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友人
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「リンクは、絶対に私が守る!」
その一心で短くて長いような時間を耐えるが、やっぱりノルドがいない私は弱くて。
「お願い、ノルド……! 私たちを守って」
ここにいない彼を頼る。愛する人を想えば、強く願う力が出せるから。
すると次第に、まぶたの裏からでさえ眩しかった光が、穏やかになっていく。頰に風がかかるというのは、きっと外なのだろう。光と闇の世界は終わった。私はゆっくりと目を開く。
……するとそこには見たことのない景色で。
「ママ。突然、どうしたの?」
リンクが力の抜けた私の腕の中からするりと抜け出し、辺りの景色を見渡す。その目線の先にあるゲームの中に入り込んでしまったかのような世界に、何度もまばたきをする。
「わぁ!! すごいね、森の中だ。動物がいっぱい。角が生えてるウサギがいるよ。とっても、かわいい」
そう言って、はしゃぐリンクはこの場所が何処でもお構い無しに、危ないことも気にせずに、楽しいこと優先するようだ。
だから、私がしっかりして、安全を確認しなくちゃ。だって、夢ではない証拠に頭がズキズキと痛いから。
「……静かに。一瞬で何故か遠い所に来てしまったの。まわりを確認するから、待っていられる?」
「そうなんだ! ……遊びに行っちゃダメ?」
キラキラしている目を向けてくるが、横に顔を振って否定する。このだが、1人にするのも不安で一緒に出た方が良いかと考えを変える。
うさぎを追いかけて、どっかに行ってしまいそうだ。
「一緒に行こうか?。でも、リンクが森で迷子になっちゃったら心配だから、手をつなごうね」
本当にしてはいけない時にする、真剣な表情でリンクの目を見ると、リンクが笑顔で頷いた。
「うん。手をつないで歩く!」
「ゆっくり、静かに歩こう」
耳を澄ますと、小鳥の声と木々のざわめき。普通の森のような気もするが、違和感はある。
すると、遠くから知らない言葉で誰かを探しているような、呼び声が聞こえてきた。
「……誰かいるよ? ママ」
「そうね……」
不安を悟られないように、そっと木陰にリンクを引っ張り隠れる。敵か味方か分からないまま、見つかるわけにはいかない。
チラリと見えた姿は、身長が高く、いかにも強そうな若い男性だった。戦っても勝てないだろう。
「悪い人が、逃げてきたのかもしれない。……しばらく隠れてようか?」
咄嗟に思いついた、良くわからない説明をする。
その言葉に対して、首を傾げながらリンクは何かを思い出したように言った。
「きっとパパが、呼んでくれたんだよ」
「ノルドが?」
確かに、そうだったら良いけれど。
木の陰から呼ぶ声を探る。……その言葉は英語でもないし、なんて言っているのか分からない。聞いたことのない言語ではないのだろうか。
しばらく黙っていたリンクが、キョロキョロとあたりを見て、腕を伸ばす。
「何してるの?」
「赤い実、探してる」
そして、やっと見つけた赤い実を一粒選んで摘んで食べた。
「……え?」
「甘酸っぱくて美味しい。ママも、どうぞ」
「ちょっと、ペッてして!……毒とか入ってたらどうするの」
私はリンクの口に手をかけて、唇を開いて中を見る。もう、飲み込んでしまったのだろうか。
元気そうだが、万が一、遅効性の毒が入ってたらどうしよう。
勝手に何かを食べるなんて、油断をしていた。
青ざめた顔で、リンクから差し出されたままの赤い実を受け取り匂いを嗅ぐ。
……それは、とても良い香りで問題はなさそうだけれど。
「これは食べられる実だから、大丈夫。早く、ママも食べて」
「……どうして、分かるの?」
「そうしたら、言葉が分かるようになるって。お風呂でパパが言ってた」
ノルドが?
