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第98話 全員での決意
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翌朝、レオンたちは再び遺跡へと向かった。
昨日の調査で、封印の弱体化が深刻であることがわかった。
そして、対極の調和による封印強化の可能性も見えてきた。
今日は、全員がそれぞれの紋章を詳しく確認する必要がある。
「レオン様」
フィルミナが、レオンの袖を軽く引いた。
「昨日、クリスタさんとルミナさんが各紋章の弱体化度を調べてくれました。今日は、私たち一人一人が、自分の属性に対応する紋章を直接確認するべきですね」
「その通りだ、フィルミナ」
レオンが、頷いた。
「それぞれの紋章に、それぞれの力が宿っている。自分の属性で確認することで、より正確な状態が分かるはずだ」
---
封印の間に到着すると、昨日と同じ光景が広がっていた。
六角形の魔法陣。
六つの紋章が、弱々しく光っている。
中心には、暗い影が蠢いている。
「では、一人ずつ確認しよう」
レオンが、全員を見渡した。
「フィルミナから始めてくれるか?」
「はい、レオン様」
フィルミナが、炎の紋章に近づいた。
---
フィルミナは、炎の紋章の前に膝をついた。
両手を前に出し、白い炎を生み出す。
炎の紋章が、フィルミナの炎に反応して微かに輝く。
しかし、その輝きは弱々しかった。
「...」
フィルミナの表情が、曇る。
「レオン様...」
フィルミナが、静かに言った。
「炎の紋章は、本来なら私の炎に強く反応するはずです。炎と炎が共鳴し、互いを高め合う。それが、炎の本質です。でも、今は...まるで、消えかけのろうそくのよう。私が炎を送っても、紋章はそれを受け取る力さえ失っている。炎は、全てを燃やし、浄化する力です。でも、この紋章には、もうそれだけの力が残っていません。このままでは、炎は闇を照らすことすらできなくなる...」
フィルミナの言葉が、部屋に重く響く。
レオンは、フィルミナの肩に手を置いた。
「ありがとう、フィルミナ。君の炎で、紋章の状態がよく分かった」
---
マリーナが、次に前に出た。
水の紋章に近づき、両手を広げる。
青い光が、マリーナの手から溢れ出す。
水の紋章が、微かに反応する。
しかし、その反応は弱かった。
「...これは...」
マリーナの声が、震えた。
「水の紋章が、ほとんど干からびています...!水は本来、どんな場所にも浸透して、全てを包み込むはずなのに...今は、まるで干上がった川のよう。私の水を送っても、紋章は受け取ってくれない...水の精霊たちの気配も、ほとんど感じられません。水は流れ続けることで、浄化の力を保つんです。でも、この紋章は流れが止まっている...止まった水は淀み、腐敗する。それが今、起きています...!レオン、このままじゃ、水の力が完全に失われちゃう...!」
マリーナの言葉に、レオンは深く頷いた。
「分かった、マリーナ。水の状態も確認できた」
---
テラが、静かに大地の紋章に近づいた。
地面に手をつき、茶色の光を放つ。
大地の紋章が、微かに脈動する。
しかし、その脈動は不安定だった。
「...大地が...弱っている...」
テラが、短く呟いた。
「大地は、本来...全てを支える。どんなに重いものでも、大地は支え続ける。それが、大地の役割...でも、今は...砂のように崩れかけている。私の力を送っても、大地は答えてくれない...大地の記憶も、ほとんど聞こえない。大地は、何千年も何万年も、記憶を刻み続けてきた。でも、この紋章の大地は...記憶を失いかけている。まるで、風化した岩のように...形を保てなくなっている...レオン...これは、本当に危ない...」
テラの言葉は短かったが、その重みは誰よりも深かった。
