32 / 44
順調だと思っていた
しおりを挟む
いよいよ、メンバー全員の
音合わせの日だった。
ハンバーガーをお腹いっぱい食べた
アシェルとリアムは
休むのも束の間、
もう一度、練習して
自分の演奏や歌声が合っているか確認した。
クレアとオリヴァはだいぶ、
音が落ち着いたと
社長室の自動コーヒーメーカーでカフェオレを飲んで、休んでいた。
ボスはというと、
何年振りかのベースギターの演奏で
なかなか思うような音が出ず、苦戦していた。
「ボス、いくら経験者でも、
練習をおろそかにすると
できないもんなんですね。」
「うっせーな。
俺だって、まさか弾くとは思わないから。
経験者って言っても、
少しやっただけで、
担当はボーカルだったから!!」
「言い訳も何だか、弱々しいですよぉー。」
ルークとボスとのやりとりが
漫才コンビに見えてくる。
長い付き合いだからか。
「…俺もやっぱりクレアじゃないけど、
できるものってことでボーカル
しようかな。」
「ボス?
アシェルさんより前に出たら、
ボスの作品になりますよ?
それでもいいんですか?」
「あ、まぁ。確かに…。
それは若い奴に任せた方がいいよな。
ちょっと、自信がなかっただけだよ。
ったく、
俺だってやる仕事、
他にもあるんだからな。」
「まぁまぁ、そう言わずに
今日は、初めてのメンバー全員で
揃える日ですよ。」
「そうだよな。そろそろ、合わせてみるか。
ルーク、みんなホールに
集めてくれないか。」
「わかりました。」
ルークはそれぞれのレッスン室で
練習しているメンバーをホールに
集め出した。
一通り、まるまる1曲を演奏できるように
なったため、みな自信に溢れていた。
楽器をどんどんステージに運び込まれる。
ドラムは大きくて、運ぶのに時間が
かかっていた。
準備が整った。
「緊張する。」
ボスがみんなの前に
立っていた。
「さて、今日、初めて合わせて
練習するわけだけど。
まぁ、初めてだし、
リラックスして、
やってみよう。
それぞれ楽器を持って!」
ボスはベースギターのアンプを調整して、
ドラム近くに移動した。
スタンドマイクの前には
ギターを持ったアシェル。
その隣にはフルートを持ったクレア。
ドラムにオリヴァがいた。
観客席はないが、メンバーの前に
ルークとシャウトが真ん中にいた。
オリヴァのスティックのリズムに
合わせて、演奏が始まった。
初めての割には、みな揃っていて、
綺麗な音と、聴き心地の良い歌声だった。
数週間で練習してできたとは思えない
完成度だった。
ルークは歌が終わると
拍手を大きな音を立てて
響き渡らせた。
「すごいです!
ライブを見てるみたいでした。
私は初めて聴きましたが、
ほぼほぼ完成してると思いますよ。
ボスは、どう思いました?」
「……俺も、良かったと思う。
我ながら、なんとか弾けたし。
歌も、熱意があったというか。」
「本当っすか!?
それは良かった。」
胸をなでおろすアシェル。
クレアはまずまずといったところ。
リアムも納得の様子。
どこか不安な顔なのは、オリヴァだった。
「本当に大丈夫なんでしょうか。」
「どうした、オリヴァ。
そんなに自信ないのか?」
「目の前にお客さんがいないですし。
本当に届いているのかなって
ただの自己満足で終わってないかなって
心配です。」
「そっか。
自信ないか。
やっぱり、現場で演奏してみないと
手応えって見えてこないもんな。
よし、会場手配してみるから、
やってみよう。
無名のメンバーだから集まるか
分からないけど。」
ボスは、思い切ってやろうと
気合いが入った。
ルークは慌てて、会場の手配をするために
いろんな業者に電話をかけた。
自信が満たされるのは何だろうと考えながら、オリヴァは何度も練習を繰り返した。
アシェルは、自分の声を録音したものを
聴いて、どこか修正点はないかと探した。
クレアは念の為、
最初から最後まで練習を繰り返し
繰り返し行った。
リアムは、
キーボードの音の調整を確認して、
繰り返し練習した。
まだまだ修正できるところはありそうだと
腕を組んで、見守るのはボスだった。
そう考えながらも自分自身のベースの演奏も少し自信がなかった。
大きな会場で演奏するまで、
何度も練習が行われた。
自信持って大丈夫だと言えるくらいまで
昼夜問わず、繰り返した。
腕がバキバキ、喉がガラガラになるまで
やったが、体力を回復するのに時間が
かかって本当に大丈夫かと
メンバーみんなが不安になっていた。
明日こそ、成功させるそんな思いで
夜明けを待つことが多かった。
音合わせの日だった。
ハンバーガーをお腹いっぱい食べた
アシェルとリアムは
休むのも束の間、
もう一度、練習して
自分の演奏や歌声が合っているか確認した。
クレアとオリヴァはだいぶ、
音が落ち着いたと
社長室の自動コーヒーメーカーでカフェオレを飲んで、休んでいた。
ボスはというと、
何年振りかのベースギターの演奏で
なかなか思うような音が出ず、苦戦していた。
「ボス、いくら経験者でも、
練習をおろそかにすると
できないもんなんですね。」
「うっせーな。
俺だって、まさか弾くとは思わないから。
経験者って言っても、
少しやっただけで、
担当はボーカルだったから!!」
「言い訳も何だか、弱々しいですよぉー。」
ルークとボスとのやりとりが
漫才コンビに見えてくる。
長い付き合いだからか。
「…俺もやっぱりクレアじゃないけど、
できるものってことでボーカル
しようかな。」
「ボス?