確かに、夢物語のような事はたまに話していたが……。
私は、あまり覚えていない。
それに、ノルドと似た顔のリンクから言われてしまうと断れない。
「……本当だ。美味しい」
「でしょ? ……それに、ここは安全な場所だから大丈夫」
「それって、どういう……?」
「迎えに来るから」
その時に、さっき理解できなかった言葉がはっきりと『知ってる言語』として耳に入ってきた。
日本語ではないのに、言葉が分かる。
「サクラ様、リンク様。お迎えにあがりました」
黒い影が頭上に覆いかぶさり、リンクを守ろうと慌てて抱きしめる。
「ママ! 大丈夫だよ。この人は、悪い人そうに見えるけどパパの友達だよ。助けてくれるって、パパが言ってた」
「……ノルドが?」
今まで、友達を紹介されたことなどない。
それに、アニメかゲームから出てきたような服装をしている。その、大きなマントは何のためにあるのだろう。
「ウィルと、申します。決して怪しいものではありません」
外見で判断すると、十分怪しい。
濃青の髪と目。しかも、その視線は油断を見せることなく、張り詰めている。
鍛え上げられていることが分かる筋肉質な体躯に、190センチはありそうな見上げるほどの身長。
けれど、敵意は完全に消されていて、それがさらに威圧を感じる。
リンクは怖くないのだろうか。
物怖じせずに、ウイルの長いマントをクルクル体に巻き付けて遊んでいる。性格的に人見知りしないと言っても、やりすぎだ。
でも、反対に安心もする。私もリンクも、直感には自信があるからだ。
この子が懐くなら、ウイルは嘘をついていないし悪い人じゃない。ノルドの友達というのは雰囲気が違いすぎて信じられないが、知り合いではあるのは確かだろう。
……そうと決めたら覚悟を決めて、リンクの目を見る。親として、まず最初に言う事があるだろう。
子供の見本にならなければ。
「助けに来て頂いて、ありがとうございます」
リンクと一緒に、深々と頭を下げた。
その一心で短くて長いような時間を耐えるが、やっぱりノルドがいない私は弱くて。
「お願い、ノルド……! 私たちを守って」
ここにいない彼を頼る。愛する人を想えば、強く願う力が出せるから。
すると次第に、まぶたの裏からでさえ眩しかった光が、穏やかになっていく。頰に風がかかるというのは、きっと外なのだろう。光と闇の世界は終わった。私はゆっくりと目を開く。
……するとそこには見たことのない景色で。
「ママ。突然、どうしたの?」
リンクが力の抜けた私の腕の中からするりと抜け出し、辺りの景色を見渡す。その目線の先にあるゲームの中に入り込んでしまったかのような世界に、何度もまばたきをする。
「わぁ!! すごいね、森の中だ。動物がいっぱい。角が生えてるウサギがいるよ。とっても、かわいい」
そう言って、はしゃぐリンクはこの場所が何処でもお構い無しに、危ないことも気にせずに、楽しいこと優先するようだ。
だから、私がしっかりして、安全を確認しなくちゃ。だって、夢ではない証拠に頭がズキズキと痛いから。
「……静かに。一瞬で何故か遠い所に来てしまったの。まわりを確認するから、待っていられる?」
「そうなんだ! ……遊びに行っちゃダメ?」
キラキラしている目を向けてくるが、横に顔を振って否定する。このだが、1人にするのも不安で一緒に出た方が良いかと考えを変える。
うさぎを追いかけて、どっかに行ってしまいそうだ。
「一緒に行こうか?。でも、リンクが森で迷子になっちゃったら心配だから、手をつなごうね」
本当にしてはいけない時にする、真剣な表情でリンクの目を見ると、リンクが笑顔で頷いた。
「うん。手をつないで歩く!」
「ゆっくり、静かに歩こう」
耳を澄ますと、小鳥の声と木々のざわめき。普通の森のような気もするが、違和感はある。
