異世界転移したオダさんは魔法を使いたい!

ペンペンがんばる

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序幕 オダさん冒険者になる!

3、Hなスライム

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 体にまとわりつくスライムを引き剥がそうと、短剣を抜いたアレイナ。

 まずは自分の口を塞ぐスライムの触手を攻撃する。スライムは手ごたえ無くスパッと切れたが、物理攻撃はあまり効果がないようで、すぐに再生しくっ付いてしまう。
 それでも諦めずに口を塞いでいる触手への攻撃を続ける。
 その間に他の触手が胸や腰にまとわり付いて来て思わず「あんっ」と声を漏らし、のけ反る。

「まったくスケベなスライムね!」 
 怒ったアレイナは同じ触手を何度も何度も切りつけた。すると次第にスライムの動きが鈍くなり、ついには切り離す事に成功する。
 触手を切られた事でアレイナを警戒したスライムは、距離を取るため頭の上から木の上へと移動を開始した。
 アレイナはその隙に残った他の触手からも逃れようとするが、スライムも獲物を逃すまいと必死に抵抗する。

「はやく離しなさいよ!」
 触手を一本切る間に、また新たな触手がまとわり付いてくる。しばらく触手と格闘するも引き剥がす事が出来ず、苛立ったアレイナは身に着けた物を脱ぎ捨て、スライムの触手から脱出する事にした。
「もう、この鎧とマントお気に入りだったんですからね!」
 何度か触手を切りつけ動きが鈍った隙に、鎧やマントを脱ぎ捨てスライムの触手を振り払った。
 スライムの体液で衣服を溶かされてしまい、かなり際どいエロティックな格好になってしまったが、アレイナはどうにか触手からの脱出に成功する。
 
「オダさんが戻ってくるまでに、どうにかしないといけないわね…」 
 自分の格好を見ながらそうつぶやく。

 獲物に逃げらたスライムは、アレイナの脱いだ鎧とマントだけでも吸収しようと地面に降りて来る。
 かなり弱っているらしく、動きはとてもスローだ。

「核はどこかしら?」

 ブルースライムは火や熱に弱く、弱点である核を攻撃する事で簡単に倒す事が出来る。核を見つけ攻撃したい所だが、核が中々見つからない。
 注意深くスライムを観察していると、スライムが木の上へと細く伸びている事に気が付いた。その先に目をやると、木の枝の影に隠れる丸く白い核を見つける事が出来た。
 
「悪いスライムちゃんにはお仕置きが必要ね!」
 核を狙い即座に短剣を投げつける。短剣は「ガツッ」と音をたて核に命中した。すると先ほどまでウネウネと動いていたスライムは瞬く間にとけていく。
 アレイナはスライムが完全にとけ息絶えたのを確認すると、投げた短剣とアイテムを回収した。

 一難去って安堵したアレイナはその場にへたり込む。
「ふぅ死ぬかと思ったわ…」
 少し休憩したらオダさんを追いかけよう。とアレイナは少しだけ目を瞑った。
 鳥のさえずりと、風に揺れる木々の音が聞こえてくる。
 オダさんはどれくらい先へ行ったのか。早く街に戻り、ドロにまみれ汗ばんだ体を流したい。
 そう考えていると、草むらを掻き分ける音が聞こえて来た。
 
「ガサガサッ!」

 その音にアレイナは目を開き、ハッとする。
 まだ高い場所にあったはずの太陽が傾きだし、森の中は薄暗くなっていた。自分で考えるよりも、ずいぶんと長く目を瞑っていたようだ。

「ガサガサ」と草を掻き分け進む音は、だんだんと近づいてくる。
 
 オダさんかしら?そう思い声を掛けようと思ったが、アレイナは声を出すのを止めた。
 他の方向から、いくつもガサガサと音が聞こえて来たからだ。

 アレイナには悪い予感しかしなかった。
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