レオンは、テラの肩に優しく手を置いた。
「ありがとう、テラ。大地の状態も分かった」
---
クリスタが、氷の紋章の前に立った。
昨日も確認したが、今日は自分の属性で直接調べる。
両手を前に出し、氷の魔力を放つ。
氷の紋章が、微かに輝く。
しかし、その輝きはすぐに消えた。
「やはり...」
クリスタが、静かに言った。
「氷の紋章は、溶けかけています。氷は本来、固く強く、永遠に凍り続けるもの。私は300年間、氷の中で眠っていました。その間、氷は私を守り続けてくれました。氷は、時を超えて存在を保つ力です。でも、この紋章の氷は...まるで春の雪のように儚い。私の氷の力を送っても、紋章はそれを保持できない。氷が溶ければ、全ては流れ去ります。固定する力を失えば、封印は維持できません。このままでは、氷は完全に消えてしまう...」
クリスタの言葉に、レオンは深く考え込んだ。
「氷の力も、限界に近いんだな...」
---
エオリアが、風の紋章に近づいた。
両手を広げ、銀色の風を呼び起こす。
風の紋章が、かすかに揺れる。
しかし、風は応答しなかった。
「これは...!」
エオリアの声が、震えた。
「風の紋章が、ほとんど止まっています...!風は本来、自由に吹き、どこへでも届く。壁も、距離も、風には関係ない。500年間、私は風の高原で一人でしたが、風だけは常に私と共にありました。風は孤独を癒し、希望を運んでくれた。でも、この紋章の風は...まるで、閉じ込められているかのよう。私の風を送っても、紋章は受け取ってくれない。風が止まれば、循環が止まります。循環が止まれば、全ては停滞する...レオン、これは本当に危険です...風が完全に止まる前に、何かしなければ...!」
エオリアの言葉に、レオンは強く頷いた。
「分かった、エオリア。風の状態も確認できた」
---
最後に、ルミナが光の紋章の前に立った。
昨日も確認したが、今日は全員の前で改めて調べる。
両手を前に出し、金色の光を放つ。
光の紋章が、微かに輝く。
しかし、その輝きは弱々しかった。
「やはり...」
ルミナが、静かに言った。
「光の紋章は、消えかけています。光は本来、全てを照らし、闇を払う力です。私は500年間、遺跡の中で光を灯し続けてきました。どんなに暗い夜でも、光があれば希望が見えます。光は、絶望を照らす唯一の力です。でも、この紋章の光は...まるで、夕暮れの光のように弱々しい。私の光を送っても、紋章は輝きを増すことができない。光が消えれば、闇が全てを覆います。それだけは、絶対に許してはいけません...でも、私たちがいます。レオン様とみんながいれば、必ず光は戻ります...!」
ルミナの言葉に、レオンは深く感動した。
「ありがとう、ルミナ。君の光が、僕たちの希望だ」
---
レオンは、全員を見渡した。
六つの紋章、六つの力。
それぞれが弱体化している。
しかし、対極のペアが連動していることも確認できた。
「みんな、ありがとう」
レオンが、全員に語りかけた。
「それぞれの紋章の状態が、よく分かった。炎、水、大地、氷、風、光...全てが弱体化している。でも、対極のペアが連動していることも分かった。つまり、一つを回復させれば、対極のペアも回復する可能性がある」
レオンは、魔法陣を見つめた。
「この配置は、本当に完璧だ」
レオンが、分析を続けた。
「炎と水が向かい合い、大地と氷が向かい合い、風と光が向かい合っている。対極の力が、互いを意識し、バランスを取る。一方が強まれば、もう一方も強まる。一方が弱まれば、もう一方も弱まる。これが、『調和』の物理的な配置なんだ。古代の人々は、この原理を完璧に理解していた。そして、僕たちも同じ原理を理解している」
---
その時、中心の暗い影が激しく蠢き始めた。
レオンは、影を見つめた。
影の中に、何かが見える。
巨大な...翼?
