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第42話 愛と虚無の狭間
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世界の穴から、低い唸り声が響き続けている。
それは大地の底から湧き上がる呻きのようで、聞いているだけで正気を失いそうになる。兵士たちの顔に、恐怖の色が濃くなっていく。
「進軍を続けるか、ここで態勢を整えるか」
フリードリヒ3世が翔太に判断を求めた。周囲の将軍たちも、浄化王の決断を待っている。
翔太は世界の穴を見つめた。直径1kmの漆黒の穴。その底から噴き出す虚無のエネルギーは、まるで世界そのものを飲み込もうとしているかのようだ。
「リク、別動隊の準備はできているか?」
「ああ、いつでも行ける」
リクが頷く。クリスタル救出のための20名は、既に編成を終えていた。
「では、二手に分かれよう」
翔太の決断に、エリーゼが不安そうな表情を見せた。
「大丈夫」翔太は彼女の手を握った。「必ず、みんなで生きて帰る」
第二の太陽が、また一段と暗くなった。
◆
突然、世界の穴から巨大な影が立ち上がった。
それは人の形をしているが、その大きさは常人の10倍はある。全身が純粋な虚無で構成されており、ただ輪郭だけが揺らめいている。
「我が名は始原の影。虚無の使者第一位にして、虚無王の右腕」
その声だけで、兵士の半数が意識を失った。膝から崩れ落ちる者、恐怖で動けなくなる者。戦場に絶望が広がっていく。
「レベル...180だと...」
アルテミスが震え声で呟く。
翔太の【浄化の眼】でも、その全容を把握することはできない。底知れぬ力が、始原の影から溢れ出していた。
始原の影が、ゆっくりと手を上げる。
その瞬間、地面が爆発的に抉れた。視線を向けるだけで岩が砕け、手を振るだけで竜巻が発生する。圧倒的な力の差に、誰もが息を呑んだ。
「千年前も、お前たちの先祖を葬った」
始原の影の言葉に、歴史の重みが感じられる。この存在は、千年もの間、虚無王に仕えてきたのだ。
「若い者たちに未来を託す」
突然、グレイスが前に出た。老浄化士の体から、穏やかな光が溢れ出す。
「グレイス殿、何を...」
「アルテミス、一緒に来い」
二人の浄化士が、同時に詠唱を始めた。
【聖浄化・千年樹】
二人の合体技が発動する。巨大な光の樹が出現し、その枝が始原の影に向かって伸びていく。千年の知恵と経験が込められた、最強の浄化術だった。
しかし——
「無駄だ」
始原の影は、ただ息を吐いただけで光の樹を消し去った。傷一つつけることができない。
グレイスとアルテミスが、力を使い果たして倒れる。
「くそっ...」
翔太が歯を食いしばった。この化け物を相手に、どう戦えばいいのか。
◆
「今だ、別動隊出発!」
リクが叫んだ。始原の影が本隊に注目している隙に、20名の精鋭が動き出す。
「必ず戻ってきて」
ミーナがリクの手を握った。
「約束する。お前も無茶するなよ」
二人の間に、言葉にならない想いが交錯する。幼馴染として、そして仲間として過ごしてきた時間。それが今、別れの瞬間を迎えている。
「クリスタル様を必ず助けます!」
レオが決意を込めて叫んだ。見習い浄化士の体から、純粋な浄化の光が強まっていく。この数日で急成長を遂げた少年の瞳に、強い意志が宿っていた。
タオとレイも、覚悟を決めた表情で頷く。精鋭騎士10名と浄化士6名も、準備を整えている。
「マルコ、転移石を」
「ああ、これだ」
マルコが差し出した転移石が、青白く輝き始める。氷の迷宮への道が、開かれようとしていた。
「3時間で戻らなければ...」
