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第一章
◆側女の閨教育
後宮生活二日目。
早速側女の閨教育が始まった。
私の部屋にやってきた指南役は、王都で一番繁盛しているという高級娼館の女支配人ミラテ。その隣には何故かベイジルがいた。彼は襟付きシャツにタイトな濃紺ズボンという軽装だった。
──どうしてベイジルがここに?
てっきり娼館の女支配人から、一対一で房事を習うと思っていた私は面喰らった。
「あの、ミラテ様、どうしてベイジルがここに?」
「リアネ様、男の陽根を見たことも触ったことも無いでしょう? 王太子殿下からの命令でね、こちらの新米正騎士サンの身体を練習に使えって言われたんですよう」
厚ぼったい唇に真っ赤な紅を引き、黒いレースのドレスを着た女支配人ミラテは、にやつきながら隣にいるベイジルを見上げている。
ベイジルはと言うと、目尻にうっすら涙を浮かべ、茹蛸のごとく赤い顔をして俯いていた。
──ベイジルの、身体を使う?
人権を無視したような女支配人の言葉に、我が耳を疑った。
この扇情的な外見をした年齢不詳の女支配人は市井の人間ではない。由緒正しき公爵家出身のご令嬢で、しかも王太子殿下の従姉妹だ。私たちよりも上位の貴族なので反論はできない。しかし、つい動揺が滲んだ声が漏れてしまう。
「そんな……」
確かにベイジルは私の御付きだと名乗った。でもそれはあくまで護衛官として私に付いてくれるものとばかり思っていた。まさか、閨事の練習係としての役割もあっただなんて。
戸惑う私の前で、女支配人はぱんぱんと手を打ち鳴らす。
「さっ、リアネ様、さっそく新米サンのズボンを脱がせてみましょっか!」
「えっ……?」
「側女として出来て当たり前のスキルですよう~~?」
早速無常な指示が飛ぶ。
側女として出来て当たり前。そう言われたらやらねばならないだろう。私はベイジルの前に立つと、真っ赤になって呆然と佇む彼に「ごめんなさい」と一言断りを入れて、そのタイトなズボンに手をやった。彼を閨房の練習台になぞ使いたくないが、他ならぬ王太子殿下のご指示ならば従わないといけない。私は貴族の娘だからだ。
剣帯はすでに外されていたが、ベルトがなかなか外れない。ズボンも騎士服の下に履くものなので固めの素材だった。前を閉じるボタンを外そうと隙間に指を突っ込むも、うまくいかない。
頭上から、ベイジルの焦った声が降ってくる。
「り、リアネさまっ……」
「ごめんなさいベイジル、なかなかベルトもボタンも外れなくて。……痛くない?」
一旦ベルトを外す手を止め、ベイジルを見上げながら、彼の下腹の下あたりをよしよしと撫でた。固い布越しにも熱を感じる。これは何なのだろう? よくみれば、布を押し上げる存在があった。
「脱がせる前から勃起させるとは……リアネ様、なかなか素質がありますね」
女支配人ミラテは顎に手をやると、つけまつげを付けた目を瞬かせながら、興味深そうにこちらを見ている。
「勃起?」
聞きなれない単語に、思わず聞き返してしまった。
「今、新米サンの股間が盛り上がっているでしょう? これが勃起ですよ。陽根が完全に勃ちあがると性交が可能になります」
「なるほど……そういう身体の仕組みなのですね」
「ちなみに新米サンは秒で勃ちあがってましたけど、もちろん勃ちが悪い殿方もいらっしゃいます。そういう方の場合はもっと色々な刺激が必要です」
ベイジルはよほど恥ずかしいのか、両手で顔を覆っている。耳まで真っ赤だ。
「勃ちが良い人のほうが良いですわね」
「男女の交合に関してはそうですね」
「ありがとうベイジル、勃起してくれて」
「リアネ様のためならっ……いくらでも己を奮い勃たせます!」
とりあえず、ベイジルのおかげで陽根を臨戦体勢にさせるのは上手くいった。肝心のズボンは脱がせていないが。
「リアネ様、男子のベルトやズボンはここから金具を外すといいですよ」