「...あれは...!」
レオンの声が、震えた。
影の中に、巨大な翼のシルエットが浮かび上がる。
黒い翼。
禍々しい波動が、翼から溢れ出ている。
その翼は、まるで絶望を具現化したかのように、闇そのものだった。
「これが...『絶望の翼』...!」
レオンが、声を震わせた。
「予言者が言っていた『七つの闇』のうちの一つ...あれが、今、封印の中で目覚めようとしている。かつて、大陸全土を恐怖に陥れた存在...数千人、いや、数万人の命を奪った存在...古代の人々が、命をかけて封じた闇...それが、今、目の前にいる。もし封印が崩れたら、あの翼が再び空を覆う...そして、世界は再び絶望に包まれる...それだけは、絶対に阻止しなければならない...!」
レオンの言葉に、全員が息を呑んだ。
翼のシルエットが、ゆっくりと動く。
まるで、僕たちを見ているかのように。
---
「みんな...」
レオンが、全員を見つめた。
「あれが、僕たちが封じなければならない闇だ。予言者の言葉通り、本当に恐ろしい存在だ。でも...」
レオンは、深呼吸をした。
「僕たちには、可能性がある。古代の六体が証明してくれた。対極の調和があれば、闇を封じることができる。そして、僕たちには、古代の六体にはいなかった七人目がいる。僕が、みんなを繋ぐ役割を果たす。それが、僕たちの強みだ」
---
フィルミナが、一歩前に出た。
「レオン様」
フィルミナが、静かに言った。
「私は、リーダーとして、みんなを導きます。古代の炎の覚醒個体が、仲間を導いたように。私も、フィルミナ・グルミュールとして、炎の力でみんなを照らします。そして、レオン様を支えます。それが、私の使命です。どんなに強い闇でも、炎があれば必ず照らすことができます。絶望の翼がどれほど大きくても、私たちの炎は消えません...!」
フィルミナの言葉に、レオンは深く頷いた。
「ありがとう、フィルミナ」
マリーナが、明るく言った。
「私も頑張るよ!水は、どんな形にでもなれる。どんな隙間にも入り込める。だから、どんな闇でも、水で包み込んで浄化してみせる!」
テラが、短く言った。
「...大地は...どんなに崩れても...また固まる。私も...諦めない...」
クリスタが、優雅に言った。
「300年間、私は孤独でした。でも、レオン様とみんなに出会って、初めて本当の絆を知りました。この絆があれば、どんな闇も払えます。氷の力で、必ず封印を守ります」
エオリアが、自由に言った。
「500年間、私は風と共に生きてきました。風は自由で、どんな壁も越えていきます。絶望の翼が大きくても、風は必ず吹き抜けます。私の風で、必ず勝ちます!」
ルミナが、明るく言った。
「光は一人では弱いけど、みんなと一緒なら強くなれます。私たち、一緒なら何でもできます!絶望の翼を、光で照らして、闇を払います!」
全員の決意が、部屋に響く。
レオンは、全員の顔を見渡した。
---
「みんな...」
レオンが、静かに言った。
「正直に言うと、不安だ。こんなに大きな責任を背負うなんて、思ってもみなかった。絶望の翼...あんな巨大な存在を封じるなんて、本当にできるのか。でも...」
レオンは、全員を見つめた。
「君たちがいてくれる。それが、僕の全てだ。一緒なら、どんな困難も乗り越えられる。古代の六体が証明してくれた。対極の調和、信頼と絆があれば、闇を封じることができる。そして、僕たちには、七人目がいる。それが、僕たちの強みだ。みんな、一緒に戦おう!必ず、封印を守り抜こう!」
レオンの言葉に、全員が頷いた。
---
全員が、円を作って手を取り合った。
フィルミナ、マリーナ、テラ、クリスタ、エオリア、ルミナ、そしてレオン。
七人の手が、強く結ばれる。
「一緒に、戦おう」
レオンが、全員に語りかけた。
「対極の調和を研究し、封印を強化する方法を見つける。そして、絶望の翼を、もう一度封じ込める。古代の人々の遺志を、僕たちが継ぐんだ」
全員が、強く頷いた。
その瞬間、封印の魔法陣が微かに輝いた。
まるで、僕たちの決意に応えるかのように。
---
遺跡を出る時、空には暗い雲が広がっていた。
遠くから、低い唸り声が聞こえる気がした。
闇が、確実に近づいている。
でも、僕たちは負けない。
古代の人々が、希望を託してくれた。
その希望を、僕たちが形にするんだ。