「分かってる。必ず間に合わせる」
リクがエクスカリバーの双剣を握り締める。聖剣から勇気が湧き上がってくるのを感じた。
転移の光が、別動隊を包み込む。
「翔太、後は頼んだ!」
「ああ、こっちは任せろ!」
光が弾けて、別動隊の姿が消えた。氷の迷宮へと、彼らは旅立っていった。
◆
「エリーゼ」
翔太が愛する人の名を呼ぶ。
「うん」
二人が手を繋ぐと、虹色の光が爆発的に広がった。
「これは...」
2000名全員が光に包まれ、一つに繋がっていく。兵士たちの恐怖が、少しずつ希望へと変わり始めた。
愛の連鎖が、進化を遂げる瞬間だった。
「みんな、聞いてくれ」
翔太の声が、全軍に響き渡る。
「俺たちは今、一つになっている。恐怖も、痛みも、喜びも、すべてを分かち合える」
兵士たちが顔を上げる。倒れていた者も、立ち上がり始めた。
「この絆こそが、俺たちの最強の武器だ」
エリーゼの紋様が、激しく脈動する。封印術師としての力が、愛の連鎖と共鳴していく。
「馬鹿な...人間如きが、この力を...」
始原の影が、初めて動揺を見せた。一歩、二歩と後退する。
「まさか、真の愛の結晶化か」
その言葉に、翔太は確信を得た。愛の力は、虚無をも超える可能性を秘めている。
「みんなの想いを一つに!」
翔太が聖剣を掲げると、2000名の想いが集結していく。
【大浄化・希望の光】
巨大な光の柱が天に向かって立ち上がった。その光は、世界の穴から湧き出していた虚無の軍勢5000体を、一瞬で消滅させる。
「不可能だ...」
始原の影が、さらに後退した。千年の間、これほどの力を見たことがない。
◆
その時、消えかけていた第二の太陽から、微かな声が聞こえてきた。
『聞こえるか...運命の子よ』
翔太の意識に、直接語りかけてくる声。
『穴の底に...真実がある』
『虚無王は...かつて人間だった』
『愛する者を...失った男だ』
衝撃的な真実に、翔太は息を呑んだ。虚無王が、元は人間だったとは。
「翔太様」
ヴァルガスが、包帯だらけの体で前に出た。
「俺も行きます。クリスタル様との約束がありますから」
ノーザリア最強の騎士は、重傷を負いながらも戦う意志を失っていない。その執念に、周囲の兵士たちも勇気づけられる。
「よし、精鋭50名を選出する」
翔太が決断を下した。
「エリーゼ、ミーナ、カール、ヴァルガス」
名前を呼ばれた者たちが、前に出る。
「グレイス殿とアルテミス殿は...」
「いや、行かせてくれ」
グレイスが立ち上がった。
「この老骨に、まだできることがある」
アルテミスも頷く。二人の浄化士の目に、諦めの色はない。
各部隊からも、精鋭が選ばれていく。誰もが、この戦いの重要性を理解していた。
「待って」
ソフィアが叫んだ。情報屋の少女が、世界の穴の縁を指差している。
「この紋様...エリーゼ様のものと同じ」
確かに、穴の縁には古代文字が刻まれていた。それは、エリーゼの体に浮かぶ紋様と酷似している。
「二つの封印が共鳴している」
ソフィアの言葉に、エリーゼが頷いた。
「何かが...私を呼んでいる」
彼女の体が、また少し透けて見える。封印術の代償が、確実に進行していた。
◆
翔太が聖剣を掲げると、金色の階段が出現した。
「これは...」
「エクスカリバーが道を示している」
一歩ずつ、慎重に降りていく。虚無のエネルギーが、肌を刺すように痛い。それでも、50名の精鋭は歩みを止めない。
階段を降りるにつれて、周囲の景色が変わっていく。岩肌は黒く変色し、空気は重く淀んでいた。まるで、世界の底へと向かっているかのようだ。
「エリーゼ、大丈夫か?」
翔太が振り返る。エリーゼの体は、既に半分が透けて見えた。
