」
「儀式に使う良質な葉を選別しています」
触れただけで分かるなんて凄い、イノリには当然だが真似できない。
儀式…やっぱり巫女なのかな?と思いイノリは自分の目的を思い出し周りを見渡す。
イノリの目的である恋の果物を探すが、それらしいものが見当たらない。
ここじゃないもっと別の場所にあるのだろうか。
イノリより森について詳しそうな女性を見た。
勘だがイノリより長くこの森を知り尽くしているように感じた。
「俺、恋の果物を探しにきたんですけど…知りませんか?」
「恋の果物は確か雨の日にしか姿を見せないと聞きました」
女性はイノリの言葉を聞いて少し驚いた顔をしていた。
まさか雨の日にしか果物が収穫出来ないなんて…
図鑑で調べた筈だったのに、もっとよく調べるべきだったと落ち込む。
雨の日まで待つのは気が遠くなる、諦めて別の材料で作ろう。
深いため息を吐くと女性は葉っぱが詰まったカゴに手を入れてなにかを探している。
城下町は出店や飾り付けの準備で大忙しで賑わっていた。
旅人も多くやってくるカーニバルだから皆宣伝しようと頑張っている。
イノリも準備のために精霊の森にやって来ていた。
精霊の森には数々の伝説があり、その中でも有名なのは恋の果物と言われてる見た目はハート型の林檎で味は柑橘系という不思議な果物があるそうだ。
しかし貴重な果物で数人しか食べた者はいないと言われている。
その実を大好きな人と食べると永遠に結ばれるという言い伝えがある。
名前の由来も恋愛の女神が愛した果物から来ているらしく、精霊の森の前でイノリはカゴを持ち意気込む。
この恋の果物のお菓子を作りカーニバルに出したいと思っている。
見つかるか分からないが、とりあえず頑張ろうと精霊の森に続くトンネルを抜けた。
精霊のお出迎えがあり、森の中に入り空気を吸う。
一気に溜まっていた緊張が解れて、気分も穏やかになる。
この場所はイノリにとっての気分転換にもなる癒しの空間。
「精霊さん達、恋の果物を持って帰りたいんだけどいいかな?」
精霊達に許可を取ると道案内してくれるらしく誘導してくれた。
まさかこんなに早く手に入るとは思わず慌てて着いていく。
…今まで食べた果物の中で一番美味しいと聞くからハイドにも食べさせたかったと思いながら細い道を通り草花を掻き分ける。
そして広い場所に出た、この場所は初めてくる。
色鮮やかなキノコや緑に囲まれた美しい空間。
そこには精霊が沢山集まっていて、一番森の中で空気が綺麗に思えた。
切り株に腰を下ろしている人を精霊が囲んで歌を歌っている。
その人も精霊に合わせて美しい声で口ずさむ。
蜂蜜色の髪が腰まで長く頭の上には青いリボンを付けている。
神社の巫女の服を着ている女性は瞳を閉じて草を弄っていた。
耳に心地よい歌を歌っていて、初めて森で他の人を見た。
何をしてるのだろうかと好奇心で邪魔にならないようにそっと一歩踏み出すと、足元の枝に気付かず踏んでしまった。
枝が折れる音に女性は目を開けて、恥ずかしがり屋の精霊達は逃げてしまった。
青い透き通った綺麗な瞳をしていて、緊張して身体が動かなくなる。
見た目は少女のように幼いが年齢はよく分からない。
邪魔をしてしまい、慌てて頭を下げて謝った。
「ごめんなさいっ!」
「何故、謝るの?」
女性はキョトンとした顔で可愛らしい仕草で首を傾げている。
女の人と一対一で話した事がなく、緊張して顔を赤くして下を向く。
瞬の時は騎士団の人達ぐらいしか話し相手がいなかった。
お客さんやおばちゃん達相手だったら平気なのに若い人だと挙動不審になる。
元の世界には母と妹がいて瞬がこの世で最も苦手な人だった。
生まれる前から瞬を嫌い、いらない子と言い続けた母と兄である瞬を下僕のように扱っていた妹。
勿論この人は違うって分かってるが目を逸らしてしまう。
「邪魔、してしまって…」
「別に構わないわ、精霊様は驚いてしまったみたいだけど」
女性が見ている方向には、精霊が木の影からこちらを伺っている。
イノリは精霊にも謝ると、少しずつ出てきた。
精霊がこんなに懐いているんだ、きっと彼女は心優しいのだろう。
観察していくうちに緊張もだんだん和らいできた。
女性に慣れるいい機会かもしれないと近付く。
イノリも変わらなきゃ、昔のままじゃダメだとロミオの事件で心を入れ替えた。
前のイノリだったら声を掛ける事はなかっただろう。
また足元に生えている草を撫でている手元を見つめる、
「何をしてるんですか?」
「儀式に使う良質な葉を選別しています」
触れただけで分かるなんて凄い、イノリには当然だが真似できない。
儀式…やっぱり巫女なのかな?と思いイノリは自分の目的を思い出し周りを見渡す。
イノリの目的である恋の果物を探すが、それらしいものが見当たらない。
ここじゃないもっと別の場所にあるのだろうか。
イノリより森について詳しそうな女性を見た。
勘だがイノリより長くこの森を知り尽くしているように感じた。
「俺、恋の果物を探しにきたんですけど…知りませんか?」
「恋の果物は確か雨の日にしか姿を見せないと聞きました」
女性はイノリの言葉を聞いて少し驚いた顔をしていた。
まさか雨の日にしか果物が収穫出来ないなんて…
図鑑で調べた筈だったのに、もっとよく調べるべきだったと落ち込む。
雨の日まで待つのは気が遠くなる、諦めて別の材料で作ろう。
深いため息を吐くと女性は葉っぱが詰まったカゴに手を入れてなにかを探している。
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