レオンは、全員を見渡した。
フィルミナ、マリーナ、テラ、クリスタ、エオリア、ルミナ。
そして、シグレ。
みんながいれば、どんな闇も払える。
レオンの決意が、曇り空の下で静かに輝いていた。
---
王都に戻る馬車の中で、レオンは今日のことを振り返っていた。
全員が、それぞれの紋章を確認した。
全てが弱体化している。
でも、対策の可能性も見えた。
そして、絶望の翼を目撃した。
あの巨大な存在を封じるためには、全員の力が必要だ。
「レオン様」
フィルミナが、優しく微笑んだ。
「今日は、大きな一歩でしたね」
「ああ」
レオンが、頷いた。
「全員で封印を確認できた。そして、全員で決意を新たにした。これから、本格的な研究が始まる」
「私たち、必ず成功します」
ルミナが、明るく言った。
「だって、みんなで一緒ですから!」
レオンは、ルミナの言葉に励まされた。
そうだ、僕たちは一緒だ。
一人じゃない。
七人で、古代を超える。
---
その夜、レオンは研究室で一人、今日のことを整理していた。
ノートに、各紋章の状態、全員の決意、絶望の翼の観察結果...全てを書き留めていく。
そして、最後にこう書いた。
『明日から、対極の調和の研究を本格化する。各ペアごとに、調和の波動を生み出す方法を確立する。炎と水、大地と氷、風と光。そして、三つの波動を統合する。それが、封印強化の鍵だ。古代の人々が信じた未来を、僕たちが実現する』
ペンを置いた時、窓の外に星が見えた。
雲が晴れ、美しい星空が広がっていた。
闇の中でも、光は輝く。
そして、僕たちは、その光を守る。
レオンは星空を見上げた。戦いは、これからだ。しかし、恐れはない。七人の力で、必ず世界を守る。
昨日の調査で、封印の弱体化が深刻であることがわかった。
そして、対極の調和による封印強化の可能性も見えてきた。
今日は、全員がそれぞれの紋章を詳しく確認する必要がある。
「レオン様」
フィルミナが、レオンの袖を軽く引いた。
「昨日、クリスタさんとルミナさんが各紋章の弱体化度を調べてくれました。今日は、私たち一人一人が、自分の属性に対応する紋章を直接確認するべきですね」
「その通りだ、フィルミナ」
レオンが、頷いた。
「それぞれの紋章に、それぞれの力が宿っている。自分の属性で確認することで、より正確な状態が分かるはずだ」
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封印の間に到着すると、昨日と同じ光景が広がっていた。
六角形の魔法陣。
六つの紋章が、弱々しく光っている。
中心には、暗い影が蠢いている。
「では、一人ずつ確認しよう」
レオンが、全員を見渡した。
「フィルミナから始めてくれるか?」
「はい、レオン様」
フィルミナが、炎の紋章に近づいた。
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フィルミナは、炎の紋章の前に膝をついた。
両手を前に出し、白い炎を生み出す。
炎の紋章が、フィルミナの炎に反応して微かに輝く。
しかし、その輝きは弱々しかった。
「...」
フィルミナの表情が、曇る。
「レオン様...」
フィルミナが、静かに言った。
「炎の紋章は、本来なら私の炎に強く反応するはずです。炎と炎が共鳴し、互いを高め合う。それが、炎の本質です。でも、今は...まるで、消えかけのろうそくのよう。私が炎を送っても、紋章はそれを受け取る力さえ失っている。炎は、全てを燃やし、浄化する力です。でも、この紋章には、もうそれだけの力が残っていません。このままでは、炎は闇を照らすことすらできなくなる...」
フィルミナの言葉が、部屋に重く響く。
レオンは、フィルミナの肩に手を置いた。
「ありがとう、フィルミナ。君の炎で、紋章の状態がよく分かった」
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マリーナが、次に前に出た。
水の紋章に近づき、両手を広げる。
青い光が、マリーナの手から溢れ出す。
水の紋章が、微かに反応する。
しかし、その反応は弱かった。
「...これは...」
マリーナの声が、震えた。
