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優しくない人
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麻由里ちゃんっていい子だよね。
そう言われるたびに違うよって思う。
私だって気を抜いたら、人を馬鹿にしちゃうし、それでまたああ、ダメだなって思う。
一度ガンッと頭を打たれるくらいの痛みを感じたから。
わたしは、人に嫌われたくなくて最低なことをした。
仲間はずれになりたくなくて、やれと言われて、目の前でその子の悪口を言った。
しつこく。
本当馬鹿だと思う。
なにも反応がないからってその子が傷ついてないとは限らないのに。
些細なことで嫌われて、結局仲間はずれにされていじめられた。
馬鹿だ、わたし。
人と付き合うのがアホらしくなった。
贖罪のつもりか、弱い立場の子とか輪に入れてない子を助けてあげてたけど、前にひどいことしたわたしにピュアな子と関わる権利なんである?なんて自問自答しながら、だけど助けたくなるから続けていた。
自分が嫌いで、どこか上から目線で、ピュアな子と付き合ってる自分はその子より下の下の下なのに何様だよって思ってた。
本当だいきらいだ、わたし。
ピュアな目で見つめられる度、花が咲いた笑顔を見る度、うれしい反面、孤独を感じてた。
他のピュアな子達と一緒にいて欲しい。
だから、離れて欲しい。わたしなんかとは。
傷つけて離そうとしたけど、怖くてできなかった。
その子の心に傷を残したくなかった。
だから、今日も、猫を被る。
「菱田ってさ、泣いてない?」
えっ?
ちゃんと笑顔は作れてるはず、周りに不安を与えてないはず。
「ちょっと、話そうか」
金井くん、だったよね。
先に階段を登っていくブレザーの背中を見ながら思った。
屋上の手すりに腕を乗せて遠くの街を見る。
なんだか泣きそうだから何も考えないようにしていた。
「無理してない?」
隣の彼が言う。
心配してくれてるみたいだ。
大丈夫って言おうとしたけど、きっと見透かされるんだろうな。
彼は誰でも優しいんだ。
わたしにむけた、その優しさを終わらせよう。
軽蔑されよう。
「わたし、優しくないです。いい子でもないんです。仲間はずれにされたくなくて、悪口を本人の目の前で、しつこく言ってたような人です。最低なんです。だから、本当は生きてる資格なんて、ない。だけど、死ぬ勇気もない。馬鹿なんです」
「助けたいんだろ。弱い人たちを」
彼がこっちを向く気配がする。
「俺は優しいと思った、菱田を。人を救えるのって才能だと思うんだよ。必要としてる人がいるんだ。その人のためにも死んじゃだめだ。自分を大切にして、エネルギーを蓄えて、ずっと助けていくんだ。それが、使命なんじゃない?」
彼がふっと笑う。
「俺が見とくから、サボんなよ!」
背中をバシッとたたかれ、彼が走って屋上を出ていく。
その後、無人になった屋上でちょっと泣いて、顔を上げた。
太陽が眩しく光った。
そう言われるたびに違うよって思う。
私だって気を抜いたら、人を馬鹿にしちゃうし、それでまたああ、ダメだなって思う。
一度ガンッと頭を打たれるくらいの痛みを感じたから。
わたしは、人に嫌われたくなくて最低なことをした。
仲間はずれになりたくなくて、やれと言われて、目の前でその子の悪口を言った。
しつこく。
本当馬鹿だと思う。
なにも反応がないからってその子が傷ついてないとは限らないのに。
些細なことで嫌われて、結局仲間はずれにされていじめられた。
馬鹿だ、わたし。
人と付き合うのがアホらしくなった。
贖罪のつもりか、弱い立場の子とか輪に入れてない子を助けてあげてたけど、前にひどいことしたわたしにピュアな子と関わる権利なんである?なんて自問自答しながら、だけど助けたくなるから続けていた。
自分が嫌いで、どこか上から目線で、ピュアな子と付き合ってる自分はその子より下の下の下なのに何様だよって思ってた。
本当だいきらいだ、わたし。
ピュアな目で見つめられる度、花が咲いた笑顔を見る度、うれしい反面、孤独を感じてた。
他のピュアな子達と一緒にいて欲しい。
だから、離れて欲しい。わたしなんかとは。
傷つけて離そうとしたけど、怖くてできなかった。
その子の心に傷を残したくなかった。
だから、今日も、猫を被る。
「菱田ってさ、泣いてない?」
えっ?
ちゃんと笑顔は作れてるはず、周りに不安を与えてないはず。
「ちょっと、話そうか」
金井くん、だったよね。
先に階段を登っていくブレザーの背中を見ながら思った。
屋上の手すりに腕を乗せて遠くの街を見る。
なんだか泣きそうだから何も考えないようにしていた。
「無理してない?」
隣の彼が言う。
心配してくれてるみたいだ。
大丈夫って言おうとしたけど、きっと見透かされるんだろうな。
彼は誰でも優しいんだ。
わたしにむけた、その優しさを終わらせよう。
軽蔑されよう。
「わたし、優しくないです。いい子でもないんです。仲間はずれにされたくなくて、悪口を本人の目の前で、しつこく言ってたような人です。最低なんです。だから、本当は生きてる資格なんて、ない。だけど、死ぬ勇気もない。馬鹿なんです」
「助けたいんだろ。弱い人たちを」
彼がこっちを向く気配がする。
「俺は優しいと思った、菱田を。人を救えるのって才能だと思うんだよ。必要としてる人がいるんだ。その人のためにも死んじゃだめだ。自分を大切にして、エネルギーを蓄えて、ずっと助けていくんだ。それが、使命なんじゃない?」
彼がふっと笑う。
「俺が見とくから、サボんなよ!」
背中をバシッとたたかれ、彼が走って屋上を出ていく。
その後、無人になった屋上でちょっと泣いて、顔を上げた。
太陽が眩しく光った。
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