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二章
十二話
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ウェルディスとフリード、そして護衛の兵士達は、会談する為ある一室へと案内された。部屋の半分以上を占める長い長方形のテーブルには椅子が十脚、向かい合うように並べられている。
ウェルディスとザハード国王が向かい合って座り、ウェルディスの隣にフリードが座る。
ザハード国王の隣には四十代程の男性が座った。少し国王の面影がある彼は王太子であろう。
周囲にはお互いの国の近衛兵が立ち並び、成り行きを見守っている。
両者とも重々しい雰囲気だ。
「私の息子も同席させてもらおう。王太子のヴィクルトだ」
「初めまして。皇帝陛下にお会い出来て光栄です」
ヴィクルトは国王と同様の威圧さを見せつつも、丁寧な態度を見せた。ウェルディスも「こちらこそ」と友好的な態度を示した。
身体付きは父親程ではないが、並の成人男性よりも引き締まっており、彼も強者の一人だと見て分かる。
「ヘイリア皇帝、自ら足を運んでくれるとはな。
明日にでも宣戦布告をする予定だった」
ザハード国王は冗談でも言うかのように笑った。横に座る王太子は微笑んでいるが目は笑っていない。
ウェルディスは余裕の顔を見せている。
「国王は何か誤解をされている」
「余の愛するマルレーテを、ヘイリア帝国でならば幸せになれるだろうと信じ送った。
この結果がこれだ。マルレーテが不倫など!
そちらの元サーシュ侯爵に騙されたのだと思っている。
彼は皇帝の忠臣だそうだな。あなたの命令でマルレーテを陥れたのではないのか!?」
それは巷で流れている俗言だ。国王ともなれば、ただの噂をそのまま信じている事はないだろうが、この様子ではその可能性も有りうる。
「全くのデタラメを信じてもらっては困る。ゴードン弁護士、証拠を国王に」
ウェルディスに促され、フリードに緊張が走る。
「ザハード国王陛下、発言をお許し下さい」
「許す」
「こちらに、サーシュ侯爵様がルブロスティン公爵夫人と姦通をし得なかった証拠がございます」
フリードは裁判所に提出した書類と同じものを用意ていた。持ってきたのは原本で、書き写した分を裁判所に置いている。
それとは別に本来裁判で証言する筈だった証人達の証言証書も持ってきている。
それらを見せながら、サーシュ侯爵が不倫し得なかった事を説明した。
「ふむ。これでは不可能か? この書類に偽りがなければ、だが」
「偽りはございません。
元侯爵は毎日のように軍の訓練に、領地の視察、皇城への参内をしており、屋敷にいても執務室で机に向かっておられたそうです。
領地の視察や皇城へは殆どを夫人と共に行動しておられておりました。その時執事も同行していた為、不可能だったという証言を得ております」
「ならば何故元侯爵が姦通をした等と言われたのだ? そなたらの国では法の整備が行き届いていると聞く。冤罪率も低いそうだな」
「低いだけでございます。陛下、どれ程気を付けても法を行使するのは人間。間違いもございます。
ですが、今回のは意図的に冤罪が作られた可能性がございます」
「何?」
ギロリと威圧的な双眼がフリードに向く。それだけで背筋が凍りそうだが、恐れていると明かしてはウェルディスの弱味になる。
フリードも視線を逸らさずにザハード国王を見つめた。
「陛下が愛しておられたルブロスティン公爵夫人の為、特別に公爵に目を掛けられておられたのは周知の事実です。
彼は我が皇帝陛下の信頼を利用し、更に陥れようと画策しているのです」
「ふざけるな!! お前、弁護士の分際でよくもそのような妄言を吐けたな?