「水の紋章が、ほとんど干からびています...!水は本来、どんな場所にも浸透して、全てを包み込むはずなのに...今は、まるで干上がった川のよう。私の水を送っても、紋章は受け取ってくれない...水の精霊たちの気配も、ほとんど感じられません。水は流れ続けることで、浄化の力を保つんです。でも、この紋章は流れが止まっている...止まった水は淀み、腐敗する。それが今、起きています...!レオン、このままじゃ、水の力が完全に失われちゃう...!」
マリーナの言葉に、レオンは深く頷いた。
「分かった、マリーナ。水の状態も確認できた」
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テラが、静かに大地の紋章に近づいた。
地面に手をつき、茶色の光を放つ。
大地の紋章が、微かに脈動する。
しかし、その脈動は不安定だった。
「...大地が...弱っている...」
テラが、短く呟いた。
「大地は、本来...全てを支える。どんなに重いものでも、大地は支え続ける。それが、大地の役割...でも、今は...砂のように崩れかけている。私の力を送っても、大地は答えてくれない...大地の記憶も、ほとんど聞こえない。大地は、何千年も何万年も、記憶を刻み続けてきた。でも、この紋章の大地は...記憶を失いかけている。まるで、風化した岩のように...形を保てなくなっている...レオン...これは、本当に危ない...」
テラの言葉は短かったが、その重みは誰よりも深かった。
レオンは、テラの肩に優しく手を置いた。
「ありがとう、テラ。大地の状態も分かった」
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クリスタが、氷の紋章の前に立った。
昨日も確認したが、今日は自分の属性で直接調べる。
両手を前に出し、氷の魔力を放つ。
氷の紋章が、微かに輝く。
しかし、その輝きはすぐに消えた。
「やはり...」
クリスタが、静かに言った。
「氷の紋章は、溶けかけています。氷は本来、固く強く、永遠に凍り続けるもの。私は300年間、氷の中で眠っていました。その間、氷は私を守り続けてくれました。氷は、時を超えて存在を保つ力です。でも、この紋章の氷は...まるで春の雪のように儚い。私の氷の力を送っても、紋章はそれを保持できない。氷が溶ければ、全ては流れ去ります。固定する力を失えば、封印は維持できません。このままでは、氷は完全に消えてしまう...」
クリスタの言葉に、レオンは深く考え込んだ。
「氷の力も、限界に近いんだな...」
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エオリアが、風の紋章に近づいた。
両手を広げ、銀色の風を呼び起こす。
風の紋章が、かすかに揺れる。
しかし、風は応答しなかった。
「これは...!」
エオリアの声が、震えた。
「風の紋章が、ほとんど止まっています...!風は本来、自由に吹き、どこへでも届く。壁も、距離も、風には関係ない。500年間、私は風の高原で一人でしたが、風だけは常に私と共にありました。風は孤独を癒し、希望を運んでくれた。でも、この紋章の風は...まるで、閉じ込められているかのよう。私の風を送っても、紋章は受け取ってくれない。風が止まれば、循環が止まります。循環が止まれば、全ては停滞する...レオン、これは本当に危険です...風が完全に止まる前に、何かしなければ...!」
エオリアの言葉に、レオンは強く頷いた。
「分かった、エオリア。風の状態も確認できた」
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最後に、ルミナが光の紋章の前に立った。
昨日も確認したが、今日は全員の前で改めて調べる。
両手を前に出し、金色の光を放つ。
光の紋章が、微かに輝く。
しかし、その輝きは弱々しかった。
「やはり...」
ルミナが、静かに言った。
「光の紋章は、消えかけています。光は本来、全てを照らし、闇を払う力です。私は500年間、遺跡の中で光を灯し続けてきました。どんなに暗い夜でも、光があれば希望が見えます。光は、絶望を照らす唯一の力です。でも、この紋章の光は...まるで、夕暮れの光のように弱々しい。私の光を送っても、紋章は輝きを増すことができない。光が消えれば、闇が全てを覆います。それだけは、絶対に許してはいけません...でも、私たちがいます。レオン様とみんながいれば、必ず光は戻ります...!」
