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第7話 城の守護者たち
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城の警備詰所に朝日が差し込む頃、バルド・クロウヴィスは書類から顔を上げることなく、昨夜の出来事を反芻していた。厚い石壁に囲まれた部屋には、古い羊皮紙と鉄の匂いが染み付いている。彼の前には事件報告書が積み重なり、その全てが同じ結論を示していた。
アイリス・ノルヴェインという少女の力は、常識を超えている。
「隊長」
詰所の扉が開き、副隊長のマルクが入ってきた。日に焼けた顔に深い皺を刻んだ古参の兵士は、いつもの朗らかさを欠いていた。
「昨夜の件について、隊員たちが動揺しております」
バルドは羽根ペンを置き、振り返る。窓から見える城の中庭では、早朝の警備に当たる兵士たちが持ち場に向かっていた。いつもと変わらない光景だが、昨夜の出来事が全てを変えてしまった。
「話してみろ」
「あの少女の力です」
マルクが困惑の表情を浮かべる。
「魔法が全く効かないなんて、聞いたことがありません。まるで──」
「化け物だと言いたいのか」
バルドの声は低く、警告の響きを含んでいた。しかし内心では、彼も同じような恐怖を感じていたのは事実だった。
魔法が効かない存在。それがどれほど恐ろしいことか、長年この城で戦ってきた彼には理解できる。しかし──
「いえ、そうではありません」
マルクが慌てて手を振る。
「ただ、我々には理解できない力だということです。あの瞳を見た時、恐怖よりも別の感情が湧きました」
「別の感情?」
「純粋さ、とでも申しましょうか」
マルクの言葉に、バルドは昨夜のことを思い出した。時空の迷い子と呼ばれる化け物に立ち向かう時、アイリスが見せた表情。恐怖も邪心もない、ただ純粋に「困っている誰かを助けたい」という想いだけがあった。
(あの瞳は、確かに純粋だった)
バルドは立ち上がり、窓の外を見つめる。朝の光が城の石壁を照らし、長い影を作っていた。
「マルク、君は軍人として何を最も大切にしている?」
「城と住民を守ることです」
即座に返ってきた答えに、バルドは小さく頷いた。
「その通りだ。そして昨夜、その目的を最も確実に果たしたのは誰だった?」
マルクが黙り込む。答えは明らかだった。
「あの少女と、彼女の仲間たちだ」
バルドが振り返る。
「力の源が理解できなくても、その心が純粋であることは感じ取れる。我々は兵士として、その事実を評価すべきではないか」
「隊長...」
「恐れや疑いは自然な感情だ。しかし、同じ目的を持つ者を遠ざけることが、果たして城のためになるだろうか」
その時、詰所の外から慌ただしい足音が聞こえてきた。若い兵士が飛び込んでくる。
「隊長!大変です!」
「落ち着け、何があった」
「城の外郭結界に異常が発生しています!魔法が不安定で、制御が効きません!」
バルドとマルクは顔を見合わせた。昨夜の事件の余波かもしれない。
* * *
城の外郭で、バルドは眉をひそめていた。
目の前で展開されている光景は、長年の軍歴でも見たことがないものだった。城を守る防衛結界が波打つように揺らめき、透明であるべき魔法の壁が虹色に輝いている。そして所々に、まるで鏡が割れたような亀裂が走っていた。
「状況報告」
「約一時間前から始まりました」
現場を指揮していた小隊長が報告する。
「最初は小さな歪みでしたが、時間と共に拡大しています。通常の魔法修復では効果がありません」
バルドが結界に近づく。魔力を込めた手を伸ばすと、ぴりぴりとした感覚が指先を駆け抜けた。
「時空の歪曲が混入している」
背後から声がした。振り返ると、レイナ・ミストリュウが杖を手に立っていた。金髪が朝日に輝き、青い瞳が結界の異常を鋭く観察している。
「君は...」
「レイナです。昨夜はお世話になりました」
彼女が軽く頭を下げる。その後ろから、ジーク・ヴァルドナインとアイリス・ノルヴェインも姿を現した。
