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第99話 闇の覚醒
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翌朝。
レオンは、研究室で昨夜書いたノートを見直していた。
『明日から、対極の調和の研究を本格化する。各ペアごとに、調和の波動を生み出す方法を確立する。炎と水、大地と氷、風と光。そして、三つの波動を統合する。それが、封印強化の鍵だ』
ノートに書かれた文字を見つめながら、レオンは胸の奥に不安を感じていた。
古代の人々と同じように、対極の調和を使えば封印を強化できる。理論的には、それが正しい。でも、僕たちはまだその力を完全には理解していない。六体との絆はある。それは確かだ。でも、本当に闇に対抗できるのか...?フィルミナたちに、こんな危険な戦いを強いていいのか...?みんなを守りたいのに、逆に危険に晒してしまうかもしれない...。
ノートを閉じた時、扉がノックされた。
「レオン様、おはようございます」
フィルミナが、部屋に入ってきた。
レオンは、ノートを脇に置いて顔を上げた。
「おはよう、フィルミナ」
フィルミナは、レオンの表情を見て、優しく微笑んだ。
「不安そうですね、レオン様」
「...そうだね」
レオンは、正直に答えた。
フィルミナは、レオンの隣に座り、静かに語りかけた。
「封印の弱体化は深刻です。それは、私たち全員が感じています。でも、私たちには可能性があります。古代の六体が成し遂げたこと、私たちも必ずできる。炎のフィルミナとして、私は全力で封印を守ります。リーダーとして、みんなを導く責任もあります。そして何より、レオン様を信じています。あなたの研究が、世界を救う鍵になる。私は、そう信じています」
フィルミナの言葉に、レオンは少し救われた気がした。
その時、扉が勢いよく開いた。
「おはよう、レオン!フィルミナ!」
マリーナが、明るい声で飛び込んできた。
「私も仲間に入れて!」
マリーナは、二人の前に立ち、両手を腰に当てた。
「封印のこと、心配だよね?でもね、レオンとみんなが一緒なら、きっと何とかなる!水のマリーナとして、私も全力で頑張るから!みんなの笑顔、守りたいんだ!だから、一緒に頑張ろう!」
マリーナの明るさに、レオンとフィルミナは顔を見合わせて微笑んだ。
「ありがとう、二人とも」
レオンが、立ち上がった。
「君たちがいてくれるから、僕は戦える。炎と水、対極のペア。フィルミナとマリーナ。古代のイグニスとアクアのように、二人が協力すれば、きっと—」
その時だった。
窓の外が、急に暗くなった。
「...何だ?」
レオンが、窓に駆け寄る。
空が、黒い雲に覆われていた。
しかし、それは普通の雲ではなかった。
まるで生き物のように蠢き、禍々しい波動を放っている。
「レオン様!」
シグレが、息を切らして研究室に駆け込んできた。
「遺跡の方角から、強大な魔力の波動が...!封印が...封印が崩れかけています!」
レオンの顔が、蒼白になった。
「すぐに確認に向かう!」
レオンは、フィルミナとマリーナを見た。
「二人とも、一緒に来てくれるか?」
「もちろんです」
「当然だよ!」
三人は、研究室を飛び出した。
---
王都の大通りを駆け抜けながら、レオンは空を見上げた。
遺跡の方角から、黒い雲が急速に広がっている。
その雲は自然のものではなく、まるで生き物のように蠢き、禍々しい波動を放っている。
空全体が暗く染まり始め、王都の人々が空を見上げて不安そうにしている。
風が冷たく、圧迫感がある。
息が苦しい。
何かが、間違っている。
レオンたちは、遺跡が見える丘に到達した。
そして、目の前の光景に息を呑んだ。
「これは...!」
遺跡の上空に、巨大な影のような存在が浮かんでいた。
その姿は曖昧で、実体があるのかないのか判然としない。
しかし、その影の中から、巨大な翼のようなシルエットが時折浮かび上がる。
翼は漆黒で、禍々しい波動を放っている。
影は触手のように伸び、遺跡周辺の建物を破壊している。
建物が崩れ、瓦礫が舞い上がる。
人々の悲鳴が聞こえる。
これが...『絶望の翼』...!予言者の警告が現実になった。あんなに巨大で、禍々しい存在を、僕たちは本当に封じることができるのか...?いや、できなければならない。あれを放置すれば、王都全体が、いや、王国全体が危機に陥る...!でも、どうすれば...?僕の研究は、本当にあの巨大な闇に対抗できるのか...?