ルミナの言葉に、レオンは深く感動した。
「ありがとう、ルミナ。君の光が、僕たちの希望だ」
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レオンは、全員を見渡した。
六つの紋章、六つの力。
それぞれが弱体化している。
しかし、対極のペアが連動していることも確認できた。
「みんな、ありがとう」
レオンが、全員に語りかけた。
「それぞれの紋章の状態が、よく分かった。炎、水、大地、氷、風、光...全てが弱体化している。でも、対極のペアが連動していることも分かった。つまり、一つを回復させれば、対極のペアも回復する可能性がある」
レオンは、魔法陣を見つめた。
「この配置は、本当に完璧だ」
レオンが、分析を続けた。
「炎と水が向かい合い、大地と氷が向かい合い、風と光が向かい合っている。対極の力が、互いを意識し、バランスを取る。一方が強まれば、もう一方も強まる。一方が弱まれば、もう一方も弱まる。これが、『調和』の物理的な配置なんだ。古代の人々は、この原理を完璧に理解していた。そして、僕たちも同じ原理を理解している」
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その時、中心の暗い影が激しく蠢き始めた。
レオンは、影を見つめた。
影の中に、何かが見える。
巨大な...翼?
「...あれは...!」
レオンの声が、震えた。
影の中に、巨大な翼のシルエットが浮かび上がる。
黒い翼。
禍々しい波動が、翼から溢れ出ている。
その翼は、まるで絶望を具現化したかのように、闇そのものだった。
「これが...『絶望の翼』...!」
レオンが、声を震わせた。
「予言者が言っていた『七つの闇』のうちの一つ...あれが、今、封印の中で目覚めようとしている。かつて、大陸全土を恐怖に陥れた存在...数千人、いや、数万人の命を奪った存在...古代の人々が、命をかけて封じた闇...それが、今、目の前にいる。もし封印が崩れたら、あの翼が再び空を覆う...そして、世界は再び絶望に包まれる...それだけは、絶対に阻止しなければならない...!」
レオンの言葉に、全員が息を呑んだ。
翼のシルエットが、ゆっくりと動く。
まるで、僕たちを見ているかのように。
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「みんな...」
レオンが、全員を見つめた。
「あれが、僕たちが封じなければならない闇だ。予言者の言葉通り、本当に恐ろしい存在だ。でも...」
レオンは、深呼吸をした。
「僕たちには、可能性がある。古代の六体が証明してくれた。対極の調和があれば、闇を封じることができる。そして、僕たちには、古代の六体にはいなかった七人目がいる。僕が、みんなを繋ぐ役割を果たす。それが、僕たちの強みだ」
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フィルミナが、一歩前に出た。
「レオン様」
フィルミナが、静かに言った。
「私は、リーダーとして、みんなを導きます。古代の炎の覚醒個体が、仲間を導いたように。私も、フィルミナ・グルミュールとして、炎の力でみんなを照らします。そして、レオン様を支えます。それが、私の使命です。どんなに強い闇でも、炎があれば必ず照らすことができます。絶望の翼がどれほど大きくても、私たちの炎は消えません...!」
フィルミナの言葉に、レオンは深く頷いた。
「ありがとう、フィルミナ」
マリーナが、明るく言った。
「私も頑張るよ!水は、どんな形にでもなれる。どんな隙間にも入り込める。だから、どんな闇でも、水で包み込んで浄化してみせる!」
テラが、短く言った。
「...大地は...どんなに崩れても...また固まる。私も...諦めない...」
クリスタが、優雅に言った。
「300年間、私は孤独でした。でも、レオン様とみんなに出会って、初めて本当の絆を知りました。この絆があれば、どんな闇も払えます。氷の力で、必ず封印を守ります」
エオリアが、自由に言った。
「500年間、私は風と共に生きてきました。風は自由で、どんな壁も越えていきます。絶望の翼が大きくても、風は必ず吹き抜けます。私の風で、必ず勝ちます!」
