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#006

学校の悪魔9

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 期末テストとその返却も終わり、夏休みまで残すところ、死人が多く出たせいで中止になった文化祭の代わりに急遽行われる事となった学校全体で行われる一学期終了の打ち上げだけとなっていた。

 そして今日はその当日。

 学校全体がちょっとしたお祭り騒ぎの様な雰囲気の中、七月二十五日の十八時十分前。まだ西の空は明るいがようやく気温も涼しくなってきた頃、生徒たちは配られたジュースを片手に体育館に集まり、その開始を今や遅しと待っていた。

 勉強のストレスから解放されたからか、皆、一学期の約三か月の間に数十人の死体が出たとは思えないほど「学校の悪魔」の事など忘れてしまったかのようにすがすがしい顔をしている。今もまだ「まさか自分が」とでも思っているのだろう。

 いかにも、不気味違和感だ。

 打ち上げ開始五分前。それは前触れもなく体育館に設置されたいくつかのスピーカーから放送された。酷いノイズの後、若い男の声が聞こえてくる。

『―――えー、体育館にお集まりの皆々様。せっかくの打ち上げパーティーですが、同じ学校の生徒が何十人と死んだというのにそいつらを忘れてしまったかのように楽しもうとしているあなた達が許せません』

 なんだなんだと生徒たちがざわめく中、スピーカー越しに男は告げた。

『―――なので、この学校中に爆弾を仕掛けました。爆発は五分後、打ち上げ開始時刻です』

 突然放送された突拍子もないことに、この学校に少なからずいるやんちゃな男子生徒たちがヤジを飛ばす。

 だが、男はそんな事態分かりきっていたかのように、

『―――予鈴代わりに一つ』

 次の瞬間、体育館横の新校舎、その屋上で爆発が起こった。規模は決して大きくない。しかし、ちょっとした地響きと、衝撃で体育館の窓が数枚割れた。

『―――あと三分。別にあなた達が何かしたというわけではありませんが、すまんが気に入らないので死んでください』

 当然、生徒たちは大混乱。我先にと体育館を飛び出し、校門へと一目散に駆けた。

 その生徒たちを見下ろしながら男は言う。

『――――止められるものなら止めてみろ!俺こそが“学校の悪魔”だ!』
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