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第四章「偏食のレスティア」
35.レーレーの味は最高!!
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「ガイルにミタりんも!! うわぁ、ふたりとも大きくなって!!」
数十年ぶりの再会にレスティアも嬉しさを隠しきれない。上半身だけ起こして話をするレスティア。子供の頃の記憶しかない彼女にとって弟達の成長は素直に嬉しい。ミタリアが言う。
「レスティアお姉ちゃん、大丈夫? なんか体調悪そうだけど」
「そうだぜ。ちょっと痩せ気味じゃねえか?」
頬がこけてしまっているレスティア。そんな彼女が首を振って答える。
「大丈夫よ。ちょっとダルいだけ。それより何か用があった来たんじゃないの?」
「ああ、そうだ。実はな……」
レフォードが呪いの短剣によって倒れたエルクのことを話す。黙って聞いていたレスティアだったが最後は驚いた顔をして言う。
「そうなの。エルエルがそんなことに。騎士団長になったって言うのも驚いたけど、そっちの治療を急がないといけないね。ダルいけど」
「レスティアが治療師ってのも驚きだぜ。聖女様っていのガラじゃねえのによぉ。ぷぷぷっ……」
笑いを堪えるガイルの頭をミタリアがポンと叩いてから尋ねる。
「そう言えば街の人から『聖女様は治癒をしていない』って聞いたけど、どうなの?」
レスティアが答える。
「うん、実はそうなの。ちょっと前までは患部に触れるだけで治癒ができていたんだど、最近は全然できなくて。体もダルいし……」
寝てばかりいるレスティア。体の筋肉も衰えてしまっている。レフォードが言う。
「そんなもん当たり前だろ! 寝てばかりでゴロゴロして、食事はちゃんとしているのか? 野菜は? 肉は? 昼飯にケーキってどういうことだ??」
「……」
黙り込むレスティア。
「それが原因だ。全くお前は自分に本当に甘い」
「だってダルいんだもん……」
レフォードがため息をついて言う。
「ちょっと待ってろ」
そう言って部屋の隅で立っていた髪の綺麗な中年の女に尋ねる。
「すまねえがそっちの台所を借りるぞ」
「あ、はい」
「野菜とかってあるか?」
「い、いいえ、そのような物は何も……」
「じゃあ、ちょっと持って来てくれ。できれば色んな種類を」
「は、はい。少々お待ちを……」
レフォードに頼まれた女がすぐに離れを出て外へ駆けていく。そしてすぐに腕にいっぱいの野菜を持って帰って来てレフォードに手渡す。
「ミタリア、ちょっと手伝ってくれ」
「はい! お兄ちゃん!!」
台所に行くレフォードに続きミタリアも入る。ガイルが言う。
「おいおい、あれってまさか?」
レスティアも黙ってふたりが入った台所を見つめる。
「レスティア様は野菜なんて食べませんが……」
不安そうな顔でそう言う女に向かってレフォードが答える。
「まあ、黙って見てな」
「は、はあ……」
そして数分後、兄弟達にとっては懐かしい香りが部屋中に立ち込める。女は黙って彼らが作り上げた野菜スープが運ばれるのを見つめる。レフォードが言う。
「さあ、食べな」
食べるはずない、そう思っていた女は自分の目を疑った。
「ん、美味しい……」
レスティアがスプーンを取り全く嫌がる素振りを見せずに野菜スープを口にした。じわっと滲み出る涙。レスティアが小さな声で言う。
「レーレーの味がする」
「何だよそりゃ」
苦笑するレフォード。驚く女をよそにレスティアは皿に注がれたスープを全て飲み切った。
美味しい。孤児院時代を思い出す味。気のせいか体がほんわりと温かくなる。
「レーレー。おかわり、いい?」
「ああ、無論だ。たくさん食べな」
「やったー!」
子供のように喜ぶレスティア。
そして三杯目のスープを飲み切った時にそれは起こった。
