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逃亡編
疑いと思惑
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昼からアザムが九局に戻るとバライトが苛々していた。
「ハクエン局長にまたやられただけだから」
カルカがこっそり囁く。
「あの二人なんであんなに仲が悪いんですか? 九局だからってだけじゃないですよね」
「昔からね。俺もセッシサンさんから聞いた話だけど、バライト局長昔、ハクエン局長の彼女横取りしちゃってね」
「え」
「けど結局バライト局長は振られ、ハクエン局長は新しい彼女と結婚して今は幸せ。そういう因縁」
「バライト局長の自業自得じゃないですか」
「そうだな。あの人は根っからの九局根性だから疑っちゃうんだよ。結婚は無理だな」
「そこの二人! 俺の事を今悪く言っただろう。俺は今感じたぞ。そこらから悪いものを感じたぞ」
バライトがアザム達を指差し、喚いた。カルカは呆れた顔でため息を吐いた。
「悪口なんて言っていません。事実確認をしていただけです」
「なんかもっと悪い気がするんですけどー、カルカ君ー」
「それより聞きましたか? 」
カルカは話を変えながらバライトの席へいく。
「四局で風邪が流行しているって」
「ああ聞いた! ハクエンから聞いた! 鍛え方が足りないんだよ !ふんだ! 」
アザムは苦笑しながらカルカの隣にいく。
「俺もラリマから聞きました。クドにローズにカザンが休んでいるらしいですよ」
バライトは手を広げて親指から三本指を折った。
「ハクエンの野郎五人休んでいるって言っていたぞ。あと二人は」
「カラミンとオドー」
カルカが付け加え、バライトの右手の指は全て折れた。
「全員カンダ繋がりですね。カンダの居場所突き止めたんじゃないんですか? 」
「それにしても五人は多い。多くても二人でいい。五人も休めばうちが疑うのは分かっているはずだ。風邪が流行も白々しい」
バライトはデスクに肘をつく。
「それだけ人手が必要って事ですね。探りますか? 」
カルカに聞かれバライトは少し考えた。
「今は少し泳がそう。捕まえるにはもう少し肥えてからでいい」
昼を終え、ラリマはトイレの個室に居た。メモ帳を持つ手の袖口は汁で汚れたようには見えず、ハンカチで拭いたにしては綺麗過ぎた。ラリマはメモ帳に「蝋燭=アンドラ王子」と書いた。その下にマッチ、ライターと書く。バライトとアンブリの会話を盗み聞きしていたラリマは「蝋燭」「マッチ」「ライター」の言葉が九局が使っている隠語である事は察しが付いた。それでラリマはワザとマッチを落とし、アザムに拾わせて反応を伺った。表情は変わらなかったが、マッチについて聞いてきた。少なからず気になっていた。バライトとアンブリの会話から「蝋燭」がアンドラ王子である事は分かった。けれど、「マッチ」と「ライター」が何の隠語なのかは分からない。
「蝋燭に火を付ける……」
「蝋燭」がアンドラ王子の事ならば、「マッチ」「ライター」も人間である可能性が高いとラリマは考えた。
「普通に考えると城人の事だよな……」
「ラリマ、いるか」
トイレの外からシラーが呼ぶ声が聞こえた。ラリマは慌てて。メモを破り細かく千切るとトイレに流した。トイレから出るとシラーが廊下に居た。
「すいません、シラーさん」
「おお、トイレ中に悪いな。今朝提出して貰った書類に不備があってな」
「え! すいません」
「いや、たいした事ないから俺が直しても良かったんだけど、シプリン局長はそういうの厳しいから。俺これから八局棟に戻るから。ラリマも書類直したらこっちに来てな」
「了解です」
ラリマは急いで八局フロアに戻る。ラリマのデスクに書類とシラーの字で付箋が貼ってあった。日付を間違えていた。「十月二十一日」の横に付箋は張られていた。
「今日は十月二十二日です。直しお願いします。」
十月二十三日になる五分前。男は花束を持って山を登り、墓地にやって来た。そして、ミトス家の墓の前に来ると花束を投げた。闇に溶けた大きな帽子を脱ぐ事もしない。祈る事もしない。男はすぐに背を向けて帰り出す。その男の前に突然人影がさした。そして墓参りにやって来た男の顔をライトで照らす。
「墓参りはもっと丁寧にしないと。祟られますよ。それにそこの墓の人の命日は確か明日ですよね。まだ、何分早い? 」
男は腕時計を確認するが、時間が狂っていて二十三日まであと何分か分からなかった。
「あと四分だ、カラミン」
墓参りに来た男の背後にいつの間にか、オドーが居た。
「そう、あと四分早いですよ」
カラミンは墓参りに来た男に微笑んだ。
「コーネス・カーネス」
「ハクエン局長にまたやられただけだから」
カルカがこっそり囁く。
「あの二人なんであんなに仲が悪いんですか? 九局だからってだけじゃないですよね」
「昔からね。俺もセッシサンさんから聞いた話だけど、バライト局長昔、ハクエン局長の彼女横取りしちゃってね」
「え」
「けど結局バライト局長は振られ、ハクエン局長は新しい彼女と結婚して今は幸せ。そういう因縁」
「バライト局長の自業自得じゃないですか」
「そうだな。あの人は根っからの九局根性だから疑っちゃうんだよ。結婚は無理だな」
「そこの二人! 俺の事を今悪く言っただろう。俺は今感じたぞ。そこらから悪いものを感じたぞ」
バライトがアザム達を指差し、喚いた。カルカは呆れた顔でため息を吐いた。
「悪口なんて言っていません。事実確認をしていただけです」
「なんかもっと悪い気がするんですけどー、カルカ君ー」
「それより聞きましたか? 」
カルカは話を変えながらバライトの席へいく。
「四局で風邪が流行しているって」
「ああ聞いた! ハクエンから聞いた! 鍛え方が足りないんだよ !ふんだ! 」
アザムは苦笑しながらカルカの隣にいく。
「俺もラリマから聞きました。クドにローズにカザンが休んでいるらしいですよ」
バライトは手を広げて親指から三本指を折った。
「ハクエンの野郎五人休んでいるって言っていたぞ。あと二人は」
「カラミンとオドー」
カルカが付け加え、バライトの右手の指は全て折れた。
「全員カンダ繋がりですね。カンダの居場所突き止めたんじゃないんですか? 」
「それにしても五人は多い。多くても二人でいい。五人も休めばうちが疑うのは分かっているはずだ。風邪が流行も白々しい」
バライトはデスクに肘をつく。
「それだけ人手が必要って事ですね。探りますか? 」
カルカに聞かれバライトは少し考えた。
「今は少し泳がそう。捕まえるにはもう少し肥えてからでいい」
昼を終え、ラリマはトイレの個室に居た。メモ帳を持つ手の袖口は汁で汚れたようには見えず、ハンカチで拭いたにしては綺麗過ぎた。ラリマはメモ帳に「蝋燭=アンドラ王子」と書いた。その下にマッチ、ライターと書く。バライトとアンブリの会話を盗み聞きしていたラリマは「蝋燭」「マッチ」「ライター」の言葉が九局が使っている隠語である事は察しが付いた。それでラリマはワザとマッチを落とし、アザムに拾わせて反応を伺った。表情は変わらなかったが、マッチについて聞いてきた。少なからず気になっていた。バライトとアンブリの会話から「蝋燭」がアンドラ王子である事は分かった。けれど、「マッチ」と「ライター」が何の隠語なのかは分からない。
「蝋燭に火を付ける……」
「蝋燭」がアンドラ王子の事ならば、「マッチ」「ライター」も人間である可能性が高いとラリマは考えた。
「普通に考えると城人の事だよな……」
「ラリマ、いるか」
トイレの外からシラーが呼ぶ声が聞こえた。ラリマは慌てて。メモを破り細かく千切るとトイレに流した。トイレから出るとシラーが廊下に居た。
「すいません、シラーさん」
「おお、トイレ中に悪いな。今朝提出して貰った書類に不備があってな」
「え! すいません」
「いや、たいした事ないから俺が直しても良かったんだけど、シプリン局長はそういうの厳しいから。俺これから八局棟に戻るから。ラリマも書類直したらこっちに来てな」
「了解です」
ラリマは急いで八局フロアに戻る。ラリマのデスクに書類とシラーの字で付箋が貼ってあった。日付を間違えていた。「十月二十一日」の横に付箋は張られていた。
「今日は十月二十二日です。直しお願いします。」
十月二十三日になる五分前。男は花束を持って山を登り、墓地にやって来た。そして、ミトス家の墓の前に来ると花束を投げた。闇に溶けた大きな帽子を脱ぐ事もしない。祈る事もしない。男はすぐに背を向けて帰り出す。その男の前に突然人影がさした。そして墓参りにやって来た男の顔をライトで照らす。
「墓参りはもっと丁寧にしないと。祟られますよ。それにそこの墓の人の命日は確か明日ですよね。まだ、何分早い? 」
男は腕時計を確認するが、時間が狂っていて二十三日まであと何分か分からなかった。
「あと四分だ、カラミン」
墓参りに来た男の背後にいつの間にか、オドーが居た。
「そう、あと四分早いですよ」
カラミンは墓参りに来た男に微笑んだ。
「コーネス・カーネス」
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