「我々も異常を感じて駆けつけました」
ジークが言う。
「この歪みは昨夜の事件と関連があると思われます」
バルドは三人を見回した。昨夜の出来事の後、複雑な感情を抱いていたが、今は城の危機が最優先だった。
「君たちの分析を聞かせてくれ」
「結界の魔法構造に時空の歪みが干渉しています」
レイナが杖で空中に図形を描く。魔法陣が浮かび上がり、結界の構造を立体的に表示した。
「通常の魔法では、この歪みを除去することはできません」
「では、どうすれば」
「観測者の力が必要です」
ジークがアイリスを見る。
「アイリス、君にしかできない」
「そうですか?」
アイリスが首をかしげる。
「でも、あれって結界っていうんですか?なんだか虹色で綺麗ですね」
その天然な反応に、バルドは思わず表情を緩めそうになった。確かに、この状況で「綺麗」と言えるのは、彼女だけかもしれない。
「アイリス」
バルドが一歩前に出る。
「君に頼みがある」
「はい?」
「城を...住民たちを守ってくれ」
その言葉に、アイリスの表情が真剣になった。彼女の瞳に、昨夜と同じ純粋な決意が宿る。
「はい。やってみます」
「しかし」
バルドが周りを見回す。
「今度は一人ではない。我々も協力する」
その宣言に、レイナとジークが驚きの表情を見せた。
「本当ですか?」
レイナが嬉しそうに言う。
「もちろんだ」
バルドが力強く頷く。
「城を守るという目的は同じだ。力を合わせよう」
その瞬間、四人の間に新たな連帯感が生まれた。
作戦は迅速に決定された。
バルドが全体の指揮を取り、各ポイントに配置された警備隊との連携を確保する。ジークは結界の要所で魔法的支援を行い、レイナは歪みの分析と理論的サポートを担当する。そしてアイリスが中心となって、時空の歪曲を根本から修正する。
「左翼部隊、結界強化の準備!」
バルドの指示が飛ぶ。
「第三小隊は住民の避難誘導継続!」
組織だった動きの中で、アイリスは結界の中央に立っていた。観測者の眼で見ると、空間の歪みがくっきりと見える。まるで透明なガラスに亀裂が入ったような模様が、複雑に絡み合っていた。
「アイリス、左からエネルギーが不安定になっています!」
レイナが叫ぶ。
「左?」
アイリスが振り返る。
「あの、左ってどっちですか?」
「君から見て、こっちだ」
バルドが指差す。
「あ、なるほど」
アイリスが無邪気に頷く間に、観測者の力が発動していた。光の糸が空中に現れ、歪んだ空間を正しい形に修正していく。
「すごい...」
警備隊員たちが息を呑む。
バルドも、アイリスの力を間近で見るのは初めてだった。それは確かに理解を超えた現象だったが、同時に美しく、そして温かみがあった。
「右翼の歪み、集中しています!」
ジークが警告する。
「分かりました」
アイリスが右に向かう。しかし、足元の魔法陣に気づかず、そのまま踏み潰しながら歩いていく。
「あ、アイリス!魔法陣を!」
レイナが慌てるが、既に遅い。精巧に描かれた支援魔法陣が、アイリスの足の下で光の粒子となって散っていく。
「あ、何か踏んじゃいました」
アイリスが振り返る。
「すみません、何か光ってたんですが」
「...大丈夫だ」
バルドが苦笑する。
「君の力なら、魔法陣がなくても十分だ」
その通りだった。アイリスの観測者能力は、どんな魔法的補助も必要としない。彼女がいるだけで、歪んだ空間は正しい形に戻っていく。
「隊長、これは...」
マルクが感嘆の声を上げる。
「魔法を超えた現象です」
「ああ」
バルドが頷く。
「しかし、恐れるべきものではない。あの子の心が純粋である限り、この力は城を守る盾となる」
作業は順調に進んだ。四人と警備隊の完璧な連携により、結界の修復は予想以上に早く完了した。
最後の歪みが消えた時、結界は再び透明になり、安定した魔力の流れを取り戻した。
「完了!」
レイナが杖を上げて宣言する。
「結界、正常稼働しています!」
歓声が上がる中、バルドはアイリスの元に歩み寄った。
「ありがとう」