「何かが...呼んでいる」
彼女の声も、少しずつ遠くなっているように感じる。紋様が激しく脈動し、まるで何かと共鳴しているかのようだった。
「もう少しだ」
カールが仲間を励ます。聖騎士として、みんなを守る使命を果たそうとしていた。
ついに、一行は穴の底に到達した。
そこには、巨大な扉があった。
扉には「愛と犠牲の間」と刻まれている。古代の言語で書かれたその文字は、不思議な光を放っていた。
「そこから先は、虚無王の領域だ」
始原の影が、上から見下ろしている。
「入れば、二度と戻れぬかもしれぬぞ」
脅しとも、警告ともつかない言葉。しかし、翔太たちに迷いはなかった。
「それでも行く」
翔太が扉に手をかける。
「この先に、全ての答えがあるはずだ」
◆
「浄化王様のために!」
突然、上から声が聞こえてきた。
名もなき兵士たちが、次々と世界の穴に向かって突撃していく。始原の影を引きつけるために、命を賭けて戦っているのだ。
「馬鹿な真似を...」
始原の影が手を振るう。兵士たちが吹き飛ばされるが、それでも彼らは立ち上がる。
「俺たちにも、できることがある!」
「浄化王様を信じて、戦うんだ!」
勇気ある兵士たちの姿に、翔太の目に涙が浮かんだ。
「みんな...」
「さあ、行きましょう」
エリーゼが翔太の手を引く。
「彼らの想いを、無駄にしないためにも」
翔太は深く頷いた。そして、扉に両手をかける。
扉は、重い音を立てながら開き始めた。
その瞬間——
第二の太陽が、ついに消えた。
完全な闇が、世界を包み込む。
「時間切れだ」
始原の影が呟いた。
「虚無王が、目覚める」
扉の向こうから、圧倒的な虚無のエネルギーが溢れ出してきた。それは、今まで感じたことのない恐怖と絶望に満ちている。
しかし、翔太は前を向いた。
「俺たちには、仲間がいる」
聖剣が、強く輝く。
「そして、愛の力がある」
エリーゼと手を繋ぎ、一歩を踏み出す。
50名の精鋭が、続いていく。
扉の向こうは、完全な闇だった。
しかし、その闇の中に、微かな光が見える。それは、希望の光なのか、それとも絶望への誘いなのか。
「行こう」
翔太の声が、闇に響く。
「虚無王に会いに」
扉が、完全に開いた。
運命の瞬間が、訪れようとしていた。
世界の命運を賭けた、最後の戦いが始まる。
━━━━━━━━━━━━━━━
【翔太】
職業:真なる浄化王
レベル:100
HP:13,500 / 15,000
MP:7,000 / 8,000
習得スキル:
・聖愛浄化・調和(エリーゼとの合体技)
・世界防衛術・三位一体
・絶対浄化Lv.MAX
装備:
・聖剣エクスカリバー
・浄化王の外套
━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━
【エリーゼ】
職業:王女・封印術師
レベル:42
HP:3,800 / 4,200
MP:5,200 / 5,500
状態:三位一体の影響で復調
習得スキル:
・封印術・時空凍結
・愛の連鎖
・聖愛浄化・調和(翔太との合体技)
━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━
【アルトゥール】
職業:虚無の制御者(元虚無王)
レベル:180
HP:25,000 / 25,000
MP:15,000 / 15,000
習得スキル:
・虚無結界・展開
・千年の管理
・死と再生の循環
━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━
【クリスタル】
職業:氷の女王(救出済み)
レベル:???
HP:???
MP:???
