ぼくのだいじなヒーラー

もちっぱち

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第3話 ゆうくんの たのしいじかん

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 ふわふわと うかびながら おにごっこを はじめる ケセランパサランと 

 ゆうくんは きゃきゃと たのしそうに もりあがっていた。


 ともだちが いない ゆうくんに とって あそぶって こんなに たのしいんだと かんじた。


「ケセラン、にげるの はやいよぉ!!」

「まだまだ おわってないよ。こっち こっち」

「おにいちゃん ずるいよ! いつも にげまわって ぜったい おに やらないんだから」

「え、そうなの? んじゃ、つぎは ケセランが おにになるように おいかけるよ。まわりこもう!!」 

 ゆうくんは パサランと きょうりょく して ケセランを おいこんだ。

 やっとこと、ゆうくんの みぎてで タッチを することが できた。
 
 ゆうくんは、たっせいかんで あふれていた。

 ふわりと ケセランの みずいろの けが まいおちた。


「むーーー、ちくしょーーー」 


 まけずぎらいの ケセランは おにに なったしゅんかんに すぐに パサランの からだに タッチした。

 いきおい  あまって、しろい パサランの けが ぶわっとあたり いちめん おおいかぶさった。

 まっしろ だらけで なにも みえなくなって しまった。


「うわーーなにも みえないよぉ~」  


 ゆうくんは パサランのけを なんども よけて うごきまわった。

 めのまえが しろくて もやが かかったみたいで なにも みえなくなる。


「えー、これ、どこに いけば いいんだろう」 


 さっきまで けんかしていた ケセランパサランのこえが ぜんぜん きこえなくなった。

 きゅうに いなくなって、さびしくなるゆうくんは、ほっぺたを たくさんの なみだで ぬらした。


「ぼく、また ひとりに なっちゃった。なんで、ひとりに しちゃうのかなぁ!
 
 さっきの おにごっこ すっごく たのしかったのに、ひとりだと つまらないよぉ~~~」


 ひざを かかえて そのばに しゃがみこむ ゆうくん。

 まっしろな くうかんで ひとりぼっち。

 えんえんえんと ないていた。

「さびしいよぉ。かなしいよ。つまらないよぉーーー。わーーーん」

 たくさん、さけんで、ないて、あばれて、だだこねて、

 しばらくすると、つかれて ぐったりと ねがえりを うって しずかに なった。

 しくしく はなを すすっているうちに いつのまにか ねむってしまう。 


 ゆめのなかでは また ケセランパサランと 3にんで あせを たくさん かきながら、

 おにごっこを たのしんでいた。なんかいも やりたいきもちが ゆめに でてきた。

 ゆうくんは よだれを たらしながら にやにやと わらっている。


「ぼくは もう にげるの は……つ、か、れ、たよぉ……むにゃむにゃ……」

 くんだうでの なかに かおを うずめて しずかに ねむりについた。
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