短い言葉だったが、心からの感謝が込められていた。
「お疲れ様でした」
アイリスが無邪気に微笑む。
「でも、何をしたのかよくわからないんです」
その天然な反応に、バルドは思わず笑みを浮かべた。確かに、この少女を恐れることなど馬鹿らしく思えてきた。
* * *
作業が完了した後、四人は城の中庭で一息ついていた。夕日が石畳を照らし、平和な雰囲気が戻っている。バルドは三人の前に立ち、深く頭を下げた。
「改めて言わせてくれ」
その真剣な態度に、三人が驚く。
「アイリス・ノルヴェイン、ジーク・ヴァルドナイン、レイナ・ミストリュウ」
一人ずつ名前を呼んで、彼らを見つめる。
「君たちを疑い、警戒したことを心から詫びる」
「あ、あの...」
アイリスが慌てたように手を振る。
「疑うって、何をですか?私、何か悪いことしましたっけ?」
その純粋な反応に、バルドは改めて彼女の人柄を実感した。
「いや、君は何も悪いことはしていない」
穏やかに微笑む。
「むしろ、我々が君の価値を理解するのに時間がかかりすぎたのだ」
「価値って...」
アイリスがきょとんとしている。
「君の力だけではない」
バルドが続ける。
「君の心、君の優しさ、君の勇気。それら全てが、この城にとって必要なものだった」
「そうですか?」
アイリスが首をかしげる。
「よくわからないですが、お役に立てたなら良かったです」
その素直な言葉に、ジークとレイナも安堵の表情を見せた。
「バルド殿」
ジークが一歩前に出る。
「我々も、あなたの城を守る気持ちを理解しています。最初の警戒は当然のことでした」
「そうよ」
レイナが明るく頷く。
「私たちも、最初は緊張してました。でも今は、本当に良いチームになれたと思います」
「チーム...」
バルドがその言葉を反芻する。
「そうだな。今日の連携を見ていて確信した。我々は最高のチームだ」
四人の間に、温かな沈黙が流れた。夕日が中庭を金色に染め、噴水の水音が心地よく響いている。
「あの、お腹空きました」
アイリスがぽつりと言う。
「今日は朝から動きっぱなしでしたね」
その天然な発言に、三人が笑い出した。緊張していた空気が一気に和らぎ、本当の意味での親密さが生まれた瞬間だった。
「そうですね」
レイナがくすくすと笑う。
「今日は特別な夕食にしましょう」
「同感だ」
バルドが立ち上がる。
「今夜は祝杯を上げよう。新たなチームの結成を祝って」
四人は連れ立って城に向かった。夕暮れの中を歩く姿は、もはや見知らぬ他人ではなく、共に戦う仲間のそれだった。
* * *
その夜、クラティア・ラルゼンの私室に四人は集まっていた。城の最上階にある部屋は、いつものように神秘的な雰囲気に包まれている。古い書物と星図に囲まれた空間で、クラティアが四人を見回していた。
「今日の連携、見事だった」
彼女の声には、深い満足が込められていた。
「バルド、君の決断は正しかった」
「恥ずかしながら」
バルドが頭を下げる。
「最初は彼らを警戒しておりました。しかし今では、その判断が間違いだったと痛感しています」
「警戒は悪いことではない」
クラティアが穏やかに言う。
「責任ある立場の者として、慎重になるのは当然だ。重要なのは、その後の柔軟性だ」
「はい」
「そして君たちも」
視線がアイリス、ジーク、レイナに向けられる。
「今日で真の意味でのチームになった」
「ありがとうございます」
ジークが代表して頭を下げる。
「我々も、バルド殿と警備隊の方々との協力を誇りに思います」
「あの、結局私は何をしたんですか?」
アイリスが素朴に尋ねる。
「結界がきれいだったのは覚えてるんですが」
その天然な質問に、クラティアが微笑む。
「君は素晴らしいことをした。それだけで十分だ」
「そうですか?」
「ああ」
バルドが口を挟む。
「君がいなければ、今日の危機は乗り越えられなかった。そして何より──」
少し照れたように言う。
「君のおかげで、我々は本当の意味での仲間になれた」
その言葉に、アイリスが嬉しそうに微笑んだ。
「それなら良かったです」
「さて」