状態:正気を取り戻した
習得スキル:
・氷結魔法Lv.MAX
・500年の孤独
・最後の微笑み
━━━━━━━━━━━━━━━
それは大地の底から湧き上がる呻きのようで、聞いているだけで正気を失いそうになる。兵士たちの顔に、恐怖の色が濃くなっていく。
「進軍を続けるか、ここで態勢を整えるか」
フリードリヒ3世が翔太に判断を求めた。周囲の将軍たちも、浄化王の決断を待っている。
翔太は世界の穴を見つめた。直径1kmの漆黒の穴。その底から噴き出す虚無のエネルギーは、まるで世界そのものを飲み込もうとしているかのようだ。
「リク、別動隊の準備はできているか?」
「ああ、いつでも行ける」
リクが頷く。クリスタル救出のための20名は、既に編成を終えていた。
「では、二手に分かれよう」
翔太の決断に、エリーゼが不安そうな表情を見せた。
「大丈夫」翔太は彼女の手を握った。「必ず、みんなで生きて帰る」
第二の太陽が、また一段と暗くなった。
◆
突然、世界の穴から巨大な影が立ち上がった。
それは人の形をしているが、その大きさは常人の10倍はある。全身が純粋な虚無で構成されており、ただ輪郭だけが揺らめいている。
「我が名は始原の影。虚無の使者第一位にして、虚無王の右腕」
その声だけで、兵士の半数が意識を失った。膝から崩れ落ちる者、恐怖で動けなくなる者。戦場に絶望が広がっていく。
「レベル...180だと...」
アルテミスが震え声で呟く。
翔太の【浄化の眼】でも、その全容を把握することはできない。底知れぬ力が、始原の影から溢れ出していた。
始原の影が、ゆっくりと手を上げる。
その瞬間、地面が爆発的に抉れた。視線を向けるだけで岩が砕け、手を振るだけで竜巻が発生する。圧倒的な力の差に、誰もが息を呑んだ。
「千年前も、お前たちの先祖を葬った」
始原の影の言葉に、歴史の重みが感じられる。この存在は、千年もの間、虚無王に仕えてきたのだ。
「若い者たちに未来を託す」
突然、グレイスが前に出た。老浄化士の体から、穏やかな光が溢れ出す。
「グレイス殿、何を...」
「アルテミス、一緒に来い」
二人の浄化士が、同時に詠唱を始めた。
【聖浄化・千年樹】
二人の合体技が発動する。巨大な光の樹が出現し、その枝が始原の影に向かって伸びていく。千年の知恵と経験が込められた、最強の浄化術だった。
しかし——
「無駄だ」
始原の影は、ただ息を吐いただけで光の樹を消し去った。傷一つつけることができない。
グレイスとアルテミスが、力を使い果たして倒れる。
「くそっ...」
翔太が歯を食いしばった。この化け物を相手に、どう戦えばいいのか。
◆
「今だ、別動隊出発!」
リクが叫んだ。始原の影が本隊に注目している隙に、20名の精鋭が動き出す。
「必ず戻ってきて」
ミーナがリクの手を握った。
「約束する。お前も無茶するなよ」
二人の間に、言葉にならない想いが交錯する。幼馴染として、そして仲間として過ごしてきた時間。それが今、別れの瞬間を迎えている。
「クリスタル様を必ず助けます!」
レオが決意を込めて叫んだ。見習い浄化士の体から、純粋な浄化の光が強まっていく。この数日で急成長を遂げた少年の瞳に、強い意志が宿っていた。
タオとレイも、覚悟を決めた表情で頷く。精鋭騎士10名と浄化士6名も、準備を整えている。
「マルコ、転移石を」
「ああ、これだ」
マルコが差し出した転移石が、青白く輝き始める。氷の迷宮への道が、開かれようとしていた。
「3時間で戻らなければ...」
「分かってる。必ず間に合わせる」
リクがエクスカリバーの双剣を握り締める。聖剣から勇気が湧き上がってくるのを感じた。
転移の光が、別動隊を包み込む。
「翔太、後は頼んだ!」
「ああ、こっちは任せろ!」
光が弾けて、別動隊の姿が消えた。氷の迷宮へと、彼らは旅立っていった。
◆
「エリーゼ」
翔太が愛する人の名を呼ぶ。
「うん」
二人が手を繋ぐと、虹色の光が爆発的に広がった。
「これは...」
2000名全員が光に包まれ、一つに繋がっていく。兵士たちの恐怖が、少しずつ希望へと変わり始めた。