レオンの体が震えた。
フィルミナも、影を見上げて息を呑んでいた。
あれが、古代の人々が封じた存在...。あんなに巨大で、禍々しい。私の炎で、本当に対抗できるのか...?リーダーとして、みんなを導く責任がある。でも、私では...私では力不足かもしれない。それでも、炎のフィルミナとして、私は戦わなければならない。レオン様と、みんなを守るために...!
マリーナも、影を見上げて体を震わせていた。
あんなに大きな...怖い...でも、レオンとフィルミナがいる。私も、水のマリーナとして、全力で戦わなきゃ。みんなの笑顔を守るために。たとえ怖くても、私は逃げない。一緒なら、きっと何とかなる...!そう信じなきゃ...!
「レオン様...」
フィルミナが、静かに言った。
「私たち、戦います」
「うん、一緒に戦おう!」
マリーナも、明るく言った。
レオンは、二人を見て頷いた。
「ありがとう。じゃあ、行こう」
---
三人が王都の街に戻ると、人々が慌てて避難していた。
しかし、その動きは鈍かった。
まるで、力が抜けているかのように。
レオンは、一人の老人に声をかけた。
「大丈夫ですか?避難してください」
しかし、老人は虚ろな目でレオンを見るだけだった。
「...何もかも...終わりだ...あんな巨大な闇を前に...どうすることもできない...」
老人の言葉に、レオンは衝撃を受けた。
他の人々も、同じように絶望的な表情をしている。
子供が母親にしがみつき、泣いている。
「ママ...怖いよ...」
「大丈夫よ...きっと、大丈夫...」
母親の声も、震えている。
レオンは、人々の様子に違和感を覚えた。
これは...単なる恐怖じゃない。何かが、人々の心を直接侵食している...?
その時、レオンは突然めまいを覚えた。
胸の奥から、何か冷たいものが湧き上がってくる。
まるで、希望が消えていくような...。
...何だ、この感覚...?胸の奥から、何か冷たいものが湧き上がってくる...まるで、希望が消えていくような...僕の研究は、本当に意味があるのか...?こんな巨大な闇を前に、僕なんかに何ができる...?フィルミナやマリーナを巻き込んで、無駄な戦いをさせているだけなのでは...?
レオンは、頭を振った。
違う、これは僕の本当の気持ちじゃない...!
フィルミナも、顔を歪めている。
...リーダーとして、みんなを導けるのか...?私は、本当にその資格があるのか...?フィルミナという名に恥じない存在なのか...?いや、きっと私では...私では力不足で...みんなを危険に晒してしまう。炎は、時に制御を失う。私が、みんなを傷つけてしまうかもしれない...。
マリーナも、涙を浮かべている。
...私なんか、役に立っているのかな...?レオンやフィルミナは強くて立派だけど...私は...水の力しかない...みんなの足を引っ張っているだけじゃないかな...?ここにいる意味、あるのかな...?一人で、どこかに消えた方が、みんなのためなのかな...?
レオンは、深呼吸をした。
そして、気づいた。
これは...心を蝕む闇...!物理的な破壊だけじゃない、精神に直接働きかけている...!僕たちも、影響を受けている。この絶望感は、『絶望の翼』が放つ波動のせいだ...!人々だけじゃない、僕たちも、この闇の影響を受けている...!
「フィルミナ、マリーナ!」
レオンが、二人を呼んだ。
「これは、闇の心理攻撃だ!僕たちも影響を受けている!」
フィルミナとマリーナは、レオンの言葉にハッとした。
「そう...なんですね...」
フィルミナが、震える声で言った。
「私も...影響を受けています...」
「私も...」
マリーナも、涙を拭った。
レオンは、二人の肩に手を置いた。
「大丈夫だ。僕たちには、絆がある。闇に負けない」
---
レオンは、フィルミナとマリーナを見つめた。
「君たちは、炎と水。対極のペアだ」
フィルミナが、頷いた。
「ええ、古代の記録では、炎のイグニスと水のアクアが協力していました」
マリーナも、明るさを取り戻して言った。
「私たち、対極だけど、一緒にいると何だか力が湧いてくるの!」
レオンは、二人の言葉に励まされた。
炎と水は、互いを抑制し合いながら、同時に高め合う。フィルミナの強い炎とマリーナの優しい水。二人が調和すれば、古代の六体と同じように、封印を強化できるかもしれない。対極の調和...それが鍵なんだ。僕の研究が、今、試される時だ...!