公爵を陥れようとしているのはお前らではないか!?」
ザハード国王は怒りが爆発したように立ち上がり、今にも視線だけで人を殺せそうな目付きでフリードを睨む。
「根拠がございます」
フリードは対照的に静かに反論する。怒りを許してしまえば、ウェルディスを悩ませるだけとなってしまう。
特に戦争だけは避けなければならない。
「ルブロスティン公爵は、サーシュ侯爵家にスパイを差し向けておりました」
「なっ……?」
一旦怒りが静まったザハード国王が席につく。そして続きを話せと視線だけでフリードを促した。
「彼女はキッチンメイドとして働いており、サーシュ侯爵夫人に麻薬を服毒させていたのです。
毎日、少量ずつ。数ヶ月経つ頃には夫人は麻薬中毒になっておりました」
「公爵がそのような事を指示したのか」
「はい。裁判後に分かった事なので公表はされておりませんが、今そのスパイを尋問している最中でございます。
そして侯爵夫人が殺人を犯す前日、公爵が夫人を訪ねてきたそうです。その日は侯爵が領地の視察に外出したのですが、夫人は体調不良で屋敷に残っていたのです。
たった十分話しただけだそうですが、それだけの時間があれば殺人教唆は可能かと。
私共はその可能性が高いとして再捜査をしております」
「でははっきりと公爵が黒幕だと分かっていないのだな?」
「はい」
フリードは頷く。全て状況証拠でしかないのだ。決定的な証拠がない限り断定は出来ない。
「だが、今の話を全て信じるならばゴードン弁護士が公爵を疑うのは筋が通る事だ。
王太子よ、お前はどう見る?」
初めて話を振られたヴィクルトはウムと頷き、口を開く。
「そうですね、ルブロスティン公爵が仮に我が妹を殺害するよう仕向けたとしたら……同じ目に遭わせてやりたい。
だが、まだ憶測の域に過ぎないのならば、一刻も早く真実を明らかにし、関わった者全てに相応の罰を与えるでしょう。
私なら黒幕だけは地獄の苦しみを味わわせてやります」
ヴィクルトも国王の血を引いているのだと改めて認識する。その顔は怒りというには恐ろしい。
フリードはゾッと恐怖を感じながら、ポーカーフェイスを崩さずにいる。
それでも、もう気付かれてしまっているかもしれない。威圧感に屈しそうになっていると。それ程までに二人から放たれる威圧は本能的な恐怖を覚える。
その重圧を破ったのはウェルディスだ。
「先程、国王が言っていた、僕が侯爵に命令し、公爵夫人を殺すよう指示したという噂話ですが……もしかしてルブロスティン公爵から聞いた話か?」
ビクリと、国王の目からは動揺が見て取れた。
「密告があった。ルブロスティン公爵の側近が十日程前に余に会いに来たのだ。
公爵の危機だから助けてくれと。皇帝は最近男に狂っており、仕事もせず、帝国を滅ぼそうとしている。
見かねた公爵が忠言したところ、逆らう者は滅ぼさん勢いで見せしめに公爵夫人が殺害されたと……」
「やはり……。口に出すのも憚れますが、公爵様が皇帝陛下暗殺計画を立てているというボスの見立ては真のようですね」
フリードの言葉にウェルディスは頷く。
「ああ。国王よ、僕が男に狂った以外は全て嘘である」
ウェルディスの顔も険しくなる。無言になるザハード国王。
フリードはウェルディスを守るように発言をした。
「国王陛下。我が皇帝陛下の言う通り、全て作り話にございます」
「男に狂ったのは真なのか」
「……。……ですが、公爵夫人を仇なす事は皇帝陛下にとってマイナスでしかありません。今この状況がそう物語っているではありませんか。
それに陛下は今、我がヘイリアの属国であるクレイル公国からも狙われているのですよ。
公爵はクレイル公国の元首、クレイル大公に仕えるスパイを雇っていました。
公爵と大公、両方の謀と考えるのが妥当かと」
国王は再びフリードに不信の目を向けた。今までの威圧感のある目ではなく、純粋におかしいと疑っているのだろう。
「その根拠は? どこから情報を得ているか分からぬが、弁護士としての職務から逸脱している」
「それは……」
ウェルディスはフリードを守るように遮った。
「ゴードン弁護士、もう良い。
という訳だ。国王、まだ真実を明らかにせねばならぬ事が多い。今後の事はそれが明らかになってからで良いか?」
「ふっ。動揺したな、皇帝よ。
余が何も知らぬとでも思ったか? そこの弁護士、お前だろう?