クラティアが立ち上がる。
「君たちには正式に伝えなければならないことがある」
四人が身を正す。
「今日をもって、君たち四人を『鏡の城守護者』として正式に認定する」
「守護者...」
レイナが息を呑む。
「警備隊との連携の下、城と住民の安全を守る責務を担ってもらう」
バルドが胸を張る。
「光栄に存じます」
「私たちも」
ジークが続ける。
「全力で責務を果たします」
「素晴らしい決意だ」
クラティアが頷く。
「しかし、油断してはならない。フォルクス・ノーグラムは必ず次の手を打ってくる。今度はより巧妙で、より強力な手段で」
部屋に緊張が走る。
「我々は備えなければならない」
「どのような備えを?」
バルドが尋ねる。
「君たちの連携をさらに深めることだ」
クラティアが窓の外を見つめる。
「個人の力も重要だが、真の強さはチームワークにある。それを今日、君たちは証明した」
「はい」
四人が声を揃える。
窓の外では、星空が美しく輝いていた。鏡の城の庭園には鏡花が咲き誇り、月光を受けて幻想的な光を放っている。平和な光景だが、全員が感じていた。これは嵐の前の静けさなのだと。
「必ず来る次の脅威に対して」
アイリスが静かに言う。
「私たちなら大丈夫です」
その確信に満ちた声に、三人が振り返る。
「一人じゃできないことも、みんなでなら」
「その通りだ」
バルドが力強く頷く。
「我々は最高のチームだ」
「次に何が来ても、負けません」
レイナが拳を握る。
「絶対に、この城を守り抜きます」
ジークも決意を込めて言う。
四人の固い絆が、新たな脅威への準備となった。
懐中時計が胸の奥で静かに脈打っている。止まった針は兄との永遠の絆を示し、今を生きる自分の心臓の鼓動は未来への希望を表していた。
新たな仲間とともに、アイリス・ノルヴェインの冒険は続いていく。
今度はもう、一人ではない。信頼できる仲間たちと、確かな絆で結ばれて。
鏡の城の夜は更けていくが、四人の心は明日への希望で満たされていた。
アイリス・ノルヴェインという少女の力は、常識を超えている。
「隊長」
詰所の扉が開き、副隊長のマルクが入ってきた。日に焼けた顔に深い皺を刻んだ古参の兵士は、いつもの朗らかさを欠いていた。
「昨夜の件について、隊員たちが動揺しております」
バルドは羽根ペンを置き、振り返る。窓から見える城の中庭では、早朝の警備に当たる兵士たちが持ち場に向かっていた。いつもと変わらない光景だが、昨夜の出来事が全てを変えてしまった。
「話してみろ」
「あの少女の力です」
マルクが困惑の表情を浮かべる。
「魔法が全く効かないなんて、聞いたことがありません。まるで──」
「化け物だと言いたいのか」
バルドの声は低く、警告の響きを含んでいた。しかし内心では、彼も同じような恐怖を感じていたのは事実だった。
魔法が効かない存在。それがどれほど恐ろしいことか、長年この城で戦ってきた彼には理解できる。しかし──
「いえ、そうではありません」
マルクが慌てて手を振る。
「ただ、我々には理解できない力だということです。あの瞳を見た時、恐怖よりも別の感情が湧きました」
「別の感情?」
「純粋さ、とでも申しましょうか」
マルクの言葉に、バルドは昨夜のことを思い出した。時空の迷い子と呼ばれる化け物に立ち向かう時、アイリスが見せた表情。恐怖も邪心もない、ただ純粋に「困っている誰かを助けたい」という想いだけがあった。
(あの瞳は、確かに純粋だった)
バルドは立ち上がり、窓の外を見つめる。朝の光が城の石壁を照らし、長い影を作っていた。
「マルク、君は軍人として何を最も大切にしている?」
「城と住民を守ることです」
即座に返ってきた答えに、バルドは小さく頷いた。
「その通りだ。そして昨夜、その目的を最も確実に果たしたのは誰だった?」
マルクが黙り込む。答えは明らかだった。
「あの少女と、彼女の仲間たちだ」
バルドが振り返る。
「力の源が理解できなくても、その心が純粋であることは感じ取れる。我々は兵士として、その事実を評価すべきではないか」