「フィルミナ、マリーナ」
レオンが、二人に語りかけた。
「炎は攻撃的で、一点を焼き尽くす力がある。水は防御的で、全体を包み込む力がある。だからこそ、二人が協力すれば完璧なバランスになる」
フィルミナが、マリーナを見た。
「マリーナ、私たちが先陣を切りましょう。炎と水のペアとして、古代のイグニスとアクアのように。私の炎があなたの水を温め、あなたの水が私の炎を制御する。この調和で、『絶望の翼』に立ち向かいます」
マリーナが、フィルミナの手を取った。
「うん、フィルミナ!私、フィルミナと一緒なら怖くない!水は炎を消すこともできるけど、一緒に戦えば、もっと強くなれる!二人で力を合わせて、レオンを守ろう!そして、みんなも!」
二人の決意に、レオンは深く頷いた。
シグレが、騎士団と共に駆けつけてきた。
「レオン殿、人々の避難誘導は騎士団に任せてください。君たちは、封印の間へ」
「わかりました。お願いします、シグレ」
レオンは、フィルミナとマリーナと共に、遺跡へ向かって走り出した。
---
遺跡への道は、異変の影響でさらに深刻になっていた。
フィルミナが、周囲を見回して言った。
「大気が...熱を失っています。まるで、炎の力が完全に消えてしまったかのよう」
マリーナも、手を前に出して言った。
「水の流れも...完全に止まってる。水の精霊たちの気配も、全く感じられません」
レオンは、二人の言葉に深く考えた。
炎の力と水の力が、両方とも弱まっている...これは、封印に対応する力が失われているせいだ。フィルミナとマリーナの属性が、最も影響を受けている可能性がある。対極のペアの連動...それが、今、逆に働いている。二人とも、無理はしないで...でも、二人の力が必要なんだ...。
「フィルミナ、マリーナ」
レオンが、二人を見た。
「無理はしないで。でも、君たちの力が必要だ」
「大丈夫です」
フィルミナが、力強く言った。
「炎は消えていません。私の中で、まだ燃えています」
「水も、まだ流れてるよ!」
マリーナも、明るく言った。
「私の心の中で、水は流れ続けてる!」
遺跡の入り口に到着した。
入り口からは、禍々しい波動が溢れ出ていた。
「ここから、封印の間へ...」
レオンが、入り口を見つめた。
フィルミナが、レオンの隣に立った。
「レオン様、覚悟はできています」
マリーナも、レオンのもう一方の隣に立った。
「私も!」
レオンは、二人を見て深く頷いた。
ありがとう、二人とも。これから、僕たちは『絶望の翼』と向き合う。でも、君たちがいてくれるから、戦える。炎と水のペア、フィルミナとマリーナ。二人の調和が、僕たちの希望だ。古代の人々が信じた未来を、僕たちが実現する...!
三人は、封印の間へと進んだ。
---
封印の間へ続く通路を進みながら、レオンは不穏な空気を感じていた。
壁から、微かな唸り声が聞こえる。
闇が、確実に近づいている。
その時、フィルミナとマリーナが、少し後ろに下がった。
二人だけになる瞬間があった。
「フィルミナ...」
マリーナが、小さな声で言った。
「怖い...?」
フィルミナは、少しの間黙っていた。
そして、静かに答えた。
「...正直に言うと、とても怖い」
「私も...」
マリーナが、フィルミナの袖を握った。
フィルミナは、マリーナを見て、本音を語った。
「リーダーとして、強くあらねばならないと思っています。でも、内心は不安でいっぱいです。本当に、あの巨大な闇に対抗できるのか...私の炎で、何ができるのか...自信がありません。でも...」
「でも...?」
マリーナが、フィルミナの顔を見上げた。
「あなたがいてくれる。それだけで、少し楽になる」
マリーナの目に、涙が浮かんだ。
「私も...!フィルミナがいてくれるから、頑張れる。一人だったら、きっと逃げ出しちゃうかもしれない。でも、フィルミナと一緒なら...そして、レオンがいるから...私、全力で戦う!絶対に、みんなを守る!」
「マリーナ、ありがとう」
フィルミナが、マリーナの頭を優しく撫でた。
「私も、あなたがいてくれて本当に良かった」
「ううん、こちらこそ!」
二人は、手を取り合った。
その瞬間、二人の手に、ほんのりと光が宿った。
白い炎と、青い水の光。
二つの光が、互いを包み込むように輝く。
レオンは、遠くから二人を見ていた。
二人が...調和し始めている...。炎と水が、互いを高め合っている。これが、対極の調和...!古代の六体と同じだ。二人なら、きっと闇を払える...!
レオンは、二人に声をかけた。
「フィルミナ、マリーナ、行こう」
二人は、手を離して頷いた。
そして、三人は封印の間へと進んだ。
不穏な空気が、一層強まる。
しかし、レオンの心には、希望があった。
フィルミナとマリーナの絆が、闇を払う力になる。
それを信じて、レオンは前に進んだ。
---
封印の間の扉が、目の前に見えてきた。
扉からは、強大な魔力の波動が溢れ出ている。
レオンは、深呼吸をした。
これから、僕たちは『絶望の翼』と対峙する。
でも、フィルミナとマリーナがいる。
二人の調和が、僕たちの希望だ。
レオンは、扉に手をかけた。
戦いは、これから始まる。
レオンは、研究室で昨夜書いたノートを見直していた。
『明日から、対極の調和の研究を本格化する。各ペアごとに、調和の波動を生み出す方法を確立する。炎と水、大地と氷、風と光。そして、三つの波動を統合する。それが、封印強化の鍵だ』
ノートに書かれた文字を見つめながら、レオンは胸の奥に不安を感じていた。
古代の人々と同じように、対極の調和を使えば封印を強化できる。理論的には、それが正しい。でも、僕たちはまだその力を完全には理解していない。六体との絆はある。それは確かだ。でも、本当に闇に対抗できるのか...?フィルミナたちに、こんな危険な戦いを強いていいのか...?みんなを守りたいのに、逆に危険に晒してしまうかもしれない...。
ノートを閉じた時、扉がノックされた。
「レオン様、おはようございます」
フィルミナが、部屋に入ってきた。
レオンは、ノートを脇に置いて顔を上げた。
「おはよう、フィルミナ」
フィルミナは、レオンの表情を見て、優しく微笑んだ。
「不安そうですね、レオン様」
「...そうだね」
レオンは、正直に答えた。
フィルミナは、レオンの隣に座り、静かに語りかけた。
「封印の弱体化は深刻です。それは、私たち全員が感じています。でも、私たちには可能性があります。古代の六体が成し遂げたこと、私たちも必ずできる。炎のフィルミナとして、私は全力で封印を守ります。リーダーとして、みんなを導く責任もあります。そして何より、レオン様を信じています。あなたの研究が、世界を救う鍵になる。私は、そう信じています」
フィルミナの言葉に、レオンは少し救われた気がした。
その時、扉が勢いよく開いた。
「おはよう、レオン!フィルミナ!」
マリーナが、明るい声で飛び込んできた。
「私も仲間に入れて!」
マリーナは、二人の前に立ち、両手を腰に当てた。
「封印のこと、心配だよね?でもね、レオンとみんなが一緒なら、きっと何とかなる!水のマリーナとして、私も全力で頑張るから!みんなの笑顔、守りたいんだ!だから、一緒に頑張ろう!」
マリーナの明るさに、レオンとフィルミナは顔を見合わせて微笑んだ。
「ありがとう、二人とも」
レオンが、立ち上がった。
「君たちがいてくれるから、僕は戦える。炎と水、対極のペア。フィルミナとマリーナ。古代のイグニスとアクアのように、二人が協力すれば、きっと—」
その時だった。
窓の外が、急に暗くなった。
「...何だ?」
レオンが、窓に駆け寄る。
空が、黒い雲に覆われていた。
しかし、それは普通の雲ではなかった。
まるで生き物のように蠢き、禍々しい波動を放っている。
「レオン様!」
シグレが、息を切らして研究室に駆け込んできた。
「遺跡の方角から、強大な魔力の波動が...!封印が...封印が崩れかけています!」
レオンの顔が、蒼白になった。
「すぐに確認に向かう!」
レオンは、フィルミナとマリーナを見た。
「二人とも、一緒に来てくれるか?」
「もちろんです」
「当然だよ!」
三人は、研究室を飛び出した。
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王都の大通りを駆け抜けながら、レオンは空を見上げた。
遺跡の方角から、黒い雲が急速に広がっている。
その雲は自然のものではなく、まるで生き物のように蠢き、禍々しい波動を放っている。