ルミナが、明るく言った。
「光は一人では弱いけど、みんなと一緒なら強くなれます。私たち、一緒なら何でもできます!絶望の翼を、光で照らして、闇を払います!」
全員の決意が、部屋に響く。
レオンは、全員の顔を見渡した。
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「みんな...」
レオンが、静かに言った。
「正直に言うと、不安だ。こんなに大きな責任を背負うなんて、思ってもみなかった。絶望の翼...あんな巨大な存在を封じるなんて、本当にできるのか。でも...」
レオンは、全員を見つめた。
「君たちがいてくれる。それが、僕の全てだ。一緒なら、どんな困難も乗り越えられる。古代の六体が証明してくれた。対極の調和、信頼と絆があれば、闇を封じることができる。そして、僕たちには、七人目がいる。それが、僕たちの強みだ。みんな、一緒に戦おう!必ず、封印を守り抜こう!」
レオンの言葉に、全員が頷いた。
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全員が、円を作って手を取り合った。
フィルミナ、マリーナ、テラ、クリスタ、エオリア、ルミナ、そしてレオン。
七人の手が、強く結ばれる。
「一緒に、戦おう」
レオンが、全員に語りかけた。
「対極の調和を研究し、封印を強化する方法を見つける。そして、絶望の翼を、もう一度封じ込める。古代の人々の遺志を、僕たちが継ぐんだ」
全員が、強く頷いた。
その瞬間、封印の魔法陣が微かに輝いた。
まるで、僕たちの決意に応えるかのように。
---
遺跡を出る時、空には暗い雲が広がっていた。
遠くから、低い唸り声が聞こえる気がした。
闇が、確実に近づいている。
でも、僕たちは負けない。
古代の人々が、希望を託してくれた。
その希望を、僕たちが形にするんだ。
レオンは、全員を見渡した。
フィルミナ、マリーナ、テラ、クリスタ、エオリア、ルミナ。
そして、シグレ。
みんながいれば、どんな闇も払える。
レオンの決意が、曇り空の下で静かに輝いていた。
---
王都に戻る馬車の中で、レオンは今日のことを振り返っていた。
全員が、それぞれの紋章を確認した。
全てが弱体化している。
でも、対策の可能性も見えた。
そして、絶望の翼を目撃した。
あの巨大な存在を封じるためには、全員の力が必要だ。
「レオン様」
フィルミナが、優しく微笑んだ。
「今日は、大きな一歩でしたね」
「ああ」
レオンが、頷いた。
「全員で封印を確認できた。そして、全員で決意を新たにした。これから、本格的な研究が始まる」
「私たち、必ず成功します」
ルミナが、明るく言った。
「だって、みんなで一緒ですから!」
レオンは、ルミナの言葉に励まされた。
そうだ、僕たちは一緒だ。
一人じゃない。
七人で、古代を超える。
---
その夜、レオンは研究室で一人、今日のことを整理していた。
ノートに、各紋章の状態、全員の決意、絶望の翼の観察結果...全てを書き留めていく。
そして、最後にこう書いた。
『明日から、対極の調和の研究を本格化する。各ペアごとに、調和の波動を生み出す方法を確立する。炎と水、大地と氷、風と光。そして、三つの波動を統合する。それが、封印強化の鍵だ。古代の人々が信じた未来を、僕たちが実現する』
ペンを置いた時、窓の外に星が見えた。
雲が晴れ、美しい星空が広がっていた。
闇の中でも、光は輝く。
そして、僕たちは、その光を守る。
レオンは星空を見上げた。戦いは、これからだ。しかし、恐れはない。七人の力で、必ず世界を守る。
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これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
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異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
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