「隊長...」
「恐れや疑いは自然な感情だ。しかし、同じ目的を持つ者を遠ざけることが、果たして城のためになるだろうか」
その時、詰所の外から慌ただしい足音が聞こえてきた。若い兵士が飛び込んでくる。
「隊長!大変です!」
「落ち着け、何があった」
「城の外郭結界に異常が発生しています!魔法が不安定で、制御が効きません!」
バルドとマルクは顔を見合わせた。昨夜の事件の余波かもしれない。
* * *
城の外郭で、バルドは眉をひそめていた。
目の前で展開されている光景は、長年の軍歴でも見たことがないものだった。城を守る防衛結界が波打つように揺らめき、透明であるべき魔法の壁が虹色に輝いている。そして所々に、まるで鏡が割れたような亀裂が走っていた。
「状況報告」
「約一時間前から始まりました」
現場を指揮していた小隊長が報告する。
「最初は小さな歪みでしたが、時間と共に拡大しています。通常の魔法修復では効果がありません」
バルドが結界に近づく。魔力を込めた手を伸ばすと、ぴりぴりとした感覚が指先を駆け抜けた。
「時空の歪曲が混入している」
背後から声がした。振り返ると、レイナ・ミストリュウが杖を手に立っていた。金髪が朝日に輝き、青い瞳が結界の異常を鋭く観察している。
「君は...」
「レイナです。昨夜はお世話になりました」
彼女が軽く頭を下げる。その後ろから、ジーク・ヴァルドナインとアイリス・ノルヴェインも姿を現した。
「我々も異常を感じて駆けつけました」
ジークが言う。
「この歪みは昨夜の事件と関連があると思われます」
バルドは三人を見回した。昨夜の出来事の後、複雑な感情を抱いていたが、今は城の危機が最優先だった。
「君たちの分析を聞かせてくれ」
「結界の魔法構造に時空の歪みが干渉しています」
レイナが杖で空中に図形を描く。魔法陣が浮かび上がり、結界の構造を立体的に表示した。
「通常の魔法では、この歪みを除去することはできません」
「では、どうすれば」
「観測者の力が必要です」
ジークがアイリスを見る。
「アイリス、君にしかできない」
「そうですか?」
アイリスが首をかしげる。
「でも、あれって結界っていうんですか?なんだか虹色で綺麗ですね」
その天然な反応に、バルドは思わず表情を緩めそうになった。確かに、この状況で「綺麗」と言えるのは、彼女だけかもしれない。
「アイリス」
バルドが一歩前に出る。
「君に頼みがある」
「はい?」
「城を...住民たちを守ってくれ」
その言葉に、アイリスの表情が真剣になった。彼女の瞳に、昨夜と同じ純粋な決意が宿る。
「はい。やってみます」
「しかし」
バルドが周りを見回す。
「今度は一人ではない。我々も協力する」
その宣言に、レイナとジークが驚きの表情を見せた。
「本当ですか?」
レイナが嬉しそうに言う。
「もちろんだ」
バルドが力強く頷く。
「城を守るという目的は同じだ。力を合わせよう」
その瞬間、四人の間に新たな連帯感が生まれた。
作戦は迅速に決定された。
バルドが全体の指揮を取り、各ポイントに配置された警備隊との連携を確保する。ジークは結界の要所で魔法的支援を行い、レイナは歪みの分析と理論的サポートを担当する。そしてアイリスが中心となって、時空の歪曲を根本から修正する。
「左翼部隊、結界強化の準備!」
バルドの指示が飛ぶ。
「第三小隊は住民の避難誘導継続!」
組織だった動きの中で、アイリスは結界の中央に立っていた。観測者の眼で見ると、空間の歪みがくっきりと見える。まるで透明なガラスに亀裂が入ったような模様が、複雑に絡み合っていた。
「アイリス、左からエネルギーが不安定になっています!」
レイナが叫ぶ。
「左?」
アイリスが振り返る。
「あの、左ってどっちですか?」
「君から見て、こっちだ」
バルドが指差す。
「あ、なるほど」
アイリスが無邪気に頷く間に、観測者の力が発動していた。光の糸が空中に現れ、歪んだ空間を正しい形に修正していく。
「すごい...」
警備隊員たちが息を呑む。