空全体が暗く染まり始め、王都の人々が空を見上げて不安そうにしている。
風が冷たく、圧迫感がある。
息が苦しい。
何かが、間違っている。
レオンたちは、遺跡が見える丘に到達した。
そして、目の前の光景に息を呑んだ。
「これは...!」
遺跡の上空に、巨大な影のような存在が浮かんでいた。
その姿は曖昧で、実体があるのかないのか判然としない。
しかし、その影の中から、巨大な翼のようなシルエットが時折浮かび上がる。
翼は漆黒で、禍々しい波動を放っている。
影は触手のように伸び、遺跡周辺の建物を破壊している。
建物が崩れ、瓦礫が舞い上がる。
人々の悲鳴が聞こえる。
これが...『絶望の翼』...!予言者の警告が現実になった。あんなに巨大で、禍々しい存在を、僕たちは本当に封じることができるのか...?いや、できなければならない。あれを放置すれば、王都全体が、いや、王国全体が危機に陥る...!でも、どうすれば...?僕の研究は、本当にあの巨大な闇に対抗できるのか...?
レオンの体が震えた。
フィルミナも、影を見上げて息を呑んでいた。
あれが、古代の人々が封じた存在...。あんなに巨大で、禍々しい。私の炎で、本当に対抗できるのか...?リーダーとして、みんなを導く責任がある。でも、私では...私では力不足かもしれない。それでも、炎のフィルミナとして、私は戦わなければならない。レオン様と、みんなを守るために...!
マリーナも、影を見上げて体を震わせていた。
あんなに大きな...怖い...でも、レオンとフィルミナがいる。私も、水のマリーナとして、全力で戦わなきゃ。みんなの笑顔を守るために。たとえ怖くても、私は逃げない。一緒なら、きっと何とかなる...!そう信じなきゃ...!
「レオン様...」
フィルミナが、静かに言った。
「私たち、戦います」
「うん、一緒に戦おう!」
マリーナも、明るく言った。
レオンは、二人を見て頷いた。
「ありがとう。じゃあ、行こう」
---
三人が王都の街に戻ると、人々が慌てて避難していた。
しかし、その動きは鈍かった。
まるで、力が抜けているかのように。
レオンは、一人の老人に声をかけた。
「大丈夫ですか?避難してください」
しかし、老人は虚ろな目でレオンを見るだけだった。
「...何もかも...終わりだ...あんな巨大な闇を前に...どうすることもできない...」
老人の言葉に、レオンは衝撃を受けた。
他の人々も、同じように絶望的な表情をしている。
子供が母親にしがみつき、泣いている。
「ママ...怖いよ...」
「大丈夫よ...きっと、大丈夫...」
母親の声も、震えている。
レオンは、人々の様子に違和感を覚えた。
これは...単なる恐怖じゃない。何かが、人々の心を直接侵食している...?
その時、レオンは突然めまいを覚えた。
胸の奥から、何か冷たいものが湧き上がってくる。
まるで、希望が消えていくような...。
...何だ、この感覚...?胸の奥から、何か冷たいものが湧き上がってくる...まるで、希望が消えていくような...僕の研究は、本当に意味があるのか...?こんな巨大な闇を前に、僕なんかに何ができる...?フィルミナやマリーナを巻き込んで、無駄な戦いをさせているだけなのでは...?
レオンは、頭を振った。
違う、これは僕の本当の気持ちじゃない...!
フィルミナも、顔を歪めている。
...リーダーとして、みんなを導けるのか...?私は、本当にその資格があるのか...?フィルミナという名に恥じない存在なのか...?いや、きっと私では...私では力不足で...みんなを危険に晒してしまう。炎は、時に制御を失う。私が、みんなを傷つけてしまうかもしれない...。
マリーナも、涙を浮かべている。
...私なんか、役に立っているのかな...?レオンやフィルミナは強くて立派だけど...私は...水の力しかない...みんなの足を引っ張っているだけじゃないかな...?ここにいる意味、あるのかな...?一人で、どこかに消えた方が、みんなのためなのかな...?
