長野県……の■■■■村について

萩野牡丹

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動画文字起こし「危険度SSS級。姦姦蛇螺が出る森に凸ってみた」

*これは某有名動画投稿サイトで発見した生放送動画のアーカイブを文字起こしした物です。


*

(車の運転をしながら話す男性)

 はい、どーも、こんにちは。
 裏世界トラベラーのニャッシーです。
 今日はですね……ついにというか……念願の■■■■村へやって参りました。
 ある程度心霊系の動画を見ていらっしゃる方なら「あー、■■■■村ね」とか「流行りに乗ってんじゃねーよ」と思われるかもしれません。

 でも■■■■村を、ご存知ないリスナー様もいらっしゃっると思いますので説明いたしますと、現在でも古いしきたりといいますか……風習が残っている村です。
 これだけ聞けば伝統を大切にしている普通の村に見えますね。だがしかし……肝心なのは村に残る不気味な伝承です。

 その伝承を短く説明すると、山には『鬼』とか『ミカガミ様』と呼ばれる存在が住んでいて、定期的に山の周辺に住んでいる女の子をさらってしまう、というものです。

 『鬼』の正体に関する考察や詳しい伝承は、別の動画でまとめているので動画概要欄から確認して頂けると幸いです。
 では、ここからが本題ですね。

 ここ数年になって、心霊スポットとして有名になった■■■■村。ここまで有名になったキッカケは、三年前、某匿名掲示板に投稿された、ある書き込みでした。

(男性が声を低くして説明し始める)

 ある日、一人のユーザーがスレッド主が不在になっている匿名掲示板に「この村を探して下さい」という書き込みをした。それから、そのユーザーは村にまつまる数々の情報を断片的に話し初める。

 書かれている情報には、村に根付いた奇妙な風習や見聞きした心霊現象についての情報が多く、初めは多くのユーザーが遊び半分で村探しを手伝っていたが、そのうち地理や文化、方言にまつわる書き込みなど、場所の特定に使えそうな情報も増えてゆく。

 更に村に関する情報の文章は、二つ目の書き込みから段々とおかしくなっていった。この『おかしくなる』というのは、文章が支離滅裂になる、という意味ではない。
 まるで一つの投稿ごとに、書き手が変わっているように、一人称、句読点の位置、口調、変換される文字が変わって行ったのだ。

 そして、それらの情報から導き出された答え、それが■■■■村だった。あるユーザーが村の正体を特定した、その瞬間――村を探して欲しいと頼んだ本人から返信が来た。

 「はやくいらっしゃい」

 と、一文だけ。

(男性の声色が戻る)

 ここから■■■■村にまつわる怪談や体験談が増えて、最近になっては心霊バラエティー番組のロケ地に選ばれるようになったようです。住んでいる方々からしてみれば、たまったもんじゃないと思いますが……観光客が増えるから、別にそこまで気にしてないのかな?

 さぁて、どうこう話しているうちに、目的地へ着きました。

(男性がカメラを持って車から降りる。カメラは参道の入口にある鳥居を写している)

 ここは■■■■神社という場所です。■■■■村で唯一の宗教施設で、先ほど説明致しました『ミカガミ神』を祀る神社です。

(カメラは鳥居をくぐり、石段を登り始める)

 えーと、この神社には二つ噂がありましてね。まず、一つは『嘘つきが参拝するとミカガミ神の怒りを買って神隠しにあう』という噂。そして、もう一つは『禁足地きんそくち姦姦蛇螺かんかんだらが現れる』という噂です。

 姦姦蛇螺をご存知ないリスナー様の為に、説明しておきますと、姦姦蛇螺は下半身は蛇で、上半身には六本の腕が生えた女性の怪異です。

(神社の奥へ辿り着く。やしろの両脇には森が広がっていた)

 地元民や神社の方はいらっしゃらないようですね。神社の周りある森が例の禁足地らしいです。あー、先に調べておきましたが、禁足地に侵入したところで法には触れないので。

 触れるのは神の怒りだけですね。
 あははは。

(男性が禁足地の柵を跨《また》いで越える)

 ついに来てしまいましたね。
 心臓がバクバクしています。
 本当ですよ? 

 俺が一歩進む事に投げ銭欲しいぐらいですよ。あ、本当に投げ銭飛んでる。ありがとうございます。明日のオヤツ代にさせていただきます。

 もう投げ銭まで頂いてしまったし、後戻りはできませんね……。

(沈黙)

 待って下さい。足音がしません?
 本当ですよ。さっきまで、していました。

(男性は数歩進みまた止まる)

 やっぱり、足音してますよ。
 こっちが歩くペースに合わせて、誰かがついてきているみたいです。

(また一歩進む。すると遠い方からバキッという木の枝が折れる音)

 ヤバい、ヤバい。マジモンの姦姦蛇螺だ。 

 どうしよう。今からでも帰ろうかな……って、こんなときに限って、みんな投げ銭しないで下さいよ。本当にヤバいのに。

 仕方ないなぁ。
 もう少しだけ進みますよ。
 さっきは紹介しそこねましたが姦姦蛇螺は山奥で封印されていて自由に身動きが……。

(男性が走り始める)

 すっ、すみません。
 やっぱり逃げます。

 何かが迫ってきてる。
 黒い四足歩行の化け物。

 嘘じゃないですよ。
 姦姦蛇螺じゃない……あれ……。

 がァァァ、ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙、な……にも……。


(アーカイブはここで終了している)

 

 

 
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