バルドも、アイリスの力を間近で見るのは初めてだった。それは確かに理解を超えた現象だったが、同時に美しく、そして温かみがあった。
「右翼の歪み、集中しています!」
ジークが警告する。
「分かりました」
アイリスが右に向かう。しかし、足元の魔法陣に気づかず、そのまま踏み潰しながら歩いていく。
「あ、アイリス!魔法陣を!」
レイナが慌てるが、既に遅い。精巧に描かれた支援魔法陣が、アイリスの足の下で光の粒子となって散っていく。
「あ、何か踏んじゃいました」
アイリスが振り返る。
「すみません、何か光ってたんですが」
「...大丈夫だ」
バルドが苦笑する。
「君の力なら、魔法陣がなくても十分だ」
その通りだった。アイリスの観測者能力は、どんな魔法的補助も必要としない。彼女がいるだけで、歪んだ空間は正しい形に戻っていく。
「隊長、これは...」
マルクが感嘆の声を上げる。
「魔法を超えた現象です」
「ああ」
バルドが頷く。
「しかし、恐れるべきものではない。あの子の心が純粋である限り、この力は城を守る盾となる」
作業は順調に進んだ。四人と警備隊の完璧な連携により、結界の修復は予想以上に早く完了した。
最後の歪みが消えた時、結界は再び透明になり、安定した魔力の流れを取り戻した。
「完了!」
レイナが杖を上げて宣言する。
「結界、正常稼働しています!」
歓声が上がる中、バルドはアイリスの元に歩み寄った。
「ありがとう」
短い言葉だったが、心からの感謝が込められていた。
「お疲れ様でした」
アイリスが無邪気に微笑む。
「でも、何をしたのかよくわからないんです」
その天然な反応に、バルドは思わず笑みを浮かべた。確かに、この少女を恐れることなど馬鹿らしく思えてきた。
* * *
作業が完了した後、四人は城の中庭で一息ついていた。夕日が石畳を照らし、平和な雰囲気が戻っている。バルドは三人の前に立ち、深く頭を下げた。
「改めて言わせてくれ」
その真剣な態度に、三人が驚く。
「アイリス・ノルヴェイン、ジーク・ヴァルドナイン、レイナ・ミストリュウ」
一人ずつ名前を呼んで、彼らを見つめる。
「君たちを疑い、警戒したことを心から詫びる」
「あ、あの...」
アイリスが慌てたように手を振る。
「疑うって、何をですか?私、何か悪いことしましたっけ?」
その純粋な反応に、バルドは改めて彼女の人柄を実感した。
「いや、君は何も悪いことはしていない」
穏やかに微笑む。
「むしろ、我々が君の価値を理解するのに時間がかかりすぎたのだ」
「価値って...」
アイリスがきょとんとしている。
「君の力だけではない」
バルドが続ける。
「君の心、君の優しさ、君の勇気。それら全てが、この城にとって必要なものだった」
「そうですか?」
アイリスが首をかしげる。
「よくわからないですが、お役に立てたなら良かったです」
その素直な言葉に、ジークとレイナも安堵の表情を見せた。
「バルド殿」
ジークが一歩前に出る。
「我々も、あなたの城を守る気持ちを理解しています。最初の警戒は当然のことでした」
「そうよ」
レイナが明るく頷く。
「私たちも、最初は緊張してました。でも今は、本当に良いチームになれたと思います」
「チーム...」
バルドがその言葉を反芻する。
「そうだな。今日の連携を見ていて確信した。我々は最高のチームだ」
四人の間に、温かな沈黙が流れた。夕日が中庭を金色に染め、噴水の水音が心地よく響いている。
「あの、お腹空きました」
アイリスがぽつりと言う。
「今日は朝から動きっぱなしでしたね」
その天然な発言に、三人が笑い出した。緊張していた空気が一気に和らぎ、本当の意味での親密さが生まれた瞬間だった。
「そうですね」
レイナがくすくすと笑う。
「今日は特別な夕食にしましょう」
「同感だ」
バルドが立ち上がる。
「今夜は祝杯を上げよう。新たなチームの結成を祝って」
四人は連れ立って城に向かった。夕暮れの中を歩く姿は、もはや見知らぬ他人ではなく、共に戦う仲間のそれだった。
* * *
