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閑話2 私のイベリス
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私の名前はエミリッタ。
アーレンハイム子爵家のメリッサお嬢様付きの侍女でございます。
ただ今アーレンハイム家は私の主人であるメリッサお嬢様の結婚問題と言う重大な問題を抱えております。
18にもなって未だに婚約者の決まっていないお嬢様の嫁ぎ先については、旦那様も奥方様もそれはそれは苦慮されておられます。
しかし、当のお嬢様はさして気にしている様子も危機感を感じている様子もございません。
大方、アーレンハイム家に利になる婚約であるならばともかく、自身の体面を気にしての婚約などお金の無駄、別に結婚しなかったところで死にはしない等と考えているのでしょう。
そんなお嬢様ですので、自身の悪い噂についてもてんで無頓着でございます。
寧ろ悪い噂が流れていた方が、社交に誘われる機会が減るため、断る手間が省けていいわね、くらいに考えている節すらおありです。
そんな生粋の賤称コレクターであらせられるお嬢様ですが、先日王宮で行われた茶番により目出度く恥知らずという賤称を獲得されました。
我が主人の名誉の為に申させていただくのであれば、彼女の持つ貧乏以外の賤称は大抵が盛大に尾鰭のついた噂と他人のやっかみでございます。
まあ、一般的な貴族のご令嬢とはそもそも思考回路が異なる方ですので、人ずれしていると言う意味では阿婆擦れという言葉は一部当てはまらないというわけでもありませんが……。
そんなお嬢様ではありますが、決しておモテにならないと言う訳ではございません。
お嬢様はスタートラインこそ、その少々特徴的な見目と足を引っ張るしか能のない雌豚共の流した心無い噂の所為でかなりマイナスの位置からスタート致しますが、モンロー伯爵夫人によって仕込まれた所作は完璧ですし、聡明で頭の回転も非常に早く、周囲に気を配る能力にも長けておられます。
昨年、モンロー伯爵夫人の紹介でやってきたコルベール侯爵家の嫡男など、初めは見るからに剣呑な雰囲気でしたが、お帰りの頃にはそれはそれは名残惜しそうな様子でございました。
その短時間でのあまりの変わり様に、人とはこうも分かり易く恋に落ちるのかと思わず笑ってしまいそうになったほどでございます。
当のお嬢様は気づいていないのか、あえて無視をしているのかさして気にした様子もございませんでしたが……。
兎も角、お嬢様自身は決してモテないわけでも、社交ができないわけでもないのです。
ただ、余りにも本人が貴族の社交に興味がなさすぎるせいで、噂を否定する機会すらないままに、尾ひれが付きまくって拡散されていくのです。
そんな事態すら、お嬢様には興味がない事のようで、まるで他人事の様に笑っておられます。
”本当はとても魅力的なのですから少しは外面にも気を使われれば良いのに……”
勿論、恥ずかしいのでそんな事をお嬢様に直接言ったりはしません。
私は静かに息を吸うと無表情の仮面を貼り付けます。
「お嬢様、こちらコルベール侯爵家からの夜会への招待状です」
そう言って手紙を差し出すと、お嬢様はひどく嫌そうな顔をした後、大きなため息を吐かれました。
全く本当に困ったお嬢様ですね。
”ため息を吐きたいのはこちらですよ”
私はその言葉をそっと飲み込んで苦笑いを浮かべました。
アーレンハイム子爵家のメリッサお嬢様付きの侍女でございます。
ただ今アーレンハイム家は私の主人であるメリッサお嬢様の結婚問題と言う重大な問題を抱えております。
18にもなって未だに婚約者の決まっていないお嬢様の嫁ぎ先については、旦那様も奥方様もそれはそれは苦慮されておられます。
しかし、当のお嬢様はさして気にしている様子も危機感を感じている様子もございません。
大方、アーレンハイム家に利になる婚約であるならばともかく、自身の体面を気にしての婚約などお金の無駄、別に結婚しなかったところで死にはしない等と考えているのでしょう。
そんなお嬢様ですので、自身の悪い噂についてもてんで無頓着でございます。
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そんな生粋の賤称コレクターであらせられるお嬢様ですが、先日王宮で行われた茶番により目出度く恥知らずという賤称を獲得されました。
我が主人の名誉の為に申させていただくのであれば、彼女の持つ貧乏以外の賤称は大抵が盛大に尾鰭のついた噂と他人のやっかみでございます。
まあ、一般的な貴族のご令嬢とはそもそも思考回路が異なる方ですので、人ずれしていると言う意味では阿婆擦れという言葉は一部当てはまらないというわけでもありませんが……。
そんなお嬢様ではありますが、決しておモテにならないと言う訳ではございません。
お嬢様はスタートラインこそ、その少々特徴的な見目と足を引っ張るしか能のない雌豚共の流した心無い噂の所為でかなりマイナスの位置からスタート致しますが、モンロー伯爵夫人によって仕込まれた所作は完璧ですし、聡明で頭の回転も非常に早く、周囲に気を配る能力にも長けておられます。
昨年、モンロー伯爵夫人の紹介でやってきたコルベール侯爵家の嫡男など、初めは見るからに剣呑な雰囲気でしたが、お帰りの頃にはそれはそれは名残惜しそうな様子でございました。
その短時間でのあまりの変わり様に、人とはこうも分かり易く恋に落ちるのかと思わず笑ってしまいそうになったほどでございます。
当のお嬢様は気づいていないのか、あえて無視をしているのかさして気にした様子もございませんでしたが……。
兎も角、お嬢様自身は決してモテないわけでも、社交ができないわけでもないのです。
ただ、余りにも本人が貴族の社交に興味がなさすぎるせいで、噂を否定する機会すらないままに、尾ひれが付きまくって拡散されていくのです。
そんな事態すら、お嬢様には興味がない事のようで、まるで他人事の様に笑っておられます。
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