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アナザー(順不同)
引っ越し前の、ノルド視点①
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「殿下、ノルド殿下?」
「……あ、あぁ、ウィル。すまない。何か戦況に変化は?」
僕が作った通信球の精度はとても高いはずなのに、何故か声が遠く感じる。
「組織の末端まで、探せるだけは全て捕らえました。主犯格は特に厳重に魔力を封じて捕らえております」
「そうか、その他のは者はどうなっている?」
「無理やり従わされてた者は無罪とし、実行犯は魔法師によって、魔力奪い僻地に送ることに致しました」
さすがは兄上、手はずが速やかだ。
文句のつけようもなくて、かなわない。
僕も、それなりに頑張ってはいるけど、身近に全て完璧な人がいると、どうしても劣等感が出て来てしまう。
今だって責務から逃げているようなものだ。
いや、それにもう少し手腕が悪くても良いのに。
だって。
「なので、そろそろこちらの世界にお帰り下さい。一時的な帰還ではなく正式に。ノルド殿下でなくては出来ない仕事もたまっております。それより時間軸をお考え下さい」
キーンと音がする。通信球からじゃない。
自分の頭の中がウィルの言葉を拒否している。きっと、この幸せが続くわけがないって分かっているから。
今の僕は、全員を裏切っている。
やらなきゃいけないこと、やるべきことを全て放棄して、自分の事しか考えていない。
「わかってる」
思いのほか、冷たい声がでる。
「すみません。私が言う事ではありませんでしたね」
いつもこうだ。
ウィルは正しい事を言っているのに謝らせてしまった。
「すまない。では、また状況を報告してくれ」
「いいえ、こちらこそ謝ります。……では、失礼いたします」
何もうつしていない通信球をしばらく見る。
「もう、いっそ、帰らなければ良いかな。家族、仲間より早く死んでしまうが、兄上が国を守ってくれる」
「……あ、あぁ、ウィル。すまない。何か戦況に変化は?」
僕が作った通信球の精度はとても高いはずなのに、何故か声が遠く感じる。
「組織の末端まで、探せるだけは全て捕らえました。主犯格は特に厳重に魔力を封じて捕らえております」
「そうか、その他のは者はどうなっている?」
「無理やり従わされてた者は無罪とし、実行犯は魔法師によって、魔力奪い僻地に送ることに致しました」
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キーンと音がする。通信球からじゃない。
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