皇帝が狂う程に愛して止まないという離宮の愛人とやらは。クレイル公国の元スパイだそうだな?」
「私は弁護士です」
「余が気付かぬとも思ったか。歩き方や体付き、時折微かに聞こえる暗器の音、面構え。
机に向かっているばかりの弁護士には有り得ない姿だ。それなら男に狂ったという皇帝が、愛人に変装させて連れてきたという方がまだ納得がいく」
フリードは答えない。答えられない。どう答えたらウェルディスに不利益を与えないかを熟考する。
だが、沈黙は肯定と取られた。
「変装を全てとりたまえ」
フリードはウェルディスに視線を向けると、彼は渋々頷いた。その通りにしろという事だ。
フリードはウィッグや付け髭を取った。さすがに肌の色を変えている化粧は今簡単に取れるものではない。
「ほう、これはなかなか。皇帝が男に狂うのもおかしくはない。
のう、離宮の愛人よ。この後二人きりで話さないか?」
ウェルディスとザハード国王が向かい合って座り、ウェルディスの隣にフリードが座る。
ザハード国王の隣には四十代程の男性が座った。少し国王の面影がある彼は王太子であろう。
周囲にはお互いの国の近衛兵が立ち並び、成り行きを見守っている。
両者とも重々しい雰囲気だ。
「私の息子も同席させてもらおう。王太子のヴィクルトだ」
「初めまして。皇帝陛下にお会い出来て光栄です」
ヴィクルトは国王と同様の威圧さを見せつつも、丁寧な態度を見せた。ウェルディスも「こちらこそ」と友好的な態度を示した。
身体付きは父親程ではないが、並の成人男性よりも引き締まっており、彼も強者の一人だと見て分かる。
「ヘイリア皇帝、自ら足を運んでくれるとはな。
明日にでも宣戦布告をする予定だった」
ザハード国王は冗談でも言うかのように笑った。横に座る王太子は微笑んでいるが目は笑っていない。
ウェルディスは余裕の顔を見せている。
「国王は何か誤解をされている」
「余の愛するマルレーテを、ヘイリア帝国でならば幸せになれるだろうと信じ送った。
この結果がこれだ。マルレーテが不倫など!
そちらの元サーシュ侯爵に騙されたのだと思っている。
彼は皇帝の忠臣だそうだな。あなたの命令でマルレーテを陥れたのではないのか!?」
それは巷で流れている俗言だ。国王ともなれば、ただの噂をそのまま信じている事はないだろうが、この様子ではその可能性も有りうる。
「全くのデタラメを信じてもらっては困る。ゴードン弁護士、証拠を国王に」
ウェルディスに促され、フリードに緊張が走る。
「ザハード国王陛下、発言をお許し下さい」
「許す」
「こちらに、サーシュ侯爵様がルブロスティン公爵夫人と姦通をし得なかった証拠がございます」
フリードは裁判所に提出した書類と同じものを用意ていた。持ってきたのは原本で、書き写した分を裁判所に置いている。
それとは別に本来裁判で証言する筈だった証人達の証言証書も持ってきている。
それらを見せながら、サーシュ侯爵が不倫し得なかった事を説明した。
「ふむ。これでは不可能か? この書類に偽りがなければ、だが」
「偽りはございません。
元侯爵は毎日のように軍の訓練に、領地の視察、皇城への参内をしており、屋敷にいても執務室で机に向かっておられたそうです。
領地の視察や皇城へは殆どを夫人と共に行動しておられておりました。その時執事も同行していた為、不可能だったという証言を得ております」
「ならば何故元侯爵が姦通をした等と言われたのだ? そなたらの国では法の整備が行き届いていると聞く。冤罪率も低いそうだな」
「低いだけでございます。陛下、どれ程気を付けても法を行使するのは人間。間違いもございます。
ですが、今回のは意図的に冤罪が作られた可能性がございます」
「何?」
ギロリと威圧的な双眼がフリードに向く。それだけで背筋が凍りそうだが、恐れていると明かしてはウェルディスの弱味になる。
フリードも視線を逸らさずにザハード国王を見つめた。
「陛下が愛しておられたルブロスティン公爵夫人の為、特別に公爵に目を掛けられておられたのは周知の事実です。
彼は我が皇帝陛下の信頼を利用し、更に陥れようと画策しているのです」
「ふざけるな!! お前、弁護士の分際でよくもそのような妄言を吐けたな?
