誰も要らないなら僕が貰いますが、よろしいでしょうか?

イトウ 

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その後

話し合わない解決方法 ラスト

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 しまった。

 思わず大声を出してしまい、あわてて自分の口をふさぐ。

 だがその瞬間、運良く大きい歓声が外で鳴り響き、グランの声を打ち消してくれた。
 どこかの有力な貴族がやってきたのだろうか。

 誰だかわからないが、好都合である。
 この間に、名探偵グランは考えた。

「むむむ」

 目の前にいる3人は白だろう。
 特に、姉妹はグランが有名になることに否定的だ。
 あるわけない。
 それに、この脳天気なノホホンとした顔で嘘をつかれていたら心底人間不信だ。

 だとしたら、一番あやしいのはコンティ。
 川に看板を立てていたからだ

 次に、広報係をしているピーター。
 王都の看板や周知をまかされている。
 民衆に知らせるのなど簡単だろう。

「……あとはフォンシル様だ。疑いたくはないが、唯一、この中で誰にでも命令できる立場だというのは事実」

 心の内を覗かれていたのか、ユーディアが疑問を呈す。

「……それはないわよ。だって、朝早く城に行くって言ってたし。忙しい朝に王都の人に周知させるような時間はあるかしら」
「そうよね。看板に書いてあるって言ったって朝早くは見ないわよ。早朝には、みんなここに集まっていたもの」

 それもそうか。
 ……それにしては、外がまだ落ち着かないな。
 思った直後、地面に大きな影が出来た。
 あえて遮断していた王家だけに反応する思念が強制的に入ってくる。
 これは、気づいていない相手に知らせるものだ。

 この背後に立つ気配は……、

「国王様!!…………と、アルフ」

「そろそろ、お前を民衆にお披露目する次期だと思ってな。村へ来たのだ」

 披露目?
 しかも、その後ろには先程までグランに疑われていたとも知らないで、笑顔のフォンシル、ピーター、コンティがいる。

「コンティの家督と魔法学院入学の会議は、終わったんですか?」

 混乱して今は関係ない的はずれな事を聞いてしまう。

「あぁ、終わった。グラン、それも含めて、これから説明する」

 関係あるのか?
 それに……、

「国王が来たと言うことは、後継者問題……とか?」
「それもある」

 うーん。
 こわい。はっきり言って欲しい。
 とりあえず表向きだけでも、アルフが皇太子になる予定ではなかったのか。

 ちらりと見ると、アルフは悪びれもなく言う。

「……皇太子のカモフラージュする時間がなくてさ。魔王も片手間に出来るほど簡単じゃないんだよ」

 なら、最初に言って欲しい。

 実際に言えないから、ぶつぶつ脳内でアルフに文句をいう。

 すると時間が惜しいとばかりに、国王が村の中央にある木で作られたボロボロな台に立つ。
 いつのまにか音声を録音する魔道具が設置されているのを魔力感知した。
 今、国中にこの音声が届けられているのだろう。
 もう、こうなったら後には引けない。

 ほどなく国王が民衆に演説を始めたようだ。
 誰もが話を聞こうと、一気に静かになる。

「……王都ではなく、この村で発表を行うのには理由がある。なぜなら、グランが育った村だからだ」

 ……そこまでのこと?というような事を、それっぽく言っている。
 何故か同調した村人が、おーーー!!!と誇らしげに声を上げた。

「私は、一番適任であるとしてグランを皇太子に任命することを宣言しよう。……ではフォンシル、説明を」
「はい。父上。……グランは、未知なる魔物を倒し、その後も旅を続け世を直してきた、誰よりも勇敢で正しい人物である!」

 あーあ、宣言しちゃったな。
 というか、……前科持ちですけど良いんですかね。
 そんなグランの心の声は無視され、フォンシルは話を続ける。

「さらに、類まれな石を使った能力で、王都からこの村の交通網を完成させた。これは、国王たる自分として十分な実績であるとここに私が証明しよう!!」

 証明されてしまった。

 ……となると、ここまでの道を作れって言ったユーディアもあやしいな?
 と、ジッと見るが手をブンブンと横に振り否定された。
 その後にコンティを見たらニヤニヤ笑っているから、このルートの可能性は大だ。

 すると、また国王の話が始まった。

「では、これからはこの国の名前である、コンドーラルの使用を許可する」

 たしかに、コンティと家名が同じになるのはややこしいからありがたい。
 というか、もう、多少の事はどうでも良い。

「グラン・コンドーラルよ。この国のために、尽くしてくれ。私達、王族は全員協力しよう!」

 こちらに向かって、両手を差し伸べ目を潤ませた。

 なんだ、この茶番劇は。

 やっと、長い演説が終わった。
 とりあえず曖昧な笑顔で手を降っておくしかないだろう。

「……疲れた」

 それしか、言葉が出ない。

 まぁ、想定内だ。
 こんなに、誰からも国王になることを否定されないように、長年、計画をたてられていたとは思わなかったけど。
 言って欲しかった気はする。
 断っただろうけど。

 そこに、出来すぎた義弟のコンティがやってきた。

「グランお兄ちゃん!聞いて!」

「……コンティ、何?僕はとっても疲れてるから、楽しい話しか聞かないよ」
「とっても、楽しい話だよ。来月からフォンシル様とグランお兄ちゃん、ぼくと同じ魔法学院に入ることになったから。よろしくね」

 ………波乱万丈、待ったなしである。

 仕方ないな。

 誰もやらないなら僕がやりますが、よろしいでしょうか?

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