レオンは、深呼吸をした。
そして、気づいた。
これは...心を蝕む闇...!物理的な破壊だけじゃない、精神に直接働きかけている...!僕たちも、影響を受けている。この絶望感は、『絶望の翼』が放つ波動のせいだ...!人々だけじゃない、僕たちも、この闇の影響を受けている...!
「フィルミナ、マリーナ!」
レオンが、二人を呼んだ。
「これは、闇の心理攻撃だ!僕たちも影響を受けている!」
フィルミナとマリーナは、レオンの言葉にハッとした。
「そう...なんですね...」
フィルミナが、震える声で言った。
「私も...影響を受けています...」
「私も...」
マリーナも、涙を拭った。
レオンは、二人の肩に手を置いた。
「大丈夫だ。僕たちには、絆がある。闇に負けない」
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レオンは、フィルミナとマリーナを見つめた。
「君たちは、炎と水。対極のペアだ」
フィルミナが、頷いた。
「ええ、古代の記録では、炎のイグニスと水のアクアが協力していました」
マリーナも、明るさを取り戻して言った。
「私たち、対極だけど、一緒にいると何だか力が湧いてくるの!」
レオンは、二人の言葉に励まされた。
炎と水は、互いを抑制し合いながら、同時に高め合う。フィルミナの強い炎とマリーナの優しい水。二人が調和すれば、古代の六体と同じように、封印を強化できるかもしれない。対極の調和...それが鍵なんだ。僕の研究が、今、試される時だ...!
「フィルミナ、マリーナ」
レオンが、二人に語りかけた。
「炎は攻撃的で、一点を焼き尽くす力がある。水は防御的で、全体を包み込む力がある。だからこそ、二人が協力すれば完璧なバランスになる」
フィルミナが、マリーナを見た。
「マリーナ、私たちが先陣を切りましょう。炎と水のペアとして、古代のイグニスとアクアのように。私の炎があなたの水を温め、あなたの水が私の炎を制御する。この調和で、『絶望の翼』に立ち向かいます」
マリーナが、フィルミナの手を取った。
「うん、フィルミナ!私、フィルミナと一緒なら怖くない!水は炎を消すこともできるけど、一緒に戦えば、もっと強くなれる!二人で力を合わせて、レオンを守ろう!そして、みんなも!」
二人の決意に、レオンは深く頷いた。
シグレが、騎士団と共に駆けつけてきた。
「レオン殿、人々の避難誘導は騎士団に任せてください。君たちは、封印の間へ」
「わかりました。お願いします、シグレ」
レオンは、フィルミナとマリーナと共に、遺跡へ向かって走り出した。
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遺跡への道は、異変の影響でさらに深刻になっていた。
フィルミナが、周囲を見回して言った。
「大気が...熱を失っています。まるで、炎の力が完全に消えてしまったかのよう」
マリーナも、手を前に出して言った。
「水の流れも...完全に止まってる。水の精霊たちの気配も、全く感じられません」
レオンは、二人の言葉に深く考えた。
炎の力と水の力が、両方とも弱まっている...これは、封印に対応する力が失われているせいだ。フィルミナとマリーナの属性が、最も影響を受けている可能性がある。対極のペアの連動...それが、今、逆に働いている。二人とも、無理はしないで...でも、二人の力が必要なんだ...。
「フィルミナ、マリーナ」
レオンが、二人を見た。
「無理はしないで。でも、君たちの力が必要だ」
「大丈夫です」
フィルミナが、力強く言った。
「炎は消えていません。私の中で、まだ燃えています」
「水も、まだ流れてるよ!」
マリーナも、明るく言った。
「私の心の中で、水は流れ続けてる!」
遺跡の入り口に到着した。
入り口からは、禍々しい波動が溢れ出ていた。
「ここから、封印の間へ...」
レオンが、入り口を見つめた。
フィルミナが、レオンの隣に立った。
「レオン様、覚悟はできています」
マリーナも、レオンのもう一方の隣に立った。
「私も!」
レオンは、二人を見て深く頷いた。
ありがとう、二人とも。これから、僕たちは『絶望の翼』と向き合う。でも、君たちがいてくれるから、戦える。炎と水のペア、フィルミナとマリーナ。二人の調和が、僕たちの希望だ。古代の人々が信じた未来を、僕たちが実現する...!