「あれ……? この感覚……」
皿をテーブルに置いたレスティアが自分の手をじっと見つめる。
「どうしたの? レスティアお姉ちゃん??」
姉の様子を心配そうに見つめるミタリア。
「できるかも、ちょっとだけ治療ができるかも……」
レスティアが感じる指先の感覚。じわっと温かくなるこの感覚は治癒の際に感じていたもの。ガイルが尋ねる。
「それってまた治せるってことなのか?」
「多分。やってみないと分からないけど、きっと大丈夫と思う」
「じゃあ、俺の足、治してくれ」
そう言って先日サキュガルにやられた足の怪我を見せる。だいぶ回復して来ているがまだ痛みが残る。レスティアがガイルの足に触れ久し振りの治療を開始する。
「おお、なんか温かけえ」
じんわりと温まる足。すうっと痛みが引いて行く。
「スゲえな!! なんかもう大丈夫だぞ!!!」
喜ぶガイル。ミタリアも驚きながらガイルの足を見つめる。レフォードが言う。
「きちんとした食事がやはり大切。お前は栄養失調になりかけていたんだぞ。そもそも何だこのだらしない生活は……」
「はいはい。レーレーの説教はもういいよ~、ダルいし」
「こら、レスティア!!」
そう言って拳を振り上げるレフォードを見てレスティアがポンと立ち上がって逃げる。
「きゃ! レーレー、こわーい!!」
笑い出すミタリア達。兄弟達には昔のままの風景。だが少し離れた場所にいた女にはそれは信じられない光景であった。
(レスティア様が野菜スープを食べ、あんなに軽快に立ち上がって……、治療まで……)
ここに来た時から甘いスイーツしか口にせず、寝てばかりで不摂生の極みであったレスティア。それが一変した。今の彼女にそんな少し前の面影はない。レフォードが言う。
「じゃあ、もうちょっと休んできちんと回復すればエルクの治療もできそうか?」
「うん。多分大丈夫」
それを聞いたミタリア達の顔が安堵に包まれる。レスティアが言う。
「でもエルエルの前にひとりだけ治療したい人がいるの。いいかな?」
真剣な顔のレスティア。レフォードが尋ねる。
「大切な人なんだな?」
「そうだよ。大切な人」
「分かった。エルクはまだしばらくは大丈夫だと書いてあった。先にそちらを優先しよう」
レフォードは『治療水』が全く効かなかったと言う王城からの報告と共に記載されていたエルクの容態について思い出す。そして別のことも思い出した。
「あー、そう言えばお前、ただの水を『治療水』とか偽って売ってただろ!!」
「やばっ!」
「『やばっ』じゃねえだろ!!」
レフォードの言葉に顔を青くするレスティア。
「だ、だってあれは仕方なかったし、ダルかったし……」
「何がダルかっただ!! お前はどうしてそんなにいい加減なんだ!!!」
右手拳を上げたレフォードを見てレスティアが逃げ出す。
「ご、ごめんなさーい!!!」
「こら、待て!!」
それを追いかけるレフォード。
ガイルとミタリアはそんなふたりを見て笑いを堪えられずにはいられなかった。
「ルコ様、サキュガルが再び返り討ちに遭いました」
魔族領にある城塞。その最上階の一角を占める魔族長の間。その際奥に座る紫のボブカットの少女。頭に二本の短い角を生やしたルコが座りながら尋ねる。
「また負けたの? 今度は誰?」
報告に来た魔族が片膝をつきながら答える。
「青髪の剣士、何でもラフェル王国の正騎士団とのことです」
「そうなの。サキュガルはラリーコットに行ってたんじゃないの?」
「はっ、ラリーコット兵は大したことなかったそうですが、偶然居合わせた正騎士団に敗れたと」
「治療師はどうなったの?」
無表情のまま尋ねるルコに魔族が答える。
「……取り逃がした模様です」
魔族の額に汗が流れる。再びの襲撃失敗。魔族長の怒りが爆ぜればここに居る皆無事では済まない。ルコが言う。
「そんなに強いのがいる。そう、じゃあ次はルコが行こうかな」
(!!)