その夜、クラティア・ラルゼンの私室に四人は集まっていた。城の最上階にある部屋は、いつものように神秘的な雰囲気に包まれている。古い書物と星図に囲まれた空間で、クラティアが四人を見回していた。
「今日の連携、見事だった」
彼女の声には、深い満足が込められていた。
「バルド、君の決断は正しかった」
「恥ずかしながら」
バルドが頭を下げる。
「最初は彼らを警戒しておりました。しかし今では、その判断が間違いだったと痛感しています」
「警戒は悪いことではない」
クラティアが穏やかに言う。
「責任ある立場の者として、慎重になるのは当然だ。重要なのは、その後の柔軟性だ」
「はい」
「そして君たちも」
視線がアイリス、ジーク、レイナに向けられる。
「今日で真の意味でのチームになった」
「ありがとうございます」
ジークが代表して頭を下げる。
「我々も、バルド殿と警備隊の方々との協力を誇りに思います」
「あの、結局私は何をしたんですか?」
アイリスが素朴に尋ねる。
「結界がきれいだったのは覚えてるんですが」
その天然な質問に、クラティアが微笑む。
「君は素晴らしいことをした。それだけで十分だ」
「そうですか?」
「ああ」
バルドが口を挟む。
「君がいなければ、今日の危機は乗り越えられなかった。そして何より──」
少し照れたように言う。
「君のおかげで、我々は本当の意味での仲間になれた」
その言葉に、アイリスが嬉しそうに微笑んだ。
「それなら良かったです」
「さて」
クラティアが立ち上がる。
「君たちには正式に伝えなければならないことがある」
四人が身を正す。
「今日をもって、君たち四人を『鏡の城守護者』として正式に認定する」
「守護者...」
レイナが息を呑む。
「警備隊との連携の下、城と住民の安全を守る責務を担ってもらう」
バルドが胸を張る。
「光栄に存じます」
「私たちも」
ジークが続ける。
「全力で責務を果たします」
「素晴らしい決意だ」
クラティアが頷く。
「しかし、油断してはならない。フォルクス・ノーグラムは必ず次の手を打ってくる。今度はより巧妙で、より強力な手段で」
部屋に緊張が走る。
「我々は備えなければならない」
「どのような備えを?」
バルドが尋ねる。
「君たちの連携をさらに深めることだ」
クラティアが窓の外を見つめる。
「個人の力も重要だが、真の強さはチームワークにある。それを今日、君たちは証明した」
「はい」
四人が声を揃える。
窓の外では、星空が美しく輝いていた。鏡の城の庭園には鏡花が咲き誇り、月光を受けて幻想的な光を放っている。平和な光景だが、全員が感じていた。これは嵐の前の静けさなのだと。
「必ず来る次の脅威に対して」
アイリスが静かに言う。
「私たちなら大丈夫です」
その確信に満ちた声に、三人が振り返る。
「一人じゃできないことも、みんなでなら」
「その通りだ」
バルドが力強く頷く。
「我々は最高のチームだ」
「次に何が来ても、負けません」
レイナが拳を握る。
「絶対に、この城を守り抜きます」
ジークも決意を込めて言う。
四人の固い絆が、新たな脅威への準備となった。
懐中時計が胸の奥で静かに脈打っている。止まった針は兄との永遠の絆を示し、今を生きる自分の心臓の鼓動は未来への希望を表していた。
新たな仲間とともに、アイリス・ノルヴェインの冒険は続いていく。
今度はもう、一人ではない。信頼できる仲間たちと、確かな絆で結ばれて。
鏡の城の夜は更けていくが、四人の心は明日への希望で満たされていた。
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※この物語の舞台となる世界や国はすべて架空のものであり、登場する団体や人物もすべてフィクションです。
※同時掲載:小説家になろう、アルファポリス、カクヨム
※元タイトル:令嬢は幸せになりたい
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
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