愛の連鎖が、進化を遂げる瞬間だった。
「みんな、聞いてくれ」
翔太の声が、全軍に響き渡る。
「俺たちは今、一つになっている。恐怖も、痛みも、喜びも、すべてを分かち合える」
兵士たちが顔を上げる。倒れていた者も、立ち上がり始めた。
「この絆こそが、俺たちの最強の武器だ」
エリーゼの紋様が、激しく脈動する。封印術師としての力が、愛の連鎖と共鳴していく。
「馬鹿な...人間如きが、この力を...」
始原の影が、初めて動揺を見せた。一歩、二歩と後退する。
「まさか、真の愛の結晶化か」
その言葉に、翔太は確信を得た。愛の力は、虚無をも超える可能性を秘めている。
「みんなの想いを一つに!」
翔太が聖剣を掲げると、2000名の想いが集結していく。
【大浄化・希望の光】
巨大な光の柱が天に向かって立ち上がった。その光は、世界の穴から湧き出していた虚無の軍勢5000体を、一瞬で消滅させる。
「不可能だ...」
始原の影が、さらに後退した。千年の間、これほどの力を見たことがない。
◆
その時、消えかけていた第二の太陽から、微かな声が聞こえてきた。
『聞こえるか...運命の子よ』
翔太の意識に、直接語りかけてくる声。
『穴の底に...真実がある』
『虚無王は...かつて人間だった』
『愛する者を...失った男だ』
衝撃的な真実に、翔太は息を呑んだ。虚無王が、元は人間だったとは。
「翔太様」
ヴァルガスが、包帯だらけの体で前に出た。
「俺も行きます。クリスタル様との約束がありますから」
ノーザリア最強の騎士は、重傷を負いながらも戦う意志を失っていない。その執念に、周囲の兵士たちも勇気づけられる。
「よし、精鋭50名を選出する」
翔太が決断を下した。
「エリーゼ、ミーナ、カール、ヴァルガス」
名前を呼ばれた者たちが、前に出る。
「グレイス殿とアルテミス殿は...」
「いや、行かせてくれ」
グレイスが立ち上がった。
「この老骨に、まだできることがある」
アルテミスも頷く。二人の浄化士の目に、諦めの色はない。
各部隊からも、精鋭が選ばれていく。誰もが、この戦いの重要性を理解していた。
「待って」
ソフィアが叫んだ。情報屋の少女が、世界の穴の縁を指差している。
「この紋様...エリーゼ様のものと同じ」
確かに、穴の縁には古代文字が刻まれていた。それは、エリーゼの体に浮かぶ紋様と酷似している。
「二つの封印が共鳴している」
ソフィアの言葉に、エリーゼが頷いた。
「何かが...私を呼んでいる」
彼女の体が、また少し透けて見える。封印術の代償が、確実に進行していた。
◆
翔太が聖剣を掲げると、金色の階段が出現した。
「これは...」
「エクスカリバーが道を示している」
一歩ずつ、慎重に降りていく。虚無のエネルギーが、肌を刺すように痛い。それでも、50名の精鋭は歩みを止めない。
階段を降りるにつれて、周囲の景色が変わっていく。岩肌は黒く変色し、空気は重く淀んでいた。まるで、世界の底へと向かっているかのようだ。
「エリーゼ、大丈夫か?」
翔太が振り返る。エリーゼの体は、既に半分が透けて見えた。
「何かが...呼んでいる」
彼女の声も、少しずつ遠くなっているように感じる。紋様が激しく脈動し、まるで何かと共鳴しているかのようだった。
「もう少しだ」
カールが仲間を励ます。聖騎士として、みんなを守る使命を果たそうとしていた。
ついに、一行は穴の底に到達した。
そこには、巨大な扉があった。
扉には「愛と犠牲の間」と刻まれている。古代の言語で書かれたその文字は、不思議な光を放っていた。
「そこから先は、虚無王の領域だ」
始原の影が、上から見下ろしている。
「入れば、二度と戻れぬかもしれぬぞ」
脅しとも、警告ともつかない言葉。しかし、翔太たちに迷いはなかった。
「それでも行く」
翔太が扉に手をかける。
「この先に、全ての答えがあるはずだ」
◆
「浄化王様のために!」
突然、上から声が聞こえてきた。
名もなき兵士たちが、次々と世界の穴に向かって突撃していく。始原の影を引きつけるために、命を賭けて戦っているのだ。