普段は滅多に外に出ない魔族長。あまりにも強力過ぎる攻撃力に、魔王カルカルですら必要以上の外出を禁じているほど。ルコが言う。
「サキュガルが回復してからみんなで行くことにするの。そう伝えて欲しいの」
「御意」
魔族は深く頭を下げるとその場から退出する。
「人間殲滅を邪魔する青髪の剣士。ルコは許さないの」
周りにいた上級魔族達は、静かだが怒りを放つ魔族長に戦々恐々とした。
コンコン
レスティアは少し緊張しながらその懐かしいドアをノックした。
「はい? え、レスティア!?」
訪れたのは彼女の最初の奉公先であるバースミン家。長年使用人として働いて来たが、治癒の能力が周知され自治区長に引き渡されてしまった。少し前バースミン家当主が重い病気を患い治療にやって来るも、その時は何もできずに家を後にしている。
「こんにちは。旦那様の治療に来ました」
そう答える彼女の目は自信に溢れていた。数日だがレフォードやミタリア達と共にした生活。食生活が改善されたことで僅かだが【回復】の力が戻って来ていた。
「う、ううっ……、こ、これは!? レスティア……??」
ずっと眠っていた当主がレスティアの治癒によって目を覚ます。同時にゆっくりだが癒えて行く病魔。当主の妻が涙を流してお礼を言う。
「ありがとう、レスティア。きっとまた来てくれると信じてたよ」
「はい。良かったです……」
レスティアも思わず涙がこぼれる。ようやくお世話になったバースミン家への恩返しができた。
「もういいのか? レスティア」
ラフェル王国行きの馬車の中で待っていたレフォードが目を赤くして戻って来たレスティアに尋ねる。
「いいよ、レーレー。ありがと」
嬉しそうなレスティアの顔を見てミタリアとガイルも笑顔で頷く。レフォードが言う。
「じゃあ、戻るかラフェルへ」
「そうね。ちょっとダルいけどエルエルの呪いってのを早く解いてあげなきゃ」
「お願いね、レスティアお姉ちゃん!」
ミタリアの言葉にレスティアが親指を立てて応える。皆は馬車の中で昔話に花を咲かせながらラフェル王城へと向かった。
数十年ぶりの再会にレスティアも嬉しさを隠しきれない。上半身だけ起こして話をするレスティア。子供の頃の記憶しかない彼女にとって弟達の成長は素直に嬉しい。ミタリアが言う。
「レスティアお姉ちゃん、大丈夫? なんか体調悪そうだけど」
「そうだぜ。ちょっと痩せ気味じゃねえか?」
頬がこけてしまっているレスティア。そんな彼女が首を振って答える。
「大丈夫よ。ちょっとダルいだけ。それより何か用があった来たんじゃないの?」
「ああ、そうだ。実はな……」
レフォードが呪いの短剣によって倒れたエルクのことを話す。黙って聞いていたレスティアだったが最後は驚いた顔をして言う。
「そうなの。エルエルがそんなことに。騎士団長になったって言うのも驚いたけど、そっちの治療を急がないといけないね。ダルいけど」
「レスティアが治療師ってのも驚きだぜ。聖女様っていのガラじゃねえのによぉ。ぷぷぷっ……」
笑いを堪えるガイルの頭をミタリアがポンと叩いてから尋ねる。
「そう言えば街の人から『聖女様は治癒をしていない』って聞いたけど、どうなの?」
レスティアが答える。
「うん、実はそうなの。ちょっと前までは患部に触れるだけで治癒ができていたんだど、最近は全然できなくて。体もダルいし……」
寝てばかりいるレスティア。体の筋肉も衰えてしまっている。レフォードが言う。
「そんなもん当たり前だろ! 寝てばかりでゴロゴロして、食事はちゃんとしているのか? 野菜は? 肉は? 昼飯にケーキってどういうことだ??」
「……」
黙り込むレスティア。
「それが原因だ。全くお前は自分に本当に甘い」
「だってダルいんだもん……」
レフォードがため息をついて言う。
「ちょっと待ってろ」
そう言って部屋の隅で立っていた髪の綺麗な中年の女に尋ねる。
「すまねえがそっちの台所を借りるぞ」
「あ、はい」
「野菜とかってあるか?」
「い、いいえ、そのような物は何も……」
「じゃあ、ちょっと持って来てくれ。できれば色んな種類を」
「は、はい。少々お待ちを……」
レフォードに頼まれた女がすぐに離れを出て外へ駆けていく。そしてすぐに腕にいっぱいの野菜を持って帰って来てレフォードに手渡す。
「ミタリア、ちょっと手伝ってくれ」
「はい! お兄ちゃん!!」
台所に行くレフォードに続きミタリアも入る。ガイルが言う。
「おいおい、あれってまさか?」
レスティアも黙ってふたりが入った台所を見つめる。
「レスティア様は野菜なんて食べませんが……」
不安そうな顔でそう言う女に向かってレフォードが答える。
「まあ、黙って見てな」
「は、はあ……」
そして数分後、兄弟達にとっては懐かしい香りが部屋中に立ち込める。女は黙って彼らが作り上げた野菜スープが運ばれるのを見つめる。レフォードが言う。
「さあ、食べな」
食べるはずない、そう思っていた女は自分の目を疑った。
「ん、美味しい……」
レスティアがスプーンを取り全く嫌がる素振りを見せずに野菜スープを口にした。じわっと滲み出る涙。レスティアが小さな声で言う。
「レーレーの味がする」
「何だよそりゃ」
苦笑するレフォード。驚く女をよそにレスティアは皿に注がれたスープを全て飲み切った。
美味しい。孤児院時代を思い出す味。気のせいか体がほんわりと温かくなる。
「レーレー。おかわり、いい?」
「ああ、無論だ。たくさん食べな」
「やったー!」
子供のように喜ぶレスティア。
そして三杯目のスープを飲み切った時にそれは起こった。
「あれ……? この感覚……」
皿をテーブルに置いたレスティアが自分の手をじっと見つめる。
「どうしたの? レスティアお姉ちゃん??」
姉の様子を心配そうに見つめるミタリア。
「できるかも、ちょっとだけ治療ができるかも……」
レスティアが感じる指先の感覚。じわっと温かくなるこの感覚は治癒の際に感じていたもの。ガイルが尋ねる。
「それってまた治せるってことなのか?」
「多分。やってみないと分からないけど、きっと大丈夫と思う」
「じゃあ、俺の足、治してくれ」
そう言って先日サキュガルにやられた足の怪我を見せる。だいぶ回復して来ているがまだ痛みが残る。レスティアがガイルの足に触れ久し振りの治療を開始する。
「おお、なんか温かけえ」
じんわりと温まる足。すうっと痛みが引いて行く。
「スゲえな!! なんかもう大丈夫だぞ!!!」
喜ぶガイル。ミタリアも驚きながらガイルの足を見つめる。レフォードが言う。
「きちんとした食事がやはり大切。お前は栄養失調になりかけていたんだぞ。そもそも何だこのだらしない生活は……」
「はいはい。レーレーの説教はもういいよ~、ダルいし」
「こら、レスティア!!」
そう言って拳を振り上げるレフォードを見てレスティアがポンと立ち上がって逃げる。
「きゃ! レーレー、こわーい!!」
笑い出すミタリア達。兄弟達には昔のままの風景。だが少し離れた場所にいた女にはそれは信じられない光景であった。
(レスティア様が野菜スープを食べ、あんなに軽快に立ち上がって……、治療まで……)
ここに来た時から甘いスイーツしか口にせず、寝てばかりで不摂生の極みであったレスティア。それが一変した。今の彼女にそんな少し前の面影はない。レフォードが言う。
「じゃあ、もうちょっと休んできちんと回復すればエルクの治療もできそうか?」
「うん。多分大丈夫」
それを聞いたミタリア達の顔が安堵に包まれる。レスティアが言う。
「でもエルエルの前にひとりだけ治療したい人がいるの。いいかな?」
真剣な顔のレスティア。レフォードが尋ねる。
「大切な人なんだな?」
「そうだよ。大切な人」
「分かった。エルクはまだしばらくは大丈夫だと書いてあった。先にそちらを優先しよう」
