櫻家の侵略者

眠りん

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八話 愛人兼……

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 指がまた増えて三本になった。奥で小刻みに前後されたり、グルグル左右に回転させられたりして、尻穴は順調に広がっていった。

 今は気持ち悪さ等はどこかへ吹き飛んでいった。ただ、気持ち良さも感じない。
 腸の圧迫感が不快に感じるだけだ。

「俺のチンポは指三本で広げた程度じゃ入らないからな。もう一本追加するぜ」

 人差し指、中指、薬指が埋まっている穴に、小指が追加された。

「ひぐっ……ううぅ」

 段々と尻穴より股関節が痛くなってくる。それでも、直陽は膝を抱えたままだ。
 諭に言われた事は絶対守らなければ。従順でいなければ、また陽翔の下になってしまう。それが怖い。
 プルプル震わせていると、諭が異変に気付いた。

「直陽君、どうしたの?」

「な、なんでも……」

「なんでもなくないだろ。教えてよ、どこが辛いの?」

「あの……股関節が……」

「体勢辛かったね。悪い悪い。一旦、両手離して」

 両手を離すと脚が緩む。このまま下ろしてはいけない気がして困惑していると、尻穴から指を抜いた諭はそんな直陽の様子をにこやかに見ていた。

「うつ伏せになって、膝立てて、尻突き出して」

「うん」

 言われた通り膝立ちになって尻を上に突き上げた。上半身は肩で支えている。
 頭の置き場に悩み、顔を横に向けて右の頬をベッドに押し付けた。
 諭に面倒をかけてはいけない。穴が見えるように足も広げた。

「あーもー従順過ぎるでしょ。可愛いよ」

「諭さん……何でも言って。にーちゃんより役に立てるって証明するから」

「可愛いなぁ」

 わしゃわしゃと頭を撫でられた。それが嬉しくて、男性器が喜ぶように熱くなる。

「それじゃあ入れるよ!」

「はいっ」

 指より圧迫感のある肉の塊が尻穴を広げて押し入ってきた。
 感じなければ。諭に陽翔よりも従順で、面倒をかけないと思ってもらわなければ……。

 そう思えば思う程、苦しさを耐えてしまう。

「うぐっ……うぅっ……」

「直陽君、大丈夫?」

「だっ……大丈夫……平気……」

「無理しないでね。女の子だって入らなくって苦しむ子いるんだから。
 辛かったら言って欲しい。君は俺の大事な人なんだから」

「ごめんなさい。本当はちょっと痛い」

 涙を堪えて状態を報告すると、尻穴から肉棒が抜かれた。
 冷たいジェルを肛内に塗られてから、再度肉棒を埋められた。ゆっくりと、穴を広げるように中でグルグルと回しながら奥へと侵入していく。

 圧迫感はまだあるが、先程よりはかなり楽だ。

「大事な穴だからね。傷付けないように気を付けなきゃ」

「その言い方、俺の穴だけが目的みたい」

「いや。陽翔と同じ遺伝子が目的。でも、それ以上に直陽の事が気に入ったよ」

「諭さん……」

 ドキリとした。両親や陽翔からは「直」、他の弟妹からは「直にぃ」と呼ばれている。
 学校の知り合いは「櫻君」としか呼んでこない為、名前を呼び捨てで呼ばれる事に免疫がない。
 勿論、「直陽君」という呼び方にもドキドキしていたが、呼び捨てだと破壊力が違う。

 嬉しさが込み上げる。好きな人に名前で呼ばれる事は幸せな事だ。
 尻穴の奥がキュンキュンと諭を求めてしまう。

「あ、ごめんね。つい呼び捨てで呼んじゃって」

「ううん。直陽って呼んで」

「じゃあ直陽も俺を……」

「ごめんなさい。諭さんって呼びたい。さっき、諭さんが俺がさん付で呼ぶの、喜んでくれたから」

 断るのは胸が痛い。折角従順である事が唯一陽翔に勝てる一面だと言われたのに。
 諭の提案を拒否する事は胸を引き裂かれるように痛かった。

 だが、さん付けで呼んだ事を喜んでもらった事は忘れられない。
 陽翔より下になってしまったのかもしれないとビクついていると、クシャと頭を撫でられた。
 優しい手つきが気持ち良い。

「もー。従順すぎ。直陽はほんと、俺の事好きな?」

「うん……どうしよう。にーちゃんの彼氏なのに、俺……。諭さんが好きになったみたい」

「いいよ。陽翔にはナイショな。そうすれば俺も直陽をずっと好きでいられる」

「うん。諭さんになら二番目扱いされてもいいよ」

「うん。ごめんな。俺の中じゃどうしたって陽翔が一番なんだ。二番目で許してくれ」

「いいよ」

 諭の優しい声を聞くと全てを許せてしまう。陽翔より上だと言われた従順さを守るには、諭の全てを許さなければならないのだ。

 それでも、ほんの一部でも陽翔より上だと褒めてもらえる事があるのなら……──。

 諭の男性器がゆっくり前後に動き出す。少しずつ快楽を拾えるようになってきた直陽は、甘い吐息をもらして腰をくねらせる。

「あっ……はっ、あ……んっ、はぁ……あぁん」

 特に腹部側の一点が擦れる度に、一度は射精してしまった自身の男性器がムクムクと大きくなり始めるのだ。
 気持ちが良くて堪らない。

 涎を垂らして喘いでいると、急にズンッと奥に突き刺さる。諭の骨盤が直陽の尻に思い切りぶつかった。

 一番奥が抉られた気がした。そこは前立腺とは違うが、確かに妙な快楽を感じ取れた。

「……んはぁっ!!」

「もうそこで感じるようになったの? S字結腸の手前、普通なら苦しむ人の方が多いよ。
 直陽はドMなのかもね」

「ど……ドM?」

「そう。可愛いよ。俺に何されても従順でさ、こんな事されてるのに、喘いじゃうなんて」

「だって。気持ち良いから」

「そんな直陽が好きだよ。さすがの陽翔もソコは嫌がるからね。もう一つ、陽翔より上なところ見つかったじゃん」

 嬉しくて胸が熱くなった。もう諭に忠誠を誓いたくなる程に、諭に夢中だ。

(嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい、嬉しい──!)

 こんなにも陽翔より上なところはあったのだ。今まで何をしても適わなかった兄にようやく勝てた気がした。
 諭の性奴隷でいれば、陽翔の上であり続けられる。それだけが諭の愛人になる意義だ。

「嬉しい……。俺を……諭さんの愛人兼、性奴隷にしてください。何でも言う事聞きますからぁっ」

「いいよ。俺は一番奥を攻めるのが好きだからな。直陽とヤる時は遠慮せずに一番奥を狙ってやるよ!」

 もう諭の腰の動きに労りはなくなった。性奴隷として、尻穴の奥の奥まで使われる事に直陽は歓喜して、穴の中を擦られる快楽だけで射精したのだった。
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