異界の相対者

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城人編

アルマで舌鼓

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 そう握手をした。それから新人トリオのシズ達を置いて王達は城内見学に行った。アルマの街並みは静かという雰囲気だった。それぞれの壁の色は同じではないが、どれもベージュ系に統一されている。高い建物がほとんどない。高くても三階までだ。案内人の城人に聞けば景観を守るために城を除く建物は三階までという決まりを作っているのだという。道も石畳で舗装されている。私達はインデッセの城人に連れられ街にお昼を食べに行った。連れられた大衆的な食堂で舌鼓を打った。
「何じゃこのジャガイモ、超うめぇ」
 シズは蒸したジャガイモに感動する
「野菜は毎日とれたてを出しているからね。畑がすぐそこなのよ」
 店員の女の子が嬉しそうに教えた。ジャガイモだけじゃない。野菜が全て美味しい。ベグテクタの野菜も美味しかったがインデッセのは甘味がある。野菜だけじゃない、海に囲まれているからか魚介も、そして肉もうまい。けどなんと言っても白いご飯が美味しい。インデッセは米の産地だという。日本人のシズはすこぶる嬉しい。
「インデッセのご飯は死ぬほどうまいって、バリシアから聞いてたけど想像以上だ」
「他の国よりインデッセは土がいい。百年前は不毛の土地だったのを開拓して、現代ではオードと並ぶ食の宝庫だ。それにインデッセの人達は穏やかで礼儀正しいし、良い国なのだよ」
 留学している間によっぽどこの国が好きになったのだろう。ラリマはかなりのインデッセ贔屓だ。
「それにしてもなんでヨール王のようなお方がお前みたいなガサツな女を指名したかな」
 下品なものを見るような目でラリマがシズを見る。
「ちゃんとした人だからこそ、カンダみたいな動物じみた女がもの珍しいんだろう」
 アザムがシズを見ることもせず、牛肉のサイコロステーキを頬張る。
「そういうことか」
「そういうことかってなんだよ、マッシュ野郎。お前も蒸してやるぞ」
 食後、街を散策する。伝統工芸品を見たり、美術館に行ったりとほとんど観光だった。
「最初の王の謁見過ぎれば楽だな」
 シズは言った。三時になってジェラート屋に入る。案内人の城人は始終くっついていては堅苦しいだろうからと店には入って来ず、違う店で休憩している。気遣いな人だ。
「俺達は建前だからな」
 アザムはジェラートを頼まず、アイスティーを飲んだ。
「建前? 」
 スプーン片手にラリマが尋ねる。
「他国研修の本来の目的はお互いの抑制だ。怪しい行動をしていないかのパトロールみたいなものだ」
「けれどアザム。四ヵ国条約に信頼を持ち合うって」
 ラリマの言う通りだ。信頼を持ち合うって決めているのにパトロールとはとシズも思った。
「人間だからな。いくら条約があってもズルしたくなることはあるだろう。監視がなければそれこそやりたい放題だ。けれど条約があるから次世代の育成ってそれらしい理由の裏に目的を隠しているんだろう。まどろっこしいことしているけど、まあ正しい事をしていると思うよ」
「よく知ってるな」
 ラリマが感心した。そしてあっと、ラリマ声を上げた。
「じゃあ今年からベテランの城人増やしたのはその裏の目的に関係あるのかい? 」
 さすがアオクラスで学年トップスリー。頭が良く回ると、シズは感心した。
「オードの王が数年前から提案していたようだ。何か不安視していることがあるようだ。オードは天下だからな、小さい事も自国を脅かすことになるかもしれないと注意しているんだろう」
「オードが天下ってどういうことだよ」
 シズが聞けばラリマが呆れた顔をした。
「お前歴史で何聞いてたんだよ。十二年戦争で一番得したのはどこだよ」
「得って、あれは話し合いで終わらしたんだろう?」
「戦争はな」
 ラリマは二本指を立てる。
「けどオードは金銀が出る鉱山ふたつ持っているんだよ」
 そういう言い方をすれば、オードは得をしている。
「オードは大きな川もある。自然にも恵まれている。経済的にも四ヵ国の中で一番豊かだ」
 アザムが補足説明すれば、ラリマはそういうことだとジェラートと食べきって口元をハンカチで拭いた。平等はやはり難しいのかとシズは納得した。
「ってか、お前やっぱり監察向いてるな。今の会話超監察ぽかったぞ。よく知らんけど」
 シズは褒めたつもりだった。けれどアザムは無表情でストローを咥えたまま私をじっと見た。
「何だよ」
 シズがアザムを見返す。
「別に」



「それではまた夜の晩餐会で」
 城内見学を終えて、エンスを客間に案内するようにヨールは自国の城人に指示をして部屋へと戻るために廊下を歩く。そこへすっと、プネ・カンバサが隣に並ぶとヨールに折った小さなメモを差し出した。ヨールはそれを受け取ると中身を確認する。少し瞳を揺らしたが、傍目から見れば気が付く者はいないだろう。ヨールはメモをカンバサへと返す。
「いかがいたしましょう」
 カンバサが王に指示を仰ぐ。王は正面を向いたまま命令した。
「かどわかせ」
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