天才科学者が異世界に飛ばされたのでファンタジーを科学で証明しようと思います！ 〜新たな物理法則を発見した科学者は大はしゃぎです〜

第6話 何！？さっきのあれは化学物質だったのか！？

「いや、ただ情報を収集しに来ただけだ」
「でしたらそこに置いてある本なんかは無料で読めますよ」
何冊か並べてあった。生物図鑑。政治。ニュース。冒険の基本。

「そうか、ありがたい」

少女は、しばらく様子を見てからギルドに入ってきた。
恐るべき美少女の力で、ギルド内は忽ちほんわかとした雰囲気に包まれた。
「かわいぃ…」

私は情報を探るべくその辺のおっちゃんに話しかけた。おそらくこの雰囲気でない限り気前よく話してはくれなかっただろう。
「すみません、聞きたいことがあるのですが。あちらの野原で遭遇した水色の生命体について何か知っていることはありますか？」

「あ？スライムのことか？流石にスライムってことはわかってるだろうから、スライムの特徴とかだよな。あれは刺したり叩いたりして破裂したら死ぬ。基本体当たりしかしてこないから安全だ。初心者が良く狩る魔物だわな」

知らなかった。あれスライムっていうのか。こっちの世界では常識なのだろうか。スライムというとあの水と洗濯ノリとホウ砂で作る物質のことか。小学生がよく遊んでいるイメージだが。

あれに生命が宿ったのか。生命がスライムに寄せた進化をしたのか。化石でも見つかればスライムの古代の姿がわかるかもしれん。生命が宿ったのだとしたら硫黄やリンが混ざり、たんぱく質とDNAが形成されたというわけか。どちらにせよDNAを採取すれば何かわかるかもしれない。それはDNAシークエンサーを作ってからのお楽しみだな。

「何を食べて生きてるんですか？」
「雑食だ。動物でも草でも何でも食う。だからスライムのいる場所は綺麗になる。でも逆にスライムからしたら汚い方がありがたいのかもしれないけどな」

雑食か。あの体で植物が消化できるのか。もしかしたら体そのものが消化器官の役割を果たしているのかもしれない。そう考えると実に面白い。消化器官そのものが生命というのは最もシンプルな生き物だ。つまりその単純でエネルギー消費が少ないからこそ繁殖力があるということだな。

そういえば本があるんだったな。なになに？

「何だこれは！？アイアンゴーレム！？」