「あら、ほんと。外しやすいわ。ベイジルは教え上手ね」
「お褒め頂き光栄です! リアネ様のためなら、百回でも二百回でもお教えしますよ!」
「もう覚えたから大丈夫よ」
ベイジルのズボンを下ろすと、下着の一部が濡れていた。私が手間取ったせいで漏らしてしまったのだろうか。
「先走りです。まあ、米汁みたいなものです」
すぐさまミラテの声が飛んでくる。
米汁という例えはよく分からないが。
この国では稲作はしないが、輸入米を口にする機会はそこそこある。
「先走り?」
「射精寸前まで陽根が追い詰められると、丸い先から透明な体液が出ます。それを先走りと言うのですよ」
もうベイジルは子種が出そうな状況らしい。
下着の端に指をかけて下へおろすと、肌の色よりもずっと濃い色をした肉の棒が現れた。それは腹筋に付きそうなほど勃ち上がっていた。棒の下には台座のような丸い袋がある。これが子種を作る陰嚢だろう。
彼には陰毛が生えていなかった。騎士は病気の予防のため、無駄毛を生やさないという話を聞いたことがある。本当だったのだと感心した。
長い足を片方ずつ上げてもらい、丸まったズボンと下着を引き抜く。私は脱がせたそれを手で伸ばし、軽く畳んでベッドの隅へ置いた。
ベイジルは上にシャツを着て、下は何も履いていない状態になった。そして股間は勃起している。
「ベイジル、大丈夫?」
そそり勃った肉の棒には血管が浮き出ている。女にはこのような器官がないので、ベイジルの今の状況が彼にとって苦痛であるのかどうかがよく分からない。
また、ミラテが解説してくれた。
「米汁さんは平気ではない状態です。射精したくて堪らないと思いますよ」
いつのまにやら、ベイジルの呼び方が新米サンから米汁さんに変わっている。
「まあ、そうなのですか? ……どうすればベイジルは射精出来るのかしら」
「とりあえず、咥えてください」
「はい?」
「米汁さんの米汁さんを、口に入れてください。リアネ様」
男性の脚の間にあるものを口に入れる。
絶句した。あの肉棒の先からは子種が吐き出されるが、同時に尿を出すところでもある。端的に言えば、排泄器だ。排泄器を口に入れるなんてとんでもない。
「そ、そんなの……」
「リアネ様、陽根を咥えない側女はいませんよ。口での奉仕を望まない男はいませんからね」
そんな馬鹿な。
ふと、ベイジルを見る。彼は私から視線を外しながら、くすんだ青い瞳を潤ませている。唇は真一文字に引き結ばれ、大きな拳はぐっと握られていた。
きっと屈辱を感じているに違いない。
しかし、指南役のミラテは我々よりも上位の貴族。王太子の従姉妹だ。盾突くことは出来ない。
肉棒の丸く張り出た先からは今も透明な液が出ていて、粘り気のある糸を引いていた。天を仰ぐ肉棒は時折震えている。禍々しい見た目の雄の象徴に目眩がした。
ベイジルは顔だけみれば、女性と言っても通用しそうなぐらい可愛らしい顔立ちをしているのに。脚の間にあるものとの落差がすごい。
どろどろしている肉棒を口に入れたくはないが、今の私は王太子殿下の側女。練習で上手くいかないものが、本番で上手くいくはずがない。王太子殿下が口淫を望まれるかもしれないのだ。
私は覚悟を決めて、ベイジルの前に跪いだ。
彼の濡れた肉棒に震える指先を這わせ、その丸い先に唇を押し当てる。生々しい光景に瞼を閉じた。
「んぅっっ……」
青臭いような独特な匂いが鼻につく。彼はここに来る前に身を清めたのかもしれない。先走りの液からは特有の匂いがするが、それ以外は石鹸のような清潔な匂いがする。また、尿のようなツンとする臭いも感じない。
ベイジルの吐息の音が聞こえる。
私は思い切って肉棒をずっぽり咥えこんだ。
「はぁぁっっんん!」
歯を当てないように喉奥まで肉棒を咥え込むと、ベイジルが甲高い声をあげて鳴いた。
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