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第7話 会議は大層踊った様です。-3-
しおりを挟む昼下がりの居間では、会議とは名ばかりの口喧嘩が更に白熱していた。
「エミリッタ、貴女の言い分はよく分かったわ。罪状は不敬罪と反逆罪どちらがいいかしら?選ばせてあげてもよくってよ?」
「さて、お嬢様の戯言は一旦置いておきまして」
「自分の主人から罪を言い渡されてそれを戯言扱いってどんな思考回路をしているのかしら?一度貴女の脳みそを研究してみたいわ」
「全く面倒臭い方ですね。お嬢様の戯言に懇切丁寧に答えるのであれば、私の言動を反逆罪とするのは些か強引かと思われます。私の言動からでは別段お嬢様のその御身を直接害するような事柄は認められないかと、これを反逆罪とするのであれば、それは違憲行為に該当すると存じます。また、王国法に照らし合わせるに今回のケースで不敬罪で求刑する場合、不敬があったとされる証拠が余りにも乏しく、こちらも実刑となる事はまずないかと思われます。さらに領地法に照らしましても今回のケースでは実刑を求刑する事は不可能かと、何せアーレンハイム子爵領法には不敬罪が存在しませんから。以上を鑑みるにお嬢様の取れる行動は精々、雇用主であるアーレンハイム子爵に勤務態度の改善を訴える程度かと思いますれば、一先ず放置しても問題ない話題かと愚考します」
領地に戻ったら絶対に法律を見直してやると決意しながら、ぐぬぬと唇を噛んでいると、目の前に紅茶の入ったティーカップが差し出された。
視線を上げればマテウスが肩を竦めながらため息交じりに口を開いた。
「お嬢様、諦めましょう。屁理屈モードの時のエミリッタに口喧嘩を挑むのはあまりにも無謀です。エミリッタもいい加減その曲がったヘソ治してください。これ以上は業務に支障を来します」
私はマテウスの意見に肯定するように紅茶に口をつけた。
その様子を見てマテウスが口を開く。
「さて、私が午前にモンロー伯爵家にてそれとなくモンロー夫人の様子を確認したところ、モンロー夫人には特に何か水面下で動いているような様子は見られませんでした。ですが、伯爵家の使用人達が何やら落ち着きなく動き回っておりましたので、すでに夫人による根回しは終わっているのでしょう。数日、早ければ明日にでも顔合わせがあるかもしれません」
「相変わらずエラリー様の行動力はすごいわね」
「お嬢様感心している場合ではございませんよ。これではどこから賤称をばら撒く事になるか分かりません。せめてモンロー夫人が根回ししている最中でしたら、情報を入手する手段もありましたのに」
「とは言え、これほど準備期間が短ければ、いくらモンロー夫人と言えど、それほど大規模なお披露目を行う事は出来ないでしょう」
「さすがのエラリー様でもこの短期間でオフシーズンに多くの貴族を招いた大々的なお茶会や夜会を開催するのは無理でしょうね。今は王都にいる貴族が少ないから。でも、公爵家と伯爵家と私だけの顔合わせなんて生ぬるい事はエラリー様は絶対にしないわ。必ず他も巻き込んで外堀を埋めてくるはずよ。それが教皇様か、王家に連なる者かは分からないけれど」
「お嬢様、それは流石にモンロー夫人を警戒しすぎでは?」
「私の経験則に基づくのなら、いくら警戒してもしすぎるという事はないわ。去年父様が私の結婚相手を探すのを手伝って欲しいとエラリー様にお願いした時は、翌日にコルベール侯爵家の長男とのお見合いの場がセッティングされていたわ。6日もあればエラリー様なら王族くらい引っ張り出します」
私がそう言うと従者二人はとても苦い笑顔を浮かべた。
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