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序幕 オダさん冒険者になる!
2、オダ・サン草を刈る
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「ザッ!ザッ!バサッ!」
鬱蒼とした森の中、中古で買ったショートソードで背丈程伸びた草を薙ぎ払い進むオダ・サン。
「ぐぬぬぬぬぅぅぅ!なんて邪魔な草だ!」
町からそう遠くない、ごく普通の森。野生動物の他には小型のゴブリンとスライム程度しか生息しておらず、新米冒険者でも危険の少ない森だ。
「こっちは獣道だったみたいです、引き返して他の場所を探してみましょう」
オダ・サンの後ろを歩くアレイナはうんざりした様子でそう言った。
「いや!もう少しこのまま行くぞ!」
このやり取りはもう何度めだろうか。二人は二時間近くこの草むらを掻き分け進んでいた。
薬草採取の依頼は、森を抜ける街道沿いに生える薬草を探すという簡単な物で、本来なら半日もせずに達成出来る。
この日朝早くに街を出た二人は街道に沿って薬草を探したが、昼を過ぎても1本も見つける事が出来なかった。痺れを切らしたオダ・サンは森の奥へと続く小道を探し、反対するアレイナを尻目に森へと分け入ったのだ。
それから一時間程経ち、日も傾きだした頃。
「アレイナついにやったぞ!!薬草だ!」
ようやく薬草の群生地帯を発見し、オダ・サンは大きな声を出した。
依頼書に描かれた薬草と何度も見比べ、この薬草だと確信すると手に持ったショートソードでガッと刈り取る。そして手に持った薬草を天高く掲げると自慢げに後ろ振り向いた。アレイナもさぞや喜ぶだろうと。
しかし、先ほどまで後ろを歩いていたはずのアレイナの姿はそこにはなかった。
「ふぁっ!アレイナ!どこだ!?」
声を出し辺りを探しても返事が返ってくる事はなく、アレイナの姿は見当たらない。
はぐれてしまったのか?もう少しアレイナの事も配慮すべきだった!と自分に苛立ちを覚えながらも辺りの捜索を続けた。
街道からはかなり外れてしまい、いつモンスターが現れてもおかしくない状況。いくら小型のゴブリンやスライムしか生息していないと言っても、一人で群れに遭遇すれば危険だ。
近くには居ないと判断したオダ・サンは依頼に必要な分だけ薬草を採取し、来た道を急いで引き返す事にした。
すぐに数本の薬草を無造作に刈り取り、腰に下げたポーチに突っ込む。
アレイナ無事でいてくれ!そう願いながらオダ・サンは来た道を引き返した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
オダさんの後ろを付いて森の中を進んでいたアレイナ。何度引き返そうと言っても聞き入れてくれないオダさんに辟易していた。それに見晴らしの悪い道を大きな音を立て歩く事に不安も感じていた。
もう少し進んで薬草が見つからなければ、どうにかオダさんを説得して引き返そう、そう考えていた矢先の事だった。
アレイナの頭に何かが降ってくる。咄嗟に声を出そうとしたが、頭に覆いかぶさったモノはウネウネと動きながらアレイナの口を塞ぎ、声を出すのを遮った。
アレイナの視界は真っ青に染まり、ウネウネと動く触手が何本も見える。「ブルースライムだ!」
どうやら木の上で獲物を待っていたスライムが、下を通ったアレイナに襲い掛ってきたらしい。
どうにかオダさんに知らせようとポシェットに入った物を手当たり次第投げてみたが、気付く様子は無く森の奥へと消えていった。
もう自分でどうにかするしかない!覚悟を決めたアレイナは腰に下げた短剣を抜きスライムの引き剥がしに掛かった。
鬱蒼とした森の中、中古で買ったショートソードで背丈程伸びた草を薙ぎ払い進むオダ・サン。
「ぐぬぬぬぬぅぅぅ!なんて邪魔な草だ!」
町からそう遠くない、ごく普通の森。野生動物の他には小型のゴブリンとスライム程度しか生息しておらず、新米冒険者でも危険の少ない森だ。
「こっちは獣道だったみたいです、引き返して他の場所を探してみましょう」
オダ・サンの後ろを歩くアレイナはうんざりした様子でそう言った。
「いや!もう少しこのまま行くぞ!」
このやり取りはもう何度めだろうか。二人は二時間近くこの草むらを掻き分け進んでいた。
薬草採取の依頼は、森を抜ける街道沿いに生える薬草を探すという簡単な物で、本来なら半日もせずに達成出来る。
この日朝早くに街を出た二人は街道に沿って薬草を探したが、昼を過ぎても1本も見つける事が出来なかった。痺れを切らしたオダ・サンは森の奥へと続く小道を探し、反対するアレイナを尻目に森へと分け入ったのだ。
それから一時間程経ち、日も傾きだした頃。
「アレイナついにやったぞ!!薬草だ!」
ようやく薬草の群生地帯を発見し、オダ・サンは大きな声を出した。
依頼書に描かれた薬草と何度も見比べ、この薬草だと確信すると手に持ったショートソードでガッと刈り取る。そして手に持った薬草を天高く掲げると自慢げに後ろ振り向いた。アレイナもさぞや喜ぶだろうと。
しかし、先ほどまで後ろを歩いていたはずのアレイナの姿はそこにはなかった。
「ふぁっ!アレイナ!どこだ!?」
声を出し辺りを探しても返事が返ってくる事はなく、アレイナの姿は見当たらない。
はぐれてしまったのか?もう少しアレイナの事も配慮すべきだった!と自分に苛立ちを覚えながらも辺りの捜索を続けた。
街道からはかなり外れてしまい、いつモンスターが現れてもおかしくない状況。いくら小型のゴブリンやスライムしか生息していないと言っても、一人で群れに遭遇すれば危険だ。
近くには居ないと判断したオダ・サンは依頼に必要な分だけ薬草を採取し、来た道を急いで引き返す事にした。
すぐに数本の薬草を無造作に刈り取り、腰に下げたポーチに突っ込む。
アレイナ無事でいてくれ!そう願いながらオダ・サンは来た道を引き返した。
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オダさんの後ろを付いて森の中を進んでいたアレイナ。何度引き返そうと言っても聞き入れてくれないオダさんに辟易していた。それに見晴らしの悪い道を大きな音を立て歩く事に不安も感じていた。
もう少し進んで薬草が見つからなければ、どうにかオダさんを説得して引き返そう、そう考えていた矢先の事だった。
アレイナの頭に何かが降ってくる。咄嗟に声を出そうとしたが、頭に覆いかぶさったモノはウネウネと動きながらアレイナの口を塞ぎ、声を出すのを遮った。
アレイナの視界は真っ青に染まり、ウネウネと動く触手が何本も見える。「ブルースライムだ!」
どうやら木の上で獲物を待っていたスライムが、下を通ったアレイナに襲い掛ってきたらしい。
どうにかオダさんに知らせようとポシェットに入った物を手当たり次第投げてみたが、気付く様子は無く森の奥へと消えていった。
もう自分でどうにかするしかない!覚悟を決めたアレイナは腰に下げた短剣を抜きスライムの引き剥がしに掛かった。
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