公爵を陥れようとしているのはお前らではないか!?」
ザハード国王は怒りが爆発したように立ち上がり、今にも視線だけで人を殺せそうな目付きでフリードを睨む。
「根拠がございます」
フリードは対照的に静かに反論する。怒りを許してしまえば、ウェルディスを悩ませるだけとなってしまう。
特に戦争だけは避けなければならない。
「ルブロスティン公爵は、サーシュ侯爵家にスパイを差し向けておりました」
「なっ……?」
一旦怒りが静まったザハード国王が席につく。そして続きを話せと視線だけでフリードを促した。
「彼女はキッチンメイドとして働いており、サーシュ侯爵夫人に麻薬を服毒させていたのです。
毎日、少量ずつ。数ヶ月経つ頃には夫人は麻薬中毒になっておりました」
「公爵がそのような事を指示したのか」
「はい。裁判後に分かった事なので公表はされておりませんが、今そのスパイを尋問している最中でございます。
そして侯爵夫人が殺人を犯す前日、公爵が夫人を訪ねてきたそうです。その日は侯爵が領地の視察に外出したのですが、夫人は体調不良で屋敷に残っていたのです。
たった十分話しただけだそうですが、それだけの時間があれば殺人教唆は可能かと。
私共はその可能性が高いとして再捜査をしております」
「でははっきりと公爵が黒幕だと分かっていないのだな?」
「はい」
フリードは頷く。全て状況証拠でしかないのだ。決定的な証拠がない限り断定は出来ない。
「だが、今の話を全て信じるならばゴードン弁護士が公爵を疑うのは筋が通る事だ。
王太子よ、お前はどう見る?」
初めて話を振られたヴィクルトはウムと頷き、口を開く。
「そうですね、ルブロスティン公爵が仮に我が妹を殺害するよう仕向けたとしたら……同じ目に遭わせてやりたい。
だが、まだ憶測の域に過ぎないのならば、一刻も早く真実を明らかにし、関わった者全てに相応の罰を与えるでしょう。
私なら黒幕だけは地獄の苦しみを味わわせてやります」
ヴィクルトも国王の血を引いているのだと改めて認識する。その顔は怒りというには恐ろしい。
フリードはゾッと恐怖を感じながら、ポーカーフェイスを崩さずにいる。
それでも、もう気付かれてしまっているかもしれない。威圧感に屈しそうになっていると。それ程までに二人から放たれる威圧は本能的な恐怖を覚える。
その重圧を破ったのはウェルディスだ。
「先程、国王が言っていた、僕が侯爵に命令し、公爵夫人を殺すよう指示したという噂話ですが……もしかしてルブロスティン公爵から聞いた話か?」
ビクリと、国王の目からは動揺が見て取れた。
「密告があった。ルブロスティン公爵の側近が十日程前に余に会いに来たのだ。
公爵の危機だから助けてくれと。皇帝は最近男に狂っており、仕事もせず、帝国を滅ぼそうとしている。
見かねた公爵が忠言したところ、逆らう者は滅ぼさん勢いで見せしめに公爵夫人が殺害されたと……」
「やはり……。口に出すのも憚れますが、公爵様が皇帝陛下暗殺計画を立てているというボスの見立ては真のようですね」
フリードの言葉にウェルディスは頷く。
「ああ。国王よ、僕が男に狂った以外は全て嘘である」
ウェルディスの顔も険しくなる。無言になるザハード国王。
フリードはウェルディスを守るように発言をした。
「国王陛下。我が皇帝陛下の言う通り、全て作り話にございます」
「男に狂ったのは真なのか」
「……。……ですが、公爵夫人を仇なす事は皇帝陛下にとってマイナスでしかありません。今この状況がそう物語っているではありませんか。
それに陛下は今、我がヘイリアの属国であるクレイル公国からも狙われているのですよ。
公爵はクレイル公国の元首、クレイル大公に仕えるスパイを雇っていました。
公爵と大公、両方の謀と考えるのが妥当かと」
国王は再びフリードに不信の目を向けた。今までの威圧感のある目ではなく、純粋におかしいと疑っているのだろう。
「その根拠は? どこから情報を得ているか分からぬが、弁護士としての職務から逸脱している」
「それは……」
ウェルディスはフリードを守るように遮った。
「ゴードン弁護士、もう良い。
という訳だ。国王、まだ真実を明らかにせねばならぬ事が多い。今後の事はそれが明らかになってからで良いか?」
「ふっ。動揺したな、皇帝よ。
余が何も知らぬとでも思ったか? そこの弁護士、お前だろう?
皇帝が狂う程に愛して止まないという離宮の愛人とやらは。クレイル公国の元スパイだそうだな?」
「私は弁護士です」
「余が気付かぬとも思ったか。歩き方や体付き、時折微かに聞こえる暗器の音、面構え。
机に向かっているばかりの弁護士には有り得ない姿だ。それなら男に狂ったという皇帝が、愛人に変装させて連れてきたという方がまだ納得がいく」
フリードは答えない。答えられない。どう答えたらウェルディスに不利益を与えないかを熟考する。
だが、沈黙は肯定と取られた。
「変装を全てとりたまえ」
フリードはウェルディスに視線を向けると、彼は渋々頷いた。その通りにしろという事だ。
フリードはウィッグや付け髭を取った。さすがに肌の色を変えている化粧は今簡単に取れるものではない。
「ほう、これはなかなか。皇帝が男に狂うのもおかしくはない。
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