レフォードは『治療水』が全く効かなかったと言う王城からの報告と共に記載されていたエルクの容態について思い出す。そして別のことも思い出した。
「あー、そう言えばお前、ただの水を『治療水』とか偽って売ってただろ!!」
「やばっ!」
「『やばっ』じゃねえだろ!!」
レフォードの言葉に顔を青くするレスティア。
「だ、だってあれは仕方なかったし、ダルかったし……」
「何がダルかっただ!! お前はどうしてそんなにいい加減なんだ!!!」
右手拳を上げたレフォードを見てレスティアが逃げ出す。
「ご、ごめんなさーい!!!」
「こら、待て!!」
それを追いかけるレフォード。
ガイルとミタリアはそんなふたりを見て笑いを堪えられずにはいられなかった。
「ルコ様、サキュガルが再び返り討ちに遭いました」
魔族領にある城塞。その最上階の一角を占める魔族長の間。その際奥に座る紫のボブカットの少女。頭に二本の短い角を生やしたルコが座りながら尋ねる。
「また負けたの? 今度は誰?」
報告に来た魔族が片膝をつきながら答える。
「青髪の剣士、何でもラフェル王国の正騎士団とのことです」
「そうなの。サキュガルはラリーコットに行ってたんじゃないの?」
「はっ、ラリーコット兵は大したことなかったそうですが、偶然居合わせた正騎士団に敗れたと」
「治療師はどうなったの?」
無表情のまま尋ねるルコに魔族が答える。
「……取り逃がした模様です」
魔族の額に汗が流れる。再びの襲撃失敗。魔族長の怒りが爆ぜればここに居る皆無事では済まない。ルコが言う。
「そんなに強いのがいる。そう、じゃあ次はルコが行こうかな」
(!!)
普段は滅多に外に出ない魔族長。あまりにも強力過ぎる攻撃力に、魔王カルカルですら必要以上の外出を禁じているほど。ルコが言う。
「サキュガルが回復してからみんなで行くことにするの。そう伝えて欲しいの」
「御意」
魔族は深く頭を下げるとその場から退出する。
「人間殲滅を邪魔する青髪の剣士。ルコは許さないの」
周りにいた上級魔族達は、静かだが怒りを放つ魔族長に戦々恐々とした。
コンコン
レスティアは少し緊張しながらその懐かしいドアをノックした。
「はい? え、レスティア!?」
訪れたのは彼女の最初の奉公先であるバースミン家。長年使用人として働いて来たが、治癒の能力が周知され自治区長に引き渡されてしまった。少し前バースミン家当主が重い病気を患い治療にやって来るも、その時は何もできずに家を後にしている。
「こんにちは。旦那様の治療に来ました」
そう答える彼女の目は自信に溢れていた。数日だがレフォードやミタリア達と共にした生活。食生活が改善されたことで僅かだが【回復】の力が戻って来ていた。
「う、ううっ……、こ、これは!? レスティア……??」
ずっと眠っていた当主がレスティアの治癒によって目を覚ます。同時にゆっくりだが癒えて行く病魔。当主の妻が涙を流してお礼を言う。
「ありがとう、レスティア。きっとまた来てくれると信じてたよ」
「はい。良かったです……」
レスティアも思わず涙がこぼれる。ようやくお世話になったバースミン家への恩返しができた。
「もういいのか? レスティア」
ラフェル王国行きの馬車の中で待っていたレフォードが目を赤くして戻って来たレスティアに尋ねる。
「いいよ、レーレー。ありがと」
嬉しそうなレスティアの顔を見てミタリアとガイルも笑顔で頷く。レフォードが言う。
「じゃあ、戻るかラフェルへ」
「そうね。ちょっとダルいけどエルエルの呪いってのを早く解いてあげなきゃ」
「お願いね、レスティアお姉ちゃん!」
ミタリアの言葉にレスティアが親指を立てて応える。皆は馬車の中で昔話に花を咲かせながらラフェル王城へと向かった。
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