「馬鹿な真似を...」
始原の影が手を振るう。兵士たちが吹き飛ばされるが、それでも彼らは立ち上がる。
「俺たちにも、できることがある!」
「浄化王様を信じて、戦うんだ!」
勇気ある兵士たちの姿に、翔太の目に涙が浮かんだ。
「みんな...」
「さあ、行きましょう」
エリーゼが翔太の手を引く。
「彼らの想いを、無駄にしないためにも」
翔太は深く頷いた。そして、扉に両手をかける。
扉は、重い音を立てながら開き始めた。
その瞬間——
第二の太陽が、ついに消えた。
完全な闇が、世界を包み込む。
「時間切れだ」
始原の影が呟いた。
「虚無王が、目覚める」
扉の向こうから、圧倒的な虚無のエネルギーが溢れ出してきた。それは、今まで感じたことのない恐怖と絶望に満ちている。
しかし、翔太は前を向いた。
「俺たちには、仲間がいる」
聖剣が、強く輝く。
「そして、愛の力がある」
エリーゼと手を繋ぎ、一歩を踏み出す。
50名の精鋭が、続いていく。
扉の向こうは、完全な闇だった。
しかし、その闇の中に、微かな光が見える。それは、希望の光なのか、それとも絶望への誘いなのか。
「行こう」
翔太の声が、闇に響く。
「虚無王に会いに」
扉が、完全に開いた。
運命の瞬間が、訪れようとしていた。
世界の命運を賭けた、最後の戦いが始まる。
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【翔太】
職業:真なる浄化王
レベル:100
HP:13,500 / 15,000
MP:7,000 / 8,000
習得スキル:
・聖愛浄化・調和(エリーゼとの合体技)
・世界防衛術・三位一体
・絶対浄化Lv.MAX
装備:
・聖剣エクスカリバー
・浄化王の外套
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【エリーゼ】
職業:王女・封印術師
レベル:42
HP:3,800 / 4,200
MP:5,200 / 5,500
状態:三位一体の影響で復調
習得スキル:
・封印術・時空凍結
・愛の連鎖
・聖愛浄化・調和(翔太との合体技)
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【アルトゥール】
職業:虚無の制御者(元虚無王)
レベル:180
HP:25,000 / 25,000
MP:15,000 / 15,000
習得スキル:
・虚無結界・展開
・千年の管理
・死と再生の循環
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【クリスタル】
職業:氷の女王(救出済み)
レベル:???
HP:???
MP:???
状態:正気を取り戻した
習得スキル:
・氷結魔法Lv.MAX
・500年の孤独
・最後の微笑み
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四つの前世を持つ青年、冒険者養成学校にて「元」子爵令嬢の夢に付き合う 〜護国の武士が無双の騎士へと至るまで〜
最上 虎々
ファンタジー
ソドムの少年から平安武士、さらに日本兵から二十一世紀の男子高校生へ。
一つ一つの人生は短かった。
しかし幸か不幸か、今まで自分がどんな人生を歩んできたのかは覚えている。
だからこそ今度こそは長生きして、生きている実感と、生きる希望を持ちたい。
そんな想いを胸に、青年は五度目の命にして今までの四回とは別の世界に転生した。
早死にの男が、今まで死んできた世界とは違う場所で、今度こそ生き方を見つける物語。
本作は、「小説家になろう」、「カクヨム」、にも投稿しております。
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
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