【R18・長編版】王太子の当て馬係

野地マルテ@2月27日『帝国後宮録』発売

文字の大きさ
3 / 32
第一章

◆側女の閨教育






 後宮生活二日目。
 早速側女の閨教育が始まった。

 私の部屋にやってきた指南役は、王都で一番繁盛しているという高級娼館の女支配人ミラテ。その隣には何故かベイジルがいた。彼は襟付きシャツにタイトな濃紺ズボンという軽装だった。

 ──どうしてベイジルがここに?

 てっきり娼館の女支配人から、一対一で房事を習うと思っていた私は面喰らった。

「あの、ミラテ様、どうしてベイジルがここに?」
「リアネ様、男の陽根チンポを見たことも触ったことも無いでしょう? 王太子殿下からの命令でね、こちらの新米正騎士サンの身体を練習に使えって言われたんですよう」

 厚ぼったい唇に真っ赤な紅を引き、黒いレースのドレスを着た女支配人ミラテは、にやつきながら隣にいるベイジルを見上げている。
 ベイジルはと言うと、目尻にうっすら涙を浮かべ、茹蛸のごとく赤い顔をして俯いていた。

 ──ベイジルの、身体を使う?

 人権を無視したような女支配人の言葉に、我が耳を疑った。
 この扇情的な外見をした年齢不詳の女支配人は市井の人間ではない。由緒正しき公爵家出身のご令嬢で、しかも王太子殿下の従姉妹だ。私たちよりも上位の貴族なので反論はできない。しかし、つい動揺が滲んだ声が漏れてしまう。

「そんな……」

 確かにベイジルは私の御付きだと名乗った。でもそれはあくまで護衛官として私に付いてくれるものとばかり思っていた。まさか、閨事の練習係としての役割もあっただなんて。
 戸惑う私の前で、女支配人はぱんぱんと手を打ち鳴らす。

「さっ、リアネ様、さっそく新米サンのズボンを脱がせてみましょっか!」
「えっ……?」
「側女として出来て当たり前のスキルですよう~~?」

 早速無常な指示が飛ぶ。
 側女として出来て当たり前。そう言われたらやらねばならないだろう。私はベイジルの前に立つと、真っ赤になって呆然と佇む彼に「ごめんなさい」と一言断りを入れて、そのタイトなズボンに手をやった。彼を閨房の練習台になぞ使いたくないが、他ならぬ王太子殿下のご指示ならば従わないといけない。私は貴族の娘だからだ。
 剣帯はすでに外されていたが、ベルトがなかなか外れない。ズボンも騎士服の下に履くものなので固めの素材だった。前を閉じるボタンを外そうと隙間に指を突っ込むも、うまくいかない。
 頭上から、ベイジルの焦った声が降ってくる。

「り、リアネさまっ……」
「ごめんなさいベイジル、なかなかベルトもボタンも外れなくて。……痛くない?」

 一旦ベルトを外す手を止め、ベイジルを見上げながら、彼の下腹の下あたりをよしよしと撫でた。固い布越しにも熱を感じる。これは何なのだろう? よくみれば、布を押し上げる存在があった。

「脱がせる前から勃起させるとは……リアネ様、なかなか素質がありますね」

 女支配人ミラテは顎に手をやると、つけまつげを付けた目を瞬かせながら、興味深そうにこちらを見ている。

勃起ぼっき?」

 聞きなれない単語に、思わず聞き返してしまった。

「今、新米サンの股間が盛り上がっているでしょう? これが勃起ですよ。陽根が完全に勃ちあがると性交が可能になります」
「なるほど……そういう身体の仕組みなのですね」
「ちなみに新米サンは秒で勃ちあがってましたけど、もちろん勃ちが悪い殿方もいらっしゃいます。そういう方の場合はもっと色々な刺激が必要です」

 ベイジルはよほど恥ずかしいのか、両手で顔を覆っている。耳まで真っ赤だ。

「勃ちが良い人のほうが良いですわね」
「男女の交合に関してはそうですね」
「ありがとうベイジル、勃起してくれて」
「リアネ様のためならっ……いくらでも己を奮い勃たせます!」

 とりあえず、ベイジルのおかげで陽根を臨戦体勢にさせるのは上手くいった。肝心のズボンは脱がせていないが。

「リアネ様、男子のベルトやズボンはここから金具を外すといいですよ」
「あら、ほんと。外しやすいわ。ベイジルは教え上手ね」
「お褒め頂き光栄です! リアネ様のためなら、百回でも二百回でもお教えしますよ!」
「もう覚えたから大丈夫よ」

