誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

イトウ 

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メンバーチェンジ Ⅻ

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 エンジュの手には、大きい荷物を持っている。

 もしかして………。

「ここで、働くとか?」
「さすがグランね。正解よ。もう13才だし、この国では成人だから、働けるの」

 ……そうか。
 身長も同じくらいだし、田舎で学校などもないから年齢を忘れていた。

「エンジュ、そんな年齢だったんだ。………あいたっ!!」

 パーンっと、持っていたカバンで背中を叩かれた。
 さすがにエンジュ相手に防御をする必要もないかと思って、完全に受けてしまったが案外、威力は強い。

「グランが大人っぽいだけで、私は年相応よ」
「そうそう。エンジュはお姉さんっぽいわよね。精神年齢は私と同じくらいだと思うわ」

 ユーディアは、ギュッとエンジュを抱きしめて、両手で、ふっくらとした頬をスリスリしている。
 美しいと可愛いの共演は、目に優しい。

「ユーディア!会いたかったよ」
「私もよ。店主さんが、働き手はまだ足りないって言ってたから、きっと働けると思うわ。一緒で嬉しい。お母さんは、良いって?」
「もちろんよ。この、装置があれば行って良いって。説得したの!」

 もしかしなくても、旅に出ると言うタイミングは今しかないのではないだろうか。

「それなら、今使ってる僕の部屋をエンジュが使って下さい。すぐに旅に出なくちゃいけないので……」

「えぇーーー?」

 義父とエンジュが大声で叫ぶ。
 デジャヴだろうか。
 さっきも、こんな声を聞いた気がする。

「一人でか?子供が一人で旅に出るなんぞ、育ての親として許せないぞ」
「……えーん。せっかく、会えたのにー。なんでー?」

 さっきも、言った言葉を繰り返す。

「自分探しの旅で……?」

 自分で言ってて、笑ってきてしまった。
 何だろうか。
 自分探しって……。

「そんな危険な事!!グランが強いのは知ってるが何があるか分からないだろう。どこに行くんだ?」
「ダンジョンです」

「は?なんて言った?」
「ですので、ダンジョ……」

「ダメに決まってるだろう!!」

 部屋に防音魔法をかけてなければ、うるさいと近所中から怒鳴られるだろう。
 すごい音量だ。

 あわてて耳を塞いだが、まだキーンとする耳で頭を下げる。

「すみません。決定事項なんです。あと、ピーターさんという国のえらい護衛がついてきてくるんで、問題ないかと」
「誰だ?知らないぞ。……じゃあ、明日、そいつの所へ連れてけ!俺が、どれだけ強いか見定めてやる」

 間違いなく王族の次に強いと思うのだが……、何を言っても聞いてもらえなそうな雰囲気に諦めた。

「わかりました。紹介します」

 隠し通せるものでもない。
 義父を連れて行こう。






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