三人は、封印の間へと進んだ。
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封印の間へ続く通路を進みながら、レオンは不穏な空気を感じていた。
壁から、微かな唸り声が聞こえる。
闇が、確実に近づいている。
その時、フィルミナとマリーナが、少し後ろに下がった。
二人だけになる瞬間があった。
「フィルミナ...」
マリーナが、小さな声で言った。
「怖い...?」
フィルミナは、少しの間黙っていた。
そして、静かに答えた。
「...正直に言うと、とても怖い」
「私も...」
マリーナが、フィルミナの袖を握った。
フィルミナは、マリーナを見て、本音を語った。
「リーダーとして、強くあらねばならないと思っています。でも、内心は不安でいっぱいです。本当に、あの巨大な闇に対抗できるのか...私の炎で、何ができるのか...自信がありません。でも...」
「でも...?」
マリーナが、フィルミナの顔を見上げた。
「あなたがいてくれる。それだけで、少し楽になる」
マリーナの目に、涙が浮かんだ。
「私も...!フィルミナがいてくれるから、頑張れる。一人だったら、きっと逃げ出しちゃうかもしれない。でも、フィルミナと一緒なら...そして、レオンがいるから...私、全力で戦う!絶対に、みんなを守る!」
「マリーナ、ありがとう」
フィルミナが、マリーナの頭を優しく撫でた。
「私も、あなたがいてくれて本当に良かった」
「ううん、こちらこそ!」
二人は、手を取り合った。
その瞬間、二人の手に、ほんのりと光が宿った。
白い炎と、青い水の光。
二つの光が、互いを包み込むように輝く。
レオンは、遠くから二人を見ていた。
二人が...調和し始めている...。炎と水が、互いを高め合っている。これが、対極の調和...!古代の六体と同じだ。二人なら、きっと闇を払える...!
レオンは、二人に声をかけた。
「フィルミナ、マリーナ、行こう」
二人は、手を離して頷いた。
そして、三人は封印の間へと進んだ。
不穏な空気が、一層強まる。
しかし、レオンの心には、希望があった。
フィルミナとマリーナの絆が、闇を払う力になる。
それを信じて、レオンは前に進んだ。
---
封印の間の扉が、目の前に見えてきた。
扉からは、強大な魔力の波動が溢れ出ている。
レオンは、深呼吸をした。
これから、僕たちは『絶望の翼』と対峙する。
でも、フィルミナとマリーナがいる。
二人の調和が、僕たちの希望だ。
レオンは、扉に手をかけた。
戦いは、これから始まる。
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良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
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辺境軍の雑用兵として転生した青年・レオン。異世界に転生したのに、剣も魔法も地味でパッとしない日々。ところが彼の“地味な努力”が、実は世界の理をゆるがすほどの能力だと気づく者が次々と現れる。貴族令嬢、魔族の姫、神官少女──気づけばハーレム状態に。追放された元仲間が破滅していく流れの中、本人だけは「俺、そんな強いかな?」と首をかしげる。無自覚最強×ざまぁ×追放後スローライフ×英雄伝説が交錯する、異世界逆転ストーリー。
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彼は30年という短い生涯を閉じると、記憶を引き継いだままその意識は幼少期へ飛ばされた。
幼少期に戻ったアレンは前世の記憶と、飼い猫と喋れるオリジナルスキルを頼りに、不都合な未来、出来事を改変していく。
記憶にない事象、改変後に新たに発生したトラブルと戦いながら、2度目の人生での仲間らとアレンは新たな人生を歩んでいく。
新しい世界では『魔宝殿』と呼ばれるダンジョンがあり、前世の世界ではいなかった魔獣、魔族、亜人などが存在し、ただの日雇い店員だった前世とは違い、ダンジョンへ仲間たちと挑んでいきます。
この物語は、記憶を引き継ぎ幼少期にタイムリープした主人公アレンが、自分の人生を都合のいい方へ改変しながら、最低最悪な未来を避け、全く新しい人生を手に入れていきます。
主人公最強系の魔法やスキルはありません。あくまでも前世の記憶と経験を頼りにアレンにとって都合のいい人生を手に入れる物語です。
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◇
5年前の作品の改稿板になります。
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42歳メジャーリーガー、異世界に転生。チートは無いけど、魔法と元日本最高級の豪速球で無双したいと思います。
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