 ベイジルのズボンを下ろすと、下着の一部が濡れていた。私が手間取ったせいで漏らしてしまったのだろうか。

「先走りです。まあ、米汁みたいなものです」

 すぐさまミラテの声が飛んでくる。
 米汁という例えはよく分からないが。
 この国では稲作はしないが、輸入米を口にする機会はそこそこある。

「先走り?」
「射精寸前まで陽根が追い詰められると、丸い先から透明な体液が出ます。それを先走りと言うのですよ」

 もうベイジルは子種が出そうな状況らしい。
 下着の端に指をかけて下へおろすと、肌の色よりもずっと濃い色をした肉の棒が現れた。それは腹筋に付きそうなほど勃ち上がっていた。棒の下には台座のような丸い袋がある。これが子種を作る陰嚢いんのうだろう。
 彼には陰毛が生えていなかった。騎士は病気の予防のため、無駄毛を生やさないという話を聞いたことがある。本当だったのだと感心した。

 長い足を片方ずつ上げてもらい、丸まったズボンと下着を引き抜く。私は脱がせたそれを手で伸ばし、軽く畳んでベッドの隅へ置いた。
 ベイジルは上にシャツを着て、下は何も履いていない状態になった。そして股間は勃起している。

「ベイジル、大丈夫?」

 そそり勃った肉の棒には血管が浮き出ている。女にはこのような器官がないので、ベイジルの今の状況が彼にとって苦痛であるのかどうかがよく分からない。
 また、ミラテが解説してくれた。

「米汁さんは平気ではない状態です。射精したくて堪らないと思いますよ」

 いつのまにやら、ベイジルの呼び方が新米サンから米汁さんに変わっている。

「まあ、そうなのですか? ……どうすればベイジルは射精出来るのかしら」
「とりあえず、咥えてください」
「はい?」
「米汁さんの米汁さんを、口に入れてください。リアネ様」

 男性の脚の間にあるものを口に入れる。
 絶句した。あの肉棒の先からは子種が吐き出されるが、同時に尿を出すところでもある。端的に言えば、排泄器だ。排泄器を口に入れるなんてとんでもない。

「そ、そんなの……」
「リアネ様、陽根を咥えない側女はいませんよ。口での奉仕を望まない男はいませんからね」

 そんな馬鹿な。
 ふと、ベイジルを見る。彼は私から視線を外しながら、くすんだ青い瞳を潤ませている。唇は真一文字に引き結ばれ、大きな拳はぐっと握られていた。

 きっと屈辱を感じているに違いない。
 しかし、指南役のミラテは我々よりも上位の貴族。王太子の従姉妹だ。盾突くことは出来ない。

 肉棒の丸く張り出た先からは今も透明な液が出ていて、粘り気のある糸を引いていた。天を仰ぐ肉棒は時折震えている。禍々しい見た目の雄の象徴に目眩がした。
 ベイジルは顔だけみれば、女性と言っても通用しそうなぐらい可愛らしい顔立ちをしているのに。脚の間にあるものとの落差がすごい。

 どろどろしている肉棒を口に入れたくはないが、今の私は王太子殿下の側女。練習で上手くいかないものが、本番で上手くいくはずがない。王太子殿下が口淫を望まれるかもしれないのだ。
 私は覚悟を決めて、ベイジルの前に跪いだ。
 彼の濡れた肉棒に震える指先を這わせ、その丸い先に唇を押し当てる。生々しい光景に瞼を閉じた。

「んぅっっ……」

 青臭いような独特な匂いが鼻につく。彼はここに来る前に身を清めたのかもしれない。先走りの液からは特有の匂いがするが、それ以外は石鹸のような清潔な匂いがする。また、尿のようなツンとする臭いも感じない。
 ベイジルの吐息の音が聞こえる。
 私は思い切って肉棒をずっぽり咥えこんだ。

「はぁぁっっんん!」

 歯を当てないように喉奥まで肉棒を咥え込むと、ベイジルが甲高い声をあげて鳴いた。

あなたにおすすめの小説

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

私の意地悪な旦那様

柴咲もも
恋愛
わたくし、ヴィルジニア・ヴァレンティーノはこの冬結婚したばかり。旦那様はとても紳士で、初夜には優しく愛してくれました。けれど、プロポーズのときのあの言葉がどうにも気になって仕方がないのです。 ――《嗜虐趣味》って、なんですの? ※お嬢様な新妻が性的嗜好に問題ありのイケメン夫に新年早々色々されちゃうお話 ※ムーンライトノベルズからの転載です

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041