アシェルさんより前に出たら、
ボスの作品になりますよ?
それでもいいんですか?」
「あ、まぁ。確かに…。
それは若い奴に任せた方がいいよな。
ちょっと、自信がなかっただけだよ。
ったく、
俺だってやる仕事、
他にもあるんだからな。」
「まぁまぁ、そう言わずに
今日は、初めてのメンバー全員で
揃える日ですよ。」
「そうだよな。そろそろ、合わせてみるか。
ルーク、みんなホールに
集めてくれないか。」
「わかりました。」
ルークはそれぞれのレッスン室で
練習しているメンバーをホールに
集め出した。
一通り、まるまる1曲を演奏できるように
なったため、みな自信に溢れていた。
楽器をどんどんステージに運び込まれる。
ドラムは大きくて、運ぶのに時間が
かかっていた。
準備が整った。
「緊張する。」
ボスがみんなの前に
立っていた。
「さて、今日、初めて合わせて
練習するわけだけど。
まぁ、初めてだし、
リラックスして、
やってみよう。
それぞれ楽器を持って!」
ボスはベースギターのアンプを調整して、
ドラム近くに移動した。
スタンドマイクの前には
ギターを持ったアシェル。
その隣にはフルートを持ったクレア。
ドラムにオリヴァがいた。
観客席はないが、メンバーの前に
ルークとシャウトが真ん中にいた。
オリヴァのスティックのリズムに
合わせて、演奏が始まった。
初めての割には、みな揃っていて、
綺麗な音と、聴き心地の良い歌声だった。
数週間で練習してできたとは思えない
完成度だった。
ルークは歌が終わると
拍手を大きな音を立てて
響き渡らせた。
「すごいです!
ライブを見てるみたいでした。
私は初めて聴きましたが、
ほぼほぼ完成してると思いますよ。
ボスは、どう思いました?」
「……俺も、良かったと思う。
我ながら、なんとか弾けたし。
歌も、熱意があったというか。」
「本当っすか!?
それは良かった。」
胸をなでおろすアシェル。
クレアはまずまずといったところ。
リアムも納得の様子。
どこか不安な顔なのは、オリヴァだった。
「本当に大丈夫なんでしょうか。」
「どうした、オリヴァ。
そんなに自信ないのか?」
「目の前にお客さんがいないですし。
本当に届いているのかなって
ただの自己満足で終わってないかなって
心配です。」
「そっか。
自信ないか。
やっぱり、現場で演奏してみないと
手応えって見えてこないもんな。
よし、会場手配してみるから、
やってみよう。
無名のメンバーだから集まるか
分からないけど。」
ボスは、思い切ってやろうと
気合いが入った。
ルークは慌てて、会場の手配をするために
いろんな業者に電話をかけた。
自信が満たされるのは何だろうと考えながら、オリヴァは何度も練習を繰り返した。
アシェルは、自分の声を録音したものを
聴いて、どこか修正点はないかと探した。
クレアは念の為、
最初から最後まで練習を繰り返し
繰り返し行った。
リアムは、
キーボードの音の調整を確認して、
繰り返し練習した。
まだまだ修正できるところはありそうだと
腕を組んで、見守るのはボスだった。
そう考えながらも自分自身のベースの演奏も少し自信がなかった。
大きな会場で演奏するまで、
何度も練習が行われた。
自信持って大丈夫だと言えるくらいまで
昼夜問わず、繰り返した。
腕がバキバキ、喉がガラガラになるまで
やったが、体力を回復するのに時間が
かかって本当に大丈夫かと
メンバーみんなが不安になっていた。
明日こそ、成功させるそんな思いで
夜明けを待つことが多かった。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる