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しおりを挟む少々……というか、かなり、スキルだのなんだのをこじつけました……なので、寛大に、そして、薄目で…お願いします…
⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛⬛▶▶▶
ショートソードを収めると、
「!!」
と、ホワリと身体が暖かく軽くなり、脳内にピーンとくる。
これは!!!
(ステータスオープン)
言葉にすることなく心中で唱えると、自身にのみ見ることができるステータス画面が浮かび上がる。
このステータス画面も私がこの世界で不思議、もしくは、違和感を持つものの1つだ。
何かのゲームの様なステータス画面。
『ステータスオープン』の呪文。
ステータスには名前、年齢、魔力量や体力が数値化され、スキルや加護、俗称まで見ることができる。
この呪文を知った時、何かのゲームへの転生では?とは考えたが……生憎、私の知るゲームではないらしい。
というか……考えるのをやめた…
なぜなら取得していた職業が多彩?極端?異色?過ぎるからだ。
少なくとも私が知るゲームではこんな量の職業を選ぶものはなかった。
……知らないだけかもしれないが……
とにかく、今世ではこのステータス画面は当たり前のように皆が知る魔法で、何でも大大大ーー昔の聖者様が編みだしたそうだ。
………その聖者様、もしかして……
なにはともあれ、便利なことには変わりないので
大ーーーーー昔の聖者様ありがとうございます。
私が確認したいのはスキル画面。
確認したい項目に集中すると、その部分が展開される仕組みになっている。
ステータス画面の【SKILL】に、意識を向けると、画面にが変わり、取得しているスキルが表示される。
私の場合はーーー
【SKILL】
●転生特典
全職種取得
[戦闘職]
[魔法職]
[学者職]
[商職]
New[闇職]
とまあ、こんな感じで大まかな分類を見ることができる。
これも、ゲームのステータス画面でよくあった……
転生特典の職業だが………
やたらと多いし、多様性豊かなのだ……
例えば、[商職]。
商人や錬金術師、料理人等に加え、村人ならぬ農家やブリーダー、そして、漁師……
………漁師…レベル2だ。
魚釣ったらレベルが上がった…
遊びや食料調達として川魚を採っていたから…のようだ…。
たしか、昨年、国境近くの池で主らしき大魚を釣って…晩御飯に焼いて皆で食べた………
……その魚は私の味覚には合わなかったが……
[学者職]では、探検家、毒師、音楽家、鑑定師等だ。
探検家と鑑定師は便利だった!!
探検家は、初期所有スキルが自動マップ!!歩いた所や見た場所は自動的に地図になる!!やっぱり、ゲームにはマップが必要!!
……、間違えた………ゲームではない……現実だった……
前世とは違い、地図は機密扱いになっている国もある貴重な物だ。一応、一般に出回っている地図もあるが、かなり大雑把なものだ。
そして定番!鑑定師!
いや!もー!便利!!
初期スキルの品物鑑定は、品質や偽物かどうか等あらゆる場面で重宝した。
鑑定が楽しくて何でもかんでも手当たり次第に鑑定していたら、レベルUpして、今では人物鑑定もできる様になった。
ちょっと危ない感じの[闇職]は幅広い。
暗殺者、盗賊、奴隷商人、密猟者、密偵、ギャンブラー、そして、色魔、等ナド……
色魔!!どんな変態!?!
と、思ったが、取得していた初期スキルが『色仕掛け』だったのを見て、ドエロイ18禁の方向ではないのか……と、ちょっと、ホントにチョットだけガッカリした……………マテヨ…レベルUpしたら……もしか、して……?
大活躍の[戦闘職]では、定番の騎士や戦士、狙撃手、ちょっと危なそうな狂戦士があるが、今世独特なものとしては、やはり天光騎士だろう。飛竜騎士が竜なば、こちらは鳥だ。白鷺の様な大きな4枚羽の乳白色の天光鳥という魔鳥だ。
長い首の付け根に鞍を付けて空を駆るのだ。
ペガサスやユニコーンの定番なファンタジー動物も今世には魔獣として存在するが、女性しか乗せないとか、処女でないと暴れるとか、諸々扱いにくさがあるため、この二種は実用的ではないとされている。
もう一つの戦闘職と言っても過言ではない[魔法職]。
こちらは、そのまま。魔法使いや治癒師、付与師、従魔師等だ。
召喚師という職種もある。
今世では、生物、例えば騎士ならば騎馬、町民ならペットの犬猫まで、従属、契約、飼育していれば平民から王族まで全ての人が『持獣召喚』の魔法が使える。
『持獣召喚』は生活魔法の1つで、自らの側にペットや騎馬、農耕馬等を召喚することができる生活魔法である。
が、私の『召喚師』は、それとは違い、俗に言う規格外の何かを召喚するものらしく、悪魔が…とか、天使が…とか、生贄が…とか説明文に書かれており、非常に手を出しにくいモノで……おかけで、レベルは1のままだ……むしろ、説明文を読んだだけなので気持ちはレベル0だ……
今回上がったのはNewマークの付いている[闇職]の中の1つ、【暗殺者】のレベル。
暗殺者のレベルUp条件は、おそらくだが、相手ターゲットに気付かれずに倒せるか、のようだ……
今回、レベルが2から3になった。
各職業固有スキルのレベル上限はおそらく5。
なぜなら、他の職業レベルが5から上に上がらないから。
なので、おそらくだが職業レベルの上限は5なのだろう…。
多くある職業の中でも、ストルエーセン王国での環境により、基本的な戦闘職レベルはMAXの5に近いものばかりだ。
だが、だからといって何かしら身心に変化があるわけではない。
例えば、狂戦士のレベルは5になっているが、毎日戦場に立たないと苦しい、とか、血を浴びたい!なんて衝動に駆られることは無い。
職業やスキルに自身の精神や感情が引っ張られる事は、今のところ、無い。
職業レベルが、3と5の時に新しい職業スキルを取得する。
しかし、1つの職業で成長させられるスキルは1つだけ。
では、いざ実践!!
視線を暗殺者のラベルに向けると画面が開く。
【暗殺者】
人を密かに狙い殺す。殺し屋。
【skill】
●闇目Lv.3
暗闇でも普通に見ることができる。
New 背後取りLv.1
闇の中では確実に背後を取れる
〔新しいskillを取得しますか? YES or NO〕
と映し出される。
どちらも便利なスキルだ。、
それも魔力必要無しの常時発動スキル。
新しいスキルを手に入れ、元あるスキルの成長を止めるか……
新しいスキルを諦め、元あるスキルをこのまま伸ばすか………
………
「YES、で。」
私は、元あるスキル闇目のこれ以上の成長を止め、新しいスキルを手に入れることを選んだ。
闇目も便利だが、それよりも確実に背後が取れる背後取りの方が実用的だと判断した。
一度習得したスキルはレベル上げはできなくなるが、使えなくなるわけではないので、今回は、これで良い。
スキルの調整を手早く行い、3頭の馬の状態を軽く確認する。
それぞれの鼻先を軽く撫でてやる。
私とカリアンの馬は軍馬としての訓練を積んだからか落ち着いている。
血に慣れていないであろう、斑柄の馬も比較的落ち着いているのに安堵する。
馬達の状態を確認し、死体は藁をかけて隠す。
この野盗の独り言ではまだ二人程の居るようなので警戒されないためにだ。
周囲を警戒しつつ宿屋に戻る。
闇夜やみよの中に違和感は無い。
そっと、宿屋のドアを押し開き、背後から滑り込むように室内に侵入する。
「どうだった?」
「ぅ゛!!」
かけられた声に驚き、振り返ればカリアンがカウンターに寄りかかり立っていた。
びっくりした……
私は立ち上がると壁際のハルバートに目をやる。
置いた場所から動いていないのを確認し、2つの死体のうち1つから溢れた赤い体液を避けつつ、ハルバートを手に取る。
「外の死体は藁で隠して来ました。」
「そうか。」
室内の死体は2つ。
外には1つ。
もう一つは……
「…」
カリアンの足元には小太りの男が、死…んでなくて……気を失っている。
「…生きて、ますね。」
「喋ってもらおうかと思ってな。」
「あ~…」
偉い……そんなこと考えてなかった…それどころか、その……、皆殺しな的な…感じかと……
「……」
カリアンから視線を感じた……
片眉がピクリと上がり、ため息が漏れる。
何を考えているか見透かされたようだ。
「…縛りますか?」
気まずさに耐えつつ問う。
「そうだな。あと…煩いのは困る。」
「ロープと、布、ですかね?」
私は役に立ちそうな物はないかと、カウンター内に入る。
台拭きやら、食器拭きやら、床には雑巾もある。
怯えた目をした店主の奥方と目が合った。
奥方は木製のトレーを顔に掲げて目から上だけでている。
店主やノアも似たような格好だ。
私は彼らの前に膝を付く。
「皆さん、大丈夫ですか?ここに侵入した奴らは皆撃退しましたので、もう少しだけ我慢してください。」
と、私はあえてゆっくり話す。
3人が同時にカクカクと首を縦にふる。
「奥様。」
「ヒッ…、」
奥方の喉が引き攣る音がした。
私は味方なのだけれど……?
と、思った私の心は狭いだろうか……
なるべく穏やかに、
「この布類を頂いてもよろしいですか?」
床にあるニ枚の雑巾を指差す。
目の前に所有者が居るのに勝手に使う訳にはいかない。
「そ、そんなので良ければ……」
小さく掠れた返答が返ってきた。
それに礼をのべ、床に放られていた雑巾ニ枚を手に取る。
一枚は湿っている。
店じまいの時に使ったのだろう。
「店主。その野菜を纏めているロープ、もらってもいいですか?」
細長い芋を纏めてあるロープを見る。
「す、好きに使ってくれ…」
店主が口早に言う。
礼を述べてから細長い芋、これは長芋のような見た目だが味と食感はジャガイモな『ジャイモ』だ。
そのジャイモを纏めてあるロープを取り外し、立つ。
「あ、」
大切な事を伝えなければ…
私は店主親子を振り返る。
不安げな6つの眼。
「少々手荒な事をしますので、あまり見聞きしない方がいいと思います。」
「て、手荒って…あんた何を…」
店主が震えながら抗議するかの様な声を絞り出す。
「野盗はまだ居ますので、情報を得たいと思っています……ですので……」
うーん…と、困ったように首を傾ければ、
「は、早めに、終わらせてくれ……」
察した店主はまな板で顔を覆いながら言った。
再度礼を言って雑巾とロープを手にカウンターを出る。
「おまたせしました。」
「いちいち長い。」
「一応、人様の物なので…」
一つ苦笑して、今だに気を失っている夜盗の男を見る。
まずは、手足を縛る。後ろ手にした両手首と揃えた両足首を縄が喰い込む程しっかり縛る。
緩みがないか確認し、野盗の顔付近で膝を付く。
カリアンが男の髪を引っ掴んで顔を持ち上げてくれた。
男の鼻は潰れ、左の瞼が切れて血が流れ落ちている。
膝を付き、男のダラリと開いた口に雑巾を1枚、濡れていた方を丸めて突っ込む。
これで多少大声を出してもそれ程煩くないだろうし、舌も噛まないだろう。
雑巾が窒息しない程度にしっかり突っ込まれているのを確認し、私は立ち上がる。
「消音」
効果範囲をイメージし、消音魔法の呪文を詠唱する。
魔法の使用者にしか見えない、効果範囲の光の輪のようなものが私を中心に浮かび、部屋全体に広がる。
ピンと空気が張り詰めるような、空気の動きが無くなったような感覚。
空間に作用する魔法は総じてこの様な感覚になる。
とにかく、これでどれだけ大声を出しても魔法発動中は魔法効果範囲外には声は漏れないし、特殊なスキルやアイテムがない限り盗み聞きもされない。
「自然解除まで約5分です。私は見張りに立ちます。」
魔法にもタイムリミットがある。
無いものもあるが、消音魔法は使用する魔力量で時間制限が付けられる。
今回は約5分。
残りの野盗が来るかもしれない中での5分は長い方だ。
私はタイムリミットを告げ、ハルバート片手に扉を背に立つ。
仮に逃げようとしても止められるし、扉の横の窓から外の音や様子を伺えるからだ。
さて、準備は整った。
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