すると、遠くから知らない言葉で誰かを探しているような、呼び声が聞こえてきた。
「……誰かいるよ? ママ」
「そうね……」
不安を悟られないように、そっと木陰にリンクを引っ張り隠れる。敵か味方か分からないまま、見つかるわけにはいかない。
チラリと見えた姿は、身長が高く、いかにも強そうな若い男性だった。戦っても勝てないだろう。
「悪い人が、逃げてきたのかもしれない。……しばらく隠れてようか?」
咄嗟に思いついた、良くわからない説明をする。
その言葉に対して、首を傾げながらリンクは何かを思い出したように言った。
「きっとパパが、呼んでくれたんだよ」
「ノルドが?」
確かに、そうだったら良いけれど。
木の陰から呼ぶ声を探る。……その言葉は英語でもないし、なんて言っているのか分からない。聞いたことのない言語ではないのだろうか。
しばらく黙っていたリンクが、キョロキョロとあたりを見て、腕を伸ばす。
「何してるの?」
「赤い実、探してる」
そして、やっと見つけた赤い実を一粒選んで摘んで食べた。
「……え?」
「甘酸っぱくて美味しい。ママも、どうぞ」
「ちょっと、ペッてして!……毒とか入ってたらどうするの」
私はリンクの口に手をかけて、唇を開いて中を見る。もう、飲み込んでしまったのだろうか。
元気そうだが、万が一、遅効性の毒が入ってたらどうしよう。
勝手に何かを食べるなんて、油断をしていた。
青ざめた顔で、リンクから差し出されたままの赤い実を受け取り匂いを嗅ぐ。
……それは、とても良い香りで問題はなさそうだけれど。
「これは食べられる実だから、大丈夫。早く、ママも食べて」
「……どうして、分かるの?」
「そうしたら、言葉が分かるようになるって。お風呂でパパが言ってた」
ノルドが?
確かに、夢物語のような事はたまに話していたが……。
私は、あまり覚えていない。
それに、ノルドと似た顔のリンクから言われてしまうと断れない。
「……本当だ。美味しい」
「でしょ? ……それに、ここは安全な場所だから大丈夫」
「それって、どういう……?」
「迎えに来るから」
その時に、さっき理解できなかった言葉がはっきりと『知ってる言語』として耳に入ってきた。
日本語ではないのに、言葉が分かる。
「サクラ様、リンク様。お迎えにあがりました」
黒い影が頭上に覆いかぶさり、リンクを守ろうと慌てて抱きしめる。
「ママ! 大丈夫だよ。この人は、悪い人そうに見えるけどパパの友達だよ。助けてくれるって、パパが言ってた」
「……ノルドが?」
今まで、友達を紹介されたことなどない。
それに、アニメかゲームから出てきたような服装をしている。その、大きなマントは何のためにあるのだろう。
「ウィルと、申します。決して怪しいものではありません」
外見で判断すると、十分怪しい。
濃青の髪と目。しかも、その視線は油断を見せることなく、張り詰めている。
鍛え上げられていることが分かる筋肉質な体躯に、190センチはありそうな見上げるほどの身長。
けれど、敵意は完全に消されていて、それがさらに威圧を感じる。
リンクは怖くないのだろうか。
物怖じせずに、ウイルの長いマントをクルクル体に巻き付けて遊んでいる。性格的に人見知りしないと言っても、やりすぎだ。
でも、反対に安心もする。私もリンクも、直感には自信があるからだ。
この子が懐くなら、ウイルは嘘をついていないし悪い人じゃない。ノルドの友達というのは雰囲気が違いすぎて信じられないが、知り合いではあるのは確かだろう。
……そうと決めたら覚悟を決めて、リンクの目を見る。親として、まず最初に言う事があるだろう。
子供の見本にならなければ。
「助けに来て頂いて、ありがとうございます」
リンクと